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法的な整備について

●河村
違法が起こったときはどうなるのですか?

●渡部
企業のことですか? 訴訟でしょうね。

●河村
誰が訴訟するのですか?

●渡部
当事者だと思います。障害を持つ当事者が訴訟を起こします。

河村●
訴訟を起こすのには手間隙がかかりますよね。誰が応援してくれるのですか、訴訟を起こすときに、法律違反だというときに。

●渡部
そこは私ももうちょっと勉強しなければいけないのですけれど。

●河村
誰かロウヤー(法律家)が応援してくれないと、訴訟は起こせませんよね。
アメリカにはシビルライツ・オフィスというのがありますよね。ここは関わっているのですか、訴訟に。いわゆる公民権法違反はシビルライツ・オフィスが連邦政府、あるいは州のロウヤーを提供して訴訟できますよね。公民権法違反に対しては。ADAについても、違反があったときには、政府あるいは州から訴訟を起こすことに対する個人に対しての支援が、何かないのでしょうか。

●渡部
高等教育で言っていいですか?
高等教育でたとえば、高等教育機関で障害学生が差別をされているとしましょう。DSSが、合理的配慮をリクエストしたのに、大学側がこれを「お金がないから困る、できません」と言ったとします。でも、障害を持つ学生としては「これは合理的だろう」というふうに、意見が合わなかったとします。
そのときにはいくつか方法があって、要は、不平を言うことができます。
一つは、大学の中にそういうシステムが、ほとんどの大学にあると思います。ADAチームとか、ADAオフィサーとか、そういう障害に関する差別に関する不平とかを扱う部署がありまして、そこに学生が苦情を申し出ることができます。
または、州にも人権差別に関する苦情を対処するオフィスがあり、そこにも不平を言うことができます。
先ほど河村さんがおっしゃったように、OCR(Office for Civil Rights)注釈14 14というのがあって、そこにも学生が言うことができて、そこまでになると、OCRが実際に、実際に差別が起こったかどうか調査しに大学に来ます。差別が起こった場合には、学生と大学側の仲介に入って、これは差別ですから、大学側はこうしなさいよという指令を出します。そういうシステムができています。

●河村
そういう調停をして、大学側が言うことを聞かないとなったら、これは裁判になりますか。

●渡部
そうです。

●河村
受け入れられないとなったら裁判なんですね。
うすると、OCRは州の機関ですか?

●渡部
OCRは連邦です。連邦アメリカ教育省の傘下にあるものです。

●河村
そうすると、連邦政府が雇用した弁護士と大学との争いになるわけですね、法定では。
連邦政府を相手にしなきゃいけない。

●渡部
でもそれも、学生の権利です。

●河村
はい、よくわかりました。これは大変なことですね。
よく、ADAというのはすごいんだと聞きますが、何がすごいかというと、最後はとんでもない裁判になるというふうに聞いています。ちゃんと障害者の非差別を実行していないと、とんでもない裁判になるんだと。その裁判というのは結局連邦政府を相手に裁判を戦わなければならなくなるということですね。これは効果的だと思いますね。
ここまでのところで、何かご意見、あるいは質問がありましたら。

●萩原
日本とずいぶん違うなと思いました。当事者がちゃんとそれだけ権利を主張するとか、支援を申し出るというのが、日本ではまず今のところぜんぜん考えられない感じです。
かろうじて最近時々聞くのは、既に診断を受けている大学生の保護者が、いろいろな配慮を大学に要望することぐらいでしょうか。そのへんの意識というのは国民性なのかシステムの問題なのか、いろいろあるかもしれませんが、ぜんぜん違うなと思いながら聞いていました。

●河村
井上さんは?