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精神保健サービスの評価とモニタリングに関する研究

はじめに

 厚生労働科学研究費補助金( 障害保健福祉総合研究事業 )「精神保健サービスの評価とモニタリングに関する研究」に平成15年4月から平成17年3月まで参加し研究を行った。なお、本稿においては、平成16年度の研究成果について報告する。

研究目的

本研究の目的は、精神保健医療福祉施策の評価と計画的推進に資するため、都道府県・指定都市の現状や施策の進捗状況の評価指標を開発するとともに、都道府県・指定都市別で経年的比較が可能な評価モデルを開発することである。

医療法の改正や障害者プランの策定など、よりよい保健医療福祉のために制度や計画は急速に変化している。精神保健医療福祉領域においても、入院医療主体から地域での保健医療福祉を中心としたあり方への転換が図られている。このような時期に、変化の実態やあるべき姿、精神保健医療福祉施策の進捗状況の地域差など、精神保健サービス及びその施策を評価する仕組みや方法を開発することは重要な研究テーマといえよう。

この課題については、厚生労働省社会保障審議会障害者部会精神保健分会が平成14年12月に公表した「今後の精神保健医療福祉施策について」において、「精神保健医療福祉施策の評価と計画的推進」の柱をたて、(1)地域及び国全体でみた精神保健医療福祉の水準を評価する手法(指標)の開発、(2)評価のために必要な情報収集体制を整備し本計画の進捗状況の定期的な評価を行うことが提案されている。

 そこで、本年度は、平成15年度に厚生労働科学研究の一環として開発した、都道府県・指定都市ごとのモニタリングモデルについて精神保健医療福祉関係者に幅広く周知するとともに、各都道府県の特徴や経年変化が把握可能な提示方法について検討した。具体的には、「精神保健サービスの評価指標に関する調査」、「都道府県別の精神保健医療福祉サービスの類型化に関する研究」、「精神保健医療福祉指標の経年変化に関する調査」を行った。

研究方法

1.精神保健サービスの評価指標に関する調査

 調査対象は、都道府県・指定都市の精神保健福祉担当課である。調査票は、平成16年10月に郵送し、回収はFAXまたは郵送にて実施した。調査票は、社会復帰指標の有用性に関する項目(6項目)、都道府県・指定都市におけるアウトカム指標の導入状況に関する項目、外来指標に関する項目(自由記載)、提示方法に関する項目(自由記載)、障害保健福祉圏域数などから構成されている。なお、回収率は81.7%(40都道府県、9指定都市)であった。

2.都道府県別の精神保健医療福祉サービスの類型化に関する研究

 都道府県の精神保健医療福祉の水準を示す下記の指標(22指標)を用いて、各都道府県の類型化を試みた。すなわち、外来に関する指標(5指標)、入院に関する指標(7指標)、社会復帰に関する指標(4指標)、地域精神保健福祉活動に関する指標(2指標)である。その他、都道府県の地域特性に関する指標(4指標)を用いた。なお、各指標は、官公庁統計資料や既に全国的に実施された調査結果であり、必要に応じて総務省統計局が公表している推計人口を用いて標準化を行った。

 分析は、22指標を変数として、主成分分析を行った。固有値(1以上を基準とした)と寄与率から因子数を決定し、エカマックス回転後、因子負荷量と各都道府県の因子得点を求めた。その後、各都道府県の因子得点をもとに、クラスター分析(Ward法)を行い、デンドログラムを参考に距離10を基準として都道府県の類型化を行った。

3.精神保健医療福祉指標の経年変化に関する調査

 調査対象は、都道府県・指定都市の精神保健福祉担当課である。調査票は、平成16年10月に郵送し、回収はFAXまたは郵送にて実施した。調査票は、都道府県・指定都市の精神保健医療福祉施策・事務事業の評価において有用な指標に関する項目などから構成されている。回収率は81.6%(40都道府県、9指定都市)であった。