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修正議長草案と議長草案の比較

川島聡・長瀬修 仮訳
(2006年4月4日付)

第1条 目的

この条約は、障害のある人によるすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し及び確保すること並びに障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする 。注釈20

第2条 定義

この条約の適用上、
「コミュニケーション」には、変更部分音声言語、手話、文字表記、点字、触覚コミュニケーション、拡大文字、変更部分筆記、音声装置、アクセシブルなマルチメディア、変更部分平易な言葉、朗読者、並びに変更部分コミュニケーションの補助的及び代替的な様式、手段及び形態(アクセシブルな情報通信技術を含む。)を含む 。注釈21

変更部分「障害」/「障害のある人」……注釈22
「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(変更部分合理的配慮の否定[並びに直接差別及び間接差別変更部分を含む。)を含む 。注釈23

「言語」には、変更部分音声言語、手話及び他の形態の非音声言語を含む 。注釈24

変更部分「一般に適用のある国内法」とは、社会全体に適用する法律であり、かつ、障害のある人に関し区別を設けないものをいう。「一般に適用のある国内法及び国内的手続」並びに「一般に適用のある国内法、慣習及び伝統」は、それと同一の意味を有するものとし、それを準用する。変更部分 注釈25

「合理的配慮」とは、特定の場合において必要とされる、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、不釣合いな負担を課さないものをいう。

「ユニバーサルデザイン」及び「インクルーシブデザイン」とは、改造又は特別な設計を必要とすることなしに、可能な最大限の範囲内で、すべての人が使用することができる変更部分製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。変更部分「ユニバーサルデザイン」及び「インクルーシブデザイン」は、障害のある人の特定集団のための支援機器が必要な場合には、これを排除してはならない 。注釈26

第3条 一般的原則

この条約の変更部分原則は、次のものとする 。注釈27

(a) 変更部分固有の尊厳、個人の自律(自己の選択を行う自由を含む。)及び人の自立変更部分の尊重注釈28
(b) 非差別
(c) 変更部分 社会への完全かつ効果的な参加及びインクルージョン 注釈 29
(d) 差異の尊重と、人間の多様性及び人間性の一部としての障害の受容
(e) 機会の平等
(f) アクセシビリティ 注釈30
(g) 男女の平等
変更部分 (h) 変更部分 障害のある子どもの発達しつつある能力の尊重と、障害のある子どもがそのアイデンティティを保持する権利の尊重 注釈 31

第4条 一般的義務

  1. 締約国は、障害に基づくいかなる種類の差別もない、障害のあるすべての人のためのすべての人権及び基本的自由の完全な実現を確保し及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する 。注釈32
    変更部分(a)変更部分この条約において認められる権利を実施するためにすべての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること 。ための国内機構の地位及び機能に関する原則を考慮に入れる 。注釈33
    変更部分(b) 変更部分障害のある人に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること 。注釈34
    変更部分(c)変更部分すべての政策及び計画において障害のある人の人権の保護及び促進を考慮すること 。注釈35
    (d)この条約に合致しないいかなる活動又は行為も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの条約に従い行動することを確保すること。
    (e)あらゆる人、機関又は民間企業による障害に基づく差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
    (f) 次のものについての変更部分研究、開発、利用可能性及び使用を約束し又は促進すること 。注釈36
    1. 障害のある個人に特有なニーズを満たすために並びに基準及び指針の開発に当たりユニバーサルデザインを促進するために万人向けに設計された商品、サービス、備品及び設備であって可能な限り最低限の調整及び最小限の費用を要すべきもの 注釈37
    2. 障害のある人に適した新たな技術(情報通信技術、移動補助具、機器、支援技術を含む。)であって入手可能な費用の技術を優先させたもの 注釈38
    (g)移動補助具、機器及び支援技術(新たな技術を含む。)に関する並びに他の形態の援助、支援サービス及び設備に関するアクセシブルな情報を障害のある人に提供すること。
    変更部分(h) 変更部分障害のある人と共に働いている専門家及び職員に対する、この条約において認められる権利についての訓練を、これらの権利により保障される支援及びサービスの提供を向上させるために促進すること 。注釈39
  2. 各締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、変更部分国際人権法から生ずる即時的に適用可能な義務に違反しない限り、それらの権利の完全な実現を漸進的に達成するという観点から、自国における利用可能な資源の最大限の範囲内で、また、必要な場合には国際協力の枠内で措置をとる 。注釈40
  3. 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策を発展させ及び実施する場合において並びに障害のある人と関連する事項に係る他の意思決定過程において、変更部分障害のある人(障害のある子どもを含む。)を代表する団体を通じて障害のある人と緊密に協議し並びにこれらを積極的に関与させる 。注釈41
  4. この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際法に含まれる規定であって障害のある人の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。変更部分この条約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ又は存する基本的人権については、この条約がそれらの権利を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利を制限し又は逸脱してはならない 。注釈42
  5. 変更部分 この条約は、いかなる制限又は例外もなしに連邦国家のすべての地域について適用する 。 注釈 43

第5条 平等及び非差別

  1. 締約国は、すべての人が法律の前及び下において平等であり、かつ、いかなる差別もなしに法律の平等な保護及び利益を受ける権利を有することを認める 。注釈44
  2. 締約国は、障害に基づく変更部分すべての差別を禁止するものとし、また、障害のある人に対して変更部分すべての理由による差別に対する平等のかつ効果的な保護を保障する 。注釈45
  3. 締約国は、変更部分平等を促進し及び差別を撤廃するため、合理的配慮が提供されることを確保するためのすべての適当な行動をとる 。注釈46
  4. 障害のある人の事実上の平等を促進し又は達成するために必要な変更部分特定の措置は、変更部分この条約に規定する障害に基づく差別と解してはならない 。注釈47
  1. 「充足するfulfil」を「確保するensure」に修正。「障害のある人のof」を「障害のある人によるby」に修正。「…確保すること」の後に「並びに障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進すること」を挿入。
  2. 「口及び耳によるコミュニケーション、手話によるコミュニケーションoral-aural communication, communication using sign languages」を「音声言語、手話spoken and signed languages」に修正。「他の補助的又は代替的なコミュニケーション様式other augmentative or alternative modes of communication」を「コミュニケーションの補助的及び代替的な様式、手段及び形態augmentative and alternative modes, means and formats of communication」に修正(なお、Augmentative and Alternative Communication(AAC)は、「補助代替コミュニケーション」ないし「拡大代替コミュニケーション」と一般に訳される)。「文字表記the display of text」、「筆記written」、「平易な言葉plain language」を追加。
  3. 「障害」と「障害のある人」に付されていた角ブラケットを削除。それぞれ別個に位置づけられていた両者が、スラッシュ(/)で併記された。「障害」/「障害のある人」は、原文では、“Disability”/“Persons with disabilities”(英語版)、“残疾”/“残疾人”(中国語版)、“discapacidad”/“personas con discapacidad”(スペイン語版)、≪ Handicap ≫/≪ Personnes handicapees ≫(フランス語版)等とされている。
  4. 「直接差別及び間接差別」の前に「合理的配慮の否定denial of reasonable accommodation」を挿入。「並びに直接差別及び間接差別」の部分に角ブラケットを追加。
  5. 「口及び耳による言語並びに手話oral-aural languages and sign languages」を「音声言語、手話及び他の形態の非音声言語spoken and signed languages and other forms of non-spoken languages」に修正。
  6. 角ブラケットを追加。
  7. 「製品及び環境」を「製品、環境、計画及びサービス」に修正。「『ユニバーサルデザイン』及び『インクルーシブデザイン』は、障害のある人の特定集団のための支援機器が必要な場合には、これを排除してはならない。」を第2文として追加。
  8. 「この条約の基本的な原則…」から「基本的な」の部分を削除。
  9. 「尊厳」を「固有の尊厳」に修正。「の尊重」を追加。
  10. 「他の者との平等を基礎とした、社会への障害のある人の完全かつ効果的な参加及びインクルージョン」(議長草案3条(c))から「他の者との平等を基礎とした」及び「障害のある人の」の部分を削除。
  11. 本翻訳では、修正議長草案に多々見られる言葉として、accessibilityは「アクセシビリティ」、accessibleは「アクセシブルな」、accessは「アクセス」と訳した。なお、accessとaccessibleが用いられている主要人権諸条約の政府訳として、たとえば以下のものなどがある。「種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は…一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。Secondary education in its different forms…shall be made generally available and accessible to all…」(社会権規約13条2(b))、「高等教育は…すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。Higher education shall be made equally accessible to all…」(社会権規約13条2(c)),「すべての市民は…次のことを行う権利及び機会を有する。…(c)一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。Every citizen shall have the right and the opportunity…: … (c)To have access, on general terms of equality, to public service in his country.」(自由権規約25条の柱書及び(c))、「政治的権利、特に…公務に平等に携わる権利Political rights, in particular the rights…to have equal access to public service」(人種差別撤廃条約5条(c))、「…一般公衆の使用を目的とするあらゆる場所又はサービスを利用する権利The right of access to any place or service intended for use by the general public…」(人種差別撤廃条約5条(f))、「窮乏の状況においては、女子が食糧、健康、教育、雇用のための訓練及び機会並びに他の必要とするものを享受する機会が最も少ないことを憂慮し、Concerned that in situations of poverty women have the least access to food, health, education, training and opportunities for employment and other needs」(女性差別撤廃条約前文第8段落)、「農村及び都市のあらゆる種類の教育施設における職業指導、修学の機会及び資格証書の取得のための同一の条件。The same conditions for career and vocational guidance, for access to studies and for the achievement of diplomas in educational establishments of all categories in rural as well as in urban areas…」(女性差別撤廃条約10条(a))、「同一の教育課程、同一の試験、同一の水準の資格を有する教育職員並びに同一の質の学校施設及び設備を享受する機会Access to the same curricula, the same examinations, teaching staff with qualifications of the same standard and school premises and equipment of the same quality」(女性差別撤廃条約10条(b))、「継続教育計画…を利用する同一の機会The same opportunities for access to programmes of continuing education…」(女性差別撤廃条約10条(e))、「…特定の教育的情報…を享受する機会Access to specific educational information…」(女性差別撤廃条約10条(h))、「締約国は…保健サ-ビス…を享受する機会を確保することを目的として…すべての適当な措置をとる。 States Parties shall take all appropriate measures…in order to ensure…access to health care services…」(女性差別撤廃条約12条1)、「適当な保健サ-ビス…を享受する…権利the right… (b) To have access to adequate health care facilities…」(女性差別撤廃条約14条2(b))、「経済分野における平等な機会を…得るために…; …in order to obtain equal access to economic opportunities…;」(女性差別撤廃条約14条2(e))、「農業信用及び貸付け、流通機構並びに適当な技術を利用する権利並びに土地及び農地の改革並びに入植計画において平等な待遇を享受する権利the right… (g) To have access to agricultural credit and loans, marketing facilities, appropriate technology and equal treatment in land and agrarian reform as well as in land resettlement schemes」(女性差別撤廃条約14条2(g))、「…これらの権利の行使を可能にする情報、教育及び手段を享受する同一の権利The same rights…to have access to the information, education and means to enable them to exercise these rights」(女性差別撤廃条約16条1(e))、「締約国は…児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料…を利用することができることを確保する。States Parties…shall ensure that the child has access to information and material from a diversity of national and international sources…」(子どもの権利条約17条柱書)、「…2の規定に従って与えられる援助は…当該児童が教育、訓練、保健サービス、リハビリテーション・サービス、雇用のための準備及びレクリエーションの機会を実質的に利用し及び享受することができるように行われるものとする。…assistance extended in accordance with paragraph 2 of the present article…shall be designed to ensure that the disabled child has effective access to and receives education, training, health care services, rehabilitation services, preparation for employment and recreation opportunities…」(子どもの権利条約23条3)、「締約国は、…予防的な保健並びに障害を有する児童の医学的、心理学的及び機能的治療の分野における適当な情報の交換(リハビリテーション、教育及び職業サービスの方法に関する情報の普及及び利用を含む。)…を促進する。States Parties shall promote…the exchange of appropriate information in the field of preventive health care and of medical, psychological and functional treatment of disabled children, including dissemination of and access to information concerning methods of rehabilitation, education and vocational services…」(子どもの権利条約23条4)、「締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。States Parties shall strive to ensure that no child is deprived of his or her right of access to such health care services…」(子どもの権利条約24条1)、「社会のすべての構成員…が…教育を受ける機会を有し…。…all segments of society…have access to education…;」(子どもの権利条約24条2(e))、「(b)種々の形態の中等教育…の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし…。(c)…すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。(d)すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。(b) Encourage the development of different forms of secondary education…make them available and accessible to every child…; (c) Make higher education accessible to all…; (d) Make educational and vocational information and guidance available and accessible to all children;」(子どもの権利条約28条1(b)(c)(d))、「…特に…科学上及び技術上の知識並びに最新の教育方法の利用を容易にするため…。…in particular with a view to …facilitating access to scientific and technical knowledge and modern teaching methods.」(子どもの権利条約28条3)、「自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し…。Every child deprived of his or her liberty shall have the right to prompt access to legal and other appropriate assistance…」(子どもの権利条約37条(d))。
  12. 議長草案に見られない新たなサブパラグラフ・内容。なお、子どもの権利条約5条、14条2の政府訳は、the evolving capacities of the childを「児童の発達しつつある能力」、「その発達しつつある能力」と訳している。
  13. 「障害のある人persons with disabilities」を「障害のあるすべての人all persons with disabilities」に修正。「確保する」を「確保し及び促進するensure and promote」に修正。
  14. 「並びにこの条約に合致しないいかなる法律及び規則も改正し、廃止し又は無効にし、かつ、この条約に合致しない慣習又は慣行を抑制すること」を削除。「この条約を実施するためのto give effect to the present Convention」を「この条約において認められる権利を実施するためにfor the implementation of the rights recognized in the Present Convention」に修正。「立法措置、行政措置その他の措置」の前に「すべての適当なall appropriate」を挿入。なお、修正議長草案に多々見られるappropriateの訳語は、本翻訳では、さしあたり「適当な」と訳した。appropriateは、主要人権諸条約の政府訳では「適当な」と一般に訳されているが、「適切な」と訳すべきであるとの主張も従来見られる(国際女性の地位協会編『女子差別撤廃条約注解(訂正版)』尚学社(1994年)63, 333-334頁等参照)。ちなみに、主要人権諸条約の政府訳において「適切な」という訳語が用いられる例として、「特定の人種若しくは種族の集団又は個人の適切な進歩adequate advancement of certain racial or ethnic groups or individuals」(人種差別撤廃条約1条4)、「適切な発展及び保護the adequate development and protection」(人種差別撤廃条約2条4)、「児童がその出身国内において里親若しくは養家に託され又は適切な方法で監護を受けることができない場合には、if the child cannot be placed in a foster or an adoptive family or cannot in any suitable manner be cared for in the child's country of origin」(子どもの権利条約21条(b))などがある。
  15. 「平等の権利及び障害に基づく非差別の権利が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定めること、並びにこれらの権利の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。」(議長草案4条1(b))を削除して、議長草案に見られない新たな内容とした。女性差別撤廃条約2条(f)(政府訳:女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。)の類似規定。
  16. 「すべての経済的及び社会的な開発政策及び開発計画の主流に障害に係る事項を据えること。」(議長草案4条1(c))を削除。議長草案4条1(c)に見られた「政策」や「計画」という言葉は残されているが、議長草案4条1(c)とは大きく異なる内容である。
  17. 「開発」の前に「研究research」を挿入。
  18. なお、facilitiesとfacilitate (facilitating) についての主要人権諸条約の政府訳として、たとえば以下のものなどがある。「防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられ…ること。To have adequate time and facilities for the preparation of his defence…」(自由権規約14条3(b))、「国際連合事務総長は…必要な職員及び便益を提供する。The Secretary-General of the United Nations shall provide the necessary staff and facilities…」(自由権規約36条)、「委員会の委員…は…国際連合のための職務を行う専門家の便益、特権及び免除を享受する。The members of the Committee…shall be entitled to the facilities, privileges and immunities of experts on mission for the United Nations…」(自由権規約43条)、「…保育施設網の設置及び充実を促進すること…。…promoting the establishment and development of a network of child-care facilities」(女性差別撤廃条約11条2(c))、「(b) 適当な保健サ-ビス…を享受する権利、…(g) 農業信用及び貸付け、流通機構並びに適当な技術を利用する権利…the right:… (b) To have access to adequate health care facilities…; …(g) To have access to agricultural credit and loans, marketing facilities, appropriate technology…」(女性差別撤廃条約14条2(b)(g))、「国際連合事務総長は…必要な職員及び便益を提供する。The Secretary-General of the United Nations shall provide the necessary staff and facilities…」(女性差別撤廃条約17条9)、「締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が…権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。States Parties shall ensure that the institutions, services and facilities responsible for the care or protection of children shall conform with the standards established by competent authorities….」(子どもの権利条約3条3)、「締約国は…児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。…States Parties…shall ensure the development of institutions, facilities and services for the care of children.」(子どもの権利条約18条2)、「…父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有する…。…children of working parents have the right to benefit from child-care services and facilities for which they are eligible.」(子どもの権利条約18条3)、「…精神的又は身体的な障害を有する児童が、その尊厳を確保し、自立を促進し及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で十分かつ相応な生活を享受すべきである…。…a mentally or physically disabled child should enjoy a full and decent life, in conditions which ensure dignity, promote self-reliance and facilitate the child's active participation in the community. 」(子どもの権利条約23条1)、「…到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利…。…the right of the child to the enjoyment of the highest attainable standard of health and to facilities for the treatment of illness and rehabilitation of health.」(子どもの権利条約24条1)、「締約国は、特に…科学上及び技術上の知識並びに最新の教育方法の利用を容易にするため、教育に関する事項についての国際協力を促進し、及び奨励する。States Parties shall promote and encourage international co-operation in matters relating to education, in particular with a view to…facilitating access to scientific and technical knowledge and modern teaching methods.」(子どもの権利条約28条3)、「国際連合事務総長は…必要な職員及び便益を提供する。The Secretary-General of the United Nations shall provide the necessary staff and facilities…」(子どもの権利条約43条11)、「国際連合事務総長は…必要な職員及び便益を提供する。The Secretary-General of the United Nations shall provide the necessary staff and facilities…」(拷問等禁止条約18条3)、「締約国は、締約国の会合及び委員会の会合の開催に関連して生じた経費(職員及び便益に係る費用等3に規定するところにより国際連合に生じた経費の国際連合に対する償還を含む。)について責任を負う。The State Parties shall be responsible for expenses incurred in connection with the holding of meetings of the States Parties and of the Committee, including reimbursement of the United Nations for any expenses, such as the cost of staff and facilities, incurred by the United Nations pursuant to paragraph 3 above. 」(拷問等禁止条約18条5)、「委員会の委員…は…国際連合のための任務を行う専門家の便益、特権及び免除を享受する。The members of the Committee…shall be entitled to the facilities, privileges and immunities of experts on missions for the United Nations….」(拷問等禁止条約23条)。
  19. giving priority to affordable priced technologiesをgiving priority to technologies at an affordable costに修正(訳語の変更なし)。
  20. 議長草案に見られない新たなサブパラグラフ。この内容は、議長草案20条(c)、24条2(e)、26条2の各要素と関連する。なお、主要人権諸条約の政府訳では、trainingは「訓練」と一般に訳されている。「研修」と訳すべきと思われる部分もあるが、さしあたり本翻訳では、trainingをすべて「訓練」と訳した。「訓練」という訳語が用いられている主要人権諸条約の政府訳と して、たとえば、「技術及び職業の指導及び訓練に関する計画、政策及び方法technical and vocational guidance and training programmes, policies and techniques」(社会権規約6条2)、「教育及び訓練についての権利The right to education and training」(人種差別撤廃条約5条(e)(v))、「職業訓練vocational training」(女性差別撤廃条約10条(a))、「職業訓練及び再訓練(見習、上級職業訓練及び継続的訓練を含む。)を受ける権利the right to receive vocational training and retraining, including apprenticeships, advanced vocational training and recurrent training」(女性差別撤廃条約1(c))、「職業訓練計画vocational training programmes」(子どもの権利条約40条4)などがある。
  21. 「ただし、それらの権利の完全な実現を漸進的に達成することが障害に基づく差別という結果になる場合は、この限りでない。」を「国際人権法から生ずる即時的に適用可能な義務に違反しない限り」に修正。関連規定として、社会権規約2条1の政府訳は、to the maximum of its available resourcesを「自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより」と訳し、子どもの権利条約4条の政府訳は、to the maximum extent of their available resourcesを「自国における利用可能な手段の最大限の範囲内で」と訳しているが、ここでは、to the maximum of its available resources を「自国における利用可能な資源の最大限の範囲内で」と訳した(宮崎編『解説・国際人権規約』日本評論社(1996年)29-30, 34頁、永井他編『新解説 子どもの権利条約』日本評論社(2000年)56-58頁参照)。子どもの権利条約23条2の政府訳も、subject to available resourcesを「利用可能な手段の下で」と訳している(この訳語の議論については、波多野『逐条解説 児童の権利条約』有斐閣(1994年)164頁参照)。
  22. 「障害のある人及びその団体」を「障害のある人(障害のある子どもを含む。)を代表する団体を通じて障害のある人」に修正。「そのような事項には、アクセシビリティに係る基準及び指針と、保健、ハビリテーション及びリハビリテーションに係る法令の策定と、保健、ハビリテーション及びリハビリテーションに係るサービスの立案、給付及び評価と、データ収集の立案及び実施とを含む。」(議長草案4条3第2文)を削除。
  23. 議長草案に見られない新たな内容を第2文として追加(自由権規約5条2(及び社会権規約5条2)の類似規定)。第1文は、子どもの権利条約41条及び女性差別撤廃条約23条の類似規定。
  24. 議長草案に見られない新たなパラグラフ・内容。社会権規約28条及び自由権規約50条の類似規定。
  25. 修正議長草案の本条と12条のthe lawは「法」と訳すべきかもしれないが、さしあたり「法律」と訳した。
  26. 「あらゆるany」を「すべてのall」に修正(なお、主要人権諸条約の政府訳では、the law shall prohibit any discriminationを「法律は、あらゆる差別を禁止し」(自由権規約26条)と訳し、legislative and other measures……prohibiting all discrimination against womenを「女性に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置」(女性差別撤廃条約2条(b))と訳す例も見られるが、文脈により、allを「あらゆる」(たとえば「あらゆる形態のall forms of」)と訳し、anyを「すべて」と訳す場合等も見られる)。「すべての理由によるon all grounds」を追加。「また、締約国は、いかなる差別も禁止するものとし、また、障害のある人に対して他のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護を保障する。」(議長草案5条2第2文)を削除。
  27. 「平等を促進し及び差別を撤廃するためIn order to promote equality and eliminate discrimination」を追加(なお、主要人権諸条約の政府訳では、in order toを「するため」や「することを目的として」と訳す場合等がある)。「をとることを約束するundertake to take」を「をとるshall take」に修正。本翻訳では、修正議長草案の5条3、27条1、28条1、28条2、30条3のtake(taking) (all) appropriate stepsを「(すべての)適当な行動をとる」と訳した。主要人権諸条約の政府訳では、take stepsを「行動をとる」(社会権規約2条1)と訳し、take appropriate stepsを「適当な措置をとる」(社会権規約6条1、11条1、自由権規約23条3)と訳し、Steps to be taken by a State Partyを「締約国が…とる措置」(社会権規約6条2、12条2、15条2)と訳し、take the necessary stepsを「必要な行動をとる」(自由権規約2条2)と訳す場合等が見られる。社会権規約2条1のtake stepsを「措置をとる」と訳すべきであるとの主張も見られる(宮崎編『解説・国際人権規約』日本評論社(1996年)34頁等参照)。
  28. 「措置」を「特定の措置Specific measures」に修正。「この条約に規定する」を挿入。

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