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障害者権利条約

配布:一般
2013年12月16日
原文:英語

仮訳:日本障害フォーラム(JDF)

障害者権利委員会
手続規則

*手続規則は、第10回会期(2013年9月2日―13日)において、委員会により改正された。

GE.13-49672

目次

第一部
一般規則

Ⅰ.会期

規則

1.委員会の会合

2.会期

3.会期の場所

4.委員会の特別会期

5.会期前作業部会

6.会期の開始日の通告

7.アクセシビリティ

Ⅱ.議事日程

8.仮議事日程

9.議事日程の承認

10.議事日程の修正

11.仮議事日程の送付

Ⅲ.委員会の委員

12.任期

13.空席の補充

14.厳粛な宣言

Ⅳ.役員

15.選挙

16.選挙の実施

17.任期

18.委員会との関係における委員長の地位

19.委員長代理

20.役員の交替

Ⅴ.事務局

21.声明

22.経費を伴う提案

23.事務局

Ⅵ.コミュニケーションおよび用語

24.コミュニケーションの手段

25.用語の種類

26.公用語

27.記録

28.一般的討議の日

Ⅶ.公開会合および非公開会合

29.公開会合および非公開会合

30.会合への参加

Ⅷ.委員会の報告およびその他の公式文書の配布

31.公式文書の配布

Ⅸ.議事の運営

32.定足数

33.委員長の権限

Ⅹ.表決

34.決定の採択

35.投票権

36.可否同数の表決

37.投票の方法

ⅩⅠ.委員会の報告

38.総会および経済社会理事会への報告

第二部
委員会の機能

ⅩⅡ.条約第35条および第36条に基づく報告と情報

39.締約国の報告

40.報告の未提出

41.報告を行う締約国に対する通告

42.報告の検討

43.報告の審査に参加できない委員

44.追加報告または情報の要請

45.技術的な助言もしくは援助の要請、またはこれらの必要性を記載した締約国の報告の送付

46.一般的な性格を有する勧告

47.一般的意見および報告の義務

48.締約国と委員会の協力

ⅩⅢ.委員会による活動への、専門機関、国際連合の機関および他の権限のある機関の参加

49.専門機関および国際連合の機関の参加

50.政府間機関および地域的な統合のための機関

51.国内人権機関

52.非政府機関

53.人権に関する国際条約が設けた機関との協力

54.補助機関の設立

ⅩⅣ.選択議定書に基づき受理される通報の検討のための手続

A.委員会への通報の送付

55.委員会への通報の送付

56.通報の登録

57.追加情報の説明の要請

58.委員会の委員への情報提供

B.委員会による通報の検討に関する一般規定

59.公開会合および非公開会合

60.通報の審査に参加できない委員

61.委員の除斥

62.委員の参加

63.作業部会の設立と報告者の指名

64.暫定措置

65.通報の取り扱い方

66.通報の審査の順番

67.通報の同時検討

68.通報の受理可能性の条件

69.通報者

70.受理された通報に関する手続

71.受理不可能な通報

72.本案とは別個に行われる受理可能性の検討に関する追加手続

73.委員会の見解

74.通報の棄却

75.委員会の見解に関するフォローアップ

76.通報の非公表

77.委員会の活動に関する情報の普及

ⅩⅤ.選択議定書に定められた調査手続に基づく手続

78.委員会への情報の送付

79.委員会による情報の編集

80.非公表

81.第6条に基づく手続にかかわる会合

82.委員会による情報の予備検討

83.情報の提出と審査

84.調査の設定

85.関係締約国の協力

86.訪問

87.聴聞

88.調査中の支援

89.調査結果、意見または提案の送付

90.締約国によるフォローアップ活動

91.適用可能性

第三部
解釈および改正

92.表題

93.手続規則の解釈

94.停止

95.改正

96.人権条約体の委員の独立と中立に関する指針(「アジスアベバガイドライン」(A/67/222 付録I)

第一部
一般規則

Ⅰ.会期

規則1
委員会の会合

1.障害者権利委員会(以下「委員会」とする)は、障害者権利条約(以下「条約」とする)および選択議定書に従い、その任務を効果的に遂行するために必要な会合を開催する。

2.委員会の会合は、障害者権利条約第3条にある通り、インクルージョンとアクセシビリティの原則を指針とする。

3.国際連合事務総長は、委員会が条約および選択議定書に定められている任務を効果的に遂行するために必要な職員および便益を提供するものとし、委員会の最初の会合を招集する。

規則2
会期

1.委員会は、毎年2回以上の通常会期を開催する。

2.委員会の会期は、総会により承認された会議予定表を考慮し、国際連合事務総長(以下「事務総長」とする)と協議の上、委員会により決定される日時で招集される。

規則3
会期の場所

委員会の会期は、通常、国際連合ジュネーブ事務所で開催される。委員会は、本件に関する国際連合の関連規則を考慮し、事務総長と協議の上、他の会期開催場所を指定することができる。

規則4
委員会の特別会期

1.委員会の特別会期は、委員会の決定により招集される。委員会が会期中ではない場合には、委員長は委員会の他の役員と協議の上、委員会の特別会期を招集することができる。委員会の委員長は、以下の場合にも特別会期を招集する。

(a)委員会の委員の過半数による要請があるとき

(b)条約の締約国による要請があるとき

2.特別会期は、総会により承認された会議予定表を考慮し、事務総長および委員会の他の役員と協議の上、委員長により決定される日時で、可能な限り早期に招集される。

規則5
会期前作業部会

1.会期前作業部会は、通常会期における委員会との協議の上、衡平な地理的代表性を反映して委員長により指名された委員会の委員5名以内から成り、通常、各通常会期に先立ち招集される。

2.会期前作業部会は、条約第35条に従い締約国により提出される報告で提起されている実質的な問題に関する論点と質問事項の一覧を作成し、その論点と質問事項の一覧を関係締約国に送付する。

規則6
会期の開始日の通告

事務総長は、委員会の委員に対し、各会期の最初の会合の日時と場所を、可能な限り早期に通告する。この通告は、少なくとも6週間前には送付しなければならない。

規則7
アクセシビリティ

1.委員会にかかわる活動においては、支援提供者による援助を含め、障害のある人による、手話、点字、触覚、平易な言葉、拡大代替コミュニケーションおよび自ら選択する他のアクセシブルなコミュニケーションの手段の使用が促進される。

2.委員による情報へのアクセスを促進するための、委員会の委員のパーソナルアシスタントの参加は、委員会の非公開の会期を含め、許可される。

3.委員会のすべての委員による、平等を基礎とした活動への参加を確保するためには、以下を保障する必要がある。

(a)いかなるアクセシブルな様式も必要としない委員会の委員と、同じタイミングでの情報へのアクセス

(b)国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のウェブページにおける、障害のある人を対象としたアクセシビリティ

4.会合と会期は、公開の場合も、また、非公開の場合も、完全なアクセシビリティ(物理的アクセシビリティと情報通信のアクセシビリティ)が提供される場所で開催されなければならない。これには、アクセシブルなトイレと、スキャナー、点字プリンター、字幕およびヒアリングループなどの情報通信にアクセスするための専用機器、およびその他の一般的なアクセシビリティ対策の提供が含まれる。

Ⅱ.議事日程

規則8
仮議事日程

各通常会期の仮議事日程は、条約の関連条項に従って、委員会の委員長と協議の上、事務総長によって準備され、また、以下を掲載する。

(a)前の会期において、委員会によって決定されたあらゆる議題

(b)委員会の委員長によって提案されたあらゆる議題

(c)委員会の委員によって提案されたあらゆる議題

(d)条約締約国によって提案されたあらゆる議題

(e)条約または本規則の下での事務総長の任務に関連のある、事務総長によって提案されたあらゆる議題

規則9
議事日程の承認

いかなる会期においても、仮議事日程の最初の議題は、議事日程の承認となる。ただし、本規則の規則20に従い、役員の選挙が要請される場合を除く。この場合には、委員会による別段の決定がない限り、選挙が仮議事日程の最初の議題となる。

規則10
議事日程の修正

会期中、委員会は議事日程を修正することができ、適宜、議題を追加、延期または削除することができる。

規則11
仮議事日程の送付

1.仮議事日程は、会期について通告する際に、すなわち、会期の少なくとも6週間前に、事務総長により、委員会の委員に送付される。

2.仮議事日程は、アクセシブルな様式で、委員会の委員に送付される。

Ⅲ.委員会の委員

規則12
任期

1.委員会の委員の任期は、自らが選出された選挙の翌年の1月1日からとし、条約第34条第7項に従い、その4年後の12月31日に終了する。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち、また、81番目の締約国における条約発効後、最初の選挙において選出された委員のうち、くじ引により選ばれる任期2年間の委員を除く。これらの委員は、自らが選出された選挙から2年後の12月31日に任期が終了する。

2.委員は、1回のみ再選される資格を有する。

規則13
空席の補充

条約第34条第9項に従い、委員会の委員が死亡し、辞任し、または他の理由により自己の職務を遂行することができなくなった旨を宣言した場合には、当該委員を指名した締約国は、当該委員の残任期間中その職務を遂行する他の専門家で、資格を有し、かつ、条約の関連規定に定める要件を満たす者を任命する。

規則14
厳粛な宣言

委員会の各委員は、その職務に就くに当たり、公開の委員会において、以下の厳粛な宣言を行う。

「私は、名誉にかけて、誠実に、公平に、かつ、良心に従い、障害者権利委員会の委員としての職務を遂行し、職権を行使することを厳粛に宣言します。」

Ⅳ.役員

規則15
選挙

委員会は、委員の中から、1名の委員長、3名の副委員長および1名の報告者を選出する。これらの役員はともに、委員会の事務局を構成し、定期的に会合を持つ。

規則16
選挙の実施

1.委員会の1人の役員の選挙に対して、候補者が1名のみの場合、委員会はその人物を発声投票により選出することを決定できる。

2.委員会の1人の役員の選挙に対して、2名あるいはそれ以上の候補者がいる場合、もしくは、委員会が投票を実施するという別段の決定を行う場合、投票総数の単純過半数を獲得した者が選出される。

3.投票総数の過半数を得た候補者が1人もいない場合、委員会の委員は、次の投票を行う前に、合意に達するための努力を払う。

4.選挙は秘密投票により実施される。

規則17
任期

1.委員会の役員は2年を任期として選出され、交替の原則が守られることを条件として、再選される資格を有する。

2.委員会の役員が委員会の委員をやめる場合、誰も役員にとどまることはできない。

規則18
委員会との関係における委員長の地位

1.委員長は、条約および選択議定書と本手続規則によって与えられる任務を遂行する。

2.委員長は、その任務の遂行において、常に委員会の権限の下におかれる。

規則19
委員長代理

1.会期中、委員長が会合の全部またはその一部に出席できない場合、委員長代理を務める副委員長を1名指名する。そのような指名が行われない場合、委員会の事務局の別の構成員が、その地位で委員長代理を務める。

2.委員長代理を務めるいかなる構成員も、委員長と同一の権限および職務を有する。

規則20
役員の交替

委員会の役員のいずれかが辞めるか、もしくは、委員会の役員としての務めを続けることができないと宣言する場合、前任者の残任期間を務める新たな役員を選出する。

Ⅴ.事務局

規則21
声明

事務総長またはその代理は、委員会のすべての会期に出席する。事務総長またはその代理は、それらの会合において、口頭もしくは書面で声明を発表することができる。

規則22
経費を伴う提案

事務総長は、経費を伴う何らかの提案が委員会によって承認される前に、可能な限り早期に、提案に伴う費用の見積もりを準備し、委員に回覧しなければならない。この見積もりに委員の注意を喚起し、委員会により提案が検討される場合、これに関する討議を求めることは、委員長の義務である。

規則23
事務局

1.委員会の要請または決定により、総会による承認を条件として、

(a)委員会および委員会によって設立される補助機関の事務局(以下「事務局」とする)は、事務総長により提供される。

(b)事務総長は、委員会に対し、条約および選択議定書に定められている任務を効果的に遂行するために必要な職員および便益を提供する。

(c)事務総長は、委員会およびその補助機関の会合において、本手続規則の規則7に定められているアクセシビリティを保障するために必要なあらゆる準備に責任を負う。

2.事務総長は、委員会の委員に対し、検討のために委員会に出されたあらゆる問題と、委員会に関連のあるその他の出来事について、遅滞なく通知する責任を負う。

Ⅵ.コミュニケーションおよび用語

規則24
コミュニケーションの手段

委員会によって使用されるコミュニケーションの手段には、筆記、音声装置、平易な言葉、口頭朗読その他の拡大代替コミュニケーションの形態、手段および様式(将来、進歩を通じて利用可能となるアクセシブルな情報通信技術の様式を含む)とともに、言語、文字表示、点字、触覚による意思伝達、拡大文字およびアクセシブルなマルチメディアが含まれる。委員会は、アクセシブルなコミュニケーション様式の基準一覧を採用する。

規則25
用語の種類

1.委員会によって使用される用語には、音声言語と、手話などの非音声言語が含まれる。委員会は、委員会におけるコミュニケーションのニーズに従い、用語の種類の基準一覧を採用する。

2.委員会の委員または委員会の公開会合への参加者は、委員会および/または公開会合において、本手続規則の規則24に定められているコミュニケーションの形態、手段および様式のいずれかを使用して発言することができる。

規則26
公用語

1.アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語およびスペイン語は、委員会の公用語とする。

2.委員会によるすべての公式決定は、公用語で、かつ、アクセシブルな様式で発表される。

規則27
記録

1.事務総長は委員会に対し、会合の抄録を提供する。抄録は、公用語で、かつ、アクセシブルな様式で、委員が利用できるものにしなければならない。

2.抄録は、会合の参加者により、抄録が発表された言語で事務局に提出される訂正に従う。会合の記録の訂正は、関係する会期の終了直後に発行される単一の正誤表に統合される。

3.公開会合の抄録は、一般配布の文書とする。ただし、例外的状況において、委員会が別段の決定を行う場合を除く。

4.委員会の会合の録音は、国際連合の通常の慣行に従って、また、アクセシブルな様式で行われ、かつ、維持される。

規則28
一般的討議の日

条約の内容と意味のより深い理解を促進するため、委員会は、通常会期における1つまたはそれ以上の会合を、条約の1つの特定の条文または関連のあるテーマに関する一般的討議に当てることができる。

Ⅶ.公開会合および非公開会合

規則29
公開会合および非公開会合

委員会とその作業部会の会合は、公開で開催される。ただし、委員会が別段の決定を行う場合、あるいは、条約または選択議定書の関連条項から、会合を非公開で開催するべきであると思われる場合を除く。

規則30
会合への参加

1.条約第38条に従い、専門機関および他の国際連合の機関の代表は、その任務の範囲内にある条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出すことができる。専門機関および他の国際連合の機関の代表は、委員会により要請された場合には、委員会またはその補助機関の非公開会合に参加することができる。

2.本規則の第1項で言及されていない、他の権限のある関係機関の代表は、委員会により要請された場合には、委員会またはその補助機関の公開会合または非公開会合に参加することができる。

3.委員会は、専門機関および国際連合の機関、ならびに政府間機関、国内人権機関(特に条約第16条第3項、第33条第2項に基づき設立された国内監視機関)、障害のある人を代表する機関を含む非政府機関、および他の機関または個人の専門家に対し、委員会による検討のために、その活動の範囲内にある条約で扱われている事項に関して、書面による情報の提出を要請することができる。

Ⅷ.委員会の報告およびその他の公式文書の配布

規則31
公式文書の配布

1.条約第35条および第36条に従って締約国により提出される報告および情報、ならびに条約第38条(a)項に従って専門機関、他の国際連合の機関、および他の権限のある機関により委員会に提供される報告および情報を含む委員会の文書は、一般配布の文書とする。ただし、委員会が別段の決定を行う場合を除く。

2.委員会のすべての文書は、アクセシブルな様式で利用できるものにしなければならない。

Ⅸ.議事の運営

規則32
定足数

公式決定の採択には、委員会の8名の委員を定足数とする。条約第34条第8項に従い、委員会の委員の数が18名に増えた場合は、12名の委員を定足数とする。

規則33
委員長の権限

1.条約および本規則の他の規定により委員長に与えられた権限を行使することに加えて、委員長は委員会の各会期の開会と閉会を宣言し、討議を方向付け、本規則の順守を確保し、発言権を与え、問題を表決に付し、決定を発表する。

2.委員長は、本規則に従い、委員会の議事を統括し、その会合の秩序の維持にあたる。

議題の討議中、委員長は委員会に対し、発言者に許可される時間の制限、各発言者がいずれかの問題について発言できる回数、発言者名簿の締め切りを提案することができる。

3.委員長は、議事進行上の問題を裁定する。

4.委員長は、討論の延期または終了もしくは会合の延期または停止も提案する。討論は委員会に出されている問題に限定され、発言者の意見が討議中の主題に関係しない場合には、委員長は発言者に規則順守を命じることができる。

Ⅹ.表決

規則34
決定の採択

1.委員会は合意により決定に達する努力をしなければならない。合意が得られない場合、決定は表決に付される。

2.上記第1項を念頭に置き、委員長は、いかなる会合においても提案を表決に付することができ、また、いずれかの委員の要請に応えて、提案を表決に付するものとする。

規則35
投票権

1.委員会の各委員は、1票の投票権を有する。

2.表決に付されるいかなる提案または動議も、出席し、かつ、投票する委員の単純過半数の支持を得た場合、委員会によって採択される。本規則の適用上、「出席し、かつ、投票する委員」とは、賛成票または反対票を投じる委員を言う。投票を棄権する委員は、投票を行わなかったものと見なされる。

規則36
可否同数の表決

選挙以外の事項に関し、投票が可否同数の場合は、その提案は否決されたものと見なす。

規則37
投票の方法

委員会による別段の決定が行われない限り、委員会は点呼投票を行う。点呼は、委員長がくじ引きで選出した氏名の委員から始めて、委員会の委員の氏名の英語のアルファベット順に行われる。

ⅩⅠ.委員会の報告

規則38
総会および経済社会理事会への報告

委員会は、条約の下でのその活動に関する報告を、二年ごとに総会および経済社会理事会に提出する。

第二部
委員会の機能

ⅩⅡ.条約第35条および第36条に基づく報告と情報

規則39
締約国の報告

委員会は、条約第35条で義務付けられている締約国の報告の内容に関する指針を作成する。

規則40
報告の未提出

1.各会期において、事務総長は委員会に対し、条約第35条および第36条に基づく報告あるいは追加情報が未提出であったすべての事例について、書面で通告する。この場合には、委員会は関係締約国に対し、事務総長を通じて、当該報告または追加情報の提出に関する督促を送付し、関係国と委員会との間の対話の精神に基づくその他の取り組みを行う。

2.締約国の報告が提出期限を著しく過ぎている場合には、委員会は、条約第36条第2項に従い、関係締約国に対し、委員会にとって利用可能な信頼し得る情報に基づいて、当該締約国における条約の実施を審査することが必要である旨を通告することができる。ただし、当該審査は、当該通告の後3カ月以内に当該締約国により関連のある報告が提出されなかったときにのみ行われる。委員会は関係締約国に対し、この審査に参加するよう要請する。当該締約国が関連のある報告を提出することにより回答する場合、条約第35条および第36条第1項の規定が適用される。

3.本規則にある督促およびその他の取り組み後も、締約国が義務付けられている報告または追加情報を提出しない場合、委員会は、必要と見なせば状況を検討し、総会に提出する報告にその旨を記載する。

規則41
報告を行う締約国に対する通告

委員会は、事務総長を通じて、締約国に対し、各国の報告が審査される会期の開始日、期間および場所を、可能な限り早期に書面で通告する。締約国の代表は、その報告が審査される委員会の会合に招請される。また、委員会は、委員会が追加情報を求めることを決定した締約国に対し、当該締約国が特定の会合に出席する代表を任命できる旨を通知することができる。この代表は、委員会で代表に付される質問に回答し、当該国が既に提出した報告に関する意見を述べることができ、当該国からの追加情報を提出することができる。

規則42
報告の検討

1.委員会は、条約第35条に基づき締約国により提出された報告を、条約第36条に定められた手続に従い検討する。

2.委員会は、締約国の報告について、適切と認める提案および一般的な性格を有する勧告を行うことができ、これらの提案および勧告を関係締約国に送付する。

3.委員会は、条約に基づき締約国により提出される報告の提案と検討にかかわる、さらに詳細な報告指針を採択することができる。これには、委員会が締約国に要請する、条約の実施に関する追加情報にかかわる指針も含まれる。

規則43
報告の審査に参加できない委員

1.委員が関係締約国の国民である場合は、当該締約国により提出される報告の検討の、いかなる部分にも参加してはならない。

2.上記第1項に基づき発生するいかなる問題も、当該委員を除いた委員会により解決される。

規則44
追加報告または情報の要請

委員会はいかなる締約国に対しても、条約第36条に従い、追加報告または追加情報の提供を要請することができ、この追加報告または情報の提出期限を指示することができる。

規則45
技術的な助言もしくは援助の要請、またはこれらの必要性を記載した締約国の報告の送付

1.委員会は、条約第36条第5項に従い、適切と認める場合には、締約国からの報告に含まれている技術的な助言もしくは援助の要請、またはこれらの必要性の記載に対処するため、国際連合の専門機関、基金および計画、ならびに非政府機関を含む、他の権限のある機関に当該報告を送付する。

2.本規則第1項に従い、締約国から受理した報告および情報は、これらの要請または必要性の記載に関する委員会の見解および勧告がある場合には、当該見解および勧告とともに送付される。

3.委員会は、提供された技術的な助言または援助と達成された進展に関する情報を要請することが適切と考える場合、これを要請できる。

規則46
一般的な性格を有する勧告

1.委員会は、条約第35条および第36条に従い受理される情報に基づき、一般的な性格を有するその他の勧告を行うことができる。

2.委員会は、そのような一般的な性格を有するその他の勧告を、総会に提出する報告に記載する。

規則47
一般的意見および報告の義務

1.委員会は、条約の諸条項および諸規定に基づき、条約のさらなる実施の促進と、締約国による報告義務の履行を援助することを目的として、一般的意見を作成することができる。

2.委員会は、そのような一般的意見を、総会に提出する報告に記載する。

規則48
締約国と委員会の協力

委員会は、条約第4条第3項、第33条第3項および第37条に従い、必要に応じて、条約実施のための国内的能力を高める方法および手段について、締約国に助言し、これを援助し、かつ、国内の実施および監視機構の能力と任務の強化を目的として、勧告と見解を述べる。

ⅩⅢ.委員会による活動への、専門機関、国際連合の機関および他の権限のある機関の参加

規則49
専門機関および国際連合の機関の参加

1.条約第38条(a)項に従い、専門機関および他の国際連合の機関は、その任務の範囲内にある条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出すことができる。委員会は、専門機関および他の国際連合の機関の代表が、委員会に対し、口頭または書面で声明を出し、条約の下での委員会の活動に適切な、かつ、関連のある情報を提供することを許可できる。

2.第38条(a)項に従い、委員会は専門機関および他の国際連合の機関に対し、これらの機関の活動の範囲内にある分野における条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。また、委員会は専門機関に対し、これらの機関の活動の範囲内にある分野における条約の実施について専門家の助言を提供するよう要請することができる。

規則50
政府間機関および地域的な統合のための機関

政府間機関および地域的な統合のための機関の代表は、委員会の会合に対して、口頭または書面による声明を出し、条約の下での委員会の活動に関連のある分野における情報または証拠書類を提供するよう、委員会により要請されることがある。

規則51
国内人権機関

国内人権機関の代表は、委員会の会合に対して、口頭または書面による声明を出し、条約の下での委員会の活動に関連のある分野における情報または証拠書類を提供するよう、委員会により要請されることがある。

規則52
非政府機関

非政府機関は、委員会の会合に対して、口頭または書面による声明を出し、条約の下での委員会の活動に関連のある情報または証拠書類を提出するよう、委員会により要請されることがある。

規則53
人権に関する国際条約が設けた機関との協力

委員会は、その任務を遂行するに当たり、条約第38条(b)項に従い、人権に関する国際条約が設けた他の関係諸機関それぞれの報告指針、提案および一般的な性格を有する勧告との整合性を確保するため、ならびにそれらの諸機関との任務遂行上の重複を避けるため、適切な場合には、それらの諸機関と協議する。

規則54
補助機関の設立

1.委員会は、特別補助機関を設立することができ、その構成と任務を規定する。

2.各補助機関は、独自の役員を選出し、本手続規則を必要な変更を加えて適用する。

ⅩⅣ.選択議定書に基づき受理される通報の検討のための手続

A.委員会への通報の送付

規則55
委員会への通報の送付

1.事務総長は、本規則に従い、選択議定書第1条に基づいて委員会による検討のために提出された通報、または提出されたと思われる通報について、委員会の注意を喚起する。

2.事務総長は、必要な場合には、委員会に提出された通報について、選択議定書に基づく検討を希望するかどうか、通報者に対し説明を要請することができる。通報者の希望に疑念がある場合には、事務総長は通報について、委員会の注意を喚起する。

3.委員会は、本手続規則の規則24に従い、代替様式の通報を受理することができる。

4.委員会は、選択議定書の締約国でない国についての通報を受理してはならない。

規則56
通報の登録

1.事務総長は、選択議定書第1条に基づいて委員会による検討のために提出されたすべての通報の恒久的な登録簿を維持する。

2.委員会の注意を喚起した、登録のための予備基準を満たしているすべての通報は、委員会のいずれの委員でも、当該委員の要請に基づき、提出された言語でその全文を利用できるようにする。

規則57
追加情報の説明の要請

1.事務総長は、通報への選択議定書の適用可能性に関して、次の事項について、通報者に説明を要請することができる。

(a)被害者/通報者の氏名、住所、生年月日および職業などの身元、もしくは身元を明らかにする他の形式による通報者/被害者に関する詳細/データ

(b)通報が向けられる締約国名

(c)通報の目的

(d)違反したとされる条約の規定

(e)申し立ての事実

(f)国内的救済措置を尽くすために、通報者および/または被害者とされている者が講じた措置

(g)同一の事案が、他の国際的な調査または解決のための手続により審査されている程度

2.事務総長は、説明または情報を要請する際に、当該情報の提出期限を通報者に指示する。

3.委員会は、被害者とされている者および/または通報者による説明あるいは情報の要請を容易に行うために、質問書を承認することができる。

規則58
委員会の委員への情報提供

登録された通報に関する情報は、委員会の委員に対し、事務総長によって定期的に配布される。

B.委員会による通報の検討に関する一般規定

規則59
公開会合および非公開会合

1.選択議定書に基づき通報が審査される委員会の会合または作業部会は、非公開とする。委員会が、選択議定書の適用のための手続など一般的事項について検討する会合は、委員会が公開することを決定すれば、公開できる。

2.委員会は、報道機関および一般公衆による利用を目的として、委員会の非公開会合における活動に関するコミュニケを、事務総長を通じて発表することができる。

規則60
通報の審査に参加できない委員

1.委員は、次の場合には、委員会による通報の審査に参加してはならない。

(a)当該委員が当該事案に対して、何らかの個人的利害を有する場合

(b)通報に含まれる事案に関する何らかの決定に、選択議定書に定められている手続に基づく資格以外の何らかの資格で、当該委員が参加した場合

(c)当該委員が、通報が向けられている締約国の国民である場合

2.上記第1項に基づき発生するいかなる問題も、当該委員を除いた委員会により解決される。

規則61
委員の除斥

何らかの理由により、委員が通報の審査に参加するべきではないか、または参加を続けるべきではないと考える場合、当該委員は委員長に対して、自己の除斥を通知する。

規則62
委員の参加

決定に参加する委員は、出席表に署名し、通報の審査への参加に同意し、あるいは、これに参加できないこと、もしくはこれからの除斥を表明しなければならない。出席表に記載された情報は、決定に反映されなければならない。

規則63
作業部会の設立および報告者の指名

1.委員会は、委員会に勧告を行い、委員会が決定できる何らかの方法によりこれを支援する、1つまたはそれ以上の作業部会を設立し、1人またはそれ以上の報告者を指名することができる。

2.委員会手続規則は、可能な限り、作業部会の会合に適用される。

規則64
暫定措置

1.委員会は、通報が受理されてから本案の決定に至るまでのいつでも、関係締約国に対して、当該締約国による緊急の考慮を促すため、当該通報を行った被害者に生じ得る回復不能な損害を回避するために委員会が必要と考える暫定措置を講ずることを求める要請を送付することができる。

2.委員会、または委員会の代理として行動する、選択議定書に基づく通報の特別報告者が、本規則に基づき暫定措置を要請する場合、それは当該通報の本案についての決定を意味するものではない旨を、当該要請に記載する。

3.締約国は、暫定措置の要請を撤回するべきである論拠を示すことができる。

4.締約国によって提出された説明または声明に基づき、委員会、または委員会の代理として行動する、選択議定書に基づく通報の特別報告者は、暫定措置の要請を取り下げることができる。

規則65
通報の取り扱い方

1.委員会は、単純過半数により、また、以下の諸規則に従い、通報が選択議定書に基づき受理可能か、または受理可能ではないかを決定する。

2.本規則の規則63第1項に従い設立された作業部会は、選択議定書に基づき、通報は受理可能であると、すべての構成員が決定した場合、その旨宣言できる。

3.本規則の規則63第1項に従い設立された作業部会は、通報は受理不可能であると、すべての構成員が同意した場合、その旨宣言できる。この決定は、委員会全体会議に伝えられ、委員会全体会議は、公式討議なしにこれを承認できる。委員会のいずれかの委員が全体会議での討議を要請する場合、全体会議は通報を審査し、決定を下す。

規則66
通報の審査の順番

通報は、事務総長、委員会または作業部会が別段の決定を行う場合を除き、事務局によって受理された順番で処理される。

規則67
通報の同時検討

委員会、特別報告者または本規則の規則63第1項に基づき設立された作業部会によって適切と判断された場合、2つまたはそれ以上の通報を同時に処理することができる。

規則68
通報の受理可能性の条件

1.通報の受理可能性を決定するために、委員会または作業部会は、選択議定書第1条および第2条に定められた基準を適用する。

2.通報の受理可能性を決定するために、委員会は、通報者または被害者の委員会の前での法的能力が、当該通報が向けられている締約国において認められているか否かにかかわらずこの能力を認める、条約第12条に定められた基準を適用する。

規則69
通報者

通報は、個人または個人の集団もしくはそれらの代理人が提出することができる。

規則70
受理された通報に関する手続

1.通報が登録された後、可能な限り早期に、個人または個人の集団が、その身元もしくは身元を明らかにする他の形式による詳細/データを、関係締約国に対して開示するという登録要件に同意していることを条件として、委員会の代理として行動する、選択議定書に基づく通報の特別報告者は、通報に対する締約国の注意を内密に喚起し、締約国に対し、通報への回答を書面で提出するよう要請する。

2.本規則第1項に従って行われるいかなる要請も、通報の受理可能性の問題について何らかの決定に達したことを意味するものではないという記述を、当該要請に記載する。

3.本規則に基づく委員会による要請の受理後6カ月以内に、関係締約国は、委員会に対し、通報の受理可能性および本案の両方に関して、ならびに当該事案について講じられてきたあらゆる救済措置に関して、書面による説明または声明を提出する。

4.委員会は、通報の例外的な性質を理由に、当該通報の受理可能性のみに関する書面による説明または声明を要請することができる。受理可能性の問題のみに関する書面による回答の提出を要請された締約国は、当該要請から6カ月以内に、通報の受理可能性と本案の両方に関して、書面による回答を提出することを妨げられない。

5.本規則第1項に基づく書面による回答の要請を受理した締約国は、当該通報が受理不可能となる理由を明確にし、当該通報の受理可能性を本案とは別個に検討することを求め、当該通報を受理不可能として却下することを求める申請を書面で提出することができる。この申請は、第1項に基づく要請が出されてから2カ月以内に、委員会に提出されなければならない。

6.関係締約国が、選択議定書第2条(d)項に従い、利用可能なすべての国内的な救済措置を尽くしたとする通報者の主張に異議を唱える場合、当該締約国は、当該事案の特定の状況において申し立て被害者が利用可能な救済措置の詳細を示すものとする。

7.関係締約国が、条約第12条に基づく通報者の法的能力に異議を唱える場合、当該締約国は、当該事案の特定の状況において申し立て被害者が利用可能な法律および救済措置の詳細を示すものとする。

8.受理可能性の却下および受理可能性を本案とは別個に検討することを求める締約国の申請を支持するために締約国により提供される情報に基づき、委員会、作業部会、または委員会の代理として行動する、選択議定書に基づく通報の特別報告者は、通報の受理可能性を本案とは別個に検討することを決定できる。

9.本規則第5項に従った締約国からの申請の提出により、本案に関する書面による説明または声明を提出するために当該締約国に与えられた6カ月の期間を延長することはできない。ただし、委員会、作業部会、または委員会の代理として行動する、選択議定書に基づく通報の特別報告者が、委員会が適切と考える期間だけ提出期限の延長を決定する場合を除く。

10.委員会、作業部会、または委員会の代理として行動する、選択議定書に基づく通報の特別報告者は、締約国または通報者に対し、通報の受理可能性または本案の問題に関する書面による追加の説明または声明を、定められた期限内に提出するよう要請できる。

11.委員会、作業部会、または委員会の代理として行動する、選択議定書に基づく通報の特別報告者は、本規則に従い他の当事者から出された提出物を各当事者に送付し、定められた期限内に提出物に関して意見を述べる機会を、各当事者に提供する。

規則71
受理不可能な通報

1.委員会が、選択議定書第2条(d)項に基づき、通報は受理不可能であると決定する場合には、可能な限り早期に、その決定およびその決定の理由を、事務総長を通じて通報者および関係締約国に通知する。

2.選択議定書第2条(d)項に基づき、通報は受理不可能であると宣言する委員会の決定は、第2条(d)項に言及されている受理不可能な理由はもはや適用されない旨を示す情報を記載した、関係個人またはその代理人により提出される書面による要請を受け取り次第、後日、委員会によって再検討されることがある。

3.受理可能性に関する決定に参加した委員会のいかなる委員も、通報は受理不可能であると宣言する委員会の決定に、自己の個別意見の要約を添付するよう要請できる。以下に規定される、個別意見の提出に関する規則73第6項も、ここに適用される。

規則72
本案とは別個に行われる受理可能性の検討に関する追加手続

1.受理可能性の問題が、通報の本案に関する締約国の書面による説明または声明が受理される前に、委員会または作業部会によって決定される事案においては、委員会または作業部会が当該通報を受理可能と決定する場合、その決定および他のすべての関連情報が、事務総長を通じて関係締約国に提出される。また、その決定は通報者にも、事務総長を通じて通知される。

2.通報が受理可能であると宣言する決定に参加した委員会のいかなる委員も、自己の個別意見の要約をその決定に添付するよう要請できる。以下に規定される、個別意見の提出に関する規則73第6項も、ここに適用される。

3.委員会、作業部会、または選択議定書に基づく通報の特別報告者は、通報の審査過程のいかなる時点においても、当該通報に関する第三者による介入を受け入れることができる。第三者による介入には、当該通報の当事者の1人からの書面による委任状が伴わなければならない。第三者の通報が受理される場合、委員会は、定められた期限内に第三者の介入に関して意見を述べる機会を、各当事者に提供する。

4.本案の検討において、委員会は、締約国によって提出されたあらゆる説明または声明に照らして、通報が受理可能であるとする決定を再検討することができる。

規則73
委員会の見解

1.当事者が通報の受理可能性および本案の両方に関する情報を提出した場合、もしくは、受理可能性に関する決定が既になされており、当事者が当該通報の本案に関する情報を提出した場合、当該情報が他の関係当事者に提出されていることを条件として、委員会は、通報者および関係締約国によって委員会に開示されたすべての書面による情報に照らして、通報に関する見解を検討し、これを作成する。

2.委員会または作業部会は、通報の審査過程のいかなる時点においても、事務総長を通じて、国際連合システム内の機関または他の機関からの、通報の検討に役立てられるあらゆる文書を入手することができる。ただし、委員会が各当事者に、定められた期限内に当該文書または情報に関して意見を述べる機会を与えることを条件とする。

3.委員会は、いかなる通報も作業部会に照会し、当該通報の本案に関する勧告を委員会に対して行うよう求めることができる。

4.委員会は、選択議定書第1条および第2条で言及されている受理可能性の理由のすべての適用性について検討することなく、通報の本案に関する決定を行ってはならない。

5.事務総長は、単純過半数によって決定された委員会の見解を、あらゆる勧告とともに、通報者および関係締約国に送付する。

6.決定に参加した委員会のいかなる委員も、自己の個別意見の要約を委員会の見解に添付するよう要請できる。当該個別意見は、関係委員による決定/見解に関する最終文書の受領から2週間以内に、関係委員によって、当該委員の作業言語で提出されなければならない。

規則74
通報の棄却

委員会は、通報提出の理由が争訟性を喪失した場合など特定の状況において、通報を棄却することができる。

規則75
委員会の見解に関するフォローアップ

1.通報に関する委員会の見解の通知から6カ月以内に、関係締約国は委員会に対し、委員会の見解と勧告に照らして取られたあらゆる措置に関するすべての情報を含む、書面による回答を提出する。

2.その後、委員会は関係締約国に対し、委員会の見解または勧告に応えて当該締約国が取ったあらゆる措置に関するさらなる情報の提出を要請することができる。

3.委員会は締約国に対し、委員会の見解または勧告に応えて取られたあらゆる行動に関する情報を、条約第35条に基づく締約国の報告に記載するよう要請することができる。

4.委員会は、選択議定書第5条に基づき採択された見解に関するフォローアップとして、委員会の見解を実施するために締約国によって取られる措置を確認するために、特別報告者または作業部会を指名することができる。

5.特別報告者または作業部会は、与えられた任務を十分に遂行するために適切な関係を結び、行動を取ることができ、委員会によるさらなる行動に向けた勧告を、必要に応じて行う。

6.フォローアップの任務を担当する特別報告者または作業部会は、委員会および当該締約国の承認を得た上で、関係締約国へのあらゆる必要な訪問を行うことができる。

7.特別報告者または作業部会は、フォローアップ活動に関して、委員会に定期的に報告を行う。

8.委員会は、条約第39条に基づき、フォローアップ活動に関する情報をその報告に記載する。

規則76
通報の非公表

1.選択議定書に基づく通報は、委員会または作業部会によって、非公開の会合において審査される。

2.事務局によって委員会、作業部会または報告者のために作成されるすべての作業文書は、登録前に準備された通報の要約および通報の要約の一覧を含め、委員会が別段の決定を行う場合を除き、常に非公表とする。

3.事務総長、委員会、作業部会または報告者は、保留中の通報にかかわるいかなる提出物または情報も公表してはならない。

4.本規則第1項は、通報者、被害者とされている者または関係締約国が、提出物または手続にかかわる情報を公開する権利に影響を与えるものではない。しかし、委員会、作業部会または報告者は、適切と考える場合、通報者、被害者とされている者または関係締約国に対し、当該提出物または情報の全部または一部を引き続き非公表とするよう要請できる。

5.委員会による、通報を受理不可能と宣言する決定と、本案および棄却に関する決定は、公表される。受理可能性に関する別個の決定(上記規則72参照)は、委員会が通報の本案の検討を行うまで、公表してはならない。

6.委員会は、通報者または条約規定違反の被害者とされている者の氏名と身元の詳細を、通報の受理不可能性を宣言する決定もしくは本案または棄却の決定において公表しないことを決定できる。委員会は、独自のイニシアティブにより、もしくは通報者または被害者とされている者または締約国の要請に基づき、この決定を行う。

7.事務局は、委員会の最終決定の配布に責任を負う。委員会は、通報に関する提出物の複製および配布には責任を負わない。

8.委員会が別段の決定を行う場合を除き、選定議定書第5条に基づく委員会の見解と勧告に対するフォローアップにおいて提供される情報は、非公表としてはならない。委員会が別段の決定を行う場合を除き、フォローアップ活動に関する委員会の決定は非公表としてはならない。

(訳者注:規則76第8項の原文は、"under article 5 of the Convention" となっているが、内容から考えて「選定議定書第5条に基づく」とした。)

9.委員会は、条約第39条に基づく報告に、選択議定書第1条から第5条に基づく委員会の活動に関する情報を記載する。

規則77
委員会の活動に関する情報の普及

委員会は、選択議定書第1条から第5条に基づく活動に関するコミュニケを発表できる。事務総長は、これらのコミュニケを最もアクセシブルな様式で普及する。

ⅩⅤ.選択議定書に定められた調査手続に基づく手続

規則78
委員会への情報の送付

1.事務総長は、選択議定書第6条第1項に基づき、委員会による検討のために提出された情報、または提出されたと思われる情報について、委員会の注意を喚起する。

2.事務総長は、本規則に基づき委員会の注意が喚起された情報の恒久的な登録簿を維持し、委員会のいずれの委員でも、要請に基づき当該情報を利用できるようにする。

3.事務総長は、必要に応じて、本規則に従い提出された情報の要約を作成し、委員会の委員に回覧する。

規則79
委員会による情報の編集

委員会は、選択議定書第6条第1項に基づく検討のために、その独自のイニシアティブにより、国際連合の機関からの情報を含む、委員会が入手可能な情報を編集することができる。

規則80
非公表

選択議定書第7条に従う場合を除き、選択議定書第6条に基づく調査の実施に関する委員会のすべての文書および手続は、非公表とする。

規則81
第6条に基づく手続にかかわる会合

選択議定書第6条に基づく調査が検討される間の委員会の会合は、非公開とする。

規則82
委員会による情報の予備検討

1.委員会は、事務総長を通じて、選択議定書第6条に基づき注意を喚起された情報の信頼性および/または情報源を確認し、状況の事実を実証する追加の関連情報を入手することができる。

2.委員会は、受理した情報または独自のイニシアティブにより編集した情報に、関係締約国による条約に定める権利の重大な、または系統的な侵害を示す、信頼できる情報が含まれているか否かを判断する。

3.委員会は、作業部会に対し、本規則に基づく委員会の義務の遂行における支援を要請できる。

規則83
情報の提出と審査

1.委員会が、受理した情報または独自のイニシアティブにより編集した情報が信頼できるものであり、関係締約国による条約に定める権利の重大な、または系統的な侵害を示していることを確信した場合、委員会は、定められた期限内に当該情報に関する見解を提出するよう、事務総長を通じて当該締約国に要請する。

2.委員会は、関係締約国によって提出されることのあるすべての見解を、他の関連情報とともに考慮に入れる。

3.委員会は、次の者から追加情報を入手することを決定できる。

(a)関係締約国の代表

(b)地域的な統合のための機関

(c)政府機関

(d)国内人権機関

(e)非政府機関

(f)専門家を含む個人

4.委員会は、当該追加情報が入手される形式および方法について決定する。

5.委員会は、あらゆる関連情報または文書を、事務総長を通じて国際連合システムに要請できる。

規則84
調査の設定

1.委員会は、関係締約国により提出されることのあるすべての見解を、他の信頼できる情報とともに考慮に入れた上で、1人または2人以上の委員を指名して調査を行わせ、定められた期限内に報告させることができる。

2.調査は非公開で、また、委員会によって決定されるあらゆる手順に従って実施される。

3.調査を実施するために委員会によって指名された委員は、条約、選択議定書および本手続規則を考慮し、独自の作業方法を決定する。

4.調査期間中、委員会は、関係締約国が条約第35条に従い提出することのあるいかなる報告についても、その検討を延期することができる。

規則85
関係締約国の協力

1.委員会は、調査のすべての段階において関係締約国の協力を求める。

2.委員会は、関係締約国に対し、委員会によって指名された委員と会合を開くために代表を任命するよう要請できる。

3.委員会は、関係締約国に対し、当該委員または当該締約国が当該調査に関連すると考えるあらゆる情報を、委員会によって指名された委員に提供するよう要請できる。

規則86
訪問

1.委員会が必要と認める場合、調査は関係締約国の領域への訪問を含む。

2.委員会が調査の一部として関係締約国への訪問をするべきであると決定する場合、委員会は、事務総長を通じて、その訪問について当該締約国の同意を要請する。

3.委員会は、関係締約国に対し、訪問の時期に関する希望と、委員会によって指名された委員がその任務の遂行に向けて調査を実施できるようにするために必要な便益を通知する。

規則87
聴聞

1.訪問には、委員会の指名を受けた委員が、調査に関連する事実または問題を確定できる聴聞を含むことができる。

2.本規則第1項に従い開催されるあらゆる聴聞に関する条件および保証は、調査との関係で締約国を訪問する委員会の指名を受けた委員および関係締約国により設定される。

3.証言を行うことを目的として、委員会の指名を受けた委員の前に出頭するいかなる個人も、その証言が真実であることと手続の非公表に関して、厳粛な宣言を行う。

4.委員会は、締約国に対し、当該締約国の管轄下にある個人が、調査または調査を実施する委員会の指名を受けた委員との会合との関係で何らかの聴聞に参加した結果、不当な扱いまたは脅迫を受けないことを保証するための、あらゆる適切な措置を取ることを通知する。

規則88
調査中の支援

1.関係締約国への訪問中を含め、調査との関係で、委員会の指名を受けた委員に事務総長から提供される補佐を含む職員および便益に加えて、調査の全段階で支援を提供するために必要であると委員会に見なされた場合、委員会の指名を受けた委員は、通訳者および/または条約が対象とする分野において特別な能力を有する個人を、事務総長を通じて招請することができる。

2.そのような通訳者または特別な能力を有する他の個人が、国際連合への忠誠の誓いに拘束されない場合には、自らの職務を誠実に、忠実に、かつ、公平に遂行することと、手続の非公表を尊重することを、厳粛に宣言するよう求められる。

規則89
調査結果、意見または提案の送付

1.本規則の規則85に従い提出された、指名された委員による調査結果を審査した後、委員会は、事務総長を通じて、すべての意見および勧告とともに当該調査結果を関係締約国に送付する。

2.関係締約国は、調査結果、意見および勧告の受領後6カ月以内に、これらに関する見解を、事務総長を通じて委員会に提出する。

規則90
締約国によるフォローアップ活動

1.委員会は、調査対象となった締約国に対して、条約第35条および規則39に基づく報告に、選択議定書第6条に基づき実施された調査に応えて取られたあらゆる措置の詳細を記載するよう、事務総長を通じて要請することができる。

2.委員会は、上記規則89第2項に言及されている6カ月の期間が終了した後、関係締約国に対し、調査に応えて取られたあらゆる措置を委員会に通知するよう、事務総長を通じて要請することができる。

(訳者注:規則90第2項の原文は、"to in paragraph 2 of Rule 90 above" となっているが、内容から考えて「上記規則89第2項に」とした。)

規則91
適用可能性

本規則の規則78から90は、選択議定書第8条に従い、選択議定書の批准または加入の際に、委員会が第6条および第7条に規定する権限を有することを認めない旨を宣言した締約国には適用されない。ただし、締約国がその後、その宣言を撤回した場合を除く。

第三部
解釈および改正

規則92
表題

本規則の解釈上、参照のみを目的として挿入されている表題は、考慮から外される。

規則93
手続規則の解釈

委員会は、その手続規則の解釈において、同様な規則を持つ他の条約体の慣習、手続および解釈に指針を求めることができる。

規則94
停止

本規則のいかなる規則も、その停止が条約および選択議定書と矛盾していないことを条件とし、出席し、かつ、投票する委員の3分の2の多数決による委員会の決定で、停止することができる。

規則95
改正

本手続規則は、その改正が条約および選択議定書と矛盾していないことを条件とし、改正の提案が回覧されてから少なくとも24時間後に、出席し、かつ、投票する委員の3分の2の多数決による委員会の決定で、改正することができる。

規則96
人権条約体の委員の独立と公平性に関する指針(「アジスアベバガイドライン」(A/67/222 付録I)

第24回人権条約体委員長会合報告書(A/67/222 )付録Iにある人権条約体の委員の独立と公平性に関する指針(「アジスアベバガイドライン」)は、本手続規則の不可欠な部分を成す。


原文:
United Nations
CRPD/C/4/2/Rev.1
Convention on the Rights of Persons with Disabilities
Distr.: General
16 December 2013
Original: English
Committee on the Rights of Persons with Disabilities
Rules of Procedure
http://docstore.ohchr.org/SelfServices/FilesHandler.ashx?enc=6QkG1d%2fPPRiCAqhKb7yhsqC3LmfN44%2fpXFdkbAXlZQFnceD56S0fCY5KXZqB4S2wjaeSlMvip6qfe9AAoTaf4xWHy399gHw7glDvAXeKPypMz8crkiP259FcZX61gkZr