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障害者権利委員会 第11回セッション 2014年3月31日―4月11日

一般的意見第1号(2014年)
第12条:法律の前における平等な承認
2014年4月11日採択

<補足>4月11日に採択されたものです。最終版(5月19日版)はこちらとなります。

Ⅰ.序論

1.法律の前における平等は、人権保護の基本的な一般原則であり、他の人権の行使に不可欠である。世界人権宣言と市民的及び政治的権利に関する国際規約では、法律の前における平等の権利を特に保障している。障害者権利条約第12条では、この市民的権利の内容をさらに詳しく説明し、障害のある人が、従来権利を否定されてきた分野に焦点を合わせている。第12条では、障害のある人の権利を新たに付け加えることはせず、障害のある人の法律の前における平等の権利を、他の者との平等を基礎として確保するために、締約国が考慮しなければならない具体的な要素について、説明しているにすぎない。

2.本条文の重要性を考慮し、委員会は、法的能力に関する議論のための対話型フォーラムを進めてきた。専門家、締約国、障害者団体、非政府機関、条約監視団体、国内人権機関及び国際連合機関による第12条の規定に関する極めて有益な意見交換から、委員会は、一般的意見においてさらなる指針を示すことが急務であると考えた。

3.これまで再検討されてきた、さまざまな締約国からの最初の報告に基づき、委員会は、条約第12条の下での締約国の義務の正確な範囲について、一般に誤解があることを認める。実際のところ、人権に基づく障害モデルが、代理人による意思決定のパラダイムから、支援付き意思決定に基づくパラダイムへの移行を意味するということは、これまで一般に理解されてこなかった。この一般的意見の目的は、第12条のさまざまな構成要素に由来する一般的義務を検討することである。

4.この一般的意見は、第3条に概略が述べられている条約の一般原則、すなわち、固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び人の自立に対する尊重、非差別、社会への完全かつ効果的な参加及びインクルージョン、差異の尊重、人間の多様性の一環及び人類の一員としての障害のある人の受容、機会の均等、アクセシビリティ、男女の平等、障害のある子どもの発達しつつある能力の尊重、そして、障害のある子どもがそのアイデンティティを保持する権利の尊重を前提とした、第12条の解釈を反映している。

5.世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、障害者権利条約は、それぞれ、法律の前における平等な承認の権利は、「すべての場所において」有効であると明記している。つまり、国際人権法の下では、人が法律の前に人として認められる権利を剥奪されること、あるいは、この権利が制限されることは、いかなる状況においても許されない。これは、たとえ公の緊急事態であっても、この権利のいかなる適用除外も許されないと規定している、市民的及び政治的権利に関する国際規約第4条第2項によって強化される。これと同等な、法律の前における平等な承認の権利の適用除外に関する禁止条項は、障害者権利条約には明記されていないが、障害者権利条約の規定は既存の国際法から逸脱するものではないと定めている同条約第4条第4項に基づき、国際規約の規定により、この権利は保護される。

6.法律の前における平等の権利は、また、他の中核となる国際人権条約及び地域人権条約にも反映されている。女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第15条では、法律の前における女性の平等を保障し、男性との平等を基礎として、契約の締結、財産の管理及び司法制度における権利の行使に関して、女性の法的能力を認めることを義務付けている。人及び人民の権利に関するアフリカ憲章第3条では、法律の前におけるあらゆる人の平等の権利と、法律による平等な保護を享有する権利を規定している。米州人権条約第3条では、法的人格を認められる権利と、誰もが法律の前に人として認められる権利を、正式に定めている。

7.締約国は、障害のある人の法的能力の権利が、他の者との不平等に基づき制限されることのないよう、法律のあらゆる領域を総合的に検討しなければならない。歴史的に見て、障害のある人は、後見人制度や強制治療を認める精神保健法などの代理人による意思決定制度の下で、多くの領域において差別的な方法で、法的能力の権利を否定されてきた。障害のある人が、他の者との平等を基礎として、完全な法的能力を回復することを確保するためには、これらの慣習は廃止されなければならない。

8.条約第12条は、障害のあるすべての人が、完全な法的能力を有することを認めている。歴史を通じて、女性(特に結婚時)や少数民族をはじめとする多くの集団が、偏見を理由にその法的能力を否定されてきた。しかし、障害のある人は、依然として、世界各地の法制度において、最も頻繁にその法的能力を否定されている集団なのである。法律の前における平等な承認の権利とは、法的能力が、すべての人の人間性に基づく固有の普遍的な属性であり、障害のある人にも、他の者との平等を基礎として常に認められなければならないことを意味する。法的能力は、市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的権利の行使に欠かせない。それは、障害のある人が自分自身の健康、教育及び仕事に関する基本的な決定を下さなければならないときに、特に重要となる。(障害のある人々の法的能力の否定は、多くの場合、投票する権利、婚姻をし、家族を形成する権利、性と生殖の権利、親の権利、親密な関係と医学的治療に関して同意する権利、自由の権利など、多数の基本的権利の剥奪をもたらしてきた。)

9.身体障害、精神障害、知的障害又は感覚機能障害などの障害のある人は皆、法的能力の否定と、代理人による意思決定による影響を受ける可能性がある。しかし、認知障害や心理社会的障害のある人は、これまでも、また今もなお、代理人による意思決定制度と法的能力の否定による影響を過度に受けている。委員会は、障害のある者としての地位や、(身体機能障害又は感覚機能障害を含む)機能障害の存在が、決して、第12条に規定されている法的能力や権利を否定する理由となってはならないことを再確認する。目的又は効果において第12条を侵害するすべての慣習は、障害のある人が他の者との平等を基礎として完全な法的能力を確実に回復できるように、廃止されなければならない。

9.bis この一般的意見は、おもに第12条の規範的内容と、新たに発生する締約国の義務に焦点を合わせている。委員会は、今後の総括所見、一般的意見及びその他の活動と併せて、引き続き、この分野における活動に取り組み、第12条に定められた権利と義務のさらに詳細な説明を提供していく。

Ⅱ.第12条の規範的内容

第12条第1項

10.第12条第1項では、障害のある人が、法律の前に人として認められる権利を有することを再確認している。これは、あらゆる人間が、法的人格を所有する人として尊重されることを保障するものである。これは人の法的能力の承認のための前提条件である。

第12条第2項

11.第12条第2項は、障害のある人が、生活のあらゆる側面において、他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認めている。法的能力には、権利所有者になる能力と、法律の下での行為者になる能力の両方が含まれる。権利所有者になる法的能力により、障害のある人は、その権利を法制度によって完全に保護される資格を得る。法律の下での行為者になる能力により、人は、取引に携わり、法的な関係全般を構築し、修整し、あるいは終結させる権限を伴う主体として認められる。法的主体として認められる権利は、条約第12条第5項で規定されており、そこでは締約国の義務について、「財産の所有又は相続についての、自己の財務管理についての並びに銀行貸付、抵当その他の形態の金融上の信用への平等なアクセスについての障害のある人の平等な権利を確保するためのすべての適切かつ効果的な措置をとる。締約国は、また、障害のある人がその財産を恣意的に奪われないことを確保する」と、概説している。

12.法的能力と意思決定能力とは、異なる概念である。法的能力は、権利と義務を所有し(法的地位)、これらの権利と義務を行使する(法的主体性)能力である。それは社会への有意義な参加のための重要な鍵となる。意思決定能力とは、個人の意思決定スキルを言い、当然、人によって異なり、同じ人でも、環境要因及び社会的要因など、多くの要因によって変化する可能性がある。これまで、世界人権宣言(UDHR)(第6条)、市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)(第16条)及び女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)(第15条)などの法律文書において、意思決定能力と法的能力は明確に区別されてこなかった。現在、障害者権利条約(第12条)は、「精神の異常」とその他の差別的レッテルが、法的能力(法的地位と法的主体性)の否定の合法的な理由にはならないことを明確に謳っている。条約第12条の下では、認識された、あるいは実際の意思決定能力の不足が、法的能力の否定を正当化するものとして利用されてはならない。

12.bis 法的能力は、障害のある人を含むすべての人に与えられる固有の権利である。指摘されたように、これは二つの要素から成る。第一の要素は、権利を有し、法律の前に法的人格として認められる法的地位である。これには、たとえば、出生証明書を得ること、医療扶助を求めること、選挙人名簿に登録することと、パスポートを申請することが含められる。第二の要素は、これらの権利に基づいて行動し、それらの行動を法律で認めてもらう法的主体性である。障害のある人が、しばしば否定され、あるいは制限されるのは、この要素である。たとえば、障害のある人の財産の所有は法律で認められているが、その売買に関する行動は必ずしも尊重されていない。法的能力とは、障害のある人を含むすべての人が、単に人間であるという理由に基づき、法的地位と法的主体性を有することを意味する。それゆえ、法的能力に関するこれらの要素はともに、障害のある人が実現すべき法的能力の権利として認められなければならない。これらは分けることはできないのである。
 意思決定能力という概念は、それ自体、極めて議論の余地がある。それは、一般的に示されるような客観的、科学的及び自然発生的な現象ではない。意思決定能力は、意思決定能力の評価において支配的な役割を果たす領域、専門職、慣習がそうであるように、社会的及び政治的文脈に左右される。

13.これまで委員会が審査してきた締約国の報告の大半において、意思決定能力と法的能力の概念は同一視され、多くの場合、認知障害又は心理社会的障害により意思決定スキルが低下していると見なされた者は、結果的に、特定の決定を下す法的能力を排除されている。これは単純に、機能障害という診断に基づいて(状況に基づくアプローチ)、あるいは、否定的な結果をもたらすと考えられる決定を本人が行っている場合(結果に基づくアプローチ)、もしくは、本人の意思決定スキルが不足していると見なされる場合(機能に基づくアプローチ)に決定される。機能に基づくアプローチでは、意思決定能力の評価と、その結果としての法的能力の否定が試みられる。(ある決定の性質と結果を理解できるかどうか、及び/又は関連情報を利用したり、比較検討したりできるかどうかによって決まることが多い。)機能に基づくこのアプローチは、二つの重要な理由から誤っている。第一に、それは障害のある人に対して差別的な方法で適用されている。第二に、それは人間の内なる心の動きを正確に評価できるということと、その評価に合格しない場合、法の前における平等な承認の権利という、中核となる人権を否定できるということを前提としている。これらのアプローチのすべてにおいて、障害及び/又は意思決定スキルが、個人の法的能力を否定し、法律の前における人としての地位を下げる合法的な理由と見なされている。第12条は、法的能力に対するそのような差別的な否定を許容するものではなく、むしろ、法的能力の行使における支援の提供を義務付けるものである。

第12条第3項

14.第12条第3項では、障害のある人がその法的能力の行使に当たり必要とする支援にアクセスすることができるようにする義務を、締約国が有すると認めている。締約国は、障害のある人の法的能力を否定することを避けなければならず、その代わりに、障害のある人が法的効力のある決定を下せるようになるために必要と考えられる支援へのアクセスを提供しなければならない。

15.法的能力の行使における支援では、障害のある人の権利、意思及び選好を尊重し、決して代理人による意思決定を行うことになってはならない。第12条第3項は、どのような形式の支援を行うべきかについては具体的に定めていない。「支援」とは、さまざまな種類と程度の非公式な支援と公式な支援の両方の取り決めを包含する、広義の言葉である。たとえば、障害のある人は、1人又はそれ以上の信頼のおける支援者を選び、特定の種類の意志決定にかかわる法的能力の行使を援助してもらうことや、ピアサポート、(当事者活動の支援を含む)権利擁護、あるいはコミュニケーション支援など、その他の形態の支援を求めることができる。障害のある人の法的能力の行使における支援には、銀行及び金融機関などの官民のアクターに対し、障害のある人が銀行口座の開設や、契約の締結、あるいはその他の社会的取引の実行に必要な法的行為を遂行できるように、理解しやすい情報の提供や専門の手話通訳者の提供を義務付けるなど、ユニバーサルデザインとアクセシビリティに関する措置も含まれる場合がある。また、特に意思と選考を表明するために非言語型コミュニケーション形式を使用している者にとっては、従来にない多様なコミュニケーション方法の開発と承認も支援となり得る。障害のある多くの人にとって、事前計画が可能であるということは、支援の重要な一形態であり、これにより自らの意思と選好を示すことができ、他者に希望を伝えられない状況にある場合は、これに従ってもらうことになる。障害のあるすべての人には、事前計画に参加する権利があり、他の者との平等を基礎として、その機会が与えられなければならない。締約国は、さまざまな形の事前の計画の仕組みの選択肢を、多様な選好に合わせて提供することができるが、すべての選択肢は非差別的でなければならない。事前計画のプロセスを完了することを求められた場合、個別に支援が提供されなければならない。事前の指示が効力を持つようになる(及び効力を失う)時点は、障害当事者によって決定され、指示の本文に記載されなければならず、当事者の意思決定能力が不足しているという評価に基づいて決定されてはならない。

16.提供される支援の種類と程度は、障害のある人の多様性のために、人によって著しく異なる。これは、条約の一般原則の1つとして、「差異の尊重、並びに人間の多様性の一環及び人類の一員としての障害のある人の受容」を定めた第3条(d)と一致している。個人の自律と障害のある人の意思決定能力は、危機的状況下を含め、常に尊重されなければならない。

17.障害のある人の中には、第12条第2項にある、他の者との平等を基礎とした法的能力の権利の承認のみを追求し、第12条第3項に規定されている支援を受ける権利の行使を希望しない者もいる。

第12条第4項

18.第12条第4項は、法的能力の行使を支援するシステムになくてはならない保護措置の概要を説明している。第12条第4項は、第12条の他の部分及び条約全体と併せて理解されなければならない。それは締約国に対し、法的能力行使のための適切かつ効果的な保護措置を創設することを義務付けている。これらの保護措置のおもな目的は、個人の権利、意思及び選好の尊重を確保することでなければならない。これを達成するために、保護措置により、他の者との平等を基礎として、濫用からの保護を提供しなければならない。

18.bis 著しい努力がなされた後も、個人の意思と選好を決定することが実行可能ではない場合、「意思と選好の最善の解釈」が「最善の利益」の決定に取ってかわらなければならない。これにより、第12条第4項に従い、個人の権利、意思及び選好が尊重される。「最善の利益」の原則は、成人に関しては、第12条に基づく保護措置ではない。障害のある人による、他の者との平等を基礎とした法的能力の権利の享有を確保するには、「意思と選好」のパラダイムが「最善の利益」のパラダイムに取ってかわらなければならない。

18.ter すべての人は「不当な影響」の対象となる危険があるが、意思決定を他者の支援に依存している者の場合、これが悪化する可能性がある。不当な影響は、支援者と被支援者の相互作用の質として、恐怖、敵意、脅威、欺瞞又は改ざんの兆候が見られることを特徴とする。法的能力の行使に関する保護措置には、不当な影響からの保護を含めなければならない。しかし、この保護は、危険を冒し、間違いを犯す権利を含む、個人の権利、意思及び選好を尊重するものでもなければならない。

第12条第5項

19.第12条第5項では、締約国に対し、金融及び経済的問題に関して、障害のある人の権利を他の者との平等を基礎として確保するために、立法上、行政上、司法上及びその他の実践的な措置を含む措置をとることを義務付けている。金融及び財産への障害のある人のアクセスは、障害の医学モデルに基づき、これまで否定されてきた。障害のある人の金融問題にかかわる法的能力を否定するこのようなアプローチは、第12条第3項に従い、法的能力の行使に対する支援に置き換えられなければならない。ジェンダーが、金融と財産の分野における差別の理由として利用されてはならないように 、障害もこれに利用されてはならない。

Ⅲ.締約国の義務

20.締約国は、あらゆる種類の障害のある人の、法律の前における平等な承認の権利を尊重し、保護し、実現する義務を有する。この点に関して、締約国は、障害のある人の、法律の前における平等な承認の権利を剥奪するいかなる行動も避けなければならない。締約国は、障害のある人が法的能力の権利を含む人権を実現し、享有する能力を、非国家主体及び民間人が妨害しないようにするために、行動を起こさなければならない。法的能力の行使を支援する目的の1つは、障害のある人の自信とスキルを確立し、彼らが将来望むなら、より少ない支援でその法的能力を行使できるようにすることである。締約国は、支援を受ける人が法的能力の行使において、支援を減らしてもよいとき、あるいは支援を必要としなくなったときに、その判断が下せるように、研修を行う義務を有する。

21.すべての人が(障害や意思決定スキルにかかわらず)生まれながらに持つとされる法的能力、すなわち「普遍的な法的能力」を、全面的に認めるには、締約国は、目的又は効果において障害に基づく差別 となる法的能力の否定を廃止しなければならない。

22.障害者権利委員会は、第12条に関する総括所見において、関係締約国は「後見人制度及び信託制度を許可する法律を見直し、代理人による意思決定制度を、個人の自律、意思及び選好を尊重した支援付き意思決定に置き換える法律と政策を開発する行動を起こす」必要がある、と繰り返し述べてきた。

23.代理人による意思決定制度は、全権後見人、裁判所による禁治産宣告、限定後見人など、多種多様な形態をとり得る。しかし、これらの制度には、ある共通の特徴がある。すなわち、これらは以下のシステムとして定義できる。(i)個人の法的能力は、たとえそれが1つの決定にのみかかわりのある法的能力であっても、排除される。(ii)当事者以外の者が代理意思決定者を任命できる。しかも、当事者の意思に反してこれを行うことができる。(iii)代理意思決定者によるいかなる決定も、当事者の意思と選好ではなく、客観的に見てその「最善の利益」となると思われることに基づいて行われる。

24.代理人による意思決定制度を支援付き意思決定に置き換えるという締約国の義務では、代理人による意思決定制度の廃止と、支援付き意思決定による代替策の開発の両方が義務付けられている。代理人による意思決定制度を維持しながら支援付き意思決定システムを開発しても、条約第12条の順守には十分ではない。

25.支援付き意思決定制度は、個人の意志と選好に第一義的重要性を与え、人権規範を尊重するさまざまな支援の選択肢から成る。それは、自律に関する権利(法的能力の権利、法律の前における平等な承認の権利、居所を選ぶ権利など)を含むすべての権利と、虐待及び不適切な扱いからの自由に関する権利(生命に対する権利、身体的なインテグリティを尊重される権利など)を保護するものでなければならない。さらに、支援付き意思決定システムは、障害のある人の生活を過剰に規制するものであってはならない。支援付き意思決定制度は、多様な形態をとる可能性があり、それらすべてに、条約第12条の順守を確保するための特定の重要な規定が盛り込まれなければならない。それには、以下が含まれる。
 (a) 支援付き意思決定は、すべての人が利用可能でなければならない。個人の支援ニーズのレベル(特にニーズが高い場合)が、意思決定の支援を受ける上での障壁となってはならない。
 (b) 法的能力の行使におけるあらゆる形式の支援(より集約的な形式の支援を含む。)は、客観的に見て個人の最善の利益と認識されることではなく、個人の意志と選好に基づいて行われなければならない。
 (c) 個人のコミュニケーション形態は、たとえそのコミュニケーションが従来にないものであっても、あるいは、ほとんどの人に理解されないものであっても、意思決定の支援を受ける上での障壁となってはならない。
 (d) 個人によって正式に選ばれた支援者の法的承認が利用可能であり、かつ、これを利用する機会が与えられなければならず、国は、特に孤立しており、地域社会で自然に発生する支援へのアクセスを持たない可能性がある人々のために、支援の創出を促進する義務を有する。これには、第三者が支援者の身元を確認する仕組みと、支援者が当事者の意志と選好に基づいた行動をしていないと第三者が考える場合、支援者の行動に対して第三者が異議を申し立てられる仕組みを含めなければならない。
 (e) 条約第12条第3項に定められている、締約国は必要とする支援に「アクセスすることができるようにするための」措置をとらなければならないという要件に従うため、締約国は、障害のある人がわずかな料金で、あるいは無料で、支援を利用でき、財源不足が法的能力の行使における支援にアクセスする上での障壁とならないことを確保しなければならない。
 (f) 意思決定の支援は、障害のある人の他の基本的権利、特に、投票する権利、婚姻をし(あるいは市民パートナーシップを確立し)、家族を形成する権利、性と生殖の権利、親の権利、親密な関係と医学的治療に関して同意する権利、自由の権利を制限する正当な理由として、利用されてはならない。
 (g) 人は、いかなる時点でも、支援を拒否し、支援関係を終了し、あるいは変更する権利を持つものとする。
 (h) 法的能力と、法的能力の行使における支援にかかわるあらゆるプロセスについて、保護措置が設けられなければならない。保護措置の目標は、個人の意志と選好の尊重を確保することである。
 (i) 法的能力の行使における支援の提供は、意思決定能力の評価に左右されるべきではない。法的能力の行使における支援の提供では、支援のニーズに関する新しい非差別的な指標が必要とされている。

26.法律の前における平等の権利は、市民的及び政治的権利に関する国際規約に根ざし、市民的及び政治的権利として長年認められてきた。市民的及び政治的権利は、条約批准の瞬間に付随するもので、締約国はこれらの権利を直ちに実現するための措置をとる必要がある。しかるに、第12条に定められている権利は、批准の瞬間に適用され、即時の実現の対象となる。第12条(3)にある、法的能力の行使のための支援に対するアクセスを提供するという締約国の義務は、法律の前における平等な承認に向けた市民的及び政治的権利の実現に必要な締約国の義務なのである。漸進的実現(第4条第2項)は、第12条には適用されない。締約国は、批准時に、第12条にある権利の実現に向けた措置をとることを、ただちに始めなければならない。これらの措置は、慎重な検討の上、十分に計画されたものでなければならず、障害のある人及びその団体と協議し、その有意義な参加を得なければならない。

Ⅳ.条約の他の規定との関係

27.法的能力の承認は、障害者権利条約に定められている他の多くの人権の享有と、切っても切れない関係がある。これらの人権には、司法へのアクセス(第13条)、精神保健施設への強制的な監禁からの自由の権利と、精神保健治療を強制的に受けさせられることがない権利(第14条)、身体的及び精神的なインテグリティを尊重される権利(第17条)、移動の自由及び国籍の権利(第18条)、どこで誰と生活するかを選択する権利(第19条)、表現の自由の権利(第21条)、婚姻をし、家族を形成する権利(第23条)、医学的治療に同意する権利(第25条)、投票し、選挙に立候補する権利(第29条)が含まれるが、これらに限定されない。法律の前に人として認められなければ、これらの権利と、条約で定められている他の多くの権利を主張し、行使し、強化する能力は、著しく低下する。

第5条:平等及び非差別

28.法の前における平等な承認を達成するためには、法的能力が差別的に否定されてはならない。条約第5条は、法律の前及び下におけるすべての人の平等と、法律による平等な保護を受ける権利を保障している。また、障害に基づくあらゆる差別を明確に禁止している。障害に基づく差別は、条約第2条に「障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう」と定義されている。障害のある人の法律の前における平等な承認の権利を妨げる目的又は効果を有する、法的能力の否定は、条約第5条及び第12条の侵害である。実際には、国は、破産や刑事上の有罪判決などの特定の状況を理由に、個人の法的能力を制限することができる。しかし、法律の前における平等な承認と差別からの自由の権利は、国が法的能力を否定する場合、すべての人に対して同じ基準に基づいて行わなければならないということを義務付けるものである。法的能力の否定は、ジェンダー、人種又は障害などの個人的な特性に基づいて行われてはならず、また、そのような特性を持つ人々に対し、異なった扱いをする目的や効果を有するものであってはならない。

29.法的能力の承認における差別からの自由は、条約第3条(a)に正式に記されている原則に基づき、個人の自律を回復し、人間としての尊厳を尊重するものである。自分自身で選択をする自由には、多くの場合、法的能力が必要となる。自立と自律には、個人の決定を法的に尊重してもらうための力が伴う。意思決定における支援と合理的配慮のニーズが、個人の法的能力を疑問視することに利用されてはならない。差異の尊重と、人間の多様性の一環及び人類の一員としての障害のある人の受容(第3条(d))は、同化主義に基づく法的能力の付与とは相いれない。

30.非差別には、法的能力の行使において合理的配慮(第5条第3項)を受ける権利が含まれる。合理的配慮は、条約第2条で、「障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適切な変更及び調整であって、特定の場合に必要とされるものであり、かつ、不釣合いな又は過重な負担を課さないもの」と定義されている。法的能力の行使において合理的配慮を受ける権利は、法的能力の行使において支援を受ける権利とは別であり、これを補完するものである。締約国は、障害のある人が法的能力を行使できるよう、不釣り合いな又は過剰な負担ではない限り、変更や調整を行う義務がある。そのような変更や調整には、裁判所、銀行、社会福祉事務所、投票所などの生活に不可欠な建物へのアクセス、法的効力を有する決定に関するアクセシブルな情報、パーソナルアシスタンスが含められるが、これらに限定されない。法的能力の行使において支援を受ける権利は、不釣り合いな又は過重な負担の主張によって制限されてはならない。国は、法的能力の行使における支援へのアクセスを提供する、明白な義務を有する。

第6条:障害のある女性

31.女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第15条では、男性との平等を基礎とした女性の法的能力を定めており、これにより、法的能力の承認が、法律の前における平等な承認に不可欠であることを認めている。「締約国は、女子に対し、民事に関して男子と同一の法的能力を与えるものとし、また、この能力を行使する同一の機会を与える。特に、締約国は、契約を締結し及び財産を管理することにつき女子に対して男子と平等の権利を与えるものとし、裁判所における手続のすべての段階において女子を男子と平等に取り扱う。(第2項)」この規定は、障害のある女性を含む、すべての女性に適用される。障害者権利条約では、障害のある女性が、ジェンダーと障害に基づく、複合的かつ交差的な形態の差別の対象となる可能性があることを認めている。たとえば、障害のある女性は強制不妊手術を受ける割合が高く、性と生殖にかかわる健康の管理と意思決定を否定されることが多いが、これは、障害のある女性は性行為に同意できないという思い込みからである。また、男性よりも女性に対して高い比率で、代理意思決定者を強制的に任命している司法管轄区域もある。したがって、障害のある女性の法的能力を、他の者との平等を基礎として認めなければならないと再確認することが、特に重要である。

第7条:障害のある子ども

32.条約第12条は、年齢にかかわらず、すべての人の法律の前における平等を保護しているが、一方で、条約第7条は、発達しつつある子どもの能力を認め、「障害のある子どもに関するあらゆる決定において、子どもの最善の利益が主として考慮される」(第2項)ことと「障害のある子どもの意見は、その年齢及び成熟度に応じて十分に考慮される」(第3項)ことを義務付けている。第12条に従い、締約国は、障害のある子どもの意思と選好を他の子どもとの平等を基礎として尊重することを確保するために、自国の法律を検討しなければならない。

第9条:アクセシビリティ

33.法律の前における平等な承認の権利は、障害のある人が自立して生活すること及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にするために必要であることから、第12条に定められている権利は、アクセシビリティ(第9条)に関する国の義務と緊密に結び付いている。第9条は、公衆に開かれ又は提供される、施設もしくはサービスへの障壁を明らかにし、撤廃することを要求している。
 情報通信のアクセシビリティの欠如とアクセシブルではないサービスは、一部の障害のある人にとって、実際に法的能力の実現を阻む障壁となる可能性がある。それゆえ、締約国は、法的能力を行使するためのすべての手続と、それに付随するすべての情報通信を、完全にアクセシブルにしなければならない。締約国は、法的能力の権利とアクセシビリティの権利の実現を確保するために、自国の法律と慣習を見直さなければならない。

第13条:司法へのアクセス

34.締約国は、障害のある人の、他の者との平等を基礎とした司法へのアクセスを確保する義務を有する。法的能力の権利の承認は、多くの点で司法へのアクセスに不可欠である。他の者との平等を基礎とした権利と義務の実施を求め、障害のある人は、法廷で対等な立場に立ち、法律の前に人として認められなければならない。締約国は、また、障害のある人が、他の者との平等を基礎として法定代理人を利用できるようにしなければならない。これは多くの司法管轄区域において問題とされてきたことで、法的能力の権利を妨害されている人が、そのような妨害に対する(自分自身による、あるいは法定代理人を通じた)異議申し立ての機会を得、法廷で権利を守れるようにすることなどを通じて、改善されなければならない。障害のある人はこれまで、弁護士、裁判官、証人又は陪審などの、司法制度における重要な役割から排除されることが多かった。

35.警察官、ソーシャルワーカー及びその他の第一応答者は、障害のある人を法律の前で完全な人として認め、障害のある人からの苦情や意見を、障害のない人の場合と同様に重視する訓練を受けなければならない。これには、これらの重要な職業における訓練と意識向上が伴う。また、障害のある人は、他の者との平等を基礎として証言する法的能力を付与されなければならない。条約第12条は、司法、行政及びその他の法的手続において証言する能力を含む法的能力の行使における支援を保障している。そのような支援は、多様なコミュニケーション方法の承認、特定の状況におけるビデオ証言の許可、手続上の配慮、専門の手話通訳及びその他の支援方法の提供など、さまざまな形態をとる可能性がある。裁判官も、障害のある人の法的主体性と法的地位を含む法的能力を尊重するための訓練を受け、自らの義務を自覚しなければならない。

第14条及び第25条:自由、安全及び同意

36.障害のある人の法的能力の権利を、平等を基礎として尊重することには、障害のある人の身体の自由及び安全の権利を尊重することが含まれる。障害のある人の法的能力の否定と、本人の同意を得ていない又は代理意思決定者の同意を得た、本人の意思に反する施設への監禁は、現在も問題となっている。この慣習は、恣意的な自由の剥奪となり、条約第12条及び第14条の侵害である。締約国は、このような慣習を廃止し、障害のある人が明確な同意なくして施設に入所させられた事例を再検討する仕組みを確立しなければならない。

37.到達可能な最高水準の健康を享受する権利(第25条)には、十分な説明に基づく自由な同意に基づいた医療の権利が含まれる。締約国は、すべての保健医療専門家(精神科の専門家を含む。)に対し、いかなる治療についても、十分な説明に基づく自由な同意を、障害のある人から事前に得ることを義務付ける義務を有する。他の者との平等を基礎とした法的能力の権利と併せて、締約国は、代理意思決定者が障害のある人の代わりに同意することを認めない義務を有する。すべての保健医療職員は、障害のある人が直接参加する適切な協議を確保しなければならない。また、アシスタントや支援者が、障害のある人の代理となったり、その決定に不当な影響を与えたりすることが決してないよう、全力を尽くさなければならない。

第15条、第16条及び第17条:個人のインテグリティの尊重と、拷問、暴力、搾取及び虐待からの自由

38.いくつかの総括所見で指摘されてきたように、精神科及びその他の保健医療専門家による強制治療は、法律の前における平等な承認の権利の侵害であり、個人のインテグリティの権利(第17条)、拷問からの自由(第15条)、そして暴力、搾取及び虐待からの自由(第16条)に対する違反行為である。この慣習は、人が医学的治療を選択する法的能力を否定し、それゆえ、条約第12条の侵害である。締約国はこの代わりに、障害のある人が危機的状況下を含め常に決定を下す法的能力を尊重し、サービスの選択肢に関する正確かつアクセシブルな情報の提供と、非医学的アプローチの利用を確保し、自立支援へのアクセスを提供しなければならない。締約国は、精神科及びその他の医学的治療に関する決定における支援へのアクセスを提供する義務を有する。強制治療は、心理社会的障害、知的障害及びその他の認知障害のある人にとって、特に問題となる。強制治療は、効果がないことを示す経験的証拠と、強制治療の結果、深い苦痛とトラウマを経験したメンタルヘルス制度利用者の意見にもかかわらず現在も継続している、世界各地の精神保健法に対する侵害であることから、締約国は、強制治療を容認し、あるいは実行する政策と法的規定を廃止しなければならない。委員会は締約国に対し、身体的又は精神的インテグリティに関する決定は、当事者が十分な説明に基づく自由な同意を示した場合にのみ下せるようにすることを勧告する。

第18条:国籍

39.障害のある人は、あらゆる場所で法律の前に人として認められる権利の一部として、氏名を有する権利と出生を登録する権利を有する(第18条第2項)。締約国は、障害のある子どもの出生時登録を確保するために必要な措置をとらなければならない。この権利は児童の権利に関する条約(第7条)に規定されている。しかし、障害のある子どもは、他の子どもと比較して、登録されない可能性が過度に高い。これは彼らの市民権を否定するものであり、しばしば医療と教育へのアクセスも否定し、死をもたらす可能性さえある。彼らの存在に関する公式な記録がないため、死亡しても特にとがめられることがないと言える。

第19条:自立した生活と地域社会へのインクルージョン

40.第12条に定められている権利を完全に実現するには、障害のある人がその意思と選好を育み、表明する機会を持つことが、他の者との平等を基礎とした法的能力の行使に欠かせない。これは、第19条に定められているように、障害のある人が他の者との平等を基礎として、地域社会で自立した生活を送り、選択し、日々の生活を管理する機会を持たなければならないということである。

41.地域社会における生活の権利(第19条)を踏まえて第12条第3項を解釈すると、法的能力の行使における支援は、地域に根ざしたアプローチを通じて提供されなければならないということになる。締約国は、さまざまな支援の選択肢に関する認識の向上など、どのような種類の支援が法的能力の行使に必要かを学ぶプロセスにおいて、地域社会が有用な資源であり、パートナーであることを認めなければならない。締約国は、障害のある人の社会的ネットワークと、地域社会による自然発生的な支援(友人、家族及び学校など)を、支援付き意思決定への重要な鍵として認めなければならない。これは、地域社会への障害のある人の完全なインクルージョンと参加を条約が重視していることと一致する。

42.障害のある人の施設への隔離は、引き続き、条約で保障されている多数の権利を侵害する、知らぬ間に広く蔓延してしまった問題となっている。この問題は、障害のある人の施設収容に他者が同意することを認める、障害のある人の法的能力の否定が広まることで悪化する。また、施設の所長に入所者の法的能力が付与されているのが一般的であり、これにより、入所者に対するすべての権力と支配力を施設側が手にすることとなる。条約を遵守し、障害のある人の人権を尊重するには、脱施設化を達成しなければならず、また、すべての障害のある人の法的能力が回復され、彼らがどこで誰と生活するかを選択できる(第19条)ようにしなければならない。個人がどこで誰と生活するかという選択が、法的能力の行使における支援へのアクセスの権利に影響を与えるものとなってはならない。

第22条:プライバシー

43.代理人による意思決定制度は、条約第12条と相いれない上に、障害のある人のプライバシーの権利を侵害する可能性もある。代理意思決定者は、通常、当事者に関するさまざまな個人情報及びその他の情報へのアクセスを得るからである。支援付き意思決定システムを確立するに当たり、締約国は、法的能力の行使における支援を提供する者が、障害のある人のプライバシーの権利を全面的に尊重することを確保しなければならない。

第29条:政治への参加

44.法的能力の否定や制限は、特定の障害のある人の政治への参加、特に投票する権利の否定に利用されてきた。生活のあらゆる側面における法的能力の平等な承認を完全に実現するには、公的及び政治的活動における障害のある人の法的能力を認めること(第29条)が重要である。これは、障害のある人の、投票する権利、選挙に立候補する権利及び陪審員を務める権利などの政治的権利の行使からのいかなる排除も、個人の意思決定能力では正当化できないことを意味する。

45.締約国は、秘密投票による投票において、障害のある人が自ら選択する支援にアクセスし、すべての選挙と住民投票に差別を受けることなく参加する権利を保護し、促進する義務を有する。委員会は、障害のある人が希望する場合、法的能力の行使における合理的配慮と支援を受けながら、選挙に立候補し、政府のすべての段階において効果的に公職に就き、すべての公務を遂行する権利を締約国が保障することを、さらに勧告する。

Ⅴ.国内レベルでの実施

46.上述の規範的内容と義務を踏まえ、締約国は、障害者権利条約第12条の完全な実施を確保するために、以下の措置をとらなければならない。
 (a)障害のある人が、あらゆる生活の側面において、他の者との平等を基礎として法的人格と法的能力を有する人であることを、法律の前で認める。これには、代理人による意思決定制度と、目的又は効果において障害のある人を差別する、法的能力を否定する仕組みの廃止が必要である。締約国が、すべての者との平等を基礎とした法的能力の権利を保護する法律用語を考案することが推奨される。
 (b)障害のある人の法的能力の行使におけるさまざまな支援へのアクセスを確立し、承認し、これを提供する。これらの支援のための保護措置は、障害のある人の権利、意思及び選好の尊重を前提としたものでなければならない。支援は、上記パラグラフ25に定められた、条約第12条第3項を順守するという締約国の義務に関する基準を満たすものでなければならない。
 (c)第12条を実施するための法律、政策及びその他の意思決定プロセスの開発と実施において、障害のある子どもを含む障害のある人とその代表団体を通じて緊密に協議し、その積極的な参加を得る。

47.委員会は締約国に対し、障害のある人が法的能力を平等に認められる権利を尊重するベストプラクティスの研究開発を実施し又はこれに資源を充て、法的能力の行使を支援することを奨励する。

48.締約国は、公式及び非公式な代理人による意思決定に対抗する効果的な仕組みを開発することを奨励される。この目的のために、委員会は締約国に対し、障害のある人が生活において有意義な選択をし、その人格を発達させる機会を確実に持てるようにすることと、彼らの法的能力の行使を支援することを強く求める。これには、社会的ネットワーク構築の機会、他の者との平等を基礎として働き、生計を得る機会、地域社会における居所の複数の選択肢、あらゆる教育段階におけるインクルージョンが含まれるが、これらに限定されない。


原文:
United Nations
CRPD/C/GC/1
Convention on the Rights of Persons with Disabilities
Distr.: General
11 April 2014
ADVANCE UNEDITED VERSION
Original: English
Committee on the Rights of Persons with Disabilities
Eleventh session
31 March -11 April 2014
General comment No 1 (2014)
Article 12: Equal recognition before the law
http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CRPD/C/GC/1&Lang=en
Office of the High Commissioner for Human Rights.United Nations Human Rights.
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRPD/Pages/CRPDIndex.aspx

仮訳:日本障害者リハビリテーション協会