地域に根ざしたリハビリテーション(CBR:Community-based Rehabilitation)は1978年のアルマ・アタ宣言を受け、世界保健機関(WHO:World Health Organization)によって始められました。CBRは、低・中所得国において、現地のリソースを使用して障害のある人々のリハビリテーションサービスへのアクセスを改善する戦略として推進されました。しかし過去30年以上の間に、他の国連関係団体、非政府組織(NGO:Non-Governmental Organization)、障害当事者団体との協調によってCBRは、社会参加とインクルージョンを保証し、生活の質を高めていくことを目指す障害者の幅広いニーズに応える多分野戦略へと進化してきたのです。
過去5年にわたり、CBRに取り組む人々はこの度のCBRガイドラインを作成するためにともに活動を続けてきました。これらの活動は、2003年にヘルシンキで開催された「地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)再考のための国際会議」(International Consultation to Review Community-based Rehabilitation)の勧告、そして2004年に策定された国際労働機関(ILO:International Labour Organization)、国連教育科学文化機関(UNESCO:United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)、WHOによるジョイントポジションペーパーから派生したものです。CBRガイドラインは障害者権利条約や、障害を組み入れた国の法令の履行に貢献し、地域に根ざしたインクルーシブな開発を後押しする戦略としてCBRを促進するものでもあります。
CBRガイドラインは、マネージャーなどに、CBRプログラムの開発や促進の方法という実務的な提案を行い、障害者と家族が保健、教育、生計、そして社会面での利益を得られるように保証するものです。ガイドラインはすべての開発と政策決定のプロセスにおける障害者と家族、そして地域社会のインクルージョンと参加の促進を通じたエンパワメントに大きな焦点をあてています。ガイドラインはまた、CBRプログラムを評価し、多様な状況下におけるCBRの有効性と効率について更なるリサーチを実行することを奨励しています。
目次
-導入
・はじめに
・謝辞(Acknowledgements)【英語版】
・CBRガイドラインについて
・導入
・運営
はじめに
第1段階:状況分析
第2段階:企画立案
第3段階:実施とモニタリング
第4段階:評価
表3 保健領域のログフレームの例
付録:CBRプログラムの運営のしくみの例
-保健コンポーネント
・序文
・健康増進
・原因の予防
・医療
・リハビリテーション
・支援機器
-教育コンポーネント
・序文
・保育と幼児教育
・小学校教育
・中等教育と高等教育
・ノンフォーマル教育
・生涯学習
-生計コンポーネント
・序文
・スキル開発
・所得創出(自営を含む)
・賃金雇用
・金融サービス
・社会保護
-社会コンポーネント
・序文
・パーソナルアシスタンス
・交友関係・結婚・家族
・文化・芸術
・レクリエーション・余暇・スポーツ
・司法
-エンパワメントコンポーネント
・序文
・アドボカシーとコミュニケーション
・コミュニティを動かすこと
・政治への参加
・自助グループ
・障害当事者団体
-補足
・序文
・CBRと精神保健
・CBRとHIV/エイズ
・CBRとハンセン病
・CBRと人道上の危機