CBR(地域に根ざしたリハビリテーション)は、途上国の障害者のおかれた状況を改善するため、1980年代からWHOによって提唱され、各国で実施されてきました。
2006年12月に国連で採択された障害者権利条約の影響で、2004年にWHO、ILO及び、UNESCOによって作成されたCBR合同政策方針では、CBRの概念に権利とコミュニティの参加に重点が置かれるようになりました。
WHO等は2004年版の合同政策方針を具体化するためのガイドライン作成の中で、CBRはCBID(地域に根ざしたインクルーシブ開発)の戦略であることを明確にし、障害者の貧困削減のために取り組まれるものであることを示しました。
CBRの活動がリハビリテーションのみに留まらない、コミュニティでの包括的な活動であることへの理解を深めるため、当協会では、日本が何らかの形で関わるコミュニティベースでの障害関連活動の事例を集めて本冊子にまとめました。
収集した活動では、導入時の活動、プロセスにおける変化や活動の影響などを可能な限り記述していただきました。
この冊子は、リハビリテーション分野を含む途上国での障害者支援に関わる方、援助機関、国際協力を行うNGO、これから途上国で障害分野でボランティア活動をしたいと考えている方など、幅広く関心のある方にお読みいただければ幸いです。
本冊子でご紹介させていただいた事例は8件にすぎませんが、2009年に設立されたCBRアジア太平洋ネットワークには現在24力国が参加しています。このネットワークを通してこれからもさらに事例を収集し、関係者にご紹介してまいりたいと存じます。
はじめに
1. 特定非営利活動法人難民を助ける会(AARJAPAN) …3
2. 独立行政法人国際協力機構JICA一シリア・アラブ共和国 …6
3. 独立行政法人国際協力機構JICA一スリランカ …12
4. 日本発達障害福祉連盟(福祉連盟) …19
5. 家工作営志願者協会 …21
6. 世界盲人連合アジア太平洋地域協議会(WBUAP) …27
7. 特別非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン …30
8. マレーシア、ペナンのNGOとの共同(個人) …33
英訳版 後続