[英国]英国政府がアトス・ヘルスケア社との契約を解除

リハ協ブログ2014年4月2日より転載

アトス・ヘルスケア(Atos Healthcare)社は、英国政府の委託を受けて、雇用・生活支援手当(employment and support allowance)と就労不能手当(incapacity benefit)の受給資格を審査するための労働能力評価(Work Capability Assessment:WCA)をこれらの手当を申請した障害者に対して実施してきました。WCAは、コンピューターを使い労働能力を点数化するところが画期的であるとされていますが、この評価によって手当を受給できなくなる障害者や患者が続出したため、この点数制度は、障害者の環境を十分に考慮しておらず、労働能力に影響している要因のすべてを考慮できていないなどの批判が障害者などから噴出し、抗議デモが頻発する事態を招いていました。

アトス・ヘルスケア社は、民間企業で、2008年に英国政府との契約を結び、WCAを独占して実施してきました。2010年には契約更改をし、2015年8月まで契約がありました。しかし、政府は、この制度は旧政権が導入したものであるとして、このたび中途解約することにしたとのことです。これにより、アトス・ヘルスは、5億ポンドの契約を失うことになります。ただし、話し合いによって政府は違約金をまったく支払わないとのことです。

今後、政府は、新しい委託先を探すとしています。しかし、アトス・ヘルスケアは、WCAを実施しているだけで、手当を受給できるかについて最終判断をしているわけではなく、労働年金局(DWP)が行う手当の認定事務の一部を行っているだけであり、この処置によって根本的な解決にはならないと多くの障害者団体が評価しています。

政府の見解は、下のURLをご覧ください。(寺島)

http://www.parliament.uk/documents/commons-vote-office/March_2014/27%20March/32-DWP-Atos.pdf

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