[英国]雇用・生活支援手当受給者減少の理由

リハ協ブログ2014年1月26日より転載

福祉改革センター(The Centre for Welfare Reform Ltd)は、福祉国家の改良を目的にしている英国の民間団体で、いろいろな調査研究、論文・報告書の作成、インターネット図書館の運営、本の出版などを行っています。その論文の中に、近年の英国の福祉改革において障害認定方法が、基準準拠型(criterion-referencing)から集団準拠型(norm-referencing)に変更になったことにより、英国の障害者手当受給者の減少を招いているという見解を示したものがありました。

論文名は、「適職評価における悲惨さの本当の理由に関する調査(Investigating the real reason for the misery of 'fit for work' assessments)で著者は、カリヤ・フランクリン(Kaliya Franklin)です。

本論文によれば、近年の英国の福祉改革の中で、それまでの所得保障手当(Income support:IS)と就労不能手当(Incapacity Benefit:IB)に代わって雇用・生活支援手当(Employment and support allowance:ESA)が導入され、その認定に労働能力評価(Work capability assessment:WCA)が実施されることになり、しかも、それをAtosという民間団体に委託した。しかし、その結果、受給者が減少し、必要な障害者に手当が支給されなくなった。この原因は、以前の障害認定は、基準準拠型であり、一定の障害状態にあれば、手当が支給されていたものが、新しい障害認定は、統計調査に基づく集団準拠型に変更になったために、一定の障害状態にあり、かつ、統計的な障害のランクに該当しないと手当を受給できなくなったためであると主張している。

論文は、

http://www.centreforwelfarereform.org/library/by-az/how-norms-become-targets.html

からダウンロードできます。(寺島)

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