[英国]障害者に対する寝室税の導入による新たな公的負担

リハ協ブログ2014年2月8日より転載

以前にも紹介しましたが、英国では財政赤字削減のための福祉改革が進んでおり、住宅手当の削減もその一つです。低所得者は、この住宅手当の給付を受けて、地方自治体が運営する公営住宅(council housing)や住宅協会(housing association)が運営する住宅などの社会住宅(social housing)を賃貸しています。今回の福祉改革では、この住宅手当について、17歳以上の成人またはカップル一組あたり1寝室以上の寝室があればその寝室を空き寝室とみなして、住宅手当を減額するということが行われました。そのため、実際には、税金ではないのですが、手当が減額され、実質的には税金と同じであるということから、一般には寝室税(bedroom tax)と呼ばれています。この制度は、2013年4月から実施されています。

しかし、この寝室税は、低所得者などに非常に評判が悪く、低所得者による移転拒否のデモが政府に対して行われたり、野党は次の選挙で政権を得た場合はこの制度を廃止するということを表明しています。

また、障害者にとっても、泊まり込みの介護者を依頼しようとしても、住宅が狭いために、介護者が寝る場所がないとか、透析患者が病院の近くに別室を借りようとしても費用が出ないなどいろいろな不満がだされています。

このたび、ウェールズ・ウェスト住宅協会(Wales & West Housing Association Ltd)が、障害者のために住宅改造した住宅を移転することの損失についてまとめた報告書を公表しました。同協会はチャリティー協会としてウェールズにおいて9500軒の改造住宅を提供していますが、障害者が住宅手当の減額を嫌って住宅を移動すると、それまで住宅改造に要した費用と新たに住宅改造をするためにかかる費用を合わせて追加で4000万ポンドかかるとのことです。これらの費用は、税金が賄われることになるため、改造済の住宅については住宅手当の減額から除外すべきであるという主張がなされています。

報告書は、下のサイトで読むことができます。(寺島)

http://www.wwha.co.uk/About-Us/News/Pages/Public-money-set-to-be-wasted.aspx

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