図1 医療的ケア児の基本報酬の創設(障害児通所支援)(厚生労働省 令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容 令和3年2月4日より)

図1 医療的ケア児の基本報酬の創設(障害児通所支援)


医療的ケア児の基本報酬の創設(障害児通所支援)

■基本的な考え方

〇従来は、障害児通所サービス(児童発達支援・放課後等デイサービス)の基本報酬において、医療的ケア児を直接評価しておらず、一般児と同じ報酬単価であったため、受入れの裾野が十分に広がってこなかった。

〇今回改定においては、いわゆる「動ける医ケア児」にも対応した新たな判定スコア(右下欄★)を用い、医療的ケア児を直接評価する基本報酬を創設。

基本報酬においては、医療濃度に応じ、「3:1(新スコア15点以下の児)」「2:1(新スコア16~31点の児)」又は「1:1(新スコア32点以上の児)」の看護職員配置を想定し、当該配置を行った場合は必要な額を手当て。

○また、1事業所当たりごく少人数の医ケア児の場合(基本報酬では採算が取りづらい)であっても幅広い事業所で受入れが進むよう「医療連携体制加算」の単価を大幅に拡充。(※従来の看護識員加配加算を改組)

※さらに、従来NICU等から退院直後の乳児期は、自治体において障害児としての判定が難しいために障害福祉サービスの支給決定が得られにくいという課題があることから、新たな判定スコアを用いた医師の判断を活用することにより、新生児から円滑に障害福祉サービスの支給決定が得られるよう運用改善を行う。

一般事業所

<例:児童発達支援事業所(10人定員)の場合の単価例>

  【従来】 【改定後】
  ←基準人員→ 月単位(平均)で「3:1(新スコア15点以下の児)」「2:1(新スコア16~31点の児)」又「は1:1(新スコア32点以上の児)」の看職護員を配置する
一般児(動く医ケア児) 830単位  
 
経営状況を踏まえた基本報酬の引き上げ
医ケア児が少人数
(例えば2名以下)の場合
885単位 医療連携体制加算1,600~400単位

例えば医ケア児3名以上
15点以下 885単位 1,552単位
16点以上 885単位 1,885単位
32点以上 885単位 2,885単位
  ←基準人員→ ←看護職員配置→

重心事業所(5人定員)

重心児 2,098~837単位  
重心+医ケア児 2,098~837単位 看護職員加配加算400~133単位
  ←基準人員→ 400単位×5人=2,000単位

重心事業所(主として重症心身障害児を通わせる事業所)については、従来どおり基本報酬(5人定員の場合、現行2,098単位)に、看護職員加配加算を加える構造を維持するが、実情に合わせ、看護職員加配加算の要件を緩和(従来:「8点以上の医ケア児が5人以上」⇒改定後:「その事業所の医ケア児の合計点数40点以上」)。

★医療的ケアの新判定スコア

点数変更(要件変更を含む) 追加項目

医療的ケアのスコアを見直すとともに、新たに「見守りスコア」を設定

  項目   基本スコア 見守りスコア
1 人工呼吸器(NPPV、ネイザルハイフロー、パーカッションベンチレーター、排痰補助装置、高頻度胸座振動装置を含む)   10 2 1 0
2 気管切開   8 2 0
3 鼻咽頭エアウェイ   5 1 0
4 酸素療法   8 1 0
5 吸引 口鼻腔・気管内吸引 8 1 0
6 利用時間中のネブライザー使用・薬液吸入   3 0
7 経管栄養 経鼻胃管、胃瘻 8 2 0
    経鼻腸管、経胃瘻腸管、腸瘻、食道瘻 8 2 0
    持続経管注入ポンプ使用 3 1 0
8 中心静脈カテーテル 中心静脈栄養、肺高血圧症治療薬、麻薬など 8 2 0
9 その他の注射管理 皮下注射(インスリン、麻薬など) 5 1 0
    持続皮下注射ポンプ使用 3 1 0
10 血糖測定 利用時間中の観血的血糖測定器   3 0
    埋め込み式血糖測定器による血糖測定 3 1 0
11 継続する透析(血液透析、腹膜透析を含む)   8 2 0
12 排尿管理 利用時間中の間欠的導尿 5 0
    持続的導尿(尿道留置カテーテル、膀胱瘻、腎瘻、尿路ストーマ) 3 1 0
13 排便管理 消化管ストーマ 5 1 0
    利用時間中の摘便、洗腸 5 0
    利用時間中の浣腸 3 0
14 痙攣時の管理 座薬挿入、吸引、酸素投与、迷走神経刺激装置の作動など 3 2 0
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