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要望書等について

■2012年7月26日、下記要望書を中川正春内閣府特命担当大臣(防災・共生社会)に提出。

中川内閣府特命担当大臣に、要望書を手渡す藤井JDF幹事会議長

要望書を提出に伺ったJDFの代表者


2012年7月26日

内閣総理大臣 野田 佳彦 様
内閣府特命担当大臣 中川 正春 様

日本障害フォーラム(JDF)
代表 小川 榮一

東日本大震災に関わる障害者等の支援と復興に関する要望

 東日本大震災に関わる障害者等の支援と復興については、日頃よりご尽力をいただいていることに心より敬意を表します。
 震災後一年余が経過し、被災地の復旧、復興が進んでいますが、津波の被害が大きかった沿岸部、福島第一原子力発電所の隣接地域、仮設住宅や県外への避難といった状況下においては、被災障害者への支援がなお必要とされています。
 また、地震や津波の影響が小さく、住居等の被害が少なかった地域でも、それゆえに十分な支援が受けられず、仕事や通院を含むその後の生活に困難を抱える人たちも少なくありません。
 このような事実を踏まえ、今後の支援と復興に向けて、次のことを要請します。

1.障害者等の被災実態と支援対策の検証
 大震災での経験を踏まえ、緊急災害時における今後の障害者等の支援のあり方を再構築するために、引き続き、次の検証を早急に行っていただくよう要望します。

(1)震災で犠牲となった障害者の、数的データを含む実態については、いまだ全容が明らかとなっていません。速やかにその実態を把握し公表してください。

(2)震災後の、ライフライン等が寸断した中で、障害者等がどのような困難を体験し、どのような支援が必要であったか、その実態についても、包括的な調査を行ってください。

(3)以上の内容も踏まえ、災害時要援護者支援対策等の有効性について、検証を行ってください。

2.今後の復興プロセスと防災対策への障害当事者の参加
 今後の復興においては、障害者を含むすべての人が安心して生活できるインクルーシブな社会を構築できるよう、障害者権利条約を一つの指標とすべきことを、私たちは繰り返し提起しています。
 この観点から、今後の復興プロセスと防災対策・要援護者支援対策の見直し・策定にあたっては、障害者等当事者の参加を確保し、その意見を十分に聴取してください。

(1)災害時要援護者対策については、特に障害者等の支援と個人情報保護のあり方について、また要援護者対策自体の認知度の低さなどについて、さまざまな課題が指摘されています。今後の施策の策定にあたっては、多様な立場の障害者団体等が関係会議に参加し、意見が反映されるようにしてください。

(2)仮設住宅建設の指針については、中間まとめが行われたところですが、バリアフリーの標準仕様化のあり方や設置後の補修をより柔軟に行えるようにすることなど、強化すべき部分が見受けられます。障害当事者の意見聴取を行ってください。

(3)復興庁を含む復興の機関・プロセスにおいては、障害者に関する部署または担当を設置し、障害当事者を含む専門の人材を任命してください。

3.現在の生活実態とニーズの把握
 障害者団体等に所属しない在宅生活者や、仮設住宅(みなし仮設住宅を含む)や県外で避難生活をしている多くの人たちの実態が、なお明らかになっていません。
 障害者等の支援ニーズを明らかにするため、その生活実態の把握を行政の責任で速やかに行ってください。

(1)特に仮設住宅(みなし仮設含む)の実態把握については、県と市町村が十分に連携して行ってください。

(2)県外避難者の実態把握については、国が指針を示し各県と連携して行ってください。

(3)実態把握にあたっては、障害者団体等の民間団体と必要な連携を図ってください。

4.原子力発電所事故に関する賠償請求への支援
 福島第一原子力発電所の事故に関する、東京電力への損害賠償請求については、障害をもつ被災者が、障害ゆえの二重の不利益を被ることがないよう、その実情を正しく把握し、支援の対応を行ってください。

(1)賠償請求については、資料点訳、音訳、テキストデータの提供、分かりやすい解説、手話による説明を含む、適切な情報提供を行ってください。

(2)障害者が申請しやすい簡易な申請手続きを設けるとともに、手続きに関する支援や相談の対応を行ってください。

5.被災地等における生活支援
 緊急の支援をなお必要とする障害者等に対し、特に次の対応を速やかに行ってください。

(1)仮設住宅を含む住居・生活環境の改善
 仮設住宅(みなし仮設含む)のアクセシビリティや生活環境の改善については、その補修を引き続き柔軟に行えるようにするとともに、国庫負担による補助の仕組みも、より明確な使いやすいものとしてください。
 なお、住居が一部損壊等で十分な支援が受けられなかった人のうち、生活基盤の弱い障害者等に対しては、住居の復旧や移転等について追加の支援をお願いします。

(2)移動支援のニーズへの対応
 沿岸部等においては、公共交通機関が十分に復旧せず、また高台の仮設住宅等に移り住むなどの事情から、日常の買い物や通院すらままならず、移動支援のニーズが大変高くなっており、民間団体による緊急的な支援活動が続いています。
 公的な移送サービスの実施と充実、民間による移送サービスへの支援、タクシー券等の補助など、必要な対応を行うとともに、障害者や高齢者を含むすべての人に使いやすい公共交通機関の復旧・復興を行ってください。

(3)障害者の仕事の支援
 被災地域や隣接地域において、障害者の雇用の促進を行ってください。
特に、鍼灸あんま等、自営業の障害者については、営業再開のための支援や、官公需による仕事の確保などの支援を行ってください。
 また、障害者の仕事の支援を行う事業所に対し、官公需の優先発注等を含む仕事の確保策を行うとともに、特に津波等で移転を余儀なくされた事業所もあることから、再建場所の確保を含め、建設・改修の公的助成を今後とも行ってください。

(4)障害者等支援に関わる人材の応急的な確保
 被災地においては、障害者等の支援に関わる人材が、依然として不足しています。
このたび、厚生労働省と福島県により、介護職員の人材確保に向けた対策会議が設置され、高齢者施設等を対象に、介護職員の派遣を行うことを聞き及んでいます。この際、障害者支援事業所等(小規模なNPO法人や訪問系サービス事業所等を含む)にも派遣が行われるようにしてください。
また福島県以外の被災地に対しても、人材確保のための支援を行ってください。

(5)夏季の電力不足への対応
 東日本大震災の被災地以外においても、夏季の電力不足と、予定されている計画停電に向けて、人工呼吸器を含む医療機器等を利用する在宅生活者に、必要な電源の確保を行ってください。

以上


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