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被災地支援センター

JDFいわて支援センター 移動支援活動の地元法人への移行と今後の展望について


1.陸前高田市における移動支援の終了と地元移行について

 この間、支援センターで行ってきた移動支援の地元事業所への移行先として話し合いを進めてきた「特定非営利活動法人 愛ネット高田(介護保険事業所)」が、移動支援に関わる助成金を獲得したことから、急ではあったがJDFいわて支援センターとしての移動支援は2014年12月31日で終了し、2015年1月1日から愛ネット高田に全面移行致しました。
 これは、本来であれば、陸前高田市の福祉有償運送補助事業が施行されたタイミングで、 地元に移行する予定で話を進めてきましたが、同事業に関する現地での最終調整が進まず年度内の施行が難しくなったため、 愛ネット高田が少しでも早く地元で移動支援事業を実施したいと助成金獲得をめざし動いたことによります。
 これまで移動支援の取り組みをさまざまな形で支えていただいた皆様に改めて心よりお礼申し上げます。

2.現在のスタッフ体制

(ア)事務局
小山
今年度(2014年度)は週1回を基本とし、障がい福祉計画策定委員会等、各種会議等がある場合には随時参加してきました。また、今年度はセンターが行っている移動支援の地元移行を進めるために、現地NPO法人との協議等を進めました。

栗田
月2回、月中と月末に会計処理を行いました。
その他、現地スタッフのバックアップが必要な際は随時センターに向かいました

(イ)移動支援スタッフ(2名)
2014年12月31日までは、8時間勤務を基本として勤務しました。その他、当事者団体からの要請があった場合は、土日の支援も行っています。 (身障協、視福協、失語症友の会等)
2015年1月からの移動支援の地元移行により、12月31日付でセンターを退職し、 愛ネット高田の職員として1月から勤務しています。

3.移動支援の状況

(ア)地域の交通事情
 バス、BRTともに、震災前に比べて本数はかなり増えています。しかし、仮設住宅の立地条件や、バス停や駅の設置基準は何も変わっていないため、障がいのある方や高齢者にとっては「あるけれど使えない」状況は続いています。
 また、予約制で門口まで迎えに来てくれる「デマンド交通」は、障がい当事者への利用説明会の開催や増便等、利便性を高めるための工夫などを重ねていますが、被災地域のみの運行となっているため、病院までの距離がある地域の問題解消にはなっていません。

(イ)利用者の状況

 A)児童の状況
 大船渡にある社会福祉法人大洋会が、9月1日に高田に放課後等デイサービスを開所しました。その際に出た親御さんのニーズにあわせ、大船渡で行ってきたデイサービス利用者に対する登校支援を陸前高田の事業所でも実施することになりました。
 そのため、今年度登校支援を行ってきた児童2名もデイサービスに移り、今後の登校困難児童に関しても、そのサービスを利用するような方向で確認し、センターの登校支援に関しては終結となりました。
ただし、緊急時の登校支援や通院支援に関しては都度対応を行いました。

 B)障がいのある方の状況
 日中活動系の事業所等を利用せず地域生活を送られている方の通院支援が主です。
専門医療受診のために市外の総合病院へ通院するケースがほとんどで、特に精神科通院や県立病院で行うデイケア利用者の方の割合が多い状況です。
その他、当事者団体(身障協、失語症友の会等)の会合や行事などの送迎を行いました。

 C)高齢者の状況
 今年度に入り仮設住宅にお住いの新規利用者が増えています。 仮設住宅での生活も4年目に入り、先が見通せない不安の中での生活が大きな影響を及ぼしていると考えられます。
 そのような中、災害公営住宅の第一号が先ごろ完成し、今月の頭から入居が始まりました。しかし、すべての仮設住宅が解消するには4年かかるといわれており、進めた人と進めない人の差が、今まで以上に目に見えてしまうために、心的ストレスからの体調不良は今後も増えるであろうと予想されます。

 (ウ)その他
 今年度から地元移行を視野に、車両2台、スタッフ2台の体制で行ってきましたが、 昨年度から車両1台減の割には利用者数は減らず、昨年度並みの対応数となっています。

4.今後の見通しについて

(ア)移動支援について

 A)行政の動き
 地域生活支援事業で「車両型移動支援事業」を創設し、800万円強の予算が付き、この予算で福祉有償運送事業を行う事業所に、利用実績にあわせた補助金給付を行います。(現在、福祉有償運送運営協議会などを通じて実施に向けた調整が行われています)
 この事業での利用者選定は各事業所判断に任せ、これまでセンターが行ってきた移動支援と同様の弾力性を持たせることにより、緊急対応等の細やかさを事業所判断で出来るように配慮しています。
また、障がいのある方だけでなく、ご高齢の方等にもこの事業で対応できるようにしています。

 B)地元団体の動き
 愛ネット高田以外の移動支援への地元の動きに関しては、今年度になり、現地の障害当事者団体の方が、移動支援のボランティアグループを立ち上げ、 現在NPO化に向けて準備をするという動きも出てきています。また、陸前高田市社協が共同募金の助成を使いながらこの1月に福祉無償運送を始めることとなりました。 このように、現地の事業所や当事者団体も主体的な動きを始め、私たちが行ってきた移動支援を地元の事業所に引継げたことは大変うれしく思います。

 C)今までの実績について

  ※別紙資料参照(いわて支援センターによる移動支援の実績)

 細かい分析については、現在取り組み中です。

5.今後の活動予定について

(ア)年度内の活動について

 A)移動支援事業に対する補助事業協議について

  • 当局と継続して協議を行ないます。
  • 関係団体とも情報交換を行います。
  • 愛ネット高田に移行した活動に関してはフォローアップを行います。

 B)第3回国連防災会議 陸前高田での関連イベントについて

  • 必要な準備を行います。

(イ)次年度以降の活動について

 A)支援センター設置場所について

  • 年度末まで今の場所に置きます。
  • 次年度は県内の事業所に看板を持っていき活動を継続したいと考えています。

 B)支援センターとしての活動について

  • 今年度参加した第4期障がい福祉計画策定委員会の流れから、 次年度は陸前高田市障がい者福祉施策推進協議会への参加を求められていますので、参加の方向で検討しています。
  • この3年間、陸前高田市に活動を集中してきました。 陸前高田市のセンターを閉めることを機に、もう一度、 岩手県沿岸北部から状況把握を行いながら問題の洗い出しを行いたいと思います。

資料 いわて支援センターによる移動支援の実績 (単位:件)

2012年度 障がい者 高齢者 障がい児 合計
通院 買物 合計 通院 買物 合計 通学
4月 6 3 9 18 0 0 58 58 - 76
5月 25 7 37 69 6 0 42 48 - 117
6月 32 6 35 73 5 0 44 49 - 122
7月 57 15 39 111 1 0 68 69 - 180
8月 76 11 34 121 19 0 27 46 - 167
9月 111 11 51 173 35 2 22 59 - 232
10月 72 11 55 138 68 1 14 83 4 225
11月 64 6 77 147 54 0 2 56 28 231
12月 74 11 47 132 51 1 2 54 24 210
1月 87 7 27 121 36 0 0 36 21 178
2月 90 2 25 117 34 0 0 34 11 162
3月 44 0 6 50 28 0 0 28 0 78
738 90 442 1,270 337 4 279 620 88 1,978

2013年度 障がい者 高齢者 障がい児 健常児 合計
通院 買物 合計 通院 買物 合計 通学 通院 合計 通学 通院 合計 通院
4月 59 3 5 67 29 0 1 30 34 0 34 59 0 59 0 190
5月 69 2 37 108 41 41 0 82 42 0 42 55 0 55 0 287
6月 89 0 13 102 30 0 0 30 40 2 42 69 2 71 7 252
7月 122 0 26 148 55 0 0 55 41 0 41 50 0 50 0 294
8月 84 40 29 153 39 0 2 41 18 2 20 20 0 20 2 236
9月 83 3 14 100 46 0 0 46 36 0 36 36 0 36 0 218
10月 82 0 25 107 33 0 0 33 33 4 37 35 0 35 0 212
11月 95 0 0 95 37 0 0 37 36 0 36 36 0 36 0 204
12月 72 0 1 73 50 0 0 50 28 0 28 31 0 31 4 186
1月 79 0 4 83 36 0 0 36 27 0 27 19 1 20 0 166
2月 78 0 5 83 29 0 0 29 42 0 42 29 0 29 0 183
3月 97 0 1 98 44 0 0 44 19 0 19 33 0 33 0 194
1,009 48 160 1,217 469 41 3 513 396 8 404 472 3 475 13 2,622

2014年度 障がい者 高齢者 障がい児  
通院 買物 合計 通院 買物 合計 通学 通院 合計  
4月 103 0 13 116 35 0 0 35 30 2 32 183
5月 99 0 0 99 53 0 0 53 35 0 35 187
6月 102 0 2 104 65 0 2 67 48 2 50 221
7月 99 0 8 107 69 0 2 71 35 0 35 213
8月 118 0 1 119 60 0 1 61 16 2 18 198
9月 87 0 6 93 68 0 2 70 4 0 4 167
10月 95 0 7 102 64 0 2 66 5 0 5 173
11月 95 0 7 102 89 0 27 116 2 2 4 222
12月 72 0 6 78 102 0 19 121 4 0 4 203
870 0 50 920 605 0 55 660 179 8 187 1,767

区分 利用件数 割合
障害者 3,407 53.5%
高齢者 1,793 28.2%
児童 1,154 18.1%
その他 13 0.2%
合計 6,367 100.0%

区分 利用件数 割合
通院 4,060 63.8%
買物 183 2.9%
通学・通園 1,135 17.8%
その他 989 15.5%
合計 6,367 100.0%

年度 利用件数 月平均
2012年度 1,978 164.8
2013年度 2,622 218.5
2014年度 1,767 196.3
合計 6,367 192.9

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