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コンピューター・プレイセンターで遊びましょう-コンピューター・プレイセンタープロジェクトに関する図書

ヘルネーサンド市

りんご図書館注1にある一台のコンピューター

スティーナは少なくとも週に一度はりんご図書館に通います。もし運よく他の子どもがいなければ、スティーナはコンピューターを一人で利用することができるのです。
スティーナにとって一番おもしろいのは自分で絵を描けるプログラムです。プログラムを呼び出す時だけは児童図書館司書のウッラ・パルメルが手伝いますが、その他の操作はスティーナが自分でします。
りんご図書館は、ヘルネーサンド市の図書館内部にある児童図書館です。機能障害を持つ子ども達に適合するように設計されています。床の中央にはトーマス・シムティス製作の木製のりんごが置いてあります。このりんごは芸術作品であると同時に、遊びの家にもなっています。子ども達はみんなこのりんごにもぐりこんで楽しみます。大人達はその横で残念そうに指をくわえて見ているというわけです。りんごの中に入るとランプを1つ灯し、床にあいたのぞき扉をのぞくことができます。他方の壁には万華鏡があります。またりんごの下側を触ってみると点字で書かれたメッセージが見つかります。「本を一冊読んでみよう」と書かれています。
りんごの周囲には障害について書かれた本もありますが、特に視力障害を持った子ども達が絵を楽しめる本、録音図書や2つの速度で録音されたテープがついた簡単に読める本、拡大図書、耳がまったく聴こえない人や聴覚障害者向けのビデオブックがあります。

ロンドンで得たインスピレーション

  りんご図書館はプロジェクトリーダーのカーリン・ウェステルンドによって県立図書館の中に作られました。彼女はロンドンの国立障害児図書館を訪ねてインスピレーションを受け、帰国後に地域の障害者協会の人々と共にリファレンスグループを結成しました。公的遺族基金と文化事業評議会(Kulturradet)がこのアイデアを支持し、現在はりんご図書館の方が人々にインスピレーションを与えています。カールスクーガ市、エーレブロー市、エステルスンド市、ヘルシングボリィ市は同じような部門を開設している最中です。
スンズヴァルのコンピューター・プレイセンターの支援を受けてりんご図書館は、一台のマッキントッシュと幾つかのゲームと物語のプログラムを入手しました。
カーリン・ウェステルンドは述べました。
「コンピューターのおかげでこの片隅が集会の場所になりました。土曜日の午前中にはよく機能障害を持つ子ども達の親達が少人数のグループを作っています。彼らは子ども達がコンピューターで遊ぶのを見ながら、座っておしゃべりをしています。家族たちはその他の時間にもそれぞれここに立ち寄っています。ほとんどの人はスンズヴァルのコンピューター・プレイセンターと連絡を取っています。そしてコンピューター・プレイセンターへの来館の合間に、地元ヘルネーサンドの図書館へ来るのです。」
ウッラは言いました。
「よく何人かの子ども達がコンピューターの周りに群がっています。彼らはお互いに仲良しで、きちんと自分達で順番を守っています。ある日自閉症の男の子がやってきました。その時にはすでに一群れの子ども達がコンピューターの傍にいました。母親は男の子が順番を待っていられなかったので困ってしまいました。でも子ども達に説明をしただけで、彼は一番前に入れてもらえました。」

補聴器をつけた人形

りんご図書館は教育的であり、(障害を持つということの)立場を向上させる場所なのだとウッラとカーリンは感じています。コンピューターはもちろん人々を惹きつけます。それと同時に子ども達は点字やその他の設備にも興味を持ちます。補聴器をつけたり、眼鏡をかけたりしているウォルドルフ人形はみんなの人気者です。ですから絶えず洗濯に出さなくてはなりません。人形達の製作者はアレルギーの子ども達も遊べるように、例外的にウールの代わりに合成素材を詰めてくれました。
りんご部門は様々な機能障害を考えにいれて整備されています。床と家具は対照的な色を用いています。天井には磁気誘導ループ(hörselslinga)があります。アレルギーの子ども達を困らせることのないように生きた植物は置きません。また美観を損なうためプラスティックの造花も置きません。吟味された芸術作品が植物の代わりです。
この図書館は(様々な機能障害に合わせて)調整されている間に、建物全体が利用しやすいように改装されました。入り口には貸し出し用の車椅子や磁気誘導ループ(hörselslinga)があり、文字電話や座ったまま利用できる電話もあります。職員たちは様々な障害者団体の人々の講義を聞くことによって機能障害に関する知識を自然と高めていくことができました。

スクリーンリーダーと点字ディスプレイが必要です。 視覚障害者全国協会SRF はこの図書館の賢明さと心遣いを大変喜び、少し前に協会の代表者の手からウッラ・マリア・オールマンにSRF-rosen 賞を授与しました。そして彼女は今、スクリーンリーダーと点字ディスプレイが備わったコンピューターを買う資金が図書館に助成されるように求め、あちらこちらに出かけているというわけです。 彼女は言います。 「ナショナルエンサイクロペディアがCD-Romで入るんですもの。絶対必要なのよ。」


注1:
りんご図書館 子どもの図書コーナーの中にある特別なニーズを持った子どものためのスペース