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コンピューター・プレイセンターで遊びましょう-コンピューター・プレイセンタープロジェクトに関する図書

新しいコンピューター・プレイセンターが全国にできます!

 ランスティングの予算は逼迫しているのですが、コンピューター・プレイセンターが国中のあちらこちらに出現することになりました。政治家達もこれは必ず成功すると理解しました。またコンピューターの値段など大きな金額ではないことを知っているのです。働き手は既に揃っていますし、彼らがどんなに熱意を持っていてもそれが給与に影響するわけではないのですから。
 このプロジェクトは2年半前8館のコンピューター・プレイセンターから始まり、現在では27のハビリテーションセンターと遊戯療法センター(Lekotek)が新たなコンピューター・プレイセンターの開設を申請しています。奨励補助金の申請が医療県会に殺到しています。
 このランスティングは、ハビリテーション(若い障害者に、修得した経験のない訓練を提供するもの)とリハビリテーション(事故や病気で失ったスキルを取り戻すための訓練を提供すること)に関する業務の発展と強化の為に、3億クローナの補助金を支給されているのです。
 ハンディキャップインスティテュートにはかつてはコンピューター・プレイセンタープロジェクトのアイデアがこのような結果を生むとは考えもしなかった、幸福なプロジェクトリーダー、ビルギッタ・イェスベリィがいます。
 6年前、彼女の同僚の1人がある文書を彼女の机に置いて言いました。
 「これに載っているのは児童問題だから私の領域ではないわ。あなたが見た方がいいんじゃない」
 これこそ幼稚園教諭のメアリー・トゥリッシュマン(Mary Trieschmann)がシカゴ郊外のエヴァンストンに開設したザ・コンピューター・プレイセンターに関する文書だったのです。

スウェーデン国家遺産基金から授与された330万クローナ

 ビルギッタ・イェスベリィはそれから数年後、アメリカに渡航した際に上記のセンターを訪ねました。その時にスウェーデンのコンピューター・プレイセンターのアイデアが生まれたのです。ビルギッタ・イェスベリィはメアリー・トゥリッシュマンをスウェーデンに招き、二人で4箇所を廻って熱意のある幼稚園教諭や作業療法士に会いました。公的な遺産基金が3年間のプロジェクトに対して年間約300万クローナの補助金を出すことになりました。1992年1月には8館のハビリテーションセンターから20人余りの女性と1人の男性がコンピューターシステムと調整とプログラムに関する3日間の講習に参加しました。
 このようにして事業は始まったのです。まだ開設の場所も決まらず職員がプログラムの取り扱いを学ぶ前からセンターに来てコンピュータープレイを試してみたいと願う子ども達と親達の順番待ちリストができていました。現在プロジェクトの期間は半年を残すのみとなり、8館のコンピューター・プレイセンターには約1500人の子ども達が訪れました。
「私達は事業を開始し、もう何が必要なのか知っています。ですから今しなければならないのは発展させることです。」
ビルギッタは言葉をまとめました。
 できればハンディキャップインスティテュートがコンピューター・プレイセンターに関する業務をさらに3年間続けていけるように、遺産基金から助成金が受けられればよいのですが。この助成金が受けられれば各職員が自分の能力をさらに高め、新しいプログラムを作り、各地域の事業を運営することが可能になります。初めからある8館のコンピューター・プレイセンターは各地域においてコーディネイターの役割を果たすことになるでしょう。講習会を開く等の方法で、新しく開設するコンピューター・プレイセンターを支援していくのです。

多くのプログラムが必要です

 「プログラムの開発の為にも、資金は必要です。全ての子ども達の需要を満たす為には本当に多くのプログラムが必要なのです。プログラムを作成する為の編集ツールはすでにありコンピューター・プレイセンターで働く職員達には知識もアイデアもあります。彼らに必要なのは静かに座ってプログラムを開発する時間です。」
 プログラムの開発に着手し、またはその進展を見守るプログラムチームを結成しようという意見もあります。学校における障害者問題に関する国立研究所SIHに属するコンピューター教育学者のハンディソフトはその適切な協力パートナーかつプログラムのディストリビューターになるとビルギッタは考えています。
 「私達は小規模な北欧協力会を結成しました。今のところはオスロとヘルシンキに1館ずつコンピューター・プレイセンターがあるだけですが、この事業がノルウェー、フィンランド、デンマークでも勢いがつくことを願っています。プログラムの開発にはぜひとも北欧諸国間の協力が必要です。なぜならばそれには莫大なお金がかかるからです。もし北欧中の子ども達がプログラムを使うならば、複数のプログラムを作成する資金的な見通しがつくでしょう。一度作ってしまえばプログラムを(北欧諸国の)全ての言語に対応させることは難しくもなんともないのですから。」
 利用者が自分で選ぶことのできる、様々な出来事が満載の物語になるように構成される”車輪で楽しく”というプログラムの原案がすでにできています。ハンディキャップインスティテュートの助成金によってこの原案を作成したのですが、コンピューター・プレイセンターは、今度はそのプログラムを完成させる為に、障害者用支援器具開発センター、NUHに助成金を申請しようとしています。

子ども達にコンピューターを!

 コンピュータープレイが子ども達にとってどれほど大きな意味を持つのか目にしてきたコンピューター・プレイセンターの職員達は、子どもとコンピューターに対する見解がだんだんに変わっていくことを望んでいます。今日機能障害を持つ子ども達がコンピューターを個人的な支援器具として支給されるのは、原則として学校に行き始めて読み書きを習った後です。
「しかし多くの子ども達がまさに読み書きを学ぶ為にコンピューターを必要としています。私は例えば発達障害を持つ子どもに、早期にコンピューターを試してみるチャンスを与えるべきだと思っています。誰が読み書きを学ぶようになるのか、予測できる者はいないのですから。また読み書きがコンピューターに与えられる唯一の救いというわけではありません。多くの子ども達は刺激と概念形成の訓練の為にコンピューターを必要としています。子ども達が喜んで生き生きと自分にできることに取り組むことだって、読み書きと同じように大事ではありませんか。」
 今やコンピューターはどこの職場にもあり、大人達にとってはあって当たり前の支援器具です。ところがそれを必要としている機能障害を持つ子どもに与えるとなると、相変わらず値段の高い贅沢品と見なされているのです。現在幾つかの医療県会は、学校に行って恐らくコンピューターが必要となるであろう5歳児、6歳児に対しては、支援器具として認め始めましています。その代表格はマルメーヒュース、ヴェステルボッテン、ヴェステルノルランド、エーレブローのランスティングです。
 子ども達用の支援器具としてのコンピューターの立場は、ゆっくりとではありますが変化してきています。そしてまもなくスウェーデンは世界中で最もコンピューター・プレイセンターがひしめき合う国となるでしょう。USAには確実に50館はありますが、国土も広大です。全てが順調にいけばスウェーデンには35館のセンターができることになるのです。