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コンピューター・プレイセンターで遊びましょう-コンピューター・プレイセンタープロジェクトに関する図書

ストックホルム市

子ども達がいつでもゲームを上手くやりとげられるようにしなくてはなりません 

 もしうまくいけば、まもなくストックホルム地域に複数のコンピューター・プレイセンターが開館されるでしょう。新しいセンターを求める声が現在のセンターで働く職員からも親達からも挙がっています。特に順番待ちをしている80家族の人々はそれを強く望んでいます。
 「長期の予約期間に耐えられず落胆している親達がたくさんいます。」
 カロリンスカ病院児童ハビリテーション課で働いているアニータ・ヒルデンは言いました。彼女はちょうど、子どもが7ヶ月の待ちリストの中に入っている1人の母親と電話で話したばかりでした。もしあなたがコンピューター・プレイセンターのことを聞いて子ども達に新しい可能性を与えられると思い始め、ところが始めの来館まで半年間待たなければならないと知ったらどのように感じますか?この3ヶ月で待ちリストの子ども達は53人増えました。新しいコンピューター・プレイセンターがぜひとも必要です!
 現在計画中の新しいコンピューター・プレイセンターにはアニータと彼女の同僚がアドバイスと支援を与えることになっています。またストックホルムのコンピューター・プレイセンターはまもなく開館するゴットランドのコンピューター・プレイセンターをも支援することになっています。ヴィスビーのハビリテーションセンターではすでに職員がコンピューターを取り入れており、ストックホルムのコンピューター・プレイセンター職員もそこを訪れたことがあります。アニカ達は子ども達がコンピューター・プレイセンターを利用してどれほどの喜びを享受することができるようになるか、公務員やゴットランドの政治家への説明を行う支援を行っています。

子どもに関する知識はコンピューターに関する知識よりも重要です

 「コンピューター・プレイセンターを開設する時には、コンピューターを扱えることよりも子どもに関して知識や経験があることのほうが重要です。」
 これは特殊教育専門教諭でありコンピューター・プレイセンターの要としてのアニータが新しい同僚達に送る最も重要なアドバイスです。
 このコンピューター・プレイセンターには特殊教育専門教諭のカイス・ヴィクトリンおよび作業療法士のセシリア・シェンペ・ビョルクヴァルがいます。コンピューター・プレイセンターが継続的に事業として成立した場合には、児童ハビリセンターのコミュニケーション課の一部になります。
 「私達の任務はコンピューター・プレイセンターで現在持つ資本を保持することです。ここにはもう1人教師が必要です。しかしそれ以上にコミュニケーション課により多くの作業療法士が必要なのです。多くの子ども達がコンピューター・プレイセンターを通してそこに行くのですから、業務が大幅に増えているのです。」

パトリシオとマーガリィ

 現在までこのコンピューター・プレイセンターは269人の子ども達と関わってきました。一部は移民の子ども達です。その中にはパトリシオとマーガリィもいます。この日の朝、彼らはイェニファと同じ時間に来館しました。どの子ども達も自分の父親と一緒に来ています。
 またパトリシオとマーガリィの母国語の教師(両親の母国語を教える教師)ラウラ・リヴェラとパトリシオの教師も一緒に来館しました。ですからコンピューターの周りはいっぱいになってしまいました。
 パトリシオは養護学校の3年生です。まだ読むことはできませんが、スウェーデン語とスペイン語を話すことができます。彼はスペイン語、英語、日本語のバージョンもある”So'lo abuelita y yo"(おばあちゃんとぼくの二人だけ)というプログラムを試してみました。けれどもパトリシオは、押すだけで後はコンピューターがやってくれるようなプログラムでは満足できません。まだ文字を読めないのですが猫、羊、鶏等のイラストと単語を合わせるゲームをやってみました。コンセプトキーボード(conceptplattan)を使い、できるだけスペイン語だけで遊んでみるのは彼にとって始めての体験でした。大丈夫、彼はgato(猫)、cordero(羊)、vaka(牛)などの言葉を知っていました。
 13歳のマーガリィはパトリシオと同じものでは満足できません。彼女は”おばあちゃんとぼくの二人だけ”を試し、おばあちゃんとぼくが水浴びに行くシーンでは喜んでクリックをしながら目の前で起こること全てに見入っていました。しかしイラストと文字のプログラムにはあっという間に興味を失ってしまいました。アルファベットでは、彼女を長い間引き止めておくことはできないようです。

母国語の教師がコンピューターを用いるとどうなるでしょう

 母国語の教師ラウラ・リヴェラは、マーガリィとパトリシオの様子に常に気を配っていました。コンピューター・プレイセンターが移民の背景を持つ多くの子ども達と連絡を取ることができたのは、彼女のおかげでもあります。彼女は”自分の”子どもの1人と来館することを思いつき、その後さらに多くの子どもの親達に来館を提案したのです。
 コンピューター・プレイセンターのプログラムには一部スペイン語のものもありますし、ラウラはあるノルウェーのプログラムに出てくる各イラストの言葉を翻訳することで協力してくれました。
 「母国語の教師にとって、コンピューターの活用は新たな取り組みです。」
 より多くの子ども達に刺激を与える為にアニータ・ヒルデンとSIH(学校における障害者問題の為の国立研究所)のトリニダッド・リヴェラは一緒に家庭用言語の教師に対し、コンピューター・プレイセンターのプログラムの使い方についてアドバイスとヒントを書き出しました。

北欧協力体制

 ある日、コンピューター・プレイセンター宛の郵便の中に、一通の手紙が入っていました。差出人は幼稚園教諭になるために勉強している二人の女性でした。彼女達はコンピューター・プレイセンターについて論文を書くことを考えており、その為に幾つかの質問を送ってきたのです。

  • 機能障害を持つ子ども達にうまく働きかけるようなプログラムとはどのように構築されているべきでしょうか?
  • どのような特徴が一番重要でしょうか?
  • コンピューターを利用できない子ども達もいるのでしょうか?

 アニータはため息をついて言いました。
 「ほんの数行でありながらこのように大きな問題に答えるためには、私は一冊の本を書かなくてならないでしょう。」
 実際アニータは現在、上記の問題に関して執筆をしているのです。またアニータは北欧協力体制にも加わっており、その結果はノルドリィスカタログに出ています。これは読むことができない子ども達対象のプログラムを1つにまとめたものです。
 カタログには練習プログラムとコミュニケーションプログラム、それにこの2種類を自分で作成する為に用いる編集ツールが含まれています。
 現在彼女はコンピュータープログラムの評価体系を作るためにノルウェーの仲間達と働いています。この評価体系によって子ども達と働く人々は、各子どもに最適のプログラムに辿りつくのです。

原因と結果の理解

 「子ども達がいつでも上手くやりとげられるようにしなくてはなりません。ですから適切なレベルのプログラムと操作方法を見つけてあげることが大変重要です。」
 アニータは説明しました。
 「子ども達が原因とその結果を理解することを学べるように、ゲーム上の出来事は全て子ども達の働きかけによって起こるようでなければなりません。また彼らが何かを指したりクリックしたりした時に、どのような結果が出るのかも決め手となります。この結果が一種のご褒美なのですから。私が始めの出会いで必ず、親達に聞くことがあります。それは彼らの子どもがイラストに注意を向けるか、文字には興味があるかということです。それによって私はどのような結果がその子どもにとって最適なのかを把握するのです。この子どもには登場人物が何か”アニメーション”らしいことをしながら移動するのが、一番分かり易い結果であるなど。画面上で何か起こると同時にその子どもが何を聞くのかも大変重要です。音楽も、例えば猫の鳴き声のような自然な音も適しています。」  アニータは幾つものプログラムにアイデアを提供してきました。そのうちの1つが原因と結果を学ぶために考えられた”見る、押す、聴く”です。彼女はまだ足りないプログラムがたくさんあると考えています。
「早期の段階にある子ども達のためには、親達にAcornを買うことを薦めています。このような子ども達に合うプログラムを最も多く所持しているのはこの会社です。しかしどんなシステムの中にも何かしら全ての子ども達にとって役に立つものが含まれているものです。もし様々なコンピューターの中にあるプログラムを全部合わせたら、それはいきすぎといえますが、幸いほとんどの子どもが持っているコンピューターは一台のみです。」