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コンピューター・プレイセンターで遊びましょう-コンピューター・プレイセンタープロジェクトに関する図書

コンピューター・ゲームに関するある研究

コンピューターに精通することは、自尊心を高めることに繋がります

   エーレブロー地域にある4人の子ども達がいます。彼らをモデルとして『ダウン症を持つ児童にとってコンピュータープレイはどんな意味を持つか』という研究が行われています。
 コンピューターで遊んでみる為に、子ども達とそれぞれの介助者が6回集まりました。就学前児童を対象とするソーシャルワーカーのエーヴァ・リンドネルは子ども達がコンピューターで遊んでいる様子をビデオに撮り、観察しました。その後彼女はこの体験が子ども達に何を与えたのかを論評し、その結果をカールスタッドカレッジの言語及びコミュニケーショントレーニング学科の最終論文にまとめてイレーネ・ヨハンソン教授に提出しました。
 この研究が行われた時子ども達は4歳でした。彼らはみなイレーネ・ヨハンソンの方法論に従って早期の言語訓練を受けていました。エーヴァ・リンドネル自身もエーレブローでそれに携わるソーシャルワーカーの一人です。彼女は自分の研究成果から、コンピューター・プレイは、児童の言語とコミュニケーションの訓練の計画と目的に補足的に組み込むならば、すばらしい教材になると強調しています。
 子ども達はコンピューター・プレイセンターのフロアで会いますが、このプロジェクトはコンピューター・プレイセンターの事業とは関係ありません。どの回も歌と遊びのお集まりで始まります。

全ての子どもの目標

どの子どもも訓練を始める前に、それぞれの目標を立てます。ある少女は『何』と『誰』の意味が把握できず、しょっちゅう取り違えていました。同様に『あなた』と『私』も間違えていました。また『今』(今度)という言葉も時折使い方を間違えます。彼女の指導目標は、一つひとつの言葉の意味を把握することです。
 彼女は特にコンピューターで『順番ゲーム』をします。そして介助者は何度も「今度はあなたの番」「今度は私の番」とはっきり伝えます。介助者はイレーネ・ヨハンソンの訓練の方法論に従って、手話で自分の話したいことをより強調します。
 少女は時々室内で起こったことによって意識がそれますがコンピューターを使うことを楽しんでいます。6度の来館によって彼女は『何』と『誰』、そして『あなた』と『私』の使い分けを学び、これらの言葉の使い方をよりきちんと理解しました。
 少年達の内の一人はより自信を深める為に助けを必要としていました。彼は質問をされると、答えが判っていてもそれを口にするまでに時間がかかるのです。彼は要求されていると感じると、何もすることができないのです。また彼は忍耐と集中力をも学ぶ必要がありました。彼のために掲げられた目標は、コンピューターによって、原因と結果を学び、もう少し早く答え、楽しんで自信を強めることです。彼は集中しやすいように一人で部屋に座りコンピューターを使っていました。
 コンピューターを用いて彼が遊んでいる姿を映したビデオは、彼が介助者と共に楽しんでいる様子を示していました。プログラムソフトがすでに知っているものだと、少年は他の場合よりも早く答えることができるのです。

子どものレベルに合わせる

コンピュータープレイによって子どもの言語トレーニングを補足することはできるのでしょうか?それが可能ならば、余分なトレーニングの時間を使うことなく、子どもを楽しませながらそれを行うにはどのようにしたらいいでしょうか。
 それはコンピューターのプログラムソフトが一人ひとりの子どものレベルに合っている時に可能になります。
 もし適切なプログラムソフトを適切な方法で使うなら、言語的にも認知能力的にも学習上の良い道具となります。ある発達段階においては、認知能力を重視したコンピュータープレイの代わりにSpeech Viewerを選択することもできます。自分が話すことと画面に映ることの関係性が示されることにより、音声に対する子どもの認識が深まるのです。
 Aとoの区別に関し良い効果を挙げるには、その子どもの為に設定した別の目標にコンピュータープレイを組み合わせることです。  子どもと一緒にコンピューターの前に座る者はその遊びの目的を明白に知っていなくてはなりません。また臨機応変で子どもが出す合図を敏感に感じ取り、機会を捉えて即興的に行動できる人でなくてはなりません。プログラムソフトを身近に感じられるようにおもちゃを用意したり、絵や歌を用いたりすることも必要です。また遊びに用いる手話を練習しておくことも必要です。
 コンピュータープレイによる新たな楽しい方法を通し子ども達は、彼らが既に言語訓練の中で繰り返し練習して見につけたことに再び出会うのです。子ども達は彼らが既に知っている事柄に出会うことにより、安心し、さらに学べるように意欲を燃やすのです。
 もし子ども達が遊びや歌や手話のコミュニケーションによってコンピューター・プレイの中で行った経験をさらに強めることができたら、それを彼らに話し、彼らが話すことに耳を傾けてください。子ども達はそれによってより発達するチャンスを得ることができます。
 子ども達は録画されたビデオによって、コンピューターを使っていた自分の姿を見ることができます。その助けによって子ども達は他の人々に自分がどんなことをしていたのか話すことができます。
 介助者も両親達も子ども達がコンピューターから得たものに大変満足しています。コンピューターの傍には画面上で起こることに対して、言葉を添える大人が常についているべきだと主張する介助者もいます。そうでないと子どもはやみくもにキーを押すばかりで、何が起こっているのか判らなくなってしまいがちだからです。
 子どもが楽しいと思えるものは全て子どもに知識を与えると、ある親は言っています。

原因と結果を理解することが大事です

エーヴァ・リンドネルはコンピュータープレイが言語及びコミュニケーションの訓練の良い補足教材となる為には以下の項目が必要であると見なしています。

  • 複数の来館
  • よく計画された目標設定
  • 大人達の為の準備
  • 妨害を受けない環境と良い教育
  • 良いプログラムと様々な操作機器

 子どもが原因と結果を理解し始めたら、大人達はもう、やがて与えるコンピュータープレイの準備ができるのです。砂や粘土で型押しをしたり、灯りを点けたり消したり、テープをかけたり消したりといったクリック&ハップントーイ(tryck-händaleksaker)から始めるのが良いでしょう。子ども達は、自分の働きかけで周りの環境に影響を与えることができるのを体験できます。電動のおもちゃはまずコンピューターを用いて、各子どもの症状に合わせて動かすとよいでしょう。その後遊びをその子どもの発達に合わせてより抽象的なものへと変え、コンピューターの画面で遊ぶようにさせていきます。
 子どもは普段の能力を少し超えて何かに挑戦することによって、自信をつけていきます。コンピューターの前に座ってそれに精通していると感じることにより、確実に自意識を高めることができます。子ども達が大きくなれば彼らは必ずコンピューターにであうでしょうし、それなら先に試しておくにこしたことはありません!