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コンピューター・プレイセンターで遊びましょう-コンピューター・プレイセンタープロジェクトに関する図書

ウプサラ市

コンピューターは実体験の代わりにはなりません。

 ダニエッレは腰の手術をした後に特別仕様の車椅子でこのコンピューター・プレイセンターに来るようになりました。彼女は決して快適とは見えないような姿勢で座っていなくてはなりません。しかしコンピューターの前に座ると彼女の悩みは飛んでいってしまいます
。  その日はダニエッレの2度目のコンピューター・プレイセンター来館でした。最初の来館の後、ダニエッレの両親はカラープリンターのついたすてきなコンピューターを彼女の為に買いました。最初のうちダニエッレの母親はコンピューターを用いた遊びに対して、少々懐疑的でした。ですから特殊教育学者のモナ・ランネマールはダニエッレと彼女の母親が熱心になったことを喜びました。
 「しかし私は一度コンピューター・プレイセンターに来ただけの親達に、コンピューターを買うように薦めようとは思いません。少しの間、その子どもや家族にとってどんなコンピューターが最適なのか、考えた方が良いからです。」 このような場合以外は、もし子ども達がコンピューターによる遊びを喜ぶならば、モナは親達にコンピューターを買うように薦めています。
 「それが親達にとって高い価格であることは判ります。しかし、私は親達に、あなた方は重度の機能障害を負ったお子さんの為にスキー板もアイスホッケーの道具も買うことはないのを考えてくださいとお願いするのです。また親達が助成金の申請をできる基金もあるのです。」

言語療法士は週に3時間コンピューター・プレイセンターで働きます

 ウプサラのコンピューター・プレイセンターはフォルケ・ベルナドッテヘンメットにあります。これはMBD/DAMP症候群やその他の機能障害など、肢体不自由を持つ子どもの為の地域のコンペテンスセンターです。フォルケ・ベルナドッテヘンメットは大学病院付属の小児病院に属し、少人数クラスが集まった学校も経営しています。ランスティングと地方自治体は共同でコンピューター・プレイセンターの家賃を支払い、モナ・ランネマル、ヘレーネ・リンドストレーム、クリスティーナ・ベリィステン、マンフレッド・ギィゲルの給料はプロジェクトの資金から支払われています。ヘレーネは作業療法士です。ヘレーネと技術者のマンフレッドは週に10時間ここで働いています。クリスティーナは言語療法士で、週に3時間、ここにいます。館長のモナは半日勤務です。なぜならプロジェクト資金から給料を支払うと機器を買い入れる程残らなくなってしまうのです。ここには4台のデスクトップ型コンピューターと、4台の貸し出し用コンピューターがあります。その内の2台はやはりフォルケ・ベルナドッテヘンメット内にあるコンピューター視聴覚センターからプレゼントとしてもらいました。今までに100人の子ども達がコンピューター・プレイセンターを訪ね、10人が順番を待っています。子ども達は初めてここに来館するまでに通常約1ヶ月待たなくてはなりません。

2名のフルタイムの職員が必要です

 「もし幾つかの物事をさらに発展させる資金があったなら、私達のコンピューター・プレイセンターはさらに良くなるのですが。私達は特に、もっとプログラムについて学ぶ勤務時間を必要としています。私達が知識を身につければつけるほど、それを子ども達に伝えられるのですから。ですから私達は来年度の予算でフルタイムの職員の給料が2人分出るように、助成金を申請しています。またこの事業を続けられるように、政府が新たに設置したハビリテーションプロジェクト促進助成金の申請をしています。」  「また私達はより多くの青少年達が、ここを探して来館してくれることを願っています。大人との境界にいて、学校で困難を覚えている人がたくさんいるのですから。またより多くの親達に、このコンピューター・プレイセンターのインフォーメーションが届くことを願っています。ここウプサラでは、知能障害を持つ子ども、青少年、大人の為の協会、FUBに属する親達と連絡を取るのが困難なのです。」

ギュルドロックとお利口アレックス

 ウプサラコンピューター・プレイセンターはおもちゃを作成し、それをコンピュータープログラムと連動させて使ってみることに、かなりの時間を割いています。モーナ・ランネマルはこの開発を継続し、得られた知識やアイデアを他のコンピューター・プレイセンターと共有したいと考えています。各教材の呼び名はいかにも事務的ですが、子ども達にとっては、人形はギュルドロックちゃんですし、色々な売り物が入っているかごを腕に抱えたくまはお利口アレックスです。プログラム上の画像と同じ服を着ている人形達はマチルデとロビンです。またモーナはブロッブ達の区別がしやすいように、クリックスイッチを入れて縫いました。  またここには様々な大きさのアイスクリームがあります。厚紙でできたコーンの上にはふわふわしたファーでできたバニラアイスが乗っていて、とてもおいしそうに見えます。
 「子ども達が大きい、小さい、中くらいなど、区別するのを練習する時にはこのアイスクリームがとても役に立ちます。この研究教材によって子ども達は全ての感覚を鍛えることができます。コンピューターのディスプレイに映る登場人物を触ってみることもできます。時には子ども達がコンピュータープレイを穏やかに始めなくてはならない場合もあります。そのような時は床に寝転んでクリックスイッチで動くおもちゃで少し遊んだり、テディとお店屋さんごっこをしたりします。」
 ウプサラのコンピューター・プレイセンターも他のコンピューター・プレイセンターと同じように教材を購入していますが、そのほとんどはモーナが作成したものなのです。最近彼女は、この半年間『青少年の広場』を開いているマリッタ・タレーンの助けを受けています。マリッタは幾つかのプログラム内のイラストをまねて描いてみせることができます。それらを使って子ども達は、プログラムの名前を言えなくてもお気に入りのプログラムを選ぶことができます。またその絵が子ども達の記憶の助けにもなります。
 多くの人々が見学に行きたがり、またコンピューター・プレイセンターの講習会を受けたがります。子ども達の時間をあまり侵害することなくこのような人々を受け入れるには時間が必要です。
水曜日は各講習に重点を置いています。1993年のある2ヶ月の見学リストはこのようになっています。
『コンピューター・プレイセンターを開くヴェステロースのハビリテーションセンター職員が3時間のインストラクションを受けた。ウプサラの聴覚センター職員が2時間の説明を受け、ストックホルムの聴覚訓練士がフォルケベルナドッテホームの訓練士達と同様に一日講習を受けた。その次の日はコンピューター・プレイセンターが何時間か親達や視覚障害者専門教師であふれる。聴覚障害を持つ子どもの親達がある夕方来館する。モーナとヘレーネはソーレンテューナで開かれたコンピューターフェアでコンピューター・プレイセンターについて話し、またイェーブレボリィ県とウプサラ県の教師対象の為の講習を急に開くことにした。オーランドの特殊教育教師がある日アドバイスを受ける為に来館し、また同日MBD/DAMPの子ども達のためのソーシャルワーカーが35名来館した。』

座席は大切です

ヘレーネ・リッドストレームもモーナ・ランネマールも以前の職業から、肢体不自由を持つ子ども達の為に働いた経験が最も豊かです。それによって得た知識を彼女達はコンピューター・プレイセンターの仕事で大いに生かすことができます。なぜならば肢体不自由を持つ子どもの為には、コントローラーと座席の両方を調整しなければならないからです。
 「全コンピューター・プレイセンターに共通する黄金律があります。それはただ一度の来館でそれぞれの子どもに合ったコントローラーを見つけるということです。それには最適の座席を見つけるということが前提になるので、時折難しいこともあります。子ども達は初回の来館時に、適切なコントローラーをプログラムと共に家に持って帰ってコンピューターで遊んでみます。その後自分のコントローラーを(ランスティングから)支給されるのです。」
モーナとヘレーネは言いました。

耳が聴こえない子ども達

多くの聴覚障害の子ども達が国中から来館するのは、ウプサラのコンピューター・プレイセンターだけです。手話による会話を交えながら子ども達とコンピュータープレイを行うことのできるクリスティーナ・ベリィステンというスタッフが時々来て、子ども達と遊びます。
 耳の聴こえない子どもの何人かは、間もなくあるグループに入ります。視覚障害や肢体不自由を持つ子ども達のグループはすでに幾つか存在しています。
「各グループには4人の子ども達がいます。私達は彼らが2人ずつ組になって遊べるプログラムを見つけているところです。子ども達は交代したり、自分の番を待ったりすることを楽しいと思い、それと同時に練習しているのです。特に幼稚園で機能障害を持つのが自分一人という子どもには、同じ障害を持つ他の子ども達と会うことは大きな価値があります。」
 モーナとヘレーナは言いました。
 ダニエルとステファンは4歳半の双子です。彼らは一緒にコンピューター・プレイセンターにやってきますが、コンピューターを使って二人で遊ぶことはできず、パパやママと遊びたがります。両親のカローラとオーヴェはイェーブレから数十キロメートル離れたオースハンマルから来ています。彼らはウプサラに行ってコンピュータープレイをすることは、旅費や時間をかけるだけの価値があると考えています。けれどもイェーブレにも早くコンピューター・プレイセンターができることを待ち望んでいます。
 子ども達はみんな、グループに入る前にそれぞれ5回ずつ来館します。多くの子ども達がグループで来館してくれれば、より多くの子ども達を受け入れることができるのです。

コンピューターは実体験の代わりにはなりません

コンピューターは他の活動や体験の補足となりますし、ほとんどの親達もそのように見なしています。しかしモーナはいつも親達に、子どもが余り長い間座り続けないように見ていてくださいと、勧めています。子ども達は45分遊んだら、やめるべきです。彼らは余り長い間座っていると頭脳も目もすぐに疲れてしまうのですからとモーナは強調しています。
 コンピューター・プレイセンターに来館する子ども達はみんな、コンピューターによる遊びを最大限に活用して楽しみます。発達の時期において、かなり早期にいる子ども達でも興味に目を輝かせます。しかし中には重度の機能障害や、肢体不自由と知的障害を併せ持つ子ども達もいます。このような子ども達には私は余りコンピュータープレイを与えたいとは思いません。例えば戸外に出て色々な物を見たり触ったりするなど、他にもっと実際的で彼らの役に立つ活動があるからです。」 モーナは言いました。