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国際セミナー「認知・知的障害者の社会参加と情報技術」

開会あいさつ

小川 諄
財団法人中央競馬馬主社会福祉財団理事長

 国際セミナー「認知・知的障害者の社会参加と情報技術」の開催に当たり、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、全国各地から多くの皆様の参画を得て盛況のうちにセミナーの開催を迎えることができました。
まず始めに、本日のセミナー開催に多大なご尽力を頂いた財団法人日本障害者リハビリテーション協会並びに関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。

 さて、本日セミナーを主催致します私ども中央競馬馬主社会福祉財団ですが、当財団は1969年の設立以来、全国の民間社会福祉施設等に対する助成事業並びに民間社会福祉施設職員の海外及び国内研修事業などを行なうとともに、国際セミナーについても、その時々の社会福祉に関連する諸問題をテーマとして随時開催してまいりました。
 このたびのセミナーのテーマは、「認知・知的障害者の社会参加と情報技術」ということですが、この点につきましては、今年度から障害者の福祉制度が大きく変わり、これまでの与えられる福祉から障害者の自己決定を基本とした支援費制度へ移行したことは皆様御承知のとおりであります。また、近年におけるパソコン、携帯電話等、情報機器の開発とその普及には驚異的なものがあり、障害のある方々の社会参加に当たり、今や情報機器の活用は欠くことのできない大きな課題となっております。

 このような現状を踏まえ、私ども財団といたしましても、障害を持つ方々やその家族のために少しでもお役に立つことができればと思い、障害者のリハビリテーションに関する調査研究に熱心に取り組んでおられる「財団法人日本障害者リハビリテーション協会」に特にお願いをして、本日の国際セミナー開催の運びとなった次第であります。

 本日は幸いにも、海外からは、著名な専門家でありますスウェーデンのハンディキャップ・インスティチュート、プロジェクトリーダーのビルギッタ・イェツバリィ氏、アメリカのルイビル大学ケンタッキー自閉症支援センター所長のジョン・チャールズ・バーク氏をお招きし、またイギリスからは、ディスレクシアと戦いながらロンドン建築大学で勉学中のご本人をお招きすることができました。海外の著名な専門家による大変貴重な講演と障害をもつご本人の切実な体験談などが拝聴できるものと期待しているところであります。

 また、日本からは、高次脳機能障害の先駆的な取り組みを行なっている国立身体障害者リハビリテーションセンターの河村障害福祉研究部長による基調講演がございます。

 午後のパネル討論では、障害者の通所授産施設や通所更正施設などを運営する社会福祉法人足利むつみ会の阿由葉寛理事長、そして、アイデンティティ論や、障害学などの専門家であります静岡県立大学国際関係学部の石川准教授にパネリストとして参加して頂き、「情報技術を社会参加に活用する」をテーマに、活発な討議が行なわれる予定となっております。

 世界各国から多彩なメンバーの参加を得て開催される本日のセミナーが、我が国における障害者とその家族の方々に勇気と希望を与え、障害者の社会参加の前進に向けた着実な一歩となることを心から祈念いたしております。

 最後になりましたが、遠路ご出席いただいた、スウェーデンのビルギッタ・イェツバリィ氏、アメリカのジョン・チャールズ・バーク氏、イギリスのロンドン建築大学でご活躍中の学生さんに、心から感謝を申し上げますとともに、今回のセミナーを実質的にお膳立ていただいた日本障害者リハビリテーション協会並びに関係者の皆様に改めてお礼を申し上げまして、私の挨拶といたします。

松尾 武昌
財団法人日本障害者リハビリテーション協会 副会長

ご紹介にあずかりました財団法人日本障害者リハビリテーション協会副会長の松尾でございます。
国際セミナー開催にさき立ちまして、ただ今ご挨拶をいただきました中央競馬馬主社会福祉財団小川理事長とともに主催者を代表し、一言、ご挨拶を申し上げます。

本日は、国際セミナーに全国から200名を超える皆様に参加いただき誠にありがとうございます。
私どもの協会は、障害者のリハビリテーションに関する調査研究と国際的な連携のもとに障害者のリハビリテーション事業の振興を目的として昭和39年に設立されて以来、障害者の社会参加及びリハビリテーションの振興に努めて参りました。また、私どもの協会は、国際リハビリテーション協会の日本の窓口として、リハビリテーションの各種専門家、障害当事者の幅広い参加を得て、障害者の「完全参加と平等」の実現を目指し活動を続けています。

 近年、わが国の障害者分野における制度施策は大きな転換期を迎えています。特に、平成14年度の資格制度に関する障害者の欠格条項の見直し、昨年12月に策定された「新障害者基本計画」及び「新障害者プラン」、また今年の4月から実施されました障害者が自らサービスを選択し、契約によりサービスを利用するという新しい考え方による「支援費施度」がスタートしたところであります。
 このように、障害者の自己決定を基本とする制度のもとで「認知・知的障害者」の社会参加をどのように発展させていくかが、大きな課題となっています。

この隘路を見いだすため、本日、情報技術を活用して認知・知的障害者の読み書きを支援する活動の成果をあげているアメリカ、スウエーデン、イギリスから、専門家及び障害当事者をお招きし、「認知・知的障害者」が地域において、どのような支援を受けて自己決定し、社会参加を進めているのかを学び合い、わが国での実践応用について討議するため、この国際セミナーを開催する次第であります。

 本セミナーが有意義なものとなることを期待しますとともに、ご参集の皆様の今後ますますのご発展を祈念いたす所存であります。
最後になりますが、国際セミナー開催のための資金をご助成いただきました中央競馬馬主社会福祉財団、セミナー開催の趣旨にご賛同いただき、ご後援をいただきました厚生労働省、総務省、各大使館、LD 学会、また、本日ご講演を賜ります講師、パネリストの皆様がたに、深く感謝申し上げまして、開会の挨拶といたします。
ありがとうございました。

金井 博
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課社会参加推進室長

「国際セミナー・認知・知的障害者の社会参加と情報技術」の開催にあたり、一言御挨拶を申し上げます。
 本セミナーは、「地域における認知・知的障害者の社会参加と情報技術による支援」をテーマとし、情報技術を活用した認知・知的障害者の地域生活支援の取組みについて、諸外国での取組みを踏まえ、討論を行うものです。

 我が国におきましても、現在、急速に進展する高度情報通信社会において、障害者の方々の社会参加の推進の上で、情報通信技術の積極的な活用と、デジタル・ディバイドの解消は、大変重要な課題となっております。こうした状況において、スウェーデン、アメリカ及びイギリスからそれぞれ関係者の方々を講師としてお招きして、貴重なお話をお伺いし、今後の取組の方向性について討論を深める今回のセミナーは、まさに時宜を得た、大変有意義なものと考えております。

 厚生労働省におきましては、障害者の方々が自らサービスを選択し、契約により利用する仕組みである支援費制度を、本年4月よりスタートさせたところであり、今後ますます障害者の方々が主体的かつ積極的に参加・発言されることが重要になってまいります。このためにも、障害者の方々への情報・コミュニケーション支援の体制整備が急務であり、新しい「障害者基本計画」において、情報通信技術の活用による障害者の方々の自立・社会参加の支援及び情報バリアフリー対策の推進を盛り込み、現在これに基づいた取組みを推進しているところであります。

 今後、障害の有無にかかわらず、国民誰もが参加、参画できる共生社会を実現することが重要であり、関係施策について新たな展望を切り開く上で、関係者の皆様の声を十分うかがっていくことが、大変重要であると考えております。皆様におかれましては、何卒引き続き御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 終わりに、本日セミナーの開催に御尽力いただきました関係者の方々や、御参加いただいている皆様方の今後のますますの御健勝と御活躍を祈念いたしまして私の御挨拶といたします。