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国連世界情報社会サミット報告会

主催者挨拶

財団法人日本障害者リハビリテーション協会参与
寺島 彰

 私は日本障害者リハビリテーション協会情報センターで参与をしております寺島です。本日は週末のお忙しい中、国連世界情報社会サミット報告会にご参加いただき、ありがとうございます。

 新聞報道でもご存じかと思いますが、国連世界情報社会サミットは、情報技術社会の将来像について協議するために、昨年12月10日から12日までスイスのジュネーブで開催されました。世界176カ国代表の参加があり、そのうち約50カ国は首脳が参加したと言われています。日本からは麻生太郎総務相がコメントを述べております。

 今日、ICT(情報通信技術)は、障害のある方のための強力な支援手段であるという認識は既に共通の理解になっております。例えば、私は、以前視覚障害者の方の生活訓練を担当していましたが、最初は盲人かなタイプというものを教えておりました。この盲人かなタイプといいますのは、かなタイプライターのキーボードや筐体の一部に突起物を貼り付けて、指先の触覚をつかって、視覚を使わずに文字を打つという訓練を行っていました。かなタイプですから、もちろん漢字は書けません。打った本人は、自分が正しい文章を作成したかは確認できませんでした。その頃には、視覚障害者の方は漢字かなまじり文は書けないという状態でした。それが約20年前に音声ワープロや音声パソコンなどが開発され、現在では、視覚障害者の方の多くが漢字を用いて文章を作成し、インターネットやメールを活用し、それを職業にしておられる方もたくさんおられます。

 今日では視覚障害者だけでなく、聴覚、肢体不自由、さらには知的障害や精神障害をもつ皆さんもICTを活用して活動範囲を拡大されております。このように障害者は既にICTを活用している重要なグループであると言えます。このような中、昨年12月にデジタル・デバイド(情報格差)の解消やインターネット管理、知的所有権など、情報社会をとりまく問題を議論するための国連主催による世界各国の首脳による会議が開催されることになりました。それが、世界情報社会サミットです。この会議で採択されると思われる宣言や、行動計画に果たして障害者の議題が取り上げられるのかどうか、それが今後の障害者のICT環境を左右することは明らかで、それにいち早く着目し、この世界情報社会サミットに障害者問題が取り上げられるように世界的な障害者コミュニティ活動の中心になって組織、コーディネートしてこられたのが、本日、ご講演いただきます河村さんです。河村さんは、現在は国立身体障害者リハビリテーションセンターの所属ですが、昨年の6月までは本協会の情報センター長をされておられました。詳しいいきさつにつきましてはご本人からお話いただけると楽しみにしております。

 また、その障害者コミュニティ活動の1つであり、2003年12月12日に同じジュネーブのパレクスポで開催されました「グローバル・フォーラム-情報社会における障害者-」においてICTを活用した障害者支援の成功事例として、「精神障害者を支援するテレビ会議システムの開発とデジタル・アーカイブ」という発表をされました山根耕平さん。また、すべての人のためのICT設計と開発事例として、「自閉症と情報コミュニケーション技術支援」について発表されました須田初枝さんと阿部叔子さんにもご報告をいただきます。講師の皆さま方は、お忙しい中、遠方からおいでいただきました。感謝申し上げます。また会場をお貸しいただきました日本財団にも感謝を申し上げたいと思います。

 最後になりましたが、国連世界情報社会サミットに関する情報は、本協会が主催しております障害保健福祉研究情報システムのホームページで見ることが出来ます。日本障害者リハビリテーション協会のホームページからたどっていくことができますので、参考にしていただければ幸いです。長くなりましたが、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。