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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

調査結果報告

(財)日本障害者リハビリテーション協会
有田 由子

当協会は今年度、障害者の方々に対するIT支援活動について調査を行いました。この調査の目的は全国の地域において障害者の方々へのパソコン・インターネットを利用した情報支援の現状とニーズを把握し、有用な支援モデルの構築、及び提言につなげていくことです。

平成17年7月から12月まで全国のパソコンボランティア団体、約180団体に郵送、ファックス、Eメールによるアンケート調査を行いました。回答数は90件でした。平行しまして、全国11箇所15団体に取材をしまして、取り組みについての聞き取り調査をしました。

この調査で一番苦労したことは、調査先の割り出しです。いったいどこがパソコンボランティアを行っているか把握することが一番大変でした。厚生労働省が平成16年度にパソコンボランティア養成派遣事業の助成を行っており、それを自治体がどこに出しているかという事を基本に電話による調査を行ってそこから割り出していきました。また、当協会が2002年からパソコンボランティア指導者養成研修を行っていますが、今までに約400名の方々に参加をしていただいておりまして、その方々の所属していらっしゃるパソボラ団体にアンケートをお送りしました。また過去に行われた調査や研究を参考にさせていただいたり、インターネットのキーワード検索によって割り出しました。

都道府県別のアンケートの回答ですが、関東、関西が多く、人口に比例した現象であると言えると思います。また、福岡は活動団体数が5団体と九州の中では突出しています。中には存在すら確認することができなかった地域があり、かなり地域格差があるのではないかと言えると思います。都道府県別アンケート回答団体数が0になっているところもありますが、これはパソボラ団体がないというわけではなく、残念ながらアンケートが返ってこなかったところについては実態がわからないので、カウントはいたしませんでした。従って、パソボラ団体がないというわけではありませんので、ご理解下さい。

次に、支援者の数ですが、1~10名、そして11人~20名と回答が2分されています。はたして1~2名で支援を行っているところを、「パソボラ団体」と呼べるかどうかということは疑問ですが、あくまでも全国でどこがどういった活動をしているのかについての把握に努めましたので1~2名もグループとしてカウントをいたしました。

次に支援対象者ですが、当初企画委員会では聴覚障害者や知的障害者、精神障害者の方々にはあまりパソコンボランティアに対するニーズがないのではないかという話がでましたが、調査をしてみますとかなりの団体が聴覚・知的・精神障害者、それに加えて高齢者の方々を支援しているというということがわかりました。

支援の方法は圧倒的に講習会・研修会、そして訪問支援が多く、それぞれ57%と56%でした。

支援内容ですが、ほとんどの団体が基本的なパソコンの操作やインターネット、メールの方法、エクセル、ワードなど初歩的なことを教えていらっしゃいました。中には、就労支援をしているグループは就労に直接つながるようなアプリケーションを教えているところもありました。

他の支援団体との連携、ネットワークがありますか、という質問に対しては約70%の団体の方々が「あります」とお答えになっていて、その方法がメーリングリストや研修会やセミナーの開催という回答でした。ネットワークに関しては、今年度の調査では、中身についてはあまり詳しくお伺いしていなかったということがあります。例えば行政や医療機関、あるいはどこまでのネットワークなのか、同じ市内または県内、もしくは全国的なつながりはあるのかというようなことを来年度さらに詳しく調査する必要があるのではという方向性がでてきました。

グループとして、支援に関する問題点や課題をお伺いしたところ、圧倒的に十分な予算がない、支援者が足りないという回答が多くありました。その次に支援者が技術を習得する時間がない、支援技術を習得する場所がない、支援技術に対する情報が不足しているという回答が多くありました。問題点に関する自由記述からは、作業療法士や理学療法士との連携不足、人材育成についての悩みがあるとのお答えがありました。これらの問題点に関して後半のパネルディスカッションで、パソコンボランティアとより良い支援の方向性について検討していただければ幸いです。

最後に、今日いらっしゃっている皆様方の中にアンケートにご回答いただいたり、快く聞き取り調査にご協力していただいた方々もいらっしゃいます。本当にどうもありがとうございました。