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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

練馬ぱそぼらん

正式名称:特定非営利活動法人 練馬ぱそぼらん
メールアドレス:pasovolun@dream.com
ウェブサイト:http://www32.ocn.ne.jp/~paso_volun/

団体の概要

平成7年練馬区社会福祉協議会練馬ボランティアセンター主催の「パソコン指導者養成講座」に参加した10名の参加者と講師が講座終了後に自発的にグループをつくった。平成8年1月に任意団体ぱそぼらん(練馬パソコンボランティアの会)を発足した。発足当初は、パソコンの初期設定や軽度の障害者にパソコンを教えるなどの在宅支援を主に行っていた。また、練馬区職員から「在宅の方でパソコン支援者を探している」など個人ベースの依頼や単発的に福祉施設にボランティアに行くような活動の積み重ねであった。やがて練馬区の施設やセンターへの継続的なボランティア派遣が始まる。その後5年間の活動を経て平成13年NPO法人を取得し、名称を練馬ぱそぼらんに改称した。設立当初から行政機関と組むことによって安全性の高い取り組みにしていくという目的があり、練馬区がIT支援の推進を考えていた時期と重なり、練馬区をはじめとした行政機関、公的機関とかかわりのある仕事をすすめてきた。現在は支援者養成はじめ練馬区からの委託事業を受けている。

問い合わせや相談依頼は全国様々なところから来ているが、練馬区、社会福祉協議会、都など公的機関を通して入る場合もある。区外の依頼については各地域の社会福祉協議会やボランティア団体などを紹介、連絡を取りコーディネートしている。発足当初からの方針で、就労支援は行わずそのはざまにある方々に対し、生活の中で身近に(コミュニケーションや社会参加の道具として)ITを使ってもらうための支援をめざしている。依頼があるとまずコーディネーターがインタビューに行き依頼者の目的を明確にする。基本的には導入、最初の操作のお手伝いが中心であるが、最初の段階でパソコンやITを活用する便利さ、楽しさを実感し、パソコンウィルスや身体にかかる負担など危険な部分についても理解をしてもらいたいと考えている。

練馬ぱそぼらんの活動

パソコン教室:内容は入門レベルで体験してもらうことが目的。対象は軽度の方が中心。アシスタントを必ず一人ずつつけて、一括講義と個々の障害者に合わせたカリキュラムを組み合わせている。教室であってもできるだけ依頼者の希望に沿う形で進めている。知的障害の方へは福祉施設へ出向き、そこの職員の方と相談しながら本人にあうカリキュラムを作り進めるケースが多い。

在宅支援:重度の方々は移動の困難や個々の障害によってサポート方法が異なるので、在宅支援を基本としている。コーディネーターが依頼内容を聞き、担当ボランティアと依頼者にあったカリキュラムを作成し、チームで対応する。期間は最長3ヶ月をめやすにしている。 事故を未然に防ぐために、介助が必要な方の場合には必ず介助者のいるときに訪問するようにしている、IT支援はできるけれど、介助の専門ではないのでしっかり線引きをし、了承してもらっている。

パソコンボランティア、支援者養成:講習会、および実際に支援経験者と共に行動して現場で覚えてもらう仕組みを内部で作っている。

会員について

会員(支援者)は40名程度を保っている。一人ひとりを理解しながら進めることができる人数は50名ぐらいと考えている。年齢層は20~70代まで幅広いが、最近は30~40代で各種機器のメーカ関係の仕事をしている方で仕事にも生かしたいという会員も増えてきた。

そのことで企業とのノウハウの交流ができている。会員もスタッフも機会があれば地域だけでなく、外との交流や情報交換を積極的に行っている。その中で企業とのつながりも生まれてきた。現在スタッフ(コーディネーター兼任)11名、適性としては客観的な判断のできる方で福祉かIT関連の資格をもっている方が多い。経費の関係で事務所は持っていないが、少なくとも月に1回はスタッフミーティングと例会を行っている。

問題点・課題

最近は重度の方への対応が増えており、決め細やかな対応をしていくため、リハビリ関連の方、企業など外部との連携した支援が増えている。外部とのコーディネートに非常に負荷がかかっており、ボランティアの域を超えている。障害者に必要な環境づくりのため、行政に対しても、ボランティアと利用者の間で、IT支援とリハビリを理解し、調整役となる人材の育成が必要であると訴え続けている。

パソコンボランティアの危険な部分も自覚しているので、活動内容は日々見直し、スタッフミーティングを重ね、会員向けに内部の養成講座や説明も密に実施している。情報の取り扱いについてもかなり厳しい管理が必要であると感じ、個人情報保護に関する規定や運用ルールなどのしくみを整えているところである。そうなると本来の支援以外にやるべきことが非常に多くなっている。

正しい情報を障害者へきちんと伝えるために、支援者自身も勉強が必要である。本来ならコーディネーターレベルであれば、生活支援に関わる制度的な知識なども必要になってくるがボランティア活動では限度がある。

今後の展望

依頼者にとってよい環境をつくるためのしくみづくり、ボランティアに負荷がかかりすぎず、生き生きと活動できるしくみづくりをしたい。そのために行政、リハビリ、福祉施設等との連携と役割分担を働きかけ、共に仕事ができるようにしていきたい。すでに練馬区との委託事業でその一部が進められる予定。

パソコンボランティアだけに特化しないということが重要である。少し視野を広げていろいろなものとの組み合わせた企画も増やしている。養護学校の保護者を対象にした講習やイベント参加など。ボランティアもいろいろな経験を重ねることで柔軟な対応ができるようになってくる。