平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書
シニアネット仙台
正式名称:NPO法人シニアのための市民ネットワーク仙台
所在地:仙台市青葉区一番町2-5-12 一番町中央ビル8階
メールアドレス:office@sendai-senior.org
ウェブサイト:http://www.sendai-senior.org/rev1/
会の成り立ち
シニアネット仙台は、宮城県の認証を得た10年の実績(設立平成7年、法人化平成11年)を持つNPO団体である。独立活動10、カルチャー教室13という様々な活動の中でも、パソコン教室はシニア世代を対象として情報機器の活用や普及のお手伝いをすることを目的としたボランティア活動であり、会員の一人ひとりが、それぞれの人生経験や特技、知識を社会に還元したいという善意の人の集まりで成り立っている。
パソコン教室がスタートして9年、シニア世代は視覚や聴覚の加齢による減衰が多いため、一般の晴眼者に加え中途視覚障害者の対応をするためにスクリーンリーダーの勉強を始めて5年が経過した。会員に視覚障害者がいたこともあり本格的なサポートを行ってからは3年が経過している。
パソコン教室の活動内容
受講者一人につき、講師(サポーターと呼び先生・生徒の関係を作らない)と受講者のマンツーマン指導。講習費は一般教習と同じく1時間当り1000円。研究会や眼科医による指導、多くの当事者の意見をもとに、一人ひとりのニーズに合った講習を行っている。テキストは、その人その人に合わせた資料を用意する。それぞれに対応した丁寧な指導を心がけていることもあり、他の集団講習会で理解できなかったという人がシニアネット仙台に習いに来ることも多い。また、講師と受講者の信頼関係を築くために、障害者教習では最初のヒアリングに2時間程じっくりと時間をかける。現状を把握し、その人のニーズに合った援助をするために、障害者手帳や見た目だけで判断せず、障害について詳しく聞くことにしている。それを基に、受講者一人ひとりに合わせてカリキュラムを組み、習熟度に応じてスキルを判定し直す。とても骨の折れる作業だが、一人ひとり障害の程度も違えば習熟度も違うので、必ず実施している。また、出張講習は行っていない。受講者の引きこもりを防ぐことと、教習側の負担と経費削減の意味もあり、来所してもらうことにしている。
講師は現在5名(うち1名は石巻市在住で県北担当)で、日々進化するコンピューターに対応するためにも、他の講習会に参加して勉強するなど常にスキルアップを計っている。
講習会
一般教習と同じく原則毎週水曜日と金曜日の10:00~16:00までPC講習会を開いている(就労中の受講者は曜日について別途相談の上設定)。1回90分(障害者教習は通所負担や早期習得を考慮して1日3時間又は4時間を設定)。障害者はそれぞれの障害程度に合わせて60分で1回休憩を取る。90分3回の講習で受講料は5,000円。1回ごとの人は90分で1,500円。障害者職業センターからの受託事業としての受講を希望する人も多く、その場合は、60時間の講習を行う。(上級コースは120時間)
課題
行政や企業の特別支援が殆ど得られないこともあり、運営資金が会費だけでは賄えず、家賃・光熱費の支払いだけでかなりの支出となっているため、やりたいことがあっても思うような活動ができないでいることが最大の悩みである。
また、人材不足も大きな問題である。スクリーンリーダーを初め、特別なPCソフト購入の負担が大きくサポーターは自分のパソコンに導入出来ず勉強や確認の為に教室まで出向く必要があり、受講者のニーズに充分には応えられていない。実際、何ヶ月も待っている人もいる。
このような中でもいくつかの民間団体からの助成金と自分たちで行う機器のステップUPで常に最新のOSだけでなく旧バージョンを含めて受講者の使用環境に合わせた対応を心がけている。
視覚障害者教習の基本はモニター画面を見ずに音声ガイドを基本とすることとマウスを使用しないでキーボードのみで操作することから始めるが、一般的なショートカットキー以上に特別な組み合わせや特殊キーの使いまわしは自分たちで見つける必要がある(公開された教本がない)ことや、市販ソフトの中で音声ブラウザに対応していないものがかなりあり日常の使用環境を教習に生かせないことから協力者が限定されたり、特別な研修をサポーターに実施する必要があるなど受け入れ側にもバリアが存在している。