平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書
基調講演
「パソコンボランティアと障害者IT支援の展望」
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パソコンボランティアと障害者IT支援の展望
都立中央ろう学校
主幹 三崎 吉剛
デザインのマーケットプレイス[DEX] http://www.dex.ne.jp/
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障害者へのIT支援の最大の課題
障害者のことが分かる人はコンピュータに詳しくないし、
コンピューターが分かる人は障害者のことを知らない、
だからうまくいかないんです。
20年前のある保護者の言葉
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なぜコンピュータなのか
・ソフトウエアで何にでも変身できる。
・多様な障害者のニーズに対応できる。
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・障害者でもコンピュータを使えるようにではなく障害者だからこそコンピュータを使うという発想
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日本で最初の障害者IT支援 1957年
・日本電信電話公社研究所喜安善一氏と東京
教育大学学生であった全盲尾関育三氏が、パラメトロンコンピュータで、ローマ字、カナ文字と、点字との相互変換実験を行なう。
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喜安善市 (きやすぜんいち)
名称と完成年
ABC 1942年
Collossus 1943年
ENIAC 1946年
The Baby 1948年
EDSAC 1949年
MUSASHINO-1 1957年
写真は以下より引用
http://www.candc.or.jp/kensyo/2004nendo/dr_kiyasu_zen-ichi_ryakureki.htm
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プログラム内蔵方式
・パソコンのようにプログラムによって機能を変えることのできる初期のコンピュータは以下である。
・The Baby 1948年
・EDSAC 1949年
・MUSASINOー1 1957年
・我が国のコンピュータ開発の初期に障害者支援があったことに注目したい。
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パソコンによる障害者支援
・支援の現場では、ひとつの障害に対応したことを考えていけばいいということではない。
・事例:脳血管障害で片麻痺であり、手のふるえと、高齢のための難聴があり、さらに視力が弱いというケース。
1.キー操作を順次操作
2.画面拡大
3.スクリーンリーダー
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漢字が読めない学習障害の方への支援
・事例:漢字が読めないためパソコンの操作が困難がある
・スクリーンリーダーによる漢字の読み上げ機能使う
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キーボードと画面の対応を理解することが難しい学習障害の方への支援
・事例:携帯電話でメールができるが、パソコンのキーボードで文字を打つことが難しい
・ペンコンピュータのようなインターフェースを利用する
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様々なニーズに対応する
・ボランティア間の情報交換と情報蓄積が有効
・さらに、盲ろう養護学校という、特別支援学校を利用することも可能
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パソコンのOSに仕組まれている機能超漢字(BTRON)
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BTRONへのボランティアの関わり
・設計者と障害者・IT支援ボランティアの出会い。
・設計段階で、導入され実装された。
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あらかじめ組み込んでおけば
・障害者のみならず、様々な人に利用できる
・事例:初めてキーボードをさわる高齢の方で、
・おそるおそるであるため、キーリピートや、キーの反応の早さがストレスになる。
1.キーリピート解除
2.有効時間の設定
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有効時間を設定した場合
リリースとプレスの関係
一定時間プレスしていないと入力はなかったことになる
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有効時間・無効時間
キーを押して有効になった後、キーを離してまたふれてしまっても、
しばらくの間はキーを入力したとは見なされない。
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「障害」とは環境とのミスマッチという発想
・どのような人も、環境によっては障害者と同じ状態になる。
1.荷物を抱えている人は、片方の手が使えない。
2.騒音の大きな工場では、音声による情報は伝わらない。
3.振動の激しい乗り物のなかでは、キーのミスタッチが生じる。
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ウエアラブルコンピュータの進化
・身につけるコンピュータ=ウエアラブルコンピュータ
音声読み上げ機能がついた携帯電話
リアルタイムの動画の送受信ができる携帯電話
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テレサポート(長谷川貞夫氏)
事例:テレビ携帯電話により、重度の車椅子の障害者の方が、全盲の方が手に持っている本の文字を読んでいるのを携帯で聞いている。
http://www.kikiweb.net/column/2003/09/
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テレサポート 遠隔支援
・視覚障害者の目の代わりに、遠隔地にいる他の方がその画像を音声で伝える。
・高機能の携帯電話が普及している日本ならではの事例である。
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ユビキタスコンピューティング
・道路や商店など至るところに数ミリ角のコンピュータを埋め込み、障害者の移動を支援するという国土交通省の実証実験。
http://www.jiritsu-project.jp/index.html
・ユビキタスコミュニケータにより、街角で情報を、手話、文字、音声などで手軽に入手できることを実験中。
・電動車椅子を目的地までナビゲートすることも。
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国土交通省障害者自律移動支援プロジェクト
・障害者から出発すれば、誰にでも利用できる
・あとから障害者の仕様を組み込むよりコストが下がる
・携帯電話のようなコンピュータはあとからプログラムすることは出来ないということもある
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ユビキタス時代のバリアフリー
・至る所にコンピュータがあふれる時代
・インターフェースを間違えると至る所にバリアが生じてしまう
・インターフェースを提案していくというボランティア活動
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技術の進歩とバリアフリー
・技術の進歩は、必ずしも障害者の便利さにつながらない
・事例:タイプライタは使えたがパソコンは使えない(肢体不自由者)
・事例:機械式券売機は使えるがタッチパネル式は使えない(視覚障害者、肢体不自由者)
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JR東タッチパネル券売機(1995年)
・JR東と障害者・関係者との対話の実現
・インターフェースの提案
・JRと障害者による実証実験
・実験結果からJR東のバリアフリーへの方針転換
・記録 http://homepage2.nifty.com/ymisaki/
http://www.sakamura-lab.org/TRON/EnableWare/TronWare/enableware/36.html
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障害者とそれを支えるボランティア
・障害者と企業との「対話」を阻むもの
・インターフェースを提案する障害者とボランティア
・当事者による実証実験が大事
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テンキーつきJR東タッチパネル券売機
http://f41.aaa.livedoor.jp/~ponbashi/JReast_SuicaKenbaiki.html
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パソコンボランティアの連携
・ボランティア間の連携(多様なニーズ)
・企業との連携(ユニバーサルデザイン)
・特別支援学校との連携(センターとして)
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技術と人間
AFB
American Foundation for the Blind
http://www.afb.org/Section.asp?SectionID=1&TopicLD=194&SubTopicID=6&DocumentID=865