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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

利用者からの報告
パソコンがあるから生きられる

ありんこ会員
吉川 豊子

写真

一宮ありんこ会員吉川豊子です。

愛知県一宮市に住んでおりまして、中途失明です。平成14年1月、視覚障害者IT講習会を受講しまして、パソコンボランテァさんとの出会いがありました。失明前、楽しんでいた趣味などが一つ一つ、この手から離れて行く、例えようもない寂しさと、将来への不安に、心が揺れている時、パソコンは、そんな私の心を癒やしてくれました。

Ⅰ.パソコンボランティアに巡りあったことでどのように生活が変わったのか

パソコンボランテァさんに巡り会い、ありんこに入会をして、多くの先輩方との出会いがありました。

その中で、聴覚視覚の二重障害を持つ先輩から「勇気」をいただきました。「頭で覚えるのではなくて、指が覚えるから大丈夫だよ」と、たどたどしい言葉を聞きました、同時に、両手の指が、きちんと揃えた膝の上で動いているのに気がつきました。

その時、少なからず感動を覚え「私にも出来る」と勇気が沸いてきました。パソコンの表も裏も、わからないままに、パソコン覚えて、私の人生は「夢と希望」に大きくふくらみました。長い年月、読めなかった文字が読め、書けなかった文字が書ける、パソコンは、失くした視力と、引き換えに与えられた大きな「幸せ」で、何物にも変えがたい貴重な存在になりました。

Ⅱ.パソコンを活用して何ができるようになったのか

文字を取り戻したことや、「覚えたい」と思っていたイーメールも教えていただいて、遠くに住んでいる家族や親族、友人や知人と交信が出来るようになって、人の輪が大きく広がりました。

私の趣味に俳句、短歌があります。

パソコンに、ファイルを作って、書きこんでおります。或る日、インターネット俳句コンテストに、投句をすすめていただいて、書き込みも教えていただきました。第13回インターネット俳句コンテストに投句をしまして「特選」をいただきました。

又、ハガキの縦書きも教えていただきました。ハガキでの投句も、現在楽しんでおります。俳句、短歌は、目で見て詠むのが最短距離ですが、私にはその目はありません。

インターネットで検索を、例えば花が咲く、情景や場所など、時には、勉強会で友人にも手伝っていただいて、楽しく活用をしています。パソコンに「生きがい」を見つけた、と言っても過言ではありません。

又、ホームページの閲覧は趣味の世界だけではなく、旅先の情報を知るのに便利をしています。

もう一つの楽しみに、スカイプがあります。

只今、ありんこ会員は63名おりまして、自宅でお互いにパソコンが立ち上がっている時に、スカイプで、会話を楽しんでおります。

Ⅲ.今後パソコンボランティアにはどのような支援を望みたいのか

  1. 学習環境を、整備してほしい。現在約8畳の部屋に多い時には20人が入ってボランティアさんが、座る場所にも困る程です。更に人の出入りや、周囲の騒音で、スクリーンリーダーの音声が聞き取り難い。
  2. 障害を持つもっと多くの方々に、PC学習の機会を作って欲しい。現在ありんこは視障者だけでなく、聴覚障害、肢体不自由、知的障害の方も受けいれています。
  3. 今後、ますます増えるであろう会員の学習支援の為、ボランティアさんの増員や勉強部屋を、出来れば障害別に確保できる施設が欲しい。

Ⅳ.支援に対する課題

  1. ボランティア養成講座の開設、
  2. ITルームや教材・機器の整備等、
  3. 週末&祝祭日の学習施設オープン等々

これらは、全て行政による理解と支援が必要です。読み書きをはじめ、出来ないと諦めていた多くのことが、パソコンを通じて出来ることをもっともっと多くの障害者に知って貰いたいと思います。

最後に私が大切にしているヘレンケラーの言葉を紹介させて頂きまして、話しを終わらせて頂きます。「障害は不自由です、でも不幸ではありません」。くりかえします、「障害は不自由です、でも不幸ではありません」特にパソコンのお陰でこの言葉を実感しています。つたない話しを、有り難うございました。