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平成18年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

大阪府ITステーション

所在地:大阪市天王寺区六万体町3-21
TEL:06-6776-1221
Fax:06-6776-1224
URL:http://www.itsapoot.jp
Eメール:suteisyon@itsapoot.jp

【概要】

大阪府は、障害者を含めた「誰もがITを利用でき、個々の能力を最大限に発揮することが可能な社会」を実現し、「障害者のIT利用日本一のまち」を目指している。大阪府は、この施策を実現するため平成16年9月に障害者のためのIT利用総合支援拠点として大阪府ITステーションをオープンした。
大阪府ITステーションの事業運営は、社会福祉法人大阪障害者団体連合会が大阪府から運営助成と事業委託を受けて行っており、大阪府と大阪府ITステーションは相互に連携しながら障害者へのIT支援を推進している。大阪府の取り組みと障害者団体のITを利用した社会参加と自立への支援に対する熱意が合致して、大阪府ITステーションは良い形でスタートし、運営されている。

もともとは大阪府の税務事務所だった5階建てのビルを改装し、エレベーターを拡大し、館内には文字案内を付け、各階に車椅子用のトイレを設置しバリアフリー化を進めた建物となっている。その中には300台のパソコンが配備され、各フロアは目的別に使用されている。

  • 1F ワークショップ
    雇用相談、就職支援、求職者情報提供
  • 2F ITサポートセンター
    パソコン展示・体験コーナー、IT利用相談
  • 3F ITトレーニングセンター
    テレワーカー養成訓練、テレワーク支援
  • 4F ITジョブトレーニングセンター
    短期職業訓練、障害者特別委託訓練
  • 5F IT講習会、IT研修会の開催
    障害者IT講習会、障害者IT中級講習会、ITサポーター養成研修

【取り組み】

 障害者の社会参加と自立につなげることを目標として、IT体験やIT講習会、さらには職業訓練や在宅で就労するテレワーカーの養成訓練など多様なメニューを用意し、これらの講習、訓練に毎日多くの障害者の方々が夢や希望に向かって励んでいる。
また、これらの障害者の方々にIT相談や職業紹介、カウンセリング、さらにはテレワーク業務の発注を行うなど、ITに関するさまざまなニーズに応じたきめ細かなサービスを提供している。
2階ITサポートセンターでは、所狭しと数多くのパソコン、周辺機器、ソフトを展示し、実際に体験できるようになっている。パソコンのサポートは、来館、電話、ファックス、メール、手紙(点字を含む)などにより幅広く対応している。
これらの取り組みと併せ、企業や社会全体の理解と協力を得るため、企業に向けた啓発や雇用相談、求職情報の提供など、ハローワーク等関係団体とも連携をとりながら障害者雇用に向けた各企業への取り組みを支援している。
また、小・中・高、養護学校の教師等を対象にしたe-AT講習会等も行われ、教育現場におけるITの推進もバックアップしている。

  • 重度の視覚・聴覚・肢体障害者を対象とするIT基礎講習会受講者 1万人
  • 障害者を支援するITサポーターの養成・確保 1000人
  • 障害者テレワーカー(在宅就労)を 100人
  • 職業訓練の開催や雇用支援コーディネーターの配置によるITを活用した雇用 300人

ITステーションに来館した平成17年度の利用者実績は延べ2万人超。 講習会受講者が払うのはテキスト代のみ(1,000円程度)で受講料は無料。常駐の職員が約25名。 また、ステーションの事業はボランティアの方々の活動にも支えられており、これまで約200名の障害者のIT習得をサポートするボランティア(ITサポーター)を養成、講習会時における受講者へのサポートや個人指導等の活動を行っている。
障害者や支援に関わる方に対してはメールマガジンを発行して技術的な情報提供に努めている。
パソコンを使いこなせるようになった障害者の方々ができるだけ就労できるように訓練を重視し、また企業とも積極的に接触して障害者の雇用に対する啓発活動にも力を入れている。ITステーションでは企業から発注があった仕事を障害者の方が行う専用の部屋(テレワーク室)も設けている。
企業等から安心して仕事が発注してもらえるよう平成18年12月にテレワーク室の業務(Web制作並びにデータ加工等情報処理業務)について、国際規格である情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得している。
大阪府の担当者は、雇用、在宅就労等支援現場の状況把握に努め、障害者が抱えている問題等をフィードバックし、大阪府の施策に反映させている。自治体と障害者団体が密接な連携を持つことによりきめ細やかな支援を行っている。

【今後の課題】

大阪府ITステーションに来館できない方々のために今後はボランティアによる在宅での訪問指導やネットワークを介して学ぶe-ラーニング講座の開講等を予定している。
そのため障害のある方が住む地域ごとに支援を行えるよう地域でITサポーターを養成し、身近に対応できる体制の必要性を強く感じている。
平成18年度からいくつかの市町村等地域と提携して障害者IT講習会の開催やITサポーター養成研修等の事業展開を図っている。
ITサポーターの養成に加え、聴覚障害、盲ろうの方々に対する専門的及び技術的な対応ができる講師やスタッフの確保も課題。