平成18年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した障害者情報支援に関する調査研究事業報告書
なごや福祉用具プラザ
所在地:名古屋市昭和区御器所通3丁目12-1 御器所ステーションビル3階
URL:http://www.japan-net.ne.jp/~nrc/plaza/
Eメール:nrc4@japan-net.ne.jp
【団体の概要】
なごや福祉用具プラザ(以下、プラザ)は、名古屋市昭和区に「介護実習・普及センター」として平成9年7月にオープンした。福祉用具と介護知識・技術の普及を通じて皆様の日々の生活を応援している。その他、個々のニーズを発掘して、福祉用具への意見・試用感をメーカーに届けたり、新たな福祉用具の開発や技術ボランティア活動の拠点として機能することを目指している。
- 福祉用具の展示・相談
- 福祉用具の販売・斡旋とリサイクル情報案内
- 高齢者住宅改修相談、障害者・高齢者向け住宅相談
- 介護実習・研修
- 家族介護者教室
- 福祉用具の製作・改造
- 技術ボランティアの養成
- 福祉用具に関する情報収集・提供
- 障害者のパソコン導入支援や周辺機器の選定相談
プラザにはリハビリテーション工学技師(以下、リハビリテーションエンジニア)が1名常駐し、全国的に専門的なエンジニアを置く機関があまりない中、ユニークな存在と言える。また「自助具」「被服」「パソコン」の3つの技術ボランティアグループが活躍し、職員とともに利用者を支援している。
【障害者ITサポート事業】
身体に障害のある方を対象に、身体状況、使用する目的などに応じたパソコン等のIT関連機器の導入支援や選定、機器の入手に関する助成制度や情報を提供しながら、様々なIT関連機器の相談に応じている。
障害のある方へのパソコン支援は、全職員(相談員)と約10名の技術ボランティア・パソコングループ(以下、パソコンボランティア)で行っている。支援対象となる利用者は、身体障害、視覚障害、聴覚障害、高齢者(知的障害、重複を含む)と多岐に渡り、身体状況や目的に合う機器やソフトウェアの選定を行って、特に入力装置等のハードウェアやソフトウェアを試しながら支援を行っている。職員には様々な職種の相談員がいて、パソコンボランティアはプラザの窓口相談で整理された問題に対し、リハビリテーションエンジニアと連携をとりながら導入支援に関わっている。
利用者からパソコンボランティアへ派遣要請があった場合、最初の導入部はリハビリテーションエンジニアが行うが、その後は直接、利用者がパソコンボランティアに連絡をとることもある。
利用者は無料で支援が受けられる。パソコンボランティアに対しては、プラザから活動費として1回1,000円と交通費実費(平成18年度実績)を支払っている。
またプラザでは、パソコンボランティア養成講座を年に1回程度開催し、その育成に努めている。
【専門職との連携】
リハビリテーションエンジニアが利用者にパソコンの支援をする際、身体状況に応じて入力装置やソフトウェア等その方に合ったものを選定し、それでも十分ではない場合には補助装置を自ら製作して対応し、支援を行っている。プラザではパソコン支援を行う際、当初から利用者のニーズを把握し支援を行うためには、様々な視点を持ち、パソコンボランティアと連携をとりながら活動を行っている。また、プラザの中に工房室があり、利用者にあったスイッチ等をそこで製作できることもこの施設の特色のひとつである。
【他の支援団体との連携】
名古屋市では、市内の障害者IT支援団体が情報交換を行える「交流会」を開催している。また、プラザが主催するパソコンボランティア養成講座で講師及び受講生らが他の支援団体と情報交換を行っている。
【利用者のニーズを引き出す】
取材に応じていただいた、リハビリテーションエンジニアの田中芳則氏は「まずは、何事も信頼関係を築いてからでしか始まらないと思う。」と語り、支援を行うにあたっては技術の前にまず人と人とのコミュニケーションが重要であるとしている。また、パソコンを活用して何がしたいのかを利用者本人とよく話し合い、ニーズを見極めることが大切だと述べている。
工房室の概観 試用できるスイッチ類