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平成18年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

精神障がい者へのIT支援

浦河べてるの家
伊藤知之

精神障害の方々はIT支援へのニーズはあるか?

精神障害を持つと物事を把握・判断する「認知」の機能に障がいを持つため、ある物事をしようとしたり、就労や家庭を築こうと思っても、幻聴・幻覚や「お客さん(疲れているときなどに頭の中に入ってくるマイナスの思考)」が邪魔をして、感情が爆発したり、被害妄想に襲われたりして、再発・入院になる場合もある。そういったものの補正の役割をIT機器・ソフトは担うと思うので精神障がい者にもITでの支援のニーズは十分にあるし、これから開拓されて欲しい分野である。

ITが精神障害の方々にどのように有効なのか。

IT(特にインターネットやDAISY)は映像・音などの複数の感覚から私達に情報として入って来る。認知の面でもより正確に情報として伝達されるので、私達精神障がい者にとっても非常に有益であると考える。

精神障害の方々はITをどのように活用しているか。

私の住む浦河ではDAISYを用い、津波警報が来たときの避難マニュアルを作成した。また、2月18日に行われたDAISYセミナーで、私は自分の病気・悩み・生きにくさを仲間や支援者も入って研究する試み「当事者研究」を映像と音声ナレーションの双方を用いて作成し発表した。このように複数の感覚に訴えることで、私達精神障がい者にありがちな認知のゆがみを少なくして他の人に伝えることができると考える。

IT支援者に心がけてほしいこと。

浦河ではよく「助けすぎない助け方」ということが言われる。援助が過剰になるとその人自身が持つ自分を助ける力を発揮する機会を奪ってしまうからである。よって、IT支援に限った事ではないのだが、私達精神障がい者に対しては、最初の取っ掛かりの基礎的な使用法だけを伝えてもらえれば、後は興味を持てば勝手に活用してくれて、思わぬ使い道が見つかったりする可能性も見つかるのではと思う。