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アジア太平洋障害者の10年の評価<完全参加と平等<へのNGOの展望

付属資料1:「107の目標」

ESCAP

アジア太平洋障害者の10年の目標の達成とこの地域の障害のある人々の機会均等化に関する地域フォーラムの報告

1999.11.22-24 バンコク

1.国内調整

1.1

障害問題国内調整委員会(NCC)を設立し強化する。NCCは、「十年」の行動課題実施のための、多分野アプローチの推進に関する報告義務を議会・政府首脳に対してもつ適切な機構を備え、国と地方のすべてのレベルの政府及び関連省庁・政府機関の政策決定レベルの代表が参加し、また障害者自助団体や知的障害者親の会、障害のある女性を含むNGOが実質的に参加し、かつ資源の適切な割り当てを受けるものとする。

1.2

NCC執行委員会を設立し強化する。この執行委員会は、国と地方の政府、関連省庁・機関の代表、および障害者自助団体や知的障害者親の会、障害のある女性を含むNGOの適切な代表者によって構成され、NCCの決定の実施状況を適時にフォローアップし、監視するとともに、NCCの活動を推進する。

1.3

全国レベルに準ずるレベル(州や県など:訳注)に調整機関及び執行機関を設ける。そこには草の根運動のグループと組織の参加のための適切な方法を講じる。

1.4

国内行動計画を作成し、これを目標年次および監視と評価を行う機構をそなえた国の開発計画に組み入れる。同時に「アジア太平洋障害者の十年」行動計画、とくに本文書に含まれている国内行動の目標実施のために、適切かつ多分野にわたる資源を割り当てる。

1.5

国内行動計画において、国内で実施される都会と地方の開発計画を含むすべての貧困緩和事業に障害のある貧しい人々の参加を促進する方策を確認し、それを優先させる。

1.6

貧困緩和およびその他の開発事業への助成基準として、障害のある人の参加を明記する。

1.7

調整機関及び執行機関が効果的に機能するために、これらを適切な資源と設備を備えた法律にもとづく恒久的な組織として強化する。

1.8

障害のある人々の積極的なイメージを促進する緊急な方策を遂行する。そのイメージには教育、訓練、雇用、スポーツ、芸術、文化的活動および地域生活での彼らの可能性、能力、業績が含まれる。さらに、障害のある人々の積極的なイメージを促進するために、国の、あるいは国際的な障害者の日、地域の祭典やその他のメディアなどを活用する。

1.9

障害にかかわる国あるいは地域レベルのすべての関係者の間に、効果的なコミュニケーションルートを設立する。これを通じて情報提供、効果的な問題解決、そしてタイムリーで適切かつ多面的な協議、とくに障害者の自助グループと障害者のためのNGOとの間の協議を確実にする。

1.10

障害のある人々の機会均等化に即する法律とその修正も含めて、障害のある人々のための全プログラム、サービス、法令についての情報を適切に集め、普及・公表する。これは障害のある人が利用できる方式でなされ、また障害のある人々とその家族の識字レベルを配慮した言葉でなされる。

1.11

障害者とその家族の生活状況に関する正確なデータを集めて定期的に更新するための適切な機構を設立する。そこには事例やその他の情報が含まれ、それらを利用してサービス利用状況や障害のある人々の機会均等化の進展状況についての判断がなされ、政策立案に役立てられる。同時に障害のある人々のプライバシーが守られるよう全個人データは責任をもって使用される。

2.立法

2.1

相続、婚姻、財産などの法律や、刑法、民事訴訟法などあらゆる実体法と手続き法およびさまざまな問題に関する政策規定を調査・確認する適切な機構を設立する。

2.2

実体法および訴訟法を改正し、障害のある女性や知的障害のある人々を含め、障害のある人々に対して平等な法的保護を与える条項を盛り込むとともに、彼らの完全参加や機会均等を制限する条項や差別的な条項を撤廃する。

2.3

障害のある女性や知的障害のある人々を含め、障害のある人々の権利を守り、彼らのための肯定的行動を促進し、さらに差別的な行為や建築およびコミュニケーションの障壁を取り除くための、効果的な執行機構が組み込まれた基本法を制定する。

2.4

貧困生活を送る重度障害のある人々とその家族、および主要な稼ぎ手が障害者となり扶養家族を支える収入源がない人たちを対象に、財政支援を行う国の社会保障制度を導入する。

2.5

関税に関する法律を見直し、障害のある女性を含む障害のある人々の生活の質を向上するために必要な用具と資材、とくに教育、就労、スポーツ、レジャー、文化活動および日常生活に必要な用具と資材を含めて、車両、福祉機器、医療品の輸入関税免除を導入する。

2.6

税制に関する法律の見直しを行い、障害のある人々への優遇措置、障害者の雇用主への優遇措置、および国産福祉機器の製造業者への優遇措置を導入する。この措置には、福祉機器の消費税免除と定期的にその対象となる福祉機器のリストを見直す機構を組み込むことが含まれる。

2.7

職場、公共の場、交通機関、家庭での健康と安全を促進するために交通法令と産業/労働法令を含む法律/規則を制定または改定する。また、障害のある利用者のニーズにとくに注意しつつ、業務用、家庭用、個人用の輸送機関、設備、器具、その他の品目の安全基準を設ける。

2.8

関税免除品リストの定期的な見直しのための機構を設ける。

2.9

既存の無料司法扶助サービスの対象に障害のある人々を含めるか、障害のある人々のための無料司法扶助サービスを発足させる。

2.10

障害のある人々の権利を守るための(オンブツマンなどの)執行の仕組みを基本法に設け、さらにその効果的な執行のために基準と規則を告示する。

2.11

著作権に関わる法律を修正し、教育的、情報的、そしてレクリエーションの資料を障害のある人々が利用する権利を守り、そのような資料を書き換え、転移、翻訳、再生するための規定を定める。

3.情報

3.1

NGOと自助組織、そして国と地方の障害担当との協調体制の中で、障害の状況に関して定期的に最新情報に更新するデータベースを設立する。それには、障害のある人々の人口統計的データ、教育レベル、雇用状況、住居、家族構成、登録障害者団体への入会状況を含む社会・経済的側面などが含まれる。そして、データベース設立の目的は、

  1. さまざまな省庁と組織がもっている障害に関する利用可能な情報を索引すること
  2. 障害のある人々とその家族にわかる言語とコミュニケーション方法とを用いて、情報を地域レベルの組織に適切な方策をもつて広めること
3.2

国の統計局の能力を強化する。アジア太平洋地域での比較を促す共通の役立つ障害の定義を開発適用する。さらに、全国レベルの障害関連調査の実施を提唱する。

3.3

「アジア太平洋障害者の十年」の行動課題と修正目標の実行を促すため、これらを各国語と地方言語に翻訳する作業をすぐに行う。そしてマスコミ、地域メディア、政府機関、ボランティア団体を通じてその翻訳を普及する。

4.国民の啓発

4.1

民間や地域メディアを含む全国そして地方の出版物と電波を通じたマスコミが、障害のある人々への国民の認識と態度を改善するような、通常の、正確な記事によって「10年」に関連した話題を取り上げることに、ただちに着手する。

4.2

青少年のための事業を実施するすべての教育・訓練機関、政府機関、NGOが、すべての青少年ために企画された活動に障害のある青少年が参加できるようにするための方法を、明確にし実施するよう促す段階的行動をとる。

4.3

文部省とその他関連する全省庁により、それぞれの国や地域で使われているいろいろな様式の教育と機能的識字教材のすべての見直しを直ちに開始するよう促す。そして障害のある人を傷つけるような内容を取り除き、かれらが地域生活の主流に溶け込むのをサポートするイラストや説明を加えることを促す。

4.4

アジア太平洋地域における障害のある人々の完全参加と平等を促進する初日カバーおよび記念切手の発行の即時実行を促す。

4.5

情報とメディアの政策およびプログラムに障害問題を含め、障害分野のために適切な時間とスペースを取るよう主張する。さらに、各種のパフォーマンス、とくにコメディー、映画、漫画などを通じて障害のある人々に対する否定的イメージや不正確なイメージを描写することを禁ずるよう主張する。

4.6

障害のある人々に対する国民の認識を高め、態度を改善するためのマスコミの努力に関する資料収集のため、政府の省庁およびNGOが、報道紹介サービス(新聞切り抜き集の発行など:訳注)を実施するよう促す。

4.7

アジア太平洋レベル、国レベルおよび国に準ずるレベルで、障害のある人々の才能と願いを目立たせる国民啓発キャンペーン活動の一部として、障害のある人によるあらゆる文化的行動(芸術と舞台芸術を含む)とスポーツを推進する。

4.8

公務員および全部門の専門技術者の養成カリキュラムおよび現任訓練カリキュラムに、主流の開発問題として障害を位置づける。これは、障害問題における多面的協力を促進し、すべての主流の開発活動への障害のある人の統合を推進するためである。

5.アクセシビリティーとコミュニケーション

5.1

交通機関、教育施設、住宅、レクリエーション施設など公共的な建築物や施設のすべての新築、修繕、拡張時の設計および計画に、バリアフリー機能を基準要件として組み込むことをただちに始める。この基準には効果的な実施を確保する方策が、とくに公立施設の新・改築のために、含まれるべきである。

5.2

すべての障害者グループのために、歩道にスロープを設けたり適切な信号や施設を用意するなどにより、建物の外部環境をアクセシブルにすることをただちに実行に移す。

5.3

本線と幹線ルートを手始めに、大量交通機関とサービスに、バリアフリー機能を導入するための取り組みをただちにはじめる。さらに大量交通機関の改造と拡充に際しては、計画段階の始めよりバリアフリー機能を組み込むための取り組みをただちにはじめる。

5.4

建築家、エンジニア、および都市計画・農村計画担当者の訓練カリキュラムにバリアフリー設計を含めるよう促す取り組みをただちにはじめる。

5.5

既存の建築関係規則に障害のある人のための環境改善を組み入れるための取り組みをただちにはじめる。

5.6

ESCAP地域の各政府と障害問題にかかわるNGOの間に、アクセス・ネットワークを形成し強化する。その目的は、とくに技術開発、基準、手続き、経験と資源についての情報交換を促進することである。

5.7

障害のある人にとって、職場のレイアウト、道具、設備、機械、そして器具をより使いやすくするための研究をただちに進める。

5.8

標準の国内手話の開発に向けての取り組みをただちにはじめる。同時に手話通訳者の資格の制度化の取り組みもただちにはじめる。

5.9

テレビ番組(とくにニュースとドキュメンタリー)および主要な公共サービスと施設、とくに警察、病院、裁判所、金融機関における手話通訳サービスの利用の保障にむけて取り組む。さらにほかの公共の場所でも代わりのコミュニケーションの方法を提供する。

5.10

一般の印刷物を読むのが困難な人や朗読サービスの必要な人のために、点字、拡大文字、コンピューター・ディスク、カセットテープ、その他の適切な媒体を利用する権利を保障するために取り組む。

5.11

すべての障害グループに役立つよう、字幕と音声描写を導入し増やすとともに、コンピューター機器、インターネット、ラジオ、電話、ファクス、その他情報や娯楽のための視覚メディアを利用しやすいように改善する。

6.教育

6.1

ESCAP地域の各国・領地における障害のある子供と若者の就学を進め、障害のない子供との就学率の差を縮める。それを、オープンスクール、通信教育を含むフォーマル、インフォーマルな教育制度を通して達成する。

6.2

「全ての人に教育を」を実現するため、全ての教育政策、計画、事業に障害のある少年、少女、女性、男性を含め、これらに十分な資金配分と適切な技術支援をおこなう。資金配分にあたってはまた、統合教育の場で障害のある子供と若者の効果的な教育成果が得られるよう、必要十分な支援の提供ができるようにすべきである。

6.3

障害のある子供と若者の効果的な教育成果を上げるため、適切な教育補助者、福祉機器、および設備を確実に供給する。

6.4

農村部と都市部の両方で、障害のある子供のための早期療育プログラムを、その家族や地域社会も積極的に関われるようにしながら、導入し、発展させる。また、障害のある子供の、一般の幼稚園・保育園への統合を促進する。

6.5

障害のある子供と若者を含め、全ての子供と若者の就学継続率を段階的に上げる。

6.6

障害のある子供を含め、多様な能力をもつ子供への効果的教育を確実なものにするために、教員養成訓練および現任訓練のプログラムを強化する。

6.7

障害のある子供と若者を含めた、全ての子供のための総合教育カリキュラムを導入し、そこには科学、数学、技術、職業前教育および職業教育を確実に組み込む。

6.8

障害のある子供への効果的教育を容易にするために、教育方法と教材の改造を推進する。その際、知的障害、盲ろう、重複障害、自閉症、学習障害、行動障害、言語、コミュニケーションに問題のある子供と若者の教育のにとって適切なものを確実に含むこととする。

6.9

教育制度の焦点を見直し、障害のある子供と若者のために、学科中心から生徒中心のアプローチへ変換させる、適切な政策、法律を開発する。

6.10

障害のある子供と若者の効果的統合教育を促進するため、補助教員、福祉機器、その他必要とされる援助を含め、支援の機構と体系を強化する。

6.11

障害のある子供と若者への統合教育の提供にあたって、家族や地域社会の参加を推進し、支える。

6.12

教育プログラムに、障害のある子供と若者を統合する方向に政策担当者、行政の管理および技術職員、および学校管理者と教員を意識づける。

6.13

教育担当省庁が、障害のある子供と若者の教育に対する責任を負うことを奨励する。

6.14

早期幼児教育から、初等・中等教育への移行を適確にし、さらにそこから職業前訓練を含めた、援助を伴う卒後活動への参加、そして第三次教育(高等教育)と雇用への参加を確保する。

6.15

障害者が、教育、情報、娯楽に関するアクセス可能な形での資料に容易に接近できる法的権利を主張する。ここには、一般に著作権法で規制されている資料の録音、転写、翻訳、再生、活用の権利が含まれる。

7.訓練と雇用

7.1

障害のある人々が参加できるよう、一般の訓練プログラムを作り、そして必要な場合、参加条件や適格基準を改訂する。その際男女平等に留意し、低収入・貧困家庭出身の障害のある人々の参加に注意を払う。

7.2

カリキュラムと支援サービス(物理的にアクセスしやすい訓練場所と設備、点字テキスト、手話通訳、訓練助手など)を開発、強化する。その目的は、障害のある人々が、全ての職業前訓練、職業訓練プログラムおよび見習いプログラムに完全参加でき、その後農村部・都市部での有給雇用や自営業に結び付けるようにするためである。

7.3

障害のある人々の公的および民間セクターでの雇用と昇進のための国の目標を設定する。そしてこれらの目標の達成を推進する政策を策定する(例えば義務的割り当て雇用、雇用主への雇用奨励制度、雇用主と被雇用者を対象とした特別キャンペーン活動、雇用主に対する技術援助など)。

7.4

公的および民間セクター、障害者組織(DPO)、その他のNGOの代表を含む共同機関を設立し、フォーマル、インフォーマルな部門での新しい雇用と自営業の機会の情報を継続的に収集する。また、これら雇用機会に直結する技術トレーニングを実施し、旧式のトレーニングは廃止する。

7.5

障害のある人々のための、男女平等を基本とした訓練および職業紹介の年次目標を設定し、遂行する。なお、この目標は全ての省庁(例えば、雇用、人的資源開発、農村開発に責任のあるもの)、政府の開発計画、雇用主組織と労働者組織、および障害のある人々の組織の共同行動のための目標とする。

7.6

重度障害のある人々や支援環境を必要とする人々のために、適切な訓練と雇用の機会を提供する(例えば、生産センターの設立、自営業や援助付き雇用のためのサポートや福祉機器の提供、必要な場合の住宅の準備などを通して)。

7.7

全ての農村部および都市部での、貧困の緩和事業、フォーマル・インフォーマルな部門での収入創出事業、そして自営業推進の事業において、障害のある人々の平等な参加を確実なものにする手段を導入する。

7.8

起業技術訓練(この技術の中には、事業機会の発見、事業計画の策定、経営や簿記の技術が含まれる)、マーケティングや生産のための支援サービス、および無利子や低利子の融資の利用のための国の制度を作り、その効果的実施を図る。

7.9

農村部においても都市部においても、(職業紹介サービス機関を含めた)公的および民間機関やNGOが、就職させるべき障害者あるいは自営業を支援すべき障害者を確認する。

7.10

障害のある人々の訓練や雇用を(たとえば環境改善、支援サービスや福祉機器の提供などを通して)進めるための資金を、重度の障害のある人々のためにも使う。

7.11

全ての法、政策、雇用に関する団体協約において、(求人、昇進、解雇、人員削減などでの)障害のある労働者の権利を擁護する。

7.12

アジア太平洋の発展途上国およびもっとも発展の遅れている国・領地の障害のある人々の訓練と雇用のために、人間工学、職場の改善、安全機器、その他の重要なテーマに関する調査研究を実行する適切な機関を確定し、委任する。そして、サービス提供者、利用者グループ、新しい雇用機会確認の共同機関、および他の関係機関との協議を通じて、改革を奨励し、調査テーマを確定する。

7.13

訓練と雇用に関する法律が効果的に施行されているか、政策が効果的に実行されているか、そして関連する「10年」の目標が達成されているかどうかをモニターし評価する機構を、障害者の積極的な参加のもとに、設立する。

7.14

国際レベルでも、国、地方、州・県、地区レベルでも、障害のある人々の雇用に関連する既存の用具や設備に関する情報を確認し、収集し、普及する情報センターを設ける。

8.障害原因の予防

8.1

5つの最も大きな予防可能な障害原因および喫煙、アルコールや他の薬物依存の予防に関連し、またそれらの予防に焦点を当てた、教育キャンペーンを開始する。その際男女の区別を明確にした人口統計データも活用する。なお、このキャンペーンは問題を取り上げているものであるが、障害のある人々の尊厳を支持するべきである。

8.2

ヨード欠乏症、ビタミンA欠乏症、ポリオ、ハンセン病を、主要な国民保健問題でなくする。

8.3

すでに進められている優れた障害予防の努力を疎かにすることなく、以上の他の3つの予防可能な障害原因の発生率を大幅に減少させる。

8.4

対人地雷の製造、使用、販売を禁止する国際キャンペーンに正式に参加する。すでにこのキャンペーンの結果、対人地雷の使用、備蓄、製造、移転の禁止とその廃絶に関する条約が成立している。

8.5

もっぱら失明させることのみを目的としたレーザー兵器の製造と販売を禁止するキャンペーンにただちに取りかかる。

8.6

道路安全、安全デザイン、建築物や設備の使用、個人利用のための防護用具の強制使用、および低賃金のため自費ではそうした用具を買えない労働者のための雇用主による提供、などの法律の開発と実行に着手する。

8.7

発達障害の危険性をもつ新生児の超早期発見の制度を開発する。

8.8

幼児の障害に関する早期の介入サービスを、政府、NGOを通して推進する。

8.9

子供の障害への早期発見・早期介入にかかわっている草の根のスタッフに対して訓練を提供する。

8.10

心理社会問題のある人々への予防、早期発見、介入サービスのための特別な対策をはじめる。

8.11

加齢に関連した障害の早期発見とその管理のためのサービスを始める。そして、障害のある高齢者の生活の質の向上のための活動を推進する。

9.リハビリテーション
(地域に根ざしたリハビリテーション(CBR);保健と社会開発)

9.1

障害関連の課題やサービスにかかわる活動の全ての過程において、障害のある人々とその家族の参加を大きく増進する。

9.2

予防、リハビリテーション、そして、障害のある人々の生活の質の向上のための施策をしめす包括的国家政策を開発し、決定する。そこには地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)を好ましいアプローチとして位置づける。

9.3

貧困の緩和、保健、住宅、交通、人的資源開発、労働、教育、コミュニケーション、文化、旅行、政治的活動、災害対策事業などの一般のプログラムに、障害の問題を含める。とくに障害のある女性・少女に留意する。

9.4

CBRプログラムをサポートする、全ての政府およびNGOの活動の調整を充実する。

9.5

保健、教育、および社会開発分野に従事する人々の訓練カリキュラムの中に、予防とリハビリテーションの課題を取り込む。障害のある人々の生活の質の向上にかかわるその他の専門職の訓練に、障害問題を取り入れることに着手する。

9.6

CBR事業を支援するため、1978年のプライマリーヘルスケアに関するアルマアタ宣言で強調されているように、全てのプライマリーヘルスケア(第1線保健医療)の事業に、リハビリテーションサービスを組み込む。

9.7

政府とNGOを含め、専門家、資材、よい実践に関して、国と国との間で交流する取り組みを促進し、支援する。

9.8

障害やリハビリテーションに関する実践研究や革新的なアプローチを開始、推進する。

9.9

適切な方法で貧困状態と確認された障害のある人々のための社会保障施策を推進する。

10.福祉機器

10.1

福祉機器の生産、供給、修理と保全を確実なものとするため、助成制度を含めた継続性のあるシステムと手順を構築するよう、早急に行動をおこす。その際、すべての障害者のニーズ、とくにもっとも無視されているグループのニーズに注意を払う。

10.2

福祉機器、およびその製造、修理、保守に必要な部品、材料、備品の、とくにESCAP地域からの、輸入に対する関税およびその他の税を免除するため、関税を管轄する省局と協働する。

10.3

福祉機器、およびその製造、修理、保守に必要な部品、材料、備品の、とくにESCAP地域からの、輸出入に関する通関手続きの簡略化に早急に取り組む。

10.4

とくにその地方の資源を使った、その土地に合った(国産の)福祉機器の研究、革新、改良を奨励する。その際、これらの活動における指導的な機関と協働し、またこの目的のために資金、従事者、設備を提供し、さらにこれらの課題に関する国と国と間の情報交換を促進する。

10.5

障害のある人々のための質の良い規格の福祉機器を供給するため、適切かつ継続的な地方の技術の開発をただちに奨励する。

10.6

NGOと民間事業主が福祉機器の研究、国内生産、供給、保守を行うことを、税の減免や助成金を通して、強く奨励する制度の創設にただちに着手する。

10.7

ニーズが最も高い地方レベルでのサービスを向上させるため、その土地にあった(国産の)福祉機器技術に関するスタッフ訓練を促進する。

11.自助団体

11.1

障害のある人々の自助団体の全国フォーラムを設立し、強化する。ここには農村部の自助団体を含めるとともに、とくに障害のある女性・少女、心理社会障害のある人々、精神保健サービスの利用者、知的障害者、HIV感染者、ハンセン病患者などの片隅におかれてきた人々のグループや組織を含める。

11.2

農村部に住む障害のある人々に焦点を当てた、さまざまな障害グループの自助団体を形成する。これは相互支援、権利擁護、あるいは施策やサービスの照会を行ったり、また農村および都市の開発問題に携わるNGOと協調する

11.3

「アジア太平洋障害者の十年」の行動課題の実施を促すため、国内調整委員会の管理のもとに、障害のある人々の自助団体と政府省庁、市民団体・民間セクターとの間の協議を増やすことをとくに目的とした機構を設立する。

11.4

障害のある人々の自助団体の設立や発展を支援するため、必要な資金割り当てを伴う国の政策を確立する。これはすべての地域を対象とし、とくにスラムや農村部を重視する。

11.5

障害のある若者や女性を含め全ての障害のある人々を対象とし、彼らをエンパワーして、地域で働く技術と自信を備えた、自助団体の指導性と運営に関する訓練トレーナーに育成する、能力形成プログラムを開発する。

11.6

全ての障害関係者に自立生活という理念を導入する。そして、障害のある人々自身の生活における自己決定・自己管理を尊重する手段を導入することにより、地域における自立生活の達成を促進する。

12.地域協力

12.1

「アジア太平洋地域びおける障害のある人の完全参加と平等の宣言」に最近調印国として参加した国を含めた小さな国々は、必要な財源と技術援助を求めて、国連開発計画と国連機構内の他の関係国にアプローチする。その目的は、各国が政策の開発と施行の能力を強め、それをつうじて障害問題に対する国民の理解を高め、さらに「10年」の目標の中から決める優先的開発領域への障害のある人々の参加を達成することにある。

(仮訳:日本社会事業大学 松永千恵子、松尾縁、佐藤久夫。ただし12領域の目標の部分のみ。)