音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

第3回アジア太平洋CBR会議

Theme: Applying information technology in cognitive rehabilitation of elderly
高齢者の認知機能リハビリテーションへの情報技術の応用

By Samantha Cheung Wing-sze, Hong Kong Society for Rehabilitation
Present in session “1.1 Disability and Ageing Society”

背景

中心都市である香港の家庭では80%以上がコンピューターへのアクセスを得る機会がある(HKSAR 政府, 2013)。コンピューターやインターネットなどの関連技術へのアクセスはソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の一つの指標として認められている。しかし、多くの経済的に恵まれない人々はそれらの技術から取り残されている(HKCSS, 2014)。

認知機能の障害を持つ高齢者は世界的に公衆衛生の大きな課題となっている。認知症に関する一般市民の誤解によって、非常に多くの認知機能障害が疑われる高齢者が気づかれていない。そして、ある高齢者は差別を受ける恐怖から正規の治療に参加することに躊躇する。

軽度の認知に問題がある高齢者の早期介入を提供するために3年のプロジェクトが「軽度の認知機能障害と認知症の患者のために認知機能リハビリテーション・プログラム」として開始された。スクリーニングによって認知機能の問題があるとされた高齢者は記憶の戦略によって補完された認知機能訓練を基本としたコンピューターを含む治療の1時間セッションを6回提供された。介護者は高齢者が自宅での学習を習慣化するために参加することが奨励された。このプログラムの目的は早期、または認知障害の疑いの段階の高齢者へ更なる認知機能の悪化を防止することである。

プログラムのCBRへの妥当性

このプログラムはもともとコミュニティで利用可能で、軽度認知障害を持つ高齢者のためのユーザーフレンドリーなリハビリテーション訓練として設計された。このプログラムは一般的な娯楽や余暇活動-アイパッドやコンピューターゲームで遊ぶことによって、更なる認知機能お低下を防止し、脳の健康を促進する。社会的な観点から、高齢者は社会で流行している娯楽活動に関係することによって、彼らが常にインクルーシブな状態にあり、社会の大多数の人に密接に関係していることを発見した。

加えて、更なる調査は認知リハビリテーションで情報技術を使うことは加齢や認知に影響を与える病変に対処するために彼らの認知予備力や脳の潜在能力を増進することによって、健康な高齢者にも有効であることを示唆した。

方法

評価方法は前後の評価として設計されている。軽度の認知障害(ミニメンタルステイツの点数が20点前後)または早期の認知症の人が評価に参加するように招かれた。適任な参加者がプログラムの実施前と実施後に質問票に回答した。彼らのミニメンタルステイツ(MMSE)とディメンティア・ラッティング・スケール(DRS)、そしてディメンティア・ラッティング・スケール(DRS)の下位尺度は参加者の認知機能の増進におけるプログラムの予備的な有効性を精査するために比較された。注意、開始/持続そして記憶の三項目のDRSの下位尺度が評価に含まれていた。

結果

全体として146名が軽度認知障害または認知症の初期段階と識別され、評価に含められた。それらのベースライン評価の結果の平均は25.6(SD 2.8)であり、57.2%(MMSEの点数が21から26であった)が軽度の認知障害を示した。MMSEの点数は26.9(SD8.2)と優位(p<0.001)に向上した。MMSE点数の平均値の1.4単位が死亡し、それゆえ改善はベースラインの結果と比較して5.2%であった。24.1%の参加者は軽度の認知機能障害のグループから認知機能正常のグループに移動した。

DRSの平均点数はベースライン評価において85.2(SD9.5)そしてその値は優位(p<0.001)に90.2(SD 7.7)となった。DRSの下位尺度も優位な増大を示した:注意力障害をもつ参加者の割合は3.4%から0.7%に減少し、開始/持続の障害を持つ参加者の割合は25.5%から12.4%に減少し、記憶の障害を持つ参加者は35.2%から24.8%へ減少した。

結語と提案

予備的な結果はプログラムは参加者の認知機能を向上させるために有効であったことを示した。情報技術(IT)を通して認知リハビリテーションを提供することは認知障害の高齢者と家族のための持続可能な地域に根差した支援を提供することができ、彼らの介護者も更なる悪化を予防する継続的な介入をおこなうことができる。

高齢者に対するユーザーフレンドリーな訓練ソフトの開発は高齢者と社会の情報技術格差の支援の架け橋となり、ノーマライゼーションの経験と考えることができる。情報技術(IT)との協業は他の途上国地域の他の慢性疾患の自己管理に広げることができる。