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第3回アジア太平洋CBR会議

テーマ:支援機器

タイトル:社会参加へ前に漕ぎ出す。

発表者:JAY. MOTEROLA. PCCID
ERDILIZA DANDAH S. GARCIA. UP Manila CAMP
ROGELIO FLORES, KASAMAKA-CBR

国連世界保健機構(WHO)は70万人の人々が車いすを必要としていると推定していますが、そのうちの5-15%のみが車いすを利用しています。さまざまな政府や民間の団体が彼らの任務の一つとして車いす供給のプログラムを行うことを決めています。車いす供給を行う時、正しい評価や適合を熟知し実践するグループもありますが、ほとんどは必要性を感じて車いすを調達し譲り渡しているのではないでしょうか。

大規模な車いすの供給は地方自治体機関や社会的市民団体によって行われますが、CBR医療従事者としてです。我々は供給の範囲を超え、様々な団体および組織が互いに協力し、移動が困難な障害を持つ人々の生活を変える可能性のある支援機器が確実にいきわたる状況を確立するためにWHO 車いすサービストレーニングパッケージ(WSTP)の8つのステップに従っています。

WHO WSTPによると、8つのサービスステップがあります。

  1. 面接と照会
  2. 評価
  3. 処方(選択)
  4. 資金調達と発注
  5. 製品(車いす製作)
  6. 適合
  7. 使用者トレーニング
  8. 保守、修理、経過観察

様々な団体にはそれぞれの長所や短所があります。我々3つの団体のメンバーは、資源を最大活用できるよう協力し、すみずみまで支援機器がいきわたるように推し進めることをお互いに決めています。

チームのメンバー構成は車いす医療者、車いす技術者と車いす使用者です。チームとして、初めにチームメンバーが関係者から照会を受け、評価と自宅訪問の日程を設定します。チームはさまざまな地理的特徴(山岳地帯や丘、砂地、荒れた道やセメントなど)のある地域を訪問できるよう出張にかかるサポートの提供を地方自治体、障害団体の関係者や関わる人々にお願いをします。

地域を訪問した際には、協力者とチームは今後のすり合わせを行い協力者の方々に前述した車いすサービスステップを知ってもらいます。そして車いす使用者とその家族が地域社会へ参加できる道具として支援機器の供給が確実に行われるように、協力者の役割をその重要性とともに強調して伝えます。評価では、少なくとも3名が関わります。評価は採寸や既往歴のみでなく、障害のある人が住んでいる社会的環境までも含めて目標を設定します。これから車いすを使用する方とその家族は、車いすで安全に効率的にそして自立して操作できるように、どのように生活環境を向上させれば良いかチームからアドバイスを受けます。使用者やその家族を支援するためチームから指摘した物理的バリアを減らすあるいは無くすように行政関係者も求められます。

他のチャリティー団体を通じて車いすを処方するために地域を離れた時は、チームは車いす使用者とその家族の経過を観察するよう関係者にお願いをします。車いすが引き渡し可能となった時点で、チームが引き渡しのために地域に戻れるよう必要なサポートを地方自治体にお願いをします。

処方通りに車いすが組みあげます。もし使用者の体型などが変わった場合は、チームが、車いすの調整を手助けすることを家族と関係団体の人々に約束します。その後に、使用者のトレーニングや保守そして修理方法を実際に見せながら説明します。

しかしながら、車いすを引き渡した時点で車いすのサービスは終わりではありません。実際には、ここから車いすユーザー一人一人がたくさんの可能性を持っているということを彼らに伝え、励まし、実践してもらう過程のスタートでしかありません。

限られた資源しか持たない地域が、いまだ存在するフィリピンにおいて、我々が関わる一人一人の協調と技術を最大限にすることが、障害者の人々と地方自治体からなる組織のさまざまな協力関係を築き車いすのサービスを持続することができます。障害を受け入れる社会への発展のために使用者、家族、地域社会、障害者組織そして関わる全ての方々の協調によってこの車いすサービスは前進しています。

チームは車いす使用者が彼らの新しい車いす使用が最大限生かされるように関係者と密に連携をとって経過を観察することに献身的です。地域を訪れるたびに数えきれないほどの希望ある話が我々と関わる人々の間で共有されます。我々が訪問したほとんどの方々は、車いすの恩恵は、彼らの想像以上であったことを教えてくれます。適した支援機器を使用することは、車いす使用者にとって違うCBR空間へと導いてくれました。下記の表は家族からの声をまとめたものです。

保健
  • 肺炎や咳などの慢性的な疾患の発生が減少した。
  • 便通が向上した
  • 腹ばいで移動する必要がないため打撲傷が減少した。
  • 車いすにより座位で快適に過ごせるため、身体の疼痛が減少した。
  • 使用者を移動する必要がないため、家族の身体の疼痛が減少した。
  • 周囲を見ることで筋肉のコントロールが向上した。
教育
  • 車いすにより子供が机で長く座っている事ができるため、学校に今までより長くいることができる。
日常生活
  • 地域の中で仕事に行くことができる
社会
  • 市場や協会、ショッピングセンターや公園など公共施設を訪れることができる。
  • 以前のように家族に料理をふるまえる。
  • 家族と一緒に外出や、食事ができる
エンパワメント
  • 障害団体の人々と共にアクティビティーに参加できる。
  • 最小限の手助けで、一つの場所から他の場所へ自立して移動できる。

10以上の地域社会にチームとして訪れた結果、いまだ声を上げて伝えなければならないことがあります。我々が車いすユーザーと前に進むために、すべきことです。

  1. バリア(身体的、社会的)を見つけ、どうにかすること
    車いすは移動能力の限られた人々の人生を変える可能性のある機器ですが、環境が車いすに適応しない限り、社会的なアクティビティーに使用者が参加することができないこと。
  2. 車いすの評価処方適合できる車いすユーザーの数を増やすこと
    車いすユーザーがチームメンバーであることによって、すぐに必要とされる調整が把握できます。そして適した支援機器を処方することで、車いすユーザーが地域の発展に貢献できることを人々が知り、彼らについての考え方を改めることになります。
  3. 車いすサービスプログラムをモット増やすこと
    使用者の家族と話すと無料で与えられた車いすに感謝の意を示してくれます。残念ですが、家族は故障したり、故障した際にどこで修理をすればよいか、新品と交換してもらえるかをとても心配していて、車いすを使うことを躊躇っていることもあります。
  4. 車いすのよりよいデザインの開発や品質の向上を継続すること
    フィリピンは様々な地形や地面がある国で、使用される車いすは、そのような状況に対応出来る必要がある、丈夫で安全でしかも車いすユーザーが必要とする仕様を兼ね備えるようさらに進化しなければならない。
  5. 正しい車いすの使い方、手入れの仕方、保守の方法を浸透させること
    他の持ち主から、古い車いすを受け取った家族に時々お会いすることがあります。それは、もちろん善意の行いです。しかしたいていの場合車いすは大き過ぎます。提供者や地方自治体そしてチャリティー団体に正しく適合した車いすの重要性を知ってもらうよう広く伝えるべきです。正しい車いすでないと、怪我をしたり、あるいは、さらに障害を重くしてしまうからです。車いすはだれかの支援によって与えられたこと、だから粗末に扱わずきちんと手入れをするように家族と車いすユーザーにきちんと伝えます。そしてアカウンタビリティ―が生まれます

車いすの使い方や手入れの仕方を教えてもらっても、車いすユーザーの社会参加の旅は終わりません。彼らを含んだ社会の発展に向けて継続的に訪問し車いすユーザーやその家族に積極的に社会への参加を促していくことが必要です。


スライド1
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