第3回アジア太平洋CBR会議
Razi Khan Hamdardの要約
持続的な協力
CBRネットワーク 南アジア
背景
CBRは包括的なアプローチである。それは障害のある人々と活動し、彼らの健康・教育・生活・エンパワメント・社会参加へのアクセスを改善することを目的とする。
世界の人口の24%は南アジアが占める。2013年、世界銀行によれば、南アジアの571万人が1日1.25ドル以下の生活を営み、南アジアが世界の貧困層人口の44%以上を占めるとした。南アジアの障害のある人々の80%は貧困ライン以下の生活を営む。また彼らはリハビリテーションや支援機器、その他の関連サービスを受けることができていない。これらの問題を解決するにはもっと時間が必要で、インクルーシブな権利に基づいた戦略やCBRアプローチの発展が南アジアに重要な変化をもたらすだろう。
南アジアCBRネットワークはCBRや障害のある人々の教育、女性のエンパワメントの分野において、全てのイニシアチブをコーディネートし、関係省庁と密接に働きながら、地域開発を目指す。
南アジアCBRネットワーク事務局はカブールにあり、メンバーは南アジア諸国(アフガニスタン、バングラデシュ、ネパール、パキスタン、ブータン、インド、モルディブ、スリランカ)から編成される。自国でコーディネーターと独自の国内ネットワークを持ち、それぞれの国が南アジア地域においても協働している。1993年に始まり、CBRネットワークは情報、技術支援、トレーニング、CBRの運営・計画、調査、出版など運動を広げていき、雪だるま式に効果を出している。
協調的な活動が求められる背景
- 多くのメンバーは草の根レベルでの活動経験があるが、葛藤を感じ、この次はどうするべきかという自問を抱えている。
- ・独自の活動は微々たるもので、障害のある人々の多大なニーズを満たすには不十分で、限界がある。
- 情報や経験を共有することで、無駄な努力を省き、お互いの経験に基づいたより良い社会を構築することが出来る。
- 孤立は遠隔地を拠点に活動しているネットワークによって簡単に解決される。
私たちは22年間の活動を基に、経験とネットワークの力を共有出来るようになった。
核となるネットワークの原則
- お互いを助け合う
- 文化的なインクルージョンは異なる能力、多様なニーズを受け入れることを必要とする。インクルーシブ社会の発展のためには、個々の違いや多様な責務に対しての敬意を表する必要がある。
ネットワーク戦略
- CBRネットワークはCBRを戦略として用い、権利保護や全ての開発プログラムの中に、障害のある人々のインクルージョンやリハビリテーションを組み込むようコミュニティや政府に働きかける。
- 公共政策、調査、広報に影響を与えるため、トレーニングや技術移転、啓発を通して、主に小児の早期ケアと発達、学校における障害のある子どものインクルーシブ教育、リハビリテーション分野の人材開発に重点を置く。
目的と倫理
倫理的フレームワークとして活動することを目的とする。 南アジア諸国の中で、成功と失敗の経験を共有し、お互いの強みを生かせるようにするために、人と人、国と国の間で、ネットワークを構築する必要がある。また障害のある人々に関する責務やCBRの原則に関してきめ細やかな繋がりを作る。
展望
コミュニティベースのアプローチを通して、障害のある人々が尊厳と平等な権利を持ちながら生きていけるインクルーシブでエンパワーメントな環境
ミッション
CBRネットワークは文化的、社会的、経済的に適切な戦略を発展させていく責任がある。CBRの1つの解釈を伝えるのではなく、豊かなインスピレーションや知識、その共有を目的とする。
ネットワークの目的:
- 南アジア諸国のCBRサービスに関する情報を集め、発信すること。
- CBRサービスに関する情報に電子媒体やその他の方法でアクセス可能にすること。
- 南アジア諸国の社会に根づいたインクルーシブな権利の発展に焦点を置いたCBRネットワーク活動を広げていくこと。
- 南アジア諸国のCBRステークホルダー間での協力体制を構築していくこと。
- 情報共有やトレーニングを通して、CBRを実施するパートナーや政府、その他関係者の能力を強化すること。
- 他の地域のネットワークや障害権利運動、CBRフォーラムなど協力体制を構築すること。
- CBR活動を支援するドナーのCBRコンセプトへの理解を促進すること。
- 必要に応じて、地域や国、国際レベルのCBRトレーニングや会議、ワークショップに参加すること。
主な活動
- 国のCBRネットワークによって、各国の中でCBR会議を毎年開催すること。
- 2年ごとに、各々の国がローテーションで南アジア地域のCBR会議を開催すること。
- CBRに関するデータを公表すること。
- 障害やCBRの様々な面に関連したトレーニングを実施すること。
- CBRネットワークのメンバー国での定期的な会議を開催すること。
- 国や南アジア諸国レベルのCBRステークホルダー間の信頼関係や協力体制の構築すること。
- CBR関係者や政府機関との会議を開催すること。
- メンバー国間で新たな経験を共有するために、コミュニティレベルのCBRサービスの現場を訪問すること。
- メンバー国間でトレーニングやワークショップを開催すること。
- CBRトレーニングの更なる発展のために新たな資源を探し、まとめること。
- 南アジア諸国のコーディネーターやアジア太平洋CBRネットワーク、WPRO、他の関係者と定期的に連絡を取ること。
- 南アジア諸国メンバーの国内外のCBRワークショップや会議、セミナーへの参加を促すこと。
- 障害分野やリハビリテーションに関するトレーニングの機会を模索すること。
- CBRに関する問題提起に関連したフォーラムで行うこと。
- 会議等でCBRネットワークやCBRコンセプトについて発表すること
- メンバー国の政府による政策の中にCBR戦略を組み込むように働きかけること。
- ドナーがCBRサービスへの支援をしてくれるよう働きかけること。また南アジアCBRネットワークやCBR活動の資金を見つけること
南アジアCBRネットワークの構造
持続的な協力に関する将来の計画
- 2016年に第6回南アジアCBRネットワーク会議を開催すること。
- 持続的な協力のためにSAARCを南アジアネットワークに登録すること。
- CBRネットワークをよりインクルーシブにするために、定款を見直し、更新すること。
- ネットワークの将来の方針への合意のため、また長所と短所を見つけるため、組織内の評価を行うこと。
- アジア太平洋ネットワークや他のネットワークから、より公式的な認識を得ること。
- メンバー国の理解を含めたネットワーク構造の強化に焦点を当てること。
- 各々の国が国家CBR戦略の発展を支援すること。
- 各々の国のCBRワーカーのトレーニングカリキュラムの発展に寄与すること。
結論
個別性や自主性に敬意を表しながら、密に協力することで、ネットワークの中で我々は活発な活動ができている。自国の中で障害のある人々が尊敬され、尊厳を持って生活することができるような強固な協力体制を創る。
障害のある人々の中でも、女性や子ども、高齢者などの最も立場の弱い方々がネットワークの活動の中で、特に注目を浴びるようにする。
より長所や誠実、明確さ、決断を持ちながら、協調的に行動する。それゆえ我々は関係者との持続的な協力をしながら、よりネットワークを強固にしていかなくてならない。
課題
- ある国々では、国家ネットワークが上手く設立されていない。
- 南アジア諸国ネットワークの期待は高いが、資源に乏しい。
- ネットワークの解釈がメンバー国間で異なる。
- ネットワークの活動はまだ目に見えるものではなく、重要性が評価されていない。
- 南アジア地域の財政資源に乏しい。
- 国のコーディネーターやその他の責任者の献身性、貢献が少ない。
- 政府の責務はあるものの、実際の活動になると貢献度は低い。
推奨
- 各々の国で独自のネットワークが設立されるべき。
- 諸国間や国際的なネットワークに対する明確な定款が発展されるべき。
- 明確な活動計画や戦略が発展し、それが実践される環境を整えるべき。
- 地方や南アジア地域の財政資源は向上されるべき。
- ネットワークは会議の開催以外にもより多くの役割を果たすべき。
- 政府をより巻き込み、その活動がより認知されるべき。
- 定期的なスカイプ会議が行われるべき。
- 啓発活動や情報共有の頻度を高めるべき。
- 責任のあるメンバーはネットワークの中でもポジションを与えられるべき。
- より多くの運動が国際・地域・国の障害とリハビリテーションに関するアジェンダに含まれるべき。