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CBRとポスト2015開発アジェンダにおけるインクルーシブ開発の妥当性

「もし不平等が広がり続けるならば、開発は持続できないであろう。それが、ポスト2015 開発アジェンダでの議題に平等が中心的項目として浮上している理由である。」(パン・ギムン 国連事務総長)

ポスト2015アジェンダの議論では人権ベースのアプローチの重要性が強調されている。そして、最も脆弱で、貧しく、排除された人たちに新たな焦点を置く、平等の重要性が強調されている。

障害者のインクルージョンに取り組む上で、CBRがポスト2015アジェンダでも引き続き大きく関わることに対しては、いくつかの注目すべき理由がある。

CBRは、特に資源の貧しい状況の障害者の権利に基づいたインクルーシブ開発のため、国際的に認められる戦略に成長し、発展してきた。障害に関する世界報告書(2011)は、CBRプログラムが非常に貧しくサービスが行き届いていない地域にサービスを届けるのに効果的であったと認めた。世界各国の評価研究により 障害者の生活の変革においてのCBRの役割が記録された。CBRガイドラインは、出版されたレビューに基づいてCBRのいくつかの成果を要約しているが、その中には障害者の自立の増加、強化された移動及びより向上した障害者のコミュニケーションスキル、障害者と家族の収入の増加、自尊心の向上及び社会的インクルージョンの拡大が含まれる。

CBRは、アジアとアフリカの国家政策に多く見られる。CBRの実践は今日、多くの低中所得国で広く行われている。障害問題への、権利に基づくアプローチの重要性を認識する兆しも見られる。低中所得国の中で、多くの政府が、政策に関する文書で、慈善活動に基づいたアプローチから権利に基づくアプローチへのパラダイムシフトの必要性に言及し始めた。政府と共同して働くDPOを含む活発な市民社会を持つ国は、この点に関してさらに前進した。権利に基づくアプローチに移行する意志(政治的及び市民社会セクターの)を示す前向きな変化である(WHO 2012)。

進歩はしているが、まだ多くのやるべきことが残っている。障害に関する世界報告書(2011)は、教育と雇用において、障害者が遅れをとっており、医療へのアクセスが少なく、社会的、文化的、政治的な参加から取り残され、また、障害者をもつ家族はより高い割合で貧困を経験しているという事実を浮き彫りにした。

世界銀行からの別の出版物(ミトラ、パセラク、ヴィック、2011)は、15の開発途上国の就労世代の障害者とその世帯の経済と貧困状況の詳細を提示し、同様の結果が報告された。開発途上国の大多数の障害者は就学率、就職率が低く、障害をもたない人に比べて、より貧困による欠乏を経験している。報告書は教育、医療、及び雇用へのアクセスを促進する政策は、障害者とその世帯の幸福のために重要であることを示唆している。

世界銀行報告書(2009)の中のインドの障害に関する記述では、「インドにおける障害者のための機会拡大に関する進歩の遅れは、結果として障害者自身及び社会と経済全体に相当な損失を生じさせ、人的資本の開発の遅れや生産的な障害者による生産の機会の遺失の面でその家族とコミュニティに影響を及ぼす」と述べ、進歩を賞賛する一方で、政治公約が多くの地域で果たされておらず、障害者が政策や履行すべき枠組みから大きく外れていると指摘している。多くの他の開発途上国でも状況は同じである。

最近の別の研究(WHO 2012 )でも、障害者の大多数が、貧困生活を送っており、保健、リハビリテーション・サービスに限りのある遠隔地域に住んでいることが示された。貧困及びその結果生じる不十分な医療、認識の不足と劣悪な衛生状態と衛生施設の不足及び伝染病が、それらの国々の障害の最大の原因、要因であり続けている。

これらの格差の多くはCBR活動を通じて適切に取り組まれ、特に 資源が貧しい国で政府及び他の中心的な関係当事者がCBR促進に本気で取り組むなら、今後も解決に向けた努力ができる。

南アジアの障害者
      南アジアの障害者