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CBRガイドライン・生計コンポーネント

序文

低所得国の障害のある人は、その外の人々に貧困をもたらすのと同じ要因にさらされ悪影響を受ける以外に、さらに不利な立場に直面する。障害のある子どもたちは教育を阻む障壁に直面するし、障害のある若者は研修を阻む障壁に、障害のある成人はディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に就くことを阻む障壁に直面する。中でももっとも不利な点は、障害のある人はスキルを学ぶことや仕事をする能力がないと家族やコミュニティが考えることである。

仕事とは、人が貧困から逃れ、生活必需品を確保するための手段である。障害のある人の働く権利は、1958年の国際労働機関(ILO:International Labour Organization)による雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(第111号)(1)、1983年の職業リハビリテーション及び雇用(障害者)に関する条約(第159号)(2)、国連障害者権利条約(3)などの国際条約に示されている。しかし、働く権利は尊重されないことが多く、障害のある人は仕事を見つけ、続けるにあたり多くの障壁に直面する。

障害のある女性や男性に働くことを奨励することによって、CBRプログラムは障害のある人やその家族が生活必需品を確保し、経済的、社会的立場を改善する手助けができる。障害のある人のニーズや考えを考慮し、国の貧困対策やその他の開発プログラムに組み入れる規定を設けることによって、教育、スキルの獲得、労働の機会が障害のある人やその家族に提供され、貧困から抜け出すことを可能にする。生計の機会を手に入れることは、貧困を撲滅する重要な要因の1つである。

生計はCBRの一部である。なぜなら「コミュニティにおいて、障害のある若者や成人が研修や仕事の機会にアクセスできることを保証することは重要なことだからである」(4)。知識やスキルの学習は早期から家庭において始まる。子どもは親や他の家族を見て色んなことをする方法を学ぶ。障害のある子どもも家族の中で学び、参加し、貢献するように促されるべきである。同様に、労働年齢に達している障害のある家族は、スキルを磨き、仕事を始めたり、復職したりするように支援され励まされるべきである。コミュニティにおいて障害のある若者や成人のスキル開発や生計ニーズに取り組まないCBRプログラムは不完全であり、その他の取り組みの持続性を制限するものである。

CBRマトリックスのすべてのコンポーネントと同じように、生計コンポーネントも他のコンポーネントと大変強いつながりがある。CBRにおける生計を発展させる努力と、保健、教育サービス、社会的機会へのアクセスを促進する努力は必然的につながっている。障害のある人は健康でいる必要があり、働くために支援機器が必要な場合もあるだろう。小学校教育や中等教育、スキル訓練の機会にアクセスできる子どもや若者は、将来の雇用の機会も大いに高まる。同様に、働いている障害のある人はエンパワーされて、生活必需品を手に入れ、家族をもち、コミュニティにおいて社会的、文化的、政治的な活動に積極的に参加できるようになる。

BOX1 ウガンダ

デイビッドは多くの人々を巻き込む

デイビッドは子どもの時ポリオになり障害をもった。父親は彼を障害があると言って拒絶したが、母親は学校へ行くように主張した。小学校を卒業後、デイビッドはウガンダの首都であるカンパラで寄宿舎のある中学校に入った。そして、個別指導制の専門学校へ行き、簿記と秘書の免状を取得した。

デイビッドはカンパラで会計係として働くのではなく、彼の故郷の農村地域であるマサカで障害のある人の発展のために働きたいと強く思った。そこで地域の非政府組織の支援を受け、マケレレ大学の通信教育で動物看護士になるための勉強をした。

資格取得後、デイビッドはマサカで開業動物看護士になり、障害のある人を巻き込み始めた。彼は自転車で故郷の農村を回って、障害のある人の家族を探した。彼は単に個人ではなく、家族に焦点を当てた。なぜなら、すべての家族を巻き込むことで、家族は障害のある人を重荷ではなく有用なものとして見ることができるようになるからである。

デイビッドは品質の良い牛、ヤギ、豚、七面鳥、鶏の飼育を始め、障害のある人や家族が、より良い飼育者になるための研修を始めた。彼はこれらの家族に、最初の子を彼に渡すという条件で動物を与えた。そうすれば、別の家族にその子を与えることができる。デイビッドは、より良い飼育者となるよう研修するにはモデル農場と数日間泊まれる宿泊所付きの研修センターが必要だとすぐに気づいた。今では、彼のモデル農場には、ホルスタイン、交雑種のヤギや豚、品質の良い七面鳥や鶏がしっかりしたおりの中で飼われている。

デイビッドはカウレ障害者・家族協会(Kawule Disabled Persons and their Families Association)を作った。10年後、団体会員は500人を超えた。各会員はわずかな会費を払っているが、これがこの団体の主な収入源となっている。

デイビッドは、「私自身が経験した限られた機会、固定観念、差別に対して『ノー』と言いたかった。私は、ウガンダの農村での障害のある人の真の発展は可能であると証明したかった。伝統的に、障害のある人は何かを習うことがあったとしても、それは田舎では限られた市場しかない手工芸だった。私は、唯一意味のあることは農業、特に畜産だと思った」と述べている。

目標

障害のある人が、生計を立て、社会保護対策を利用でき、尊厳のある生活を送り、家族やコミュニティに経済的に貢献するために、十分な収入を得ることができる。

CBRの役割

CBRの役割は、障害のある人やその家族が、スキルを習得し、生計の機会を得、地域生活への参加を高め、自己実現をすることを促進することである。

望ましい成果

  • 障害のある人が、スキル開発や生涯学習の機会をもつ。
  • 障害のある子どもの親が子どものために、教育、スキルの習得、仕事の機会を得られるよう主張する。
  • 障害のある人が、安全で搾取的ではない環境で、差別されることなくディーセントワークの機会をもつ。
  • 障害のある人が、マイクロファイナンスサービスを利用できる。
  • 障害のある女性が、男性と同等の労働と雇用の機会をもつ。
  • 障害のある人の家族、特に障害のある子どもや重度障害のある人の家族が、より良い生計を立てる手段がある。
  • すべての貧困削減戦略や貧困削減プログラムが、障害のある人やその家族も含め、彼らの役に立つ。
  • 障害のある人の仕事が、雇用主やコミュニティの人々から認識され、価値があると認められる。
  • 地域の行政機関が、障害のある人が仕事を見つける機会を改善する政策や対策を採用し、適用する。
  • 障害のある人が、権利として社会保護対策を利用できる。

BOX2

障害者権利条約 第27条、労働及び雇用(3)

締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める。この権利には、障害者に対して開放され、障害者を包容し、及び障害者にとって利用しやすい労働市場及び労働環境において、障害者が自由に選択し、又は承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利を含む。締約国は、特に次のことのための適当な措置(立法によるものを含む。)をとることにより、労働についての障害者(雇用の過程で障害を有することとなった者を含む。)の権利が実現されることを保障し、及び促進する。

主要概念

仕事

仕事は重要な生活活動である。それは、家族、コミュニティ、社会全体へサービスあるいはモノを提供することで、個人、家族、世帯の維持に貢献する。何より仕事は、社会的、経済的な参加の機会を提供し、自己実現や自尊心を高める。

仕事には多種多様なものがある。例えば、

  • 家で働く。
  • 家内企業で働く。
  • 個人で行う製造、サービス、商売。
  • 個人で、あるいはグループで行う小規模な企業活動。
  • インフォーマル経済において誰かに雇われる仕事。
  • 公共または民間団体、あるいはフォーマル経済の企業における賃金労働。
  • 適応・保護された職場における賃金が払われる仕事。

仕事には、肉体労働を含むものもあれば、もっぱら頭を使うものもある。技術的スキルがほとんど必要ないものもあれば、高度なスキルが必要のものもある。伝統的な家内生産や所得創出活動に基づくものもあれば、新しい技術に基づく仕事もある。携帯電話やコンピューターのようなコミュニケーション技術の出現は、障害のある人、特に重度または重複障害のある人のための仕事の機会を多く生み出している。

ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)

すべての仕事が望ましいものとは限らない。ディーセントワークと、搾取し、貧困を永続させる尊厳に欠けた仕事を区別することは大切である。ディーセントワークは、尊厳があり、品位を傷つけない。ILOではディーセントワークを以下のように説明している。

BOX3

ディーセントワーク:ILOの定義

「ディーセントワークを一言で言えば、職業生活における人々の願望、と表現することができる。それは、生産的で公正な所得をもたらす仕事の機会、職場における保障と家族に対する社会保障、個人としての能力開発と社会的統合へのより良い見通し、懸念を表現する自由、自分たちの生活に影響を及ぼす決定に団結して参加すること、すべての男女のための機会と待遇の平等、などを意味する」(5)

仕事が不足していると、多くの貧しい人々はどのように収入を得るか選ぶ立場になく、適正とはほど遠い労働条件を受け入れることを意味することもある。

環境的な利用のしやすさ

環境的に利用しにくいことは、すべての低所得国では障害のある人にとって大きな障壁である。公共交通機関や仕事場、コミュニケーションがアクセシブルではないと、障害のある人が職場に行ったり、仕事をしたりすることができないだろう。

合理的配慮

「合理的配慮」とは、障害のある人の雇用を促すために仕事と職場を適応することである。これには、機械や設備、仕事内容、労働時間、労働形態、労働環境などの適応や変更が含まれるだろう。障害のある人の多くはまったく配慮を必要としない。必要な人でも、例えばスロープを設置したり、いすを高くしたり、トレーニング期間を延長したり、労働時間を調整したりと、配慮が単純で費用がかからずに済む場合がある。その反面、視覚障害者用の音声読み上げソフトの購入など、改良するには費用のかかるものもある。

個人の選択と地域の状況

障害のある人の仕事は画一的なものに絞り込まれがちである。例えば、なりたいかどうかに関わらず、視覚障害のある人はかご作りを教えられ、聴覚障害のある人は大工仕事を教えられる。しかし障害のある人にもさまざまな関心、才能、要求があり、他の人と同様に仕事を選ぶ権利がある。これらの選択は彼らが住んでいる状況や、ある程度は障害の種類や程度に左右される。機会は、その人が農村部に住んでいるか、村、町、都市に住んでいるか、あるいは、フォーマル経済よりもインフォーマル経済の方が優勢かどうかによって大きく変わる。

フォーマル経済とインフォーマル経済

フォーマル経済は政府によって規制され、公共あるいは民間部門での雇用が含まれる。労働者は給料をもらう契約で雇用され、年金、健康保険といった給付を受ける。インフォーマル経済は、国の経済の規制外にある。これには、小規模な農業、小規模経営の商人、在宅事業、数名の労働者を雇う小企業や多くの類似の事業活動がある。

ほとんどの低所得国では、インフォーマル経済が労働人口の大多数を雇い、フォーマル経済よりも多く障害のある人の雇用機会を提供している。しかし、一般的に差別禁止法はインフォーマル経済には適用されない。このため、インフォーマル経済で仕事を見つけることは、必然的な権利ではなく、このコンポーネントで示された戦略を使って、障害のある人と、彼らと一緒に働く人の協力を必要とする。

農村と都市

連続する人間の居住地は、大都市から、小さな僻村までと幅広い。中間には、大きな村、町に近い村、小さな町、都市複合体の一部である貧民街と「都市周辺地域」(大都市に近いが、必ずしもその一部ではない居住地域)がある。このコンポーネントでは、「都市」は町や市、およびそれらの都市周辺地域を意味し、「農村」とは通常小さな村で主に農業に依存している村を意味する。

農村と都市では、収入を得る機会が大きく異なる。都市では、フォーマル経済とインフォーマル経済の両方で多くの種類の雇用がある。農村では経済が小規模農業に基づいており、雇用の選択肢が少ない。

排除することによる負担

労働から障害のある人を排除すると、社会福祉や社会保障制度といった主要な費用を含む財政的な負担が、支援や世話を提供している家族、コミュニティ、その他個人や組織にかかる。障害のある人を労働から排除することは、生産力と収入の大きな損失を意味するので、費用を相殺するための投資が必要となる。

生涯学習

教育とスキルの習得は、子ども時代にのみ行われるものであってはならない。障害のある子どもも大人も、生計機会を作りだし維持し発展させるためには、持続した教育とスキルを向上させることが重要である。必要なのは生きるための教育や一生を通じての教育である。これが現在、生涯学習と呼ばれる概念である。

生涯学習、特にさまざまな状況におけるノンフォーマルおよびインフォーマルな学習機会は、収入を得ようとしている障害のある人にとっては、正式なトレーニングコースと同様に重要である。トレーニングコースは1度限りの独立したイベントとしてではなく、生涯学習の過程に貢献するものとみなされるべきである。これはすべての開発の段階におけるコミュニティに当てはまる。大変貧しい農村や都市のスラムコミュニティでは、成人の識字能力は開発の重要な手段になる。なぜなら、これは人々に読み書きを教えるだけではなく、彼ら自身の状況を熟考したり分析したりすることに使用できるからである。グループ作りの過程は、どのコミュニティにおいても、障害がある人とない人が継続的な学習の文化を創り出すことを可能にするという、大変重要な役割を果たすことができる(教育コンポーネント参照)。

家族全体とコミュニティに焦点を当てる

障害は単に個人の問題ではない。家族全体やコミュニティにも影響を与える。貧しいコミュニティの家族は、通常いくつかの収入をあわせてやりくりする。障害のある家族は家庭の生活や生計に貢献できる。そのため生計を支援する活動は家族全体のことを考慮したものでなければならない。

やる気とロールモデル

障害のある人の中には、低い期待感と達成感の悪循環に陥ってしまう人がいる。彼らはしばしば能力以下の仕事を目指したり、能力以下の仕事に導かれたりしてしまう。それは、彼らのできることに対する期待が限られているからである。しかし、このような限られた期待を打ち破って潜在能力を発揮することに成功した障害のある人は、多くのコミュニティに存在する。彼らは他の障害のある人のやる気を高めるためのロールモデルとなることができる。

本コンポーネントの主要素

スキル開発

スキルは労働にとって必須である。主要なスキルは4つある。基礎スキル、技術的・専門的スキル、経営管理スキル、そして核となる生活スキルである。これらのスキルは、伝統的な家庭を基盤とした活動や教育、主流の職業訓練センター、またはコミュニティの中で見習いをすることによって得られる。4つのスキルを組み合わせれば、ディーセントワークを見つけ、収入を得ることができる可能性が大きくなる。CBRプログラムは障害のある人が、この4つのスキルを学ぶことができるよう機会を見つけ促進させる必要がある。

所得創出(自営を含む)

自営は低所得国で障害のある人が生計を得るための主な機会を提供している。自営活動には、生産、サービス提供や商売がある。個人あるいはグループで、パートタイムあるいはフルタイムで行われ、農村でも大都市でも、フォーマル経済やインフォーマル経済の両方に同じように適用できる。自営は多くの障害のある男女に収入をもたらし、経済的に家族やコミュニティに貢献できるチャンスを提供している。

CBRプログラムは、所得創出活動や小企業を開始し拡大する事により、障害のある人が自営業者になるための支援において、重要な役割を担っている。

賃金雇用

賃金雇用とは、契約(書面の有無に関わらず)の下に他人や組織、企業から給料をもらう仕事のことである。フォーマル経済に多く存在するが、インフォーマル経済にも存在する。

障害のある人は適正な賃金雇用を見つけるにあたり、多くの障壁に直面する。しかし、障害のある人を率先して雇用しようとする励みになる進展が多くの企業で起きている。CBRプログラムは賃金雇用に対する障壁をなくしたり、少なくしたりする支援ができる。

金融サービス

障害のある人も、ない人同様に、商売を始めたり、発展させたりするためや、一般的に生活を切り盛りするための金融サービスに対するニーズがある。マイクロクレジット(小規模ローン)は、顧客の融資や資金需要に特化しているが、マイクロファイナンスは貯蓄、保険、住宅ローン、送金などもっと広い金融サービスを実施している。

マイクロファイナンス計画は、協同組合、村立銀行、貯蓄貸付組合、自助グループ、商業銀行、マイクロファイナンス機関が提供している。コミュニティレベルで重要なのは、回転型貯蓄信用講(ROSCA:Rotating Savings and Credit Association)として知られている自助グループである(国によって別の呼び名があるが機能は同じである)。ここでは、会員が毎週あるいは毎月、少額のお金を任意で「壺」に払い込み、1回に1人の会員へまとめて融資もしくは補助金として配布する。これらのグループは貯蓄の習慣をつけ、自信や自尊心を高め、会員を大いに力づけている。

社会保護

社会保護政策は、病気、障害、加齢などによる極貧や収入の喪失あるいは不足から人々を守るためのセーフティネットの提供を目的としている。障害のある人も一般の市民と同じように社会保護対策を利用する権利がある。障害のある人は貧しくもっとも周縁化されているので、すべての社会扶助プログラムに効果的に含まれるべきである。

社会保護対策には、政府や大きな組織による公的な支給コミュニティレベルのインフォーマルなものまである。公的なものには、弱者を対象にした貧困削減計画や、障害給付のような具体策がある。コミュニティレベルのインフォーマルな支給は、地域に根ざした団体、特に自助グループを通して行われる。

BOX4 パレスチナ

エイメッドの大きな転機

パレスチナ、ヘブロン地区ヤッタに住むエイメッドは、脊髄損傷により13歳から対麻痺である。彼はクラスメートや友人のように、高等教育や夢を追い続けることができなかった。なぜなら、社会的・環境的な障壁があったり、家族が貧しかったからである。

1994年にヤッタでコミュニティ調査が行われた際、CBRプログラムはエイメッドに連絡を取った。当時、彼の生活状況は悲惨だった。家は彼のニーズに適応しておらず、家の中でもコミュニティの活動でも彼の参加は制限されていた。また、街を動き回って、生計を得て自立するために役に立つ研修や仕事の機会を得るための関係や人脈作りをする機会がほとんどなかった。

CBRプログラムは町議会や地域団体の援助で、車いすを準備し、特にトイレなど必要な家の改造を行い、家と幹線道路をつないだ。その後、エイメッドの人生が変わった。彼は、裁縫からコンピュータスキルまでさまざまなスキルを習得し、地区の障害のあるパレスチナ人ゼネラルユニオン(General Union of Disabled Palestinians)のリーダーになり、ついにはヤッタの障害者リハビリテーションのプロジェクトコーディネーターになった。

エイメッドによると、「CBRプログラムを知る前は、うちひしがれ、孤立し自信に欠けていた。しかし今では、困難や障壁にかかわらず、私は普通に生活し、障害をもつ仲間のロールモデルにまでなった。障害によって私の意志は弱まらず、逆に粘り強くなった」

現在(2010年)、エイメッドは39歳で未婚である。彼は母親、男兄弟、2人の姉妹と厳しい社会経済的状況下で暮らしている。しかし、彼の収入は家族の幸福に確かな影響を与えている。彼は成功について3つの理由を挙げた。

  • 社会的インクルージョン活動によって、自信とエンパワメントを確立したこと。
  • 家族の収入や生活水準を改善するために、仕事と生計のためのスキル獲得への支援があったこと。
  • 生活しやすいように支援機器を利用し環境改善がされたこと。