音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

池田町障害者福祉計画

No.1

水と緑とふれあいのまち池田

平成10年3月

池田町

項目 内容
立案時期 平成10年3月
計画期間 平成10年度~平成14年度(5年間)

はじめに

 池田町障害者福祉計画につきましては、障害者基本法、また、徳島県の障害者施策長期計画を受けるかたちで策定を急いでおりましたが、この度、策定委員会での度重なる慎重審議をいただき、本年3月26日にそのご報告をいただく運びとなりました。
ご存じのとおり池田町は、昭和34年の町村合併以来、早40年を迎えようといたしております。当時は、人口29,894人を数えておりましたが、昭和40年以降の過疎化、高齢化、そして少子化減少により、本年3月1日現在では、人口18,084人となっており、まさに激減の途を辿っております。こうした中にあって、福祉に対する住民ニーズは殊更強いものがあり、特に障害を持つというハンディキャップを抱える方々には、これまでもいろいろな施策が講じられてきたところでありますが、残念ながら今なお諸外国と比較して低い水準にあるのが現状であります。真の福祉とは、住み慣れた地域や家庭で、安心して豊かな、そして自立と社会参加のできる、共に生きる社会の確立を促すことで、障害者や高齢者、また、健常者、みんなが互いに共存している実感を持ち、そして、いたわり、励まし合い、生きる意欲を持つことであると私は認識しております。そして、すべての障害者には、当然個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇が保障されるべきであり、この池田町障害者福祉計画がそうした意味においても、今後池田町が進めるべき福祉施策のよき指針となるよう努めなければならないと痛感いたしております。
最後になりましたが、本計画の策定にあたりまして策定委員の皆様はもとより、ご指導ご協力いただきました関係各位に心から感謝申し上げますとともに、住みよい町づくりに一層邁進することをお誓い申し上げ、ご挨拶といたします。

 平成10年3月

池田町長 丸岡敬幸

目次

序論

基本構想

基本計画

資料

池田町障害者福祉計画 序論

第1章 計画策定にあたって

1.計画策定の趣旨

 障害者を取り巻く環境は、高齢化の急速な進行、障害の重度化・重複化、家族形態の変化、価値観の多様化等の諸要因により、大きな変化しており、こうした環境変化に対応した障害者施策の展開が必要となっています。
そして障害のある人も障害のない人も、全ての人は、その尊厳と権利において平等であり、地域の中で共に生きていくことができる社会をめざすノーマライゼーション理念も浸透しつつあります。また、ライフステージの全ての段階における全人間的復権を目指すリハビリテーション理念も、それぞれの人の“生活の質(QOL)”を高める取組の中で、極めて重要な考え方として広がりつつあります。
このような中で、福祉関係8法の改正、障害者基本法の整備などに続き、平成7年3月に「徳島県障害者施策長期計画」、平成7年12月には国全体の「障害者プラン」が策定されたところであり、これを受けて、各市町村が中心となって横断的な障害者福祉施策を考え実践していくことが求められています。
本計画は、県の関連計画や池田町総合計画等との整合に留意しつつ、取り組むべき施策・事業などを総合的・体系的に示し、「ともに生き、完全参加と平等の実現された地域づくり」をめざすための指針・目標とするものです。

2.計画の期間

 本計画の期間は、国及び県の障害者計画に合わせ、平成10年度(1998年)から平成14年度(2002年)の5年間とします。なお、計画の達成状況や諸変化などにより、必要に応じ見直しを行います。

計画の期間:平成10年度~平成14年度(5年間)

3.計画の性格

 本計画は、次の性格を有し、また、計画対象は、身体障害者・知的障害者・精神障害者及び難病患者を含み、住民すべてが関わるものとします。

  1. 障害者基本法にもとづく計画です。
  2. 障害者施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画です。
  3. 住民や企業、各種団体などが、自主的かつ積極的な活動を行うための指針です。

4.計画推進の指針

 本計画は、福祉のみならず生活やまちづくりなどの全ての分野に関する包括的な計画としますが、その基本的な推進指針を以下に示します。

(1) 障害者の主体性・自立性の確立

 障害者が、基本的人権をもつ一人の人間として、自らの生き方を選択し、社会活動に積極的に参加するとともに、その能力を十分に発揮できるようにすることは障害者福祉の基本原則です。このため、障害者の主体性、自立性の確立をはかるため、生活環境、雇用・就労面をはじめ条件整備のための施策を進めます。
また、障害者の自立と社会参加を促進するためには、障害者のライフステージに合った体系的かつ総合的なリハビリテーションが欠かせません。このため、障害者の可能な限り心身の発達もしくは機能の回復を図るための施策の拡充に努めるとともに、障害者のライフステージに沿って医療・教育・職業・社会的リハビリテーションの体系的かつ総合的な推進を図るよう努めます。

(2) ノーマライゼーションの推進

 障害者の社会活動への参加が十分とはいえない状況にあり、障害者が一人の住民として、地域社会での生活が常態となるよう、そしてその生活が障害のない人々と変わりないよう施策を進めます。特に、障害者をとりまく人たちの意識や認識の改革が重要であるため、住民全体の理解と協力を得るための啓発広報の充実に一層努めるとともに、障害者との交流を促進する施策に努めます。
また、障害者にとって利用しやすい、暮らしやすい環境の整った社会は、だれにとっても暮らしやすい社会と言えます。このため、すべての人々が同じように生活できる条件を整えていくといった考え方で施策を進めます。

(3) 障害の重度化・重複化及び障害者の高齢化への対応

 障害の重度化、重複化は年々進んできており、在宅の重度障害者が、住み慣れた地域で、家族などとともに充実した社会生活を送られるよう、ホームヘルパー・ガイドヘルパー、デイサービス、日常生活用具の給付などをはじめとした、さまざまな施策をニーズに応じてきめ細かく推進するよう努めます。また、人口構造の高齢化に伴い障害者の高齢化も進み、また高齢者の中にも障害のある人が多くなってきており、高齢者施策との一体的な推進に努めるとともに、高齢化した介護者が、病気や事故で長期的に介助できなくなったりした時のために、ショートステイ、グループホーム、障害者向け公営住宅の確保などの施策の充実を図るよう努めます。

(4) 施策間のネットワークづくり及びコーディネート機能の整備

 障害者施策は、福祉、保健・医療、教育、雇用、生活環境など幅広い分野にわたるため、施策を個別的、具体的に行っていかなくてはなりません。このためそれぞれの分野が共同歩調をとってネットワークをつくるとともに、各施策を具体的にコーディネートできる機能を整備するよう努めます。

第2章 障害者を取り巻く現状

第1節 地域の概要

(1) 都市構造

 1 立地・交通

 本町は、徳島県の西端に位置し、北は香川県、西は愛媛県、南は高知県に近接しています。町の約83%が山地で、四国山地に源とする吉野川が町内を流れる自然豊かな町です。本町にはJR土讃線と徳島線が分岐し、また国道32号と192号が交差するなど、四国の交通の要衝地「四国のへそ」として発展してきました。今後、四国縦貫自動車道路・井川池田ICが整備され、都市間交通の利便性が高まることが期待されます。

 2 市街地構造

 吉野川沿いのまとまった平坦地に立地する旧池田地区を中心に、早くから市街化が進み、商店街等も形成されて多くの人口をようしています。また、吉野川の上流や馬路川沿いの僅かな平坦地や山間部にも小規模な集落が点在しています。

 3 都市圏

 本町は、県総合計画の地域区分としては西部地区の吉野川流域ゾーンに属しています。この地域は第2国土軸としての広域交通ネットワーク機能を活かし内陸工業拠点、広域観光・レクリエーション活動の場などとして発展を図るものとしています。なお、三好郡8町村は、三好地区ふるさと市町村圏を構成するとともに、池田保健所・池田福祉事務所の管内となり、広域的連携・協力が進められています。

(2) 人口・世帯動向

 1 人口・世帯数の推移

 本町の総人口は昭和50年の22,067人から、平成7年には18,490人へと規模を減じ、この20年間で3,600人余りの人口減少となっています。世帯数については昭和50年の6,542世帯に対し、平成7年には6,539世帯とあまり大きな変化はありません。これに伴い、1世帯当り人員は昭和50年の3.37人から平成7年には2.72人へと減少しています。
人口・世帯数の推移(資料:国勢調査)
- 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年
総人口(人) 22,067 21,292 20,965 19,616 18,490
世帯数(世帯) 6,542 6,600 6,823 6,638 6,539
1世帯あたり人員 3.37人 3.23人 3.07人 2.96人 2.83人

 2 年齢構成

 本町の年齢3区分別人口構成は、年少人口及び生産年齢人口が減少し、老年人口が増加する傾向を続け、平成7年には、年少人口2,864人(15.5%)、生産年齢人口10,919人(59.0%)、老年人口4,707人(25.5%)の構成となっています。なお、年齢階層別で見ると、特に若い世代の流出が著しく、平成2年から平成7年にかけては、20代前半層の男性で約48%、女性で約36%の人が転出(超過)しており、過疎化の傾向が続いています。
年齢3区分人口構成(資料:国勢調査)
- 総人口 年少人口
(0~15歳)
生産年齢人口
(16~64歳)
老年人口
(65歳以上)
昭和60年 20,965人
100.0%
3,987人
19.0%
13,645人
65.1%
3,333人
15.9%
平成2年 19,616人
100.0%
3,446人
17.5%
12,331人
62.9%
3,839人
19.6%
平成7年 18,490人
100.0%
2,864人
15.5%
10,919人
59.1%
4,707人
25.5%

第2節 障害者等の状況

(1) 障害者等の状況

 1 障害者等の人数

 手帳交付状況調(平成9年3月31日.池田福祉事務所調)によると、身体障害者(児)は1,160人(延べ人数)で、総人口(平成7年国勢調査)の6.3%を占め、知的障害者(児)は126人、同0.7%程度となっています。
精神障害者(児)に関しては、把握は難しく、精神障害者通院医療費公費負担制度を申請している人が178人(平成10年1月現在.池田保健所調)となっています。厚生省「患者調査 平成5年」による精神障害者の推計では、対人口比は1.2%程度であり、本町ではおおよそ220人程度と考えられます。
また、難病患者は、特定疾患医療給付者63名(平成9年5月現在.池田保健所調)と小児慢性特定疾患17名(同年4月現在)です。
これらの何らかの障害をもつ人及び難病患者の総数(延べ人数)は、おおよそ1,600人程度と考えられ、総人口の1割弱となります。なお、この人数には重複している人が含まれる一方、申請に基づき手帳発行や給付を行うため、申請していない人等は含まれていません。

障害者等人数(単位:人)
区分 人数 備考
身体障害者(児) 1,160人 平成9年3月31日 池田福祉事務所調べ
身体障害者手帳交付状況
療育手帳交付状況
知的障害者(児) 126人
精神疾病患者 220人 推計値(平成7年総人口×1.2%)
難病患者 80人 平成9年4月・5月 池田保健所調べ
小児を含みます。

 2 障害の程度

 身体障害者(児)では、重度障害の人(1級・2級)が約40%となっています。また、知的障害者(児)では、重度障害の人(A)が約60%に達しています。
障害程度別人数(平成9年3月31日 池田福祉事務所調べ)(単位:人)
身体障害者手帳 1級 2級 3級 4級 5級 6級 合計
人数 274 195 216 224 100 151 1,160
割合 23.6 16.8 18.6 19.3 8.6 13.0 100.0
療育手帳 合計
人数 77 49 126
割合 61.1 38.9 100.0
精神障害者
保健福祉手帳
1級 2級 3級 合計
人数 - - - 15

 3 身体障害の種別

 身体障害者手帳をもつ人の中では、肢体不自由が最も多く半数を占め、次いで内部障害、聴覚・平衡機能等の順となっています。
障害種別の人数・割合(平成9年3月31日 池田福祉事務所調べ)
- 視覚 聴覚・平衡機能 音声言語 肢体不自由 内部
人数 149人(12.8%) 186(16.0) 12(1.0) 551(47.5) 262(22.6)

 4 年齢別の障害者(児)・難病患者の構成

 身体障害者(児)では、65歳以上の人が約65%を占める一方、知的障害者(児)では、相対的に若い人がめだちます。また、難病患者では、60歳以上の人が約4割とめだっています。なお、本町の65歳以上の人のうち、身体障害者手帳を持つ人は約16%に達しており、加齢に伴い何らかの障害をもつ人が増加する傾向にあります。
年齢区分別人数、年齢区分別割合(ただし知的障害者は65歳以上の区分はない)
(単位:人、%)
- 18歳未満 18~64歳 65歳以上 合計
身体障害者(児) 8人
0.7%
403人
34.7%
749人
64.6%
1,160人
100.0%
知的障害者(児) 10人
7.9%
116人
92.1%
126人
100.0%
年齢構成(人)
- 20歳未満 20代~50代 60歳以上 合計
難病患者 18人 31人 31人 80人
※小児慢性特定疾患患者は20歳未満

 5 入所(通所)等の状況(資料:池田福祉事務所)

 本町の障害者(児)のうち障害者(児)にかかわる施設に入所・通所する人は、合わせて80人程度となっています。なお、障害児のほとんどの人、知的障害者の半数の人は、何らかの施設に入所・通所しています。
入所(通所)等の状況(資料:池田福祉事務所)
区分 人数 備考
児童施設措置状況
(平成9年3月31日現在)
通園を含みます
17人
  • 精神薄弱児施設
  • 盲児施設
  • 肢体不自由児施設
  • 重症心身障害児施設
  • 精神薄弱児通園施設
身体障害者更生援護施設入所状況
平成10年1月1日
6人
  • 身体障害者療護施設
  • 重度身体障害者授産施設
精神薄弱者福祉法関係施設の措置状況
(平成9年3月31日現在)
通所を含みます
57人
  • 更生施設
  • 授産施設
  • 通勤寮
  • グループホーム

第3節 障害者施策の現状

(1) 障害者福祉施設の立地状況

 三好郡の8町村は、西部障害保健福祉圏(15町村)の西部第2サブ障害保健福祉圏を構成しています。障害保健福祉圏は、障害者施策がほぼ完結することをめざす単位で、サブ圏は通所型施設の整備や在宅福祉施策の適正実施をはかる観点から設けられ、池田福祉事務所・池田保健所など県機関、三好地区ふるさと市町村圏の範囲です。西部第2サブ圏の障害者福祉施設の立地状況及び広域的在宅支援事業は以下の通りです。

施設種別 施設名・概要・所在地
精神薄弱児施設 池田学園(池田博愛会,定員50,池田町)
精神薄弱児通園施設 池田療育センター(池田博愛会.定員30,池田町)
精神薄弱者更生施設 箸蔵山荘(池田博愛会.定員75(内通所5)池田町)
博愛ヴィレッジ(十字会.定員60(内通所10)三加茂町)
精神薄弱者グループホーム 箸蔵ホーム(定員4、池田町)
つくしホーム(定員4、池田町)
精神障害者小規模共同作業所 すずらん共同作業所(三好郡精神障害者家族会、定員13、山城町)
末広共同作業所(三好郡精神障害者家族会、定員20、三好町)
精神障害者グループホーム グループホーム池田(定員6、池田町)
肢体不自由児(者)巡回療育相談事業 1か所
心身障害児(者)短期入所事業 3施設(精神薄弱者(児))
心身障害児(者)短期療育事業 1施設(精神薄弱者(児))
心身障害児(者)療育相談事業 2施設(精神薄弱者(児))
障害児(者)地域療育等支援事業 1施設(精神薄弱者(児))
保健所デイケア 2か所(池田保健所/東祖谷山村出張)

池田町障害者福祉計画 基本構想

第1章 障害者福祉の理念

 国際障害者年は「完全参加と平等」を目標テーマとし、障害者が障害を持たない人と同等に生活し、活動する社会をめざすという「ノーマライゼーション」の理念を普及させる契機となりました。「ノーマライゼーション」の理念は、人はだれもが生まれながらにして、その尊厳と権利において平等であり、お互いの理解においてそれを保障し、共に生きていこうという考え方です。
今後、「ノーマライゼーション」の理念の一層の定着を図り、障害者が住み慣れた地域や家庭で豊かな自立生活と社会参加が実現できるよう、必要な施策の展開を総合的・計画的に推進していかなければなりません。加えて、「完全参加と平等」をめざすには、障害者のライフステージの全ての段階において、全人間的な復権をめざすという「リハビリテーション」の理念を追求し、それぞれの人にとっての「生活の質」を高めていくことが必要です。

  • *「リハビリテーション」(老人保健福祉事典)
  • 心身に障害をもつ者の人間的復権を理念として、障害者の能力を最大限に発揮させ、その自立を促すために行われる専門的技術のことをいう。リハビリテーションには、医学、工学、職業、社会等の各専門分野があるが、障害者の人間的復権を図るためには、それら諸技術の総合的推進が肝要である。

障害者福祉の目標テーマ図

第2章 計画の基本的考え方

(1) 計画の基本理念

 徳島県では、「ノーマライゼーション」の理念と「リハビリテーション」の理念のもと、「ともに生きるぬくもりのある福祉社会をめざして:徳島県障害者施策長期計画」(平成7年3月策定)等に基づいて、障害者施策を推進してきました。
しかし、「完全参加と平等」の目標の実現にはまだ残された課題が少なくありません。この計画の考え方を受け継ぎながら、池田町としても新しい時代や具体的な地域のニーズにも対応できるよう、さまざまな課題等を考慮して、福祉・保健・教育・労働・都市整備等の各分野が連携し一体となって「行動」に結びつけていけるよう「障害者の人権が尊重される福祉のまちづくり」をめざします。

【計画の基本理念】
障害者の人権が尊重される福祉のまちづくりをめざして
障害者が自分の人生の主人公となることを妨げている要因を取り除き、必要なサービスを充実し、生活しやすい環境を整える等の総合的な施策の推進により、生き生きとした暮らしができるようまちづくりを進めます。

(2) 基本目標

 基本理念の実現を図るため、福祉のまちづくりの基本目標を、次のように設定します。

  • 目標1. 理解と交流の促進

  •  障害者に対する理解は少しずつ進んできましたが、まだ十分とは言えません。全ての人から「心のバリア」を取り除き、友人として共に地域に生きる姿をめざします。
    このため、障害や障害者についての啓発活動は重要であり、特に、スポーツ・レクリエーション・文化活動等を通し、交流の機会を拡充するなど日常的に啓発活動を推進し、地域の人々の正しい理解と認識を育みます。また、住民がボランティア活動に積極的に参加できるよう機会を拡充します。

  • 目標2. 教育と育成の充実

  •  障害のある子供がその可能性を最大限に伸ばすための適切な教育を提供することを基本に、積極的に社会に参加できる力の育成を図るよう努めます。本人や保護者が安心して進路を選択できるような体制を確立するために、医療・福祉・教育等関係機関との連携を強化していきます。

  • 目標3. 雇用・就業の促進

  •  障害者が働く場を得て社会経済活動に参加し、自立した生活を確保することは、生活の糧を得る手段としてだけではなく、生きる喜びにつなぐための基本です。
    そして、働く意欲を持つ障害者の適性と能力に応じた働く権利を保障していかなければなりません。障害者の雇用・就業を促進するために、事業主や共に働く人々の理解を得られるような体制を確立するとともに、福祉的就労機会の拡充を進めます。

  • 目標4. 保健・医療の充実

  •  保健・医療体制は、新生児から高齢者まで、そのライフステージに応じた適切な時期に適切な対応ができることが必要です。さらに、社会復帰を図るためのリハビリテーション医療の拡充が必要です。
    また、在宅の障害者本人の危機的状況や家族の緊急事態に対応できるようなシステムづくりを、保健・医療・福祉等の関係機関が連携し積極的に推進していきます。
    精神障害者についても、心の健康教育等を通じて、社会復帰の促進に努めます。

  • 目標5. 福祉サービスの充実

  •  「完全参加と平等」を実現するには、障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、きめ細かな福祉サービスの充実が必要です。その障害に応じた各種の福祉サービスを提供するために、積極的に各種施策を推進していきます。また、高齢者施策として実施している事業についても、障害者が利用できるようにするなど柔軟な対応をめざします。さらに、障害者福祉を推進するためには、福祉人材の確保が必要です。障害者のニーズに対応した福祉人材の養成・確保を進めます。

  • 目標6. 生活環境の整備

  •  障害者が地域で自立した生活を送るためには、障害者を取りまく生活環境の整備が不可欠です。今後は、まちづくりにおける障害者への配慮とアクセスの連続性の確保とともに、積極的に啓発を行って、公共施設はもとより民間施設においても一層の理解と協力が得られるよう努力していきます。
     また、地域生活の基本となる障害者も住みやすい住宅の確保、道路や移動手段の整備、災害時における安全対策を含めて総合的な環境整備を行っていきます。

第3章 計画の基本的視点

 基本理念である「障害者の人権が尊重される福祉のまちづり」をめざして、6つの基本目標の実現のために、施策を推進していきますが、推進にあたっては、次の4つを基本的視点とします。

(1) 障害者の主体性・自立性の確立

 障害者の主体性の発揮と自立性の確保を支援し、社会活動への積極的な参加を促し、能力が十分発揮できるような施策・事業の立案と推進に努めていきます。

(2) 障害の重度化・重複化及び障害者・介護者の高齢化への対応

 障害が重く重複しているため常時介助・介護が必要な障害者が、基本的人権を尊重されるよう、生活の質の向上に必要な支援に努めます。
また、人口構造の高齢化に伴い、障害者自身の高齢化やその介護者の高齢化が同時に進行しています。今後の施策展開にあたっては、障害者の重度化・重複化や障害者・介護者の高齢化に基本的な視点を置き、必要な施設整備等を高齢者福祉との連携を図りながら、総合的・体系的に推進していきます。

(3) 広域的連携の推進

 三好郡の8町村は、いずれも人口規模も小さく、財政的にも豊かとは言えません。しかし、障害者のニーズに対応する福祉サービス等の拡充は、その必要性の上からも推進していかなければなりません。そこで、西部第2障害保健福祉圏(三好郡)の中で、相互に協力しあい、必要なサービスが適切な生活圏において不足なく利用できるよう町村間の調整・役割分担を進めます。

(4) 住民参加の推進

 障害者施策の推進については、今後も行政が中心となって取り組んでいくべきことは言うまでもありませんが、地域の住民、企業、団体等社会のすべての構成員が障害や障害者を理解し、障害者を取りまく問題に取り組んでいく必要があります。こうした取り組みができるよう、施策・事業を推進していきます。

第4章 施策の体系

 基本理念に基づく基本目標を実現するために推進する施策の基本方向については、基本目標毎に体系を次のとおり構成し、総合的・計画的に展開していきます。

全体的な施策体系図
基本理念 基本目標 施策の基本方向
障害者の人権が尊重される福祉のまちづくりをめざして 1.理解と交流の促進
  • 普及・啓発活動の充実
  • 福祉教育等の充実
  • 交流・ふれあいの促進
2.教育・育成の充実
  • 就学前教育・療育の充実
  • 学校教育の充実
3.雇用・就業の促進
  • 職業能力の開発
  • 雇用の促進と安定
  • 福祉的就労対策の充実
4.保健・医療の充実
  • 障害の早期発見・早期療育の推進
  • 医療・リハビリテーションの充実
  • 精神保健対策の充実
5.福祉サービスの充実
  • 在宅福祉サービスの充実
  • 施設サービスの充実
  • 生活安定のための施策の充実
  • ひとづくりの推進
6.生活環境の整備
  • 福祉環境の総合的推進
  • 住宅・生活環境の整備
  • 交通・移動手段の整備充実
  • 防災体制の充実

第5章 重点プロジェクトの抽出

 各種の施策の内、全体をリードする役割を担うものとして、特に重点的に取り組むプロジェクトを次の3つとし、積極的に推進します。

  • 1. 市町村障害者生活支援事業の導入・実施

  • 在宅障害者の生活の質を高めることをめざし、様々な在宅福祉サービスの利用や専門的な相談機関の紹介が円滑になされるよう、西部第2サブ障害者保健福祉圏が共同し「市町村障害者生活支援事業」を導入し事業の実施を検討していきます。

  • 2. 市町村障害者社会参加促進事業の導入・実施

  • 在宅障害者の社会参加の促進をめざし、コミュニケーション支援を図る条件整備を進めるとともに、生涯学習の場の拡充や外出への支援を行なうため西部第2サブ障害者保健福祉圏が共同し「市町村障害者社会参加促進事業」を導入し、事業の実施を検討していきます。

  • 3. 障害者デイサービス事業の実施

  • 日常生活に援助を要する重度障害者に向け、その在宅生活が円滑になされるよう、「身体障害者デイサービス事業」として、通所により機能訓練や社会適応訓練、入浴等介護を行う場を確保します。なお、通所者利便等を図るため西部第2サブ障害者保健福祉圏の中の西部地域の町村が共同し、広域的な事業として実施を検討していきます。

池田町障害者福祉計画 基本計画

第1章 理解と交流の促進

第1節 普及・啓発活動の充実
第2節 福祉教育等の充実
第3節 交流・ふれあいの促進

第1節 普及・啓発活動の充実

「現状と課題」

 障害や障害者についての関心を高めるため、町広報での「ふれあいまちづくり事業」への参加の呼びかけや「障害者の日」、福祉施設による交流行事等の掲載、県パンフレット等の配付を行うとともに、地区社協による活動や保育所による保護者への啓発等がありますが、全般には十分とは言えない状況にあります。
「障害者に対するアンケート調査(平成9年本町分)」では、障害者への理解が深まったと考える人が、半数程度と以前に比べ改善している様子が伺えますが、「精神障害者の社会復帰ニーズ調査(平成9年、池田保健所)」での一般住民向けアンケートでは、啓発活動の必要性を答えた人が64.8%となっており、今後、に生きる社会をめざして、正しい知識と理解の普及をめざすことが必要です。
また、障害者に対する広報活動としては、読書会の協力を得て「声の広報」等を発行していますが、点字等を含め情報提供を促進していく必要があります。特に、障害者福祉サービスの利用方法については、県発行のしおり等を配付していますが、生活圏の中で利用できるサービス内容や施設など具体的な情報提供を促進する必要があります。
広聴活動に関しては、各障害者団体等を通じ実施していますが、一層の促進が必要です。さらに、障害者福祉施策の企画段階においては、当事者としての十分な意見の反映が必要であり、委員参加をはじめ意見の反映などを進めることが重要です。また、本町の場合、福祉施設が多く立地しており、こうした施設の入所者等も等しく、その希望等について本町の施策展開へと組み入れていくことが重要です。

「基本方針」

 「ノーマライゼーション」の理念を実現するために必要な啓発活動を行うとともに、障害者への情報提供・広聴体制を強化していきます。

「主要施策」

 1 広報活動の充実

○「広報いけだ」等を積極的に活用し、障害や障害者について町民の正しい理解が得られるよう努めるとともに、障害者理解のためのパンフレット等の提供を進めます。
○市町村障害者社会参加促進事業の広域的な導入により、ボランティアの育成を進め、点字広報や声の広報などの発行に努めます。

 2 障害者の日等の普及

○「障害者の日(12月9日)」の周知徹底を進めます。また、県事業への参加を継続するとともに、身近な交流イベント等の開催に向け努めます。

 3 広聴活動の推進

○アンケート調査の実施・相談窓口の開設等により、障害者を含む多くの町民の意向を把握し、障害者福祉施策に反映させます。
○障害者施策の実施や計画にあたっては障害者の参加を得て進めていきます。

 4 障害者向けの情報提供の推進

○パソコンのマルチメディア化などに伴い、インターネット等を利用した画像情報なども含め、効果的な情報提供手段について研究していきます。
○わかりやすいPR活動を行うために、関係機関と連携し、教育・保健・医療・福祉・レクリエーションなどの内容や利用方法等についてのパンフレットを作成配布します。

第2節 福祉教育等の充実

「現状と課題」

 障害児教育や社会福祉への理解の推進を図るため、本町の16校(県機関等3校含む:平成6年度)が福祉教育協力校に指定されています。
学校では、福祉施設の交流会等への参加や施設訪問による体験学習、交流ゲートボール大会など多様な活動を実施し、高齢者や障害のある人とのふれあい機会を設けるなど、子供の時期からの交流教育の場の確保に努めています。
今後、本町からも入所・就学している子のいる池田学園や国府養護学校池田分校等との交流教育を進めるとともに、障害児学級の開設を通し、身近なふれあい機会を拡充し「共に生きる社会」の促進を図ることが望まれます。
また、生涯学習やスポーツ・レクリエーション活動においては、障害のある人が参加できるよう条件整備を進めるとともに、日常的にふれあう機会を拡充していくことを重点とするとともに、精神保健講座など学習機会の提供や社会福祉協議会による福祉教育の展開等を進めていくことが必要です。

「基本方針」

 児童・生徒をはじめとして、全町民が、障害者や高齢者に対して正しい認識を持ち、お互いの立場や心情を思いやり、相互に協力しあう精神や態度が育めるよう、福祉教育等を推進していきます。

「主要施策」

 1 心身障害児理解教育の充実

○福祉教育協力校の活動促進等により、社会福祉施設での体験学習や障害児との交流教育の促進を図ります。

 2 福祉教育の普及

○全世代にわたって、家庭・学校・職場・地域社会のあらゆる場面において、福祉教育を推進するため、保健・医療・福祉・教育等の行政機関や社会福祉協議会との情報交換を密にし連携を強化します。
○障害者理解に関する教育カリキュラムを作成し、社会福祉協議会の事業において、教育関係者の理解を得て、福祉教育の機会を増やしていきます。
○町職員に障害者理解を深めるため、研修機会を拡充します。

 3 児童・生徒のボランティア活動の普及

○児童・生徒の社会福祉への理解と関心を深めるため、ボランティア活動普及協力校を指定し活動を推進します。

第3節 交流・ふれあいの促進

「現状と課題」

 障害のある人の社会参加や交流の促進を目的に、各種スポーツ・レクリエーション・文化機会の拡充を進めています。県身体障害者スポーツレクリエーション大会や三好郡身体障害者体育大会など各種大会・講習会への参加とともに、本町の福祉施設が主体となり開催される身体障害者レクリエーション大会(年6回)などがあります。また、郡心身障害児父母の会「あゆみ会」のサマーキャンプ、郡精神障害者家族会「やまなみ会」のお花見、「池田博愛会」の博愛まつりなど障害者団体や施設による行事が活発に行われています。
しかし、これらのスポーツ・レクリエーション活動に参加したことの無い人も多くあるとともに、地域の行事や祭事についても大半の人は参加していない状況にあります。今後、各種活動機会への参加呼びかけの促進、障害者団体等による活動を支援していくことが必要です。また地域行事への参加促進に向けて、地区社会福祉協議会等による障害者を含む近隣住民のネットワーク形成を進める取り組みが必要です。
現在、ボランティア連絡協議会に、19団体、336名(個人ボランティア含む)が登録、主に高齢者を対象とした事業や「博愛まつり」「健康フェステイバル」等への参加が実施されています。また「池田町しらさぎ会」では、主に在宅の知的障害者への訪問活動や施設との交流会、親睦旅行等などをはじめ各種行事の支援などが実施されています。さらに、障害者団体によるボランティア活動の参加もあります。
今後、地区社協活動を通じた近隣単位や、グループ・団体単位のボランティア活動の促進をめざし、ボランティア活動メニューの拡充や参加機会の拡充をはじめ、障害者のコミュニケーション手段の拡充等に資する専門的なボランティアの確保に努めることが必要です。

「基本方針」

 障害者が積極的に、文化・スポーツ・レクリエーション活動に参加できるよう条件整備に努めるともに、障害を持たない人との交流を促進します。
ボランティア活動の振興を図り、ボランティアグループを支援します。

「主要施策」

 1 スポーツ・文化・レクリエーション事業の推進

○障害者の個人的参加へのバックアップ体制を整備しつつ、だれもが参加できるスポーツ・レクリエーション大会等を開催します。
○総合体育館等における大会の開催を進めつつ、利用しやすい施設改善を促進します。
○県・郡・社会福祉協議会、障害者団体等の開催するスポーツ・レクリエーション活動の情報提供を促進します。
○趣味活動等を通じた障害者グループづくりを支援します。

 2 地域行事・祭事への参加の促進

○地域行事等への参加の呼びかけをはじめ、参加支援を図るため地区社会福祉協議会による近隣住民のネットワーク形成を進めます。
○地域の役員等への障害者の登用を促進し、地域社会に入っていきやすい雰囲気づくりに努めます。

 3 家族会・障害者団体の交流会等の促進

○会員以外も含め各団体等で実施されている活動の周知を図るとともに活動の促進や相互連携等に向けた支援を進めます。

 4 ボランティア活動の推進

○ボランティア活動の活発化をめざし、各種のボランティア機会の開発に努めます。

第2章 教育・育成の充実

第1節 就学前教育・療育の充実
第2節 学校教育の充実

第1節 就学前教育・療育の充実

「現状と課題」

 障害児が生き生きと個性を発揮し、その能力を最大限に伸ばしていくには、成長のあらゆる段階において、障害児一人ひとりの障害の状況に応じた多様な教育・育成の場と機会が必要です。
本町の保育所は、昭和55年以来、障害児の受け入れに関する委員会を設置し、保母の加配等による保育環境を整備しつつ、要望に応じ障害児の受け入れを行なっています。また、このほかに精神薄弱児通園施設「池田療育センター」等に通う場合や同施設の外来療育相談事業(週1回程度)・訪問療育などがあります。
なお、母子保健サービス分野では、障害の早期発見・早期療育を図るため健康診査等の実施や心身障害児への訪問指導を行うとともに、県の肢体不自由児巡回療育相談、保健所の発達相談指導事業や障害児を持つ保護者を支援するため心身障害児交流会「チビッ子倶楽部」への参加へとつなげています。さらに、町教育委員会による教育相談や就学指導、県巡回就学相談などが実施されています。
今後、幼児の発達段階や障害状況に適した教育・育成機会が提供されるよう、また保護者の支援も含め、地域の中で共に育っていくことのできる条件を整備することが必要です。このため、保育所においては受け入れ体制の充実はじめ、障害の理解を深める保育を進めるとともに、保健サイドからの地域での育児支援機能の拡充、保健所や医療機関・福祉施設・学校など関係機関の連携強化が求められます。

「基本方針」

 就学前障害児の適切な療育・教育を進めるとともに、地域との関係の中で、安心して子育てができるよう条件整備を進めます。
適切な就学ができるよう、就学前からの教育相談の充実を図ります。

「主要施策」

 1 障害児保育の促進

○保育園・幼稚園における障害児受け入れ環境を充実するため、保母の加配や専門研修などを促進します。
○母子保健事業や福祉施設・父母の会など関係機関連携、地域育児支援機能を強化します。

 2 心身障害児通園事業の充実

○在宅の障害児の日常生活における基本的動作の指導や集団生活への適応訓練等を行う通園事業の充実を図ります。

 3 障害児就学前教育相談の充実

○保護者・障害児が指導援助を受けるために、各種相談事業の充実を図るとともに、教育委員会等による訪問相談の実施など相談体制を強化します。

第2節 学校教育の充実

「現状と課題」

 平成9年現在、本町の障害児学級は、小学校2学級、中学校2学級があり、14人が通学しています。このほか障害児教育諸学校としては、知的障害児の養護学校である国府養護学校池田分校をはじめ県内に8校2分校が設置されています。
学校では、障害を持つ児童・生徒の発達の程度や、障害の程度に応じた適正な就学指導、支えあう学校仲間づくり等に努めていますが、就学前の障害児を持つ保護者には就学や、学校生活に不安を持つ人も少なくありません。また、人数が少ない場合などで障害児学級の設置が困難となり、地元の学校に就学しにくい面もあります。
学齢児の保護者を中心とした「障害児アンケート(平成8年、池田保健所)」では、学校に望むこととして、日常生活面で自立できるような教育の充実や障害児専門の先生の確保、地元への障害児学級の設置希望などがめだっています。
今後、県下障害児教育諸学校への通学が困難であることも考慮し、できるだけ身近な場所での障害児学級の開設に努めるとともに、障害に適した教育内容や指導方法の充実、養護・訓練機能を拡充、専門教員の確保・教職員研修の促進などを進めていくことが必要です。また、学校の施設環境に関しても、充分配慮したものへと整備し、全ての児童・生徒が安心し、楽しく学校生活が送れるよう条件を整えていくことが重要です。
義務教育学校卒業後については、県下の特殊教育諸学校(8校2分校)や一般の高等学校への就学、職業能力開発校、就業等といった多様な進路となりますが、保護者の大きな心配事となっています。このため、一般高等学校への就学の拡大をはじめ、スムーズな就業や生活の場の確保をめざし、関係機関との一層の連携が求められます。

「基本方針」

 児童・生徒が能力を最大限に伸ばし、充実した学校生活が送れるよう教育内容や相談体制の充実を図ります。
職業教育の開発・実践と、労働及び福祉の分野と連携しながら障害の実態に応じた進路指導に努めます。

「主要施策」

 1 教育方法・内容の充実

○障害児がその可能性を伸ばし、将来、自立した生活を送ることができるよう、生活技術の基礎・基本を習得できる教育を進めます。
○障害児学級の開設を促進するとともに通級等による指導など内容の充実に努めます。

 2 就学相談・指導体制の充実

○障害児一人ひとりの実態に即した就学を進めるため、本人・保護者の意向を尊重しながら適切な就学指導に努めます。また、重度障害児の教育機関を保障するよう努めます。
○多様な教育相談に対応できるよう、関係機関との連携を深め、教育委員会において教育相談体制を整えます。

 3 特殊教育・教育課程研究の推進

○障害児担当教職員の資質向上を図るため、各種研修会への参加を促進するとともに、専門的知識等を習得する派遣研修を促進します。

 4 学校施設・設備の改善

○障害を持つ児童・生徒が安心して楽しく学校生活が送れるよう、スロープ・手すり・車いす専用トイレ等を設置するほか、学校設備等の改善に努めます。

 5 進路指導の充実

○池田公共職業安定所、県障害者職業センター及び各企業や作業所・施設等関係機関との連携を強化し、進路の拡大及び進路指導の充実を図ります。

第3章 雇用・就業の促進

第1節 職業能力の開発
第2節 雇用の促進と安定
第3節 福祉的就労対策の充実

第1節 職業能力の開発

「現状と課題」                       

 障害者の就業や職業的自立を促進するためには、職業能力の開発が重要です。現在、徳島障害者職業センターや県職業能力開発校での職業訓練、特殊教育諸学校高等部での職業教育をはじめ、福祉施設・作業所による取り組みが行われています。また、精神障害者の就労を促進するため、郡内の民間8企業の協力を得て、池田保健所が通院患者リハビリテーション事業を実施しています。
このほかに、民間企業に委託して行う職場適応訓練などもありますが、全般に協力事業所の開拓が必要な段階にあります。今後、障害者の職く場の開拓とともに、県機関等による職業訓練の促進や福祉施設・小規模作業所等における職業訓練機能の確保などを促進していくことが望まれます。

「基本方針」

 障害者の能力や状況に応じた職業能力開発の機会を確保するため、関係機関との連携を強化し、訓練機関の紹介をはじめ協力事業所の開拓に努めます。

「主要施策」

 1 関係機関との連携強化

○徳島障害者職業センターをはじめ、池田職業安定所等との連携を強化し、関係機関の紹介等を進めます。

 2 通院患者リハビリテーション事業等の促進

○池田保健所・池田職業安定所などと連携し、通院中の精神障害者の社会適応訓練などを実施する通院患者リハビリテーション事業や職場適応訓練などの協力事業所の開拓に努めます。

第2節 雇用の促進と安定

「現状と課題」

 障害者の雇用が義務づけられている民間企業における法定雇用率1.6%に対し、県全対では1.76%(平成8年6月)まで上昇しています。しかし、雇用率未達成企業が、45%となっているとともに、企業数自体が280社と少ない状況にあります。また、公共団体の法定雇用率は2%ですが、現在のところ、本町では2.95%となっています。
一方、障害者アンケートからは、本町の回答者のうち福祉的就業も含め仕事をしている人は1/4程度、また広域的には就業年齢(18歳~64歳)の人で、仕事をしている人が4割程度となっています。その内容としては家の仕事が約5割りを占めており、企業等へ就業している人はあまり多くはないのが現状です。
現在、障害者の雇用を促進するための施策としては、池田公共職業安定所が窓口となり、特定求職者雇用開発助成制度をはじめ障害者雇用継続助成金や合同求人選考会などにより、障害者雇用協力事業所の拡大、職場の斡旋・紹介・相談業務を実施しています。
今後、県機関との連携を強化しながら、町内事業所への障害者雇用優遇諸制度の周知と協力事業所の拡大に努めるとともに、障害者が働きやすい職場環境づくりを進めることが必要です。また、町は、民間事業所に率先し障害者雇用を促進すべき立場にあり、計画的な障害者の採用を進める必要があります。

「基本方針」

 企業に対し、障害者雇用の促進を図り、法定雇用率が達成できるよう働きかけます。また、町では、法定雇用率を上回る雇用を維持し、計画的な採用を進めます。
障害者のニーズに応じた職業相談を行い、就労の促進を図ります。

「主要施策」

 1 雇用啓発事業の重点的推進

○障害者の雇用について、正しい理解と認識を深めるために、広報紙等を活用し啓発活動をより一層推進します。
○パンフレット等の配布、県主催の巡回キャンペーン等の周知を図ります。

 2 公共団体等での雇用の促進

○町における障害者雇用を促進するとともに、社会福祉協議会など公的団体を含め、障害者職域開発や多様な就業形態の開発を進め、雇用拡大に努めます。

 3 企業に対する指導の強化

○池田公共職業安定所と連絡を密にしながら法定雇用率未達成企業に対し、雇い入れに関する指導援助を強化し、未達成企業の解消に努めます。
○職場適応訓練制度の導入促進などを通し、企業側の受け入れ体制を高める取り組みを進めます。

 4 障害者に対する就業相談、指導の充実

○障害者に対しての就業相談会の実施・指導等を池田公共職業安定所と協力して開催に努めます。
○町内でのパート・アルバイト情報の収集・流通等を検討するなど、多様な就業機会の確保を進めます。

第3節 福祉的就労対策の充実

「現状と課題」

 一般企業等への就業が困難な障害者についても、様々なかたちで仕事を通じて社会との係わりや、職業に就くために必要な技術等を習得する場が必要です。
三好郡精神障害者家族会(やまなみ会)等により、平成2年には「すずらん共同作業所」(山城町)が、平成3年には三好町において「末広共同作業所」が開設されています。これら精神障害者小規模共同作業所では、地域で自立した生活を送るために、仲間づくりの輪を広げることや、生活リズムを整えたり、簡単な作業を指導しています。一方、知的障害者や身体障害者のための授産施設は広域的にも設置されておらず、精神障害者小規模作業所についても本町からの通勤等を考えた場合、不十分な状況にあります。
今後、送迎手段等も考慮しながら自宅から通うことのできる地域において、福祉的就業の場を確保していくことが必要です。
このため、近隣町村や広域市町村圏、関係団体との協議の中で、地域的な配分や補助制度の活用等を留意した上、設置に向け準備を進めることが必要です。
また、自宅の仕事を希望する人が相当数いますが、これに対する援助は現段階ではほとんどない状態です。今後、共同作業所での授産事業の確立や福祉施設での作業訓練、在宅就業の促進など就業多様性を拡大するため、製品受注・手作り産品の開発、販路の確保などをめざし、関係諸機関との連携の中で、総合的に取り組んで行くことが望まれます。さらに、本町では、福祉施設の専門的機能を活かしつつ、広域圏にわたる障害者雇用を図る組織体の整備等について、行政支援あり方等の研究を進める先導を果たすことが望まれます。

「基本方針」

 障害者が、その適正と能力に応じて就労できるように就労支援の充実を図ります。

「主要施策」

 1 福祉的就業の場の拡大

○一般就業が困難な障害者に向け、心身障害者小規模通所作業所・授産所、精神障害者小規模作業所等の設置を進めるため、障害者団体や近隣・広域町村、福祉施設との協議の上、町単独・広域設置の両面から検討します。なお、本町域の広さを考慮し、本町において通所できるよう努めるとともに、障害の枠にとらわれない作業所運営の可能性について、関係諸団体・機関と研究を重ねるとともに指導員の確保や福祉施設のバックアップ体制の確立などに努めます。

 2 授産事業への支援

○町内・広域事業所・農家等からの受託作業、公共施設等の清掃等作業情報が円滑化するよう広域的な調整システムの確立を研究します。また、手作り作品等を含めた独自授産品の生産を促進するともに、各福祉施設等との相互委託販売制度の導入や福祉の店の設置支援などを通し、安定した授産事業の確立に向け検討します。

 3 通所手当ての支給促進

○精神障害者小規模作業所の通所者支援に向け、交通費の半額補助を継続します。

 4 自営業に対する資金援助の検討

○操業資金融資、運営資金等を低利で貸付けるなど、生活福祉資金の貸付制度などを検討します。

第4章 保健・医療の充実

第1節 障害の早期発見・早期療育の推進
第2節 医療・リハビリテーションの充実
第3節 精神保健対策の充実

第1節 障害の早期発見・早期療養の推進

 障害の発生予防や早期発見・早期療育、健康づくりについては、大きくは母子保健と老人保健分野に分けられます。特に、平成9年度からの母子保健事業の市町村実施に伴い、ライフステージに沿った包括的健康づくりの確立が必要となっています。
母子の健康づくりとしては、妊婦健康診査や母親学級をはじめ、各期の健康診査・相談事業・訪問指導を実施し、経過観察等が必要な場合などには県・保健所による乳幼児発達相談指導事業等へとつなげています。また、障害の発生を予防するためマススクリーニング検査を実施しています。一方、障害の早期発見・療育につなげる健康診査については、未受診児もあり、全員受診に向けての取り組みを必要としています。さらに、病気や障害をもつ小児への一貫した支援を促進するため、学校保健や関係機関との連携強化の中で療育システムの強化を図るとともに、全ての母子が安心し共に子育てができるような地域条件の整備に向け、育児支援機能の強化を必要としています。
成人・老人保健面では、40歳以上(一部30歳以上)を対象に、各種の健康教育・健康相談・健康診査を実施し、脳卒中などの後遺症による後天的障害の発生予防に努めています。今後、日常生活の改善を図り生活習慣病の予防をめざし、取り組みを強化していくことが必要です。

「基本方針」

 障害の早期発見・早期療育を図るため、母子保健対策を総合的に推進します。
健康教育を推進し、生活習慣等による疾病・障害の発生を予防します。

「主要施策」

 1 母子健康診査事業の充実

○妊婦に対し、母子健康手帳の交付・健康診査を実施します。未受診者に対する対策を充実し、妊婦の健康管理を徹底します。
○乳幼児の成長段階に応じて健康診査を実施し、適切な指導及び措置を行います。
  • 妊婦一般健康診査
  • 妊婦超音波検査
  • 妊婦B型肝炎検査
  • 乳児健康診査
  • 乳幼児健康診査
  • 1歳6か月児健康診査
  • 2歳児健康診査
  • 3歳児健康診査
  • 脱臼検診
  • 神経芽細胞腫検査
  • 先天性代謝異常検査

 2 母子相談指導事業の推進

○保健婦・助産婦等により、各種健康教育及び訪問指導を実施し、母子の育児支援と病気や障害の早期発見・早期療育、発生の予防に努めるとともに、適切な療育指導へとつなげていきます。
  • 母親学級
  • 育児学級
  • 離乳食等栄養教室
  • 新婚学級等
  • 子供の家庭看護教室
  • 乳幼児相談
  • 新生児訪問指導
  • 乳幼児訪問指導
  • 妊産婦訪問指導
  • ハイリスク妊婦訪問指導
  • 未熟児訪問指導

 3 障害児療育システムの充実

○個々の障害児が必要な療育を受けることができるように、保健所等関係機関との連携を強化し、療育体制を整えていきます。
○福祉施設機能を活かした障害児(者)地域療育など支援事業の充実を図ります。
  • 乳幼児発達相談指導事業
  • 育成の給付と指導
  • 児童相談所による指導
  • 心身障害児交流会「チビッコ倶楽部」
  • 肢体不自由児巡回療育相談
  • 施設による外来療育相談・訪問療育
  • 施設による短期療育事業(池田療育キャンプ)

 4 育児支援の充実

○自主育児サークルの活動支援により、全ての母子の相互相談機会の拡充に努めます。
○育児教室の充実、電話・訪問育児相談の強化、育児支援ボランティアの育成や心理判定医など専門職の確保により、地域の中で安心して子育てができる支援策を強化します。
○これらの子育て支援拠点として、保健センターに総合的な機能整備を進めます。

 5 成人期の健康づくりの推進

○各種健康診査受診のPRをはじめ、健康手帳の活用、健康教育・相談事業の充実を図ります。
○障害者の健康診査の受診のしやすさを高める配慮に努めるとともに、訪問健康診査を活用をし、障害者の健康診査を強化します。
○このほかに、在宅重度重症心身障害児(者)訪問診査などを促進します。

第2節 医療・リハビリテーションの充実

「現状と課題」

 本町の医療機関は、県立三好病院をはじめ病院4(精神科病院2カ所)、診療所21、歯科診療所7が立地し、近隣町村に比べ充実しています。「障害者に対するアンケート調査」では、本町の障害者の13%は「入院中あるいは入院することがよくある」、5割強の人は「時々病院でみてもらう」となっており、高齢化の進展とともに医療・リハビリテーション(機能回復訓練)の需要が拡大しています。
このほかに特別養護老人ホーム「永楽荘」において、理学療法士や作業療法士により実施されるとともに、保健婦の訪問指導による日常動作訓練、在宅看護支援センターの歩行訓練などもありますが、40歳以下の障害者に対する専門的訓練は県立ひねのみ整肢医療センターの巡回機能訓練、医療機関などが中心に実施しています。今後、町内3施設のデイサービスセンター等での障害者利用の配慮を進めるとともに、広域圏の中で山城町等と連携し身体障害者デイサービスセンターなどの設置を検討し、専門的な機能回復訓練を充実していくことが望まれます。
また、障害等を持つ人に対する各種医療給付制度がありますが、重度心身障害者医療費助成を受給している人は338人(平成9年12月1日現在)、小児慢性特定疾患医療や特定疾患医療を受給している難病患者が合わせて80人(平成9年4・5月)となっています。今後、これらの制度の普及を促進するとともに、保健所等との協力の中で地域生活を支援していく体制の整備が望まれます。

「基本方針」

 心身障害者や難病患者とその家族が、安心して生活できる医療支援体制の整備を促進します。
救急医療を含め、関係医療機関・医師会との連携を一層強化し、医療及び歯科医療体制の整備に努めます。
障害者の医療費負担を軽減するため、一層の充実を国・県へ働きかけます。

「主要施策」

 1 訪問指導・健康相談の充実

○保健婦・看護婦等により、在宅の心身障害者や難病患者とその家族へ訪問して精神的支援や療養上の介護・看護方法の指導・援助等を積極的に行います。

 2 難病患者地域保健医療推進事業の充実

○難病患者とその家族に、難病専門の医師・保健婦・ケースワーカーによる医療相談事業を含めた地域保健福祉医療推進事業(保健所)をPRします。
○高齢者サービス調整会議等を活用したケースワークを実施し、生活支援サービスの提供などを促進します。

 3 機能回復訓練事業の充実

○病院を退院後の在宅の身体障害者が、個別、集団の訓練により、機能の維持向上を図るとともに、交流を深め地域での生活に適応できるよう障害レベル・年齢に応じた指導を充実させます。
○広域的な施設として山城町と共同し身体障害者デイサービスセンター等の設置に向け調整していくとともに専門的・継続的なリハビリテーションの実施を検討します。

 4 地域保健医療計画の推進

○西部2保健医療圏地域保健医療計画に基づき、地域における総合的な保健医療供給体制の計画的な整備を推進します。
○地域保健医療計画に基づき救急体制が整備されるよう働きかけます。
○医師及び医療技術者が確保されるよう働きかけます
○医師会等の協力により関係機関相互の連携強化が図られるよう働きかけます

 5 在宅医療体制の整備

○在宅で安心して療養できるように夜間・休日等の体制の整備や訪問看護等が充実するよう働きかけます。

 6 歯科医療体制の充実

○歯周疾患の予防等を中心に、口腔衛生知識の普及を図ります。
○歯科医師会の協力を得て、訪問診療が実施できる体制づくりを検討します。

 7 医療費の給付等

○精神医療において、外来診療に関する医療費を負担する通院医療費公費負担制度(保健所事業)の周知を図ります。
○重度心身障害者医療助成として、重度障害児・者が診療を受けた場合の一部自己負担分を助成します。
○心臓疾患・腎臓疾患等の更生医療制度(18歳未満等は育成医療制度)の周知を図ります。
○特定疾患・小児慢性特定疾患医療費公費負担制度(県事業)の周知を図ります。

第3節 精神保健対策の充実

「現状と課題」

 精神障害者は特別な存在ではなく、医療の対象であるとともに生活していくうえでたくさんの困難を抱えている「生活障害者」であるといった意識が定着しつつあります。また、全ての住民が精神保健の対象であり、心の健康を保持するため、様々な取り組みがなされつつあります。
しかし精神障害に対する誤解や偏見により、自立や就労が可能である人が相当数いるにもかからわず、地域社会の中での生活は困難な状況が続いていました。
このような中で、広域的には、三好郡精神障害者家族会(やまなみ会)による小規模作業所が山城町と三好町に設置され、本町からも通所できるようになっています。共同作業所は、地域で自立した生活を送るために、通所により、仲間づくりの輪を広げたり、生活リズムを整えることや簡単な作業を行う場として機能しています。
また、平成6年には県下2番目に開所した、グループホーム池田(定員6名男性)が本町に立地し、保健所・医療機関をはじめ町シルバー人材センターなどボランティアの協力のもとに、地域での生活を実践しています。
このほかに、社会復帰を促進するために池田保健所において、社会復帰指導事業(月3回)や通院患者リハビリテーション事業(職業リハ)、保健婦による訪問指導・精神保健相談、医療機関による精神科デイケア等が実施されています。
なんらかの精神病にかかる人は、おおよそ100人に1人といわれますが、精神障害者保健福祉手帳や通院医療費公費負担制度など諸制度を利用している人はわずかな状況にあります。これら諸制度の普及をはじめ、今後、地域の中で社会復帰ができるよう保健所等と協力しつつ生活の場の確保と支援サービス体制の確立を中心とした福祉施策を推進していくことが望まれます。
さらに、心の健康の学習やボランティアの育成を図る精神保健講座の開設や思春期精神保健等への取り組みを促進し、精神障害への理解を広げていくことが必要です。

「基本方針」

 精神保健知識の普及・啓発を推進し、精神障害者の社会復帰を進めるための体制整備に努めます。

「主要施策」

 1 精神障害者共同作業所等への支援

○既存作業所の運営を支援するとともに、作業所環境の改善や福祉の店など事業拡大い向け、家族会とともに検討を重ね、社会復帰機能・交流の場としての機能を拡充していきます。
○通勤等を考慮し、本町においても作業所の設置に向け、準備を進めていきます。
○さらに、職業訓練などを実施する精神障害者授産施設(通所)については、保健所やみよしの山荘等との連携の上で、広域的な確保に向け検討します。
○なお、作業所と授産施設は類似機能もあり地域需要や運営手法等についての充分な調査検討を行います。

 2 グループホームの確保・支援

○グループホーム池田への支援充実を図るため、地域的なボランティア体制の整備を進めます。また、女性のグループホームの設置については、家族会をはじめ、保健所・支援医療機関・近隣町等との連携の中で、広域的に複数施設の確保に向け努めます。

 3 地域生活支援事業(地域生活支援センター)の確保

○給食サービスなど日常生活支援・相談体制・交流機能などを拡充するため広域圏の中で地域生活支援センターの確保に努めます。
○なお、医療機関(援護寮)などが運営主体となるかバックアップを得ること望ましいため、関係医療機関との充分な連携をとり検討していきます。本町においては、特に秋田病院等との連携の上、事業導入に向けたリーダーシップを発揮していきます。

 4 精神保健知識の普及・啓発

○精神保健に対する関心や理解を促進するため、県精神保健福祉センター・池田保健所・関係施設との連携のもと「心の健康を考える会」などの組織化に向け協力していきます。
○健康まつり等の事業や保健所で実施している精神保健福祉講座・心の健康講演会等あらゆる機会を利用しての普及に努めます。
○学童期・思春期・成人などライフステージに応じた心の健康教育等を通じ、知識の普及を図ります。

 5 社会復帰指導事業等の充実

○保健所による社会復帰指導事業(保健所デイケア)、精神保健福祉相談、医療機関によるデイケアの拡充を要請していきます。

 6 家族会等への支援

○家族会活動のPRや作業所でのふれあい行事への支援などを通じ、住民の理解を深めるとともに家族会活動の拡大に努めます

 7 各種福祉サービス対象の拡大要請

○手帳制度の創設に伴い、他障害者が利用している福祉サービスの対象となるよう、関係諸団体と連携し国に要望していきます。

第5章 福祉サービスの充実

第1節 在宅福祉サービスの充実
第2節 施設サービスの充実
第3節 生活安定のための施策の充実
第4節 人づくりの促進

第1節 在宅福祉サービスの充実

「現状と課題」

 障害者に対する諸制度・福祉サービスなど障害者施策は多岐にわたり、サービスの実施や相談も多様な機関がかかわっています。現在の最も身近な相談窓口としては、身体障害者相談員(6名)・精神薄弱者相談員(1名)、民生・児童委員等を委嘱するとともに、役場福祉担当窓口・教育委員会・保健婦・在宅介護支援センター、社会福祉協議会などと福祉施設へ直接相談する形となります。
なお、知的障害者福祉や精神障害者、専門的な相談に関しては県事務(池田福祉事務所、児童相談所、池田保健所等)となっていますが、これらを含め地域における相談機能の充実が必要です。
主な高齢者向けの在宅福祉サービスとしては、ホームヘルパー(20名)の派遣、永楽荘デイサービスセンター(3施設)での入浴・給食・移送等サービス(一部痴呆症も対象)、ショートスティ事業(永楽荘)などを実施し、障害者の人も対象となっています。また、身体障害者補装具の交付(平成8年度123件)・修理、日常生活用具の給付(平成8年度13件)等を行っています。
現在、本町のホームヘルプサービスやデイサービスなどは老人保健福祉事業として実施しており、その利用者は高齢者がほとんどを占め、若年層の障害者の利用は少数です。今後、重度障害者の在宅化の傾向も強まることから、介護型を中心としたホームヘルプサービスの拡充や町内福祉施設を利用するデイサービスの拡充などに取り組むことが必要です。また、広域的にサービス需要や通所区域等を勘案しながら身体障害者デイサービス事業の実施を検討するとともに、福祉施設の専門的な機能を活かし、市町村障害者生活支援事業の導入により、在宅福祉サービスの利用援助や社会生活訓練プログラムなどを実施する生活支援センターの設置を進めていくことが求められます。

「基本方針」

 障害者の相談に応じ、必要な指導や助言を行うことができるよう相談体制の充実を図ります。
地域社会において自立し主体的な生活が送れるよう、ホームヘルプサービス事業等の一層の充実に努めます。
日常生活用具等福祉機器の普及に努め、障害者の日常生活の利便を図ります

「主要施策」

 1 専門相談体制の充実

○身体障害者相談員、精神薄弱者相談員、児童相談所、保健所の精神保健相談、池田福祉事務所の診査更生相談、県更生相談所による巡回相談事業等の周知を図ります。
○町厚生課、民生児童委員等との連携を強化し、専門的な相談先の照会を積極的に推進します。

 2 市町村障害者生活支援事業による相談業務の拡充

○福祉施設の専門的機能等を活かし、広域的在宅福祉サービスの利用援助や社会資源の活用、ピアカウンセリング(障害者による相談)、介護相談等の実施を検討します。特に本事業は、施設がもつ専門機能を十分活用することが求められ、本町においてこの事業の導入に向け、リーダーシップを発揮していくよう努めます。

 3 ホームヘルプサービス事業の充実

○在宅の介護が必要な障害者・難病患者・家族に対し、ホームヘルパーを派遣し、身体介護・家事援助・外出時の付き添い等を実施します。
○巡回型ホームヘルプサービス等の実施について研究するとともに、池田町しらさぎ会など住民参加型家事援助サービス等の充実を図ります。
○視覚障害者や脳性まひ等全身性障害者などの外出支援を図るため、ホームヘルパーやボランティアへのガイドヘルプ研修を充実します。

 4 デイサービス事業の充実

○在宅の重度障害者の通所による入浴・給食サービス、創作的活動等を促進するため、各デイサービスセンターでの障害者受け入れ体制を強化します。
○機能訓練や社会適応訓練、入浴等介護を専門的に実施する身体障害者デイサービス事業については、サービス需要等を検討しつつ山城町等と協力し広域的な確保を進めます。

 5 短期入所事業の充実

○事業の周知を図り、利用者を増やすことにより、介護者の負担を軽減し、在宅の障害児・者の福祉の向上をめざします。
○レスパイトサービス(短時間の預かり等)などについて研究していきます。

 6 市町村障害者生活支援事業の実施

○広域的に市町村障害者生活支援事業の導入を進めます。なお本事業は、障害児のための在宅介護支援センター機能、生活訓練プログラムの実施等を含む日中集いの場といった機能をあわせもちます。実施にあたっては福祉施設の専門的機能を活用するため事業委託を検討します。
 事業内容:
  • ホームヘルパー、デイサービス、ショートスティ等の利用援助
  • 社会資源を活用するための支援
    授産施設、作業所等の紹介、福祉機器、情報機器の利用助言
    料理等の指導、外出、移動の支援、生活情報の提供など
  • 社会生活力を高めるための支援(生活訓練プログラム等実施)
    健康管理、家事、家庭管理、金銭管理、交通移動手段の利用など
  • ピアカウンセリング
    障害者自身がカウンセラーとなって、実際に社会生活上必要とされる心構えや生活能力に対する個別的援助・支援の実施
  • 専門機関紹介

 7 移送サービスの充実

○在宅介護支援センター等による移送サービスの周知を図るとともに、広域的に市町村障害者社会参加促進事業等の導入によりリフト付乗用車の運行等を研究していきます。

 8 補装具の交付の充実

○身体上の障害を補うための用具の交付・修理の充実を図ります。

 9 日常生活用具の給付・貸与の充実

○日常生活がより円滑に行われるように、日常生活用具の給付・貸与を拡充するとともに制度の周知を図ります。

 10 福祉機器展示機能の充実

○在宅介護支援センターの介護用品の展示・紹介機能を充実します。

第2節 施設サービスの充実

「現状と課題」

 地域に立地する入所福祉施設は、その専門的機能を活かし、入所者のみならず通所型、地域利用型、地域援助型などの形態で、様々な福祉サービスを展開する方向へと変わりつつあります。現在(平成10年1月1日)、本町の障害者では、身体障害者療護施設、重度身体障害者授産施設に合わせて6人が入所し、精神薄弱者更生施設・精神薄弱者授産施設、通勤寮、グループホームに合わせて58人が入所・通所しています。児童福祉法等に基づく施設では(平成9年3月31日)、養護施設、精神薄弱児施設、盲児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、乳児院、精神薄弱児通園施設に合わせて23人程が入所・通所しています。このほかに特別養護老人ホームや養護老人ホーム、老人保健施設、ケアハウスには134人(平成9年3月31日)が入所していますが、障害を持つ高齢者が多くを占めています。
今後、施設整備については県内の地域需要にあう適正配置を求めていくとともに、これらの施設入所者及び学校卒業者、在宅障害者の適切な生活・訓練等の場を確保するため、入所施設・グループホーム等生活施設をはじめ、在宅福祉サービスや作業所等を組み合わせた地域支援体制の整備を進める必要があります。
このため、特に広域的にも設置されていない在宅知的障害者(重度心身障害者)のグループホーム等の確保に向け、福祉施設・障害者・家族会等との連携を強化しつつ計画的な導入に努めます。また、福祉施設の機能を活かした各種の在宅支援事業の展開を支援していきます。

「基本方針」

 必要な時に必要な施設を利用できるよう各種施設の整備・充実を、関係機関へ働きかけていきます。また、施設が持つ諸機能が在宅福祉サービスの強化につながるように諸事業の導入を図ります。

「主要施策」

 1 施設の整備促進

○県及び近隣町村との調整を行い、障害者のもつニーズに応えられるよう、授産・療護・更生・通園等の各種の施設整備を関係機関へ働きかけていきます。
○身体障害者デイサービスの実施促進に向け、専門的・広域的なデイサービスセンター(山城町設置予定)の整備に努めます。

 2 障害者施設等による在宅支援事業の促進

○在宅障害者の生活支援の充実に向け、施設の専門機能を活かした在宅支援事業の充実・導入を促進します。
  • 心身障害児(者)短期入所事業(博愛ヴィレッジ・池田学園・箸蔵山荘等)
  • 心身障害児(者)短期療育事業(池田学園)
  • 心身障害児(者)療育相談事業(池田学園・池田療育センター)
  • 心身障害児(者)地域療育等支援事業(箸蔵山荘)
  • 市町村障害者生活支援事業
  • 精神障害者地域生活支援事業

 3 グループホーム等の確保

○箸蔵ホーム・つくしホームなど施設入所者の在宅生活促進に向けたグループホームの確保に加え、在宅の障害者が協同で生活する場として福祉施設等のバックアップを得ながら家族会等とともにグループホームの設置に向け支援策のあり方等を研究していきます

第3節 生活安定のための施策の充実

「現状と課題」

 障害者の生活の安定のための施策としては、特別障害者手当(16人)、障害児福祉手当(5人)、特別児童扶養手当(17人)など各種手当、障害者基礎年金など年金制度、各種資金貸し付けなどがあります。(平成9年12月現在)
なお、障害者アンケート調査(本町分)では、医療相談等に続き年金・手当の相談体制の充実を1/3の人が期待するとともに、特に必要な福祉施策としても医療費軽減助成に続き経済的援助の促進(1/5)があげられています。
これらの、手当や年金は、地域社会の中で自立した生活を営んでいくために重要な所得保障となりますが、有効利用を促進するため積極的な広報・相談活動を展開し、周知徹底を図る必要があります。また、経済的に自立しうるよう国諸制度の金額の増額に向け、働きかけていくことが必要です。

「基本方針」

 障害者の所得保障のため、各種手当・年金制度等の周知徹底に努めるとともに、障害者のニーズにそった制度の充実を国に働きかけていきます。

「主要施策」

 1 特別児童扶養手当の支給

○障害児を監護する保護者・養育者に対し、特別児童扶養手当を支給します。

 2 障害児福祉手当の支給

○在宅の重度障害児で日常生活に常時介護を要する20歳未満の人に障害児福祉手当を支給します。

 3 特別障害者手当の支給

○在宅の最重度障害者で、日常生活に常時特別の介護を要する在宅の20歳以上の人に特別障害者手当を支給します。

 4 障害基礎年金等の支給

○国民年金に加入している間、または60歳以上65歳未満に障害者になったとき、20歳前に障害者になった人等に対し、20歳から一定条件のもとに障害基礎年金を支給します。なお厚生年金加入者は上乗せし障害厚生年金を支給します。

 5 心身障害者扶養共済制度の周知

○保護者が生存中に一定額の掛金を納付することにより、保護者が万一死亡、または重度障害になったとき、残された障害者に終身一定額の年金を支給する扶養共済事業の周知を図ります。

 6 生活福祉資金の貸し付け

○障害者が住宅改造や自動車の取得、生業を営む場合、必要な資金を低利で融資し、経済的自立や生活意欲を助長します。制度の周知徹底を図り、円滑な資金運営に努めます。

第4節 ひとづくりの促進

「現状と課題」

 障害者福祉の推進のためには、福祉保健人材の確保・育成をはじめ、ボランティア組織の育成、住民参加型の福祉サービスの展開や専門協力者の組織的養成を必要とします。特に在宅福祉サービス拡充の要となるホームヘルプサービスについては、障害の重度化や施設から地域へといった流れの中で、家事援助中心から介護中心、サービス時間の拡大などに伴い相当の人員確保が必要となります。このため常勤ヘルパー及び登録ヘルパーの増員をはじめ、介護福祉士等の専門的なヘルパーの確保に努めることが求められます。
また、ボランティアについては、活動の中心となる層の高齢化が進展するとともに、障害者ニーズの個別性などに的確に対応していくことが困難な状況となっています。このような中で本町では、現在、県機関等により専門的技能を有する手話通訳などの派遣を受けている状態であり、今後の障害者の社会参加等の促進を図るためには点訳・朗読・手話・要約筆記奉仕員等の養成や派遣、情報支援等に取り組むことが望まれます。このため、障害者団体やボランティア連絡協議会、広域町村等との連携の中で三好郡共同事業として、専門的な技術によりコミュニケーション等の円滑化を図る人材の確保・養成等をめざし、市町村障害者社会参加促進事業の導入を図ることが必要です。さらに、これらの専門的マンパワーを組織し、各障害者団体や家族会と連携する団体として育成し、それぞれの障害者ニーズに応じた社会活動の支援体制を整えていくことが望まれます。
このほかに、社会福祉協議会事業等として、住民参加型の家事援助サービスの充実を図りつつ、障害者福祉等にたずさわる多様な人材の確保・育成を進めていくことが望まれます。

「基本方針」

 障害者のニーズに対応できるよう、専門的知識や技能を持った人材の確保・養成に努めます。
地域福祉を一層推進するため、ボランティア活動の振興を図り、ボランティアの量的・質的拡大に努めます。
社会福祉協議会が、地域福祉の推進の主体として重要な役割を果たせるよう支援します。

「主要施策」

 1 ホームヘルパーの体制整備

○障害者や高齢者の増大かつ多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するため、ホームヘルパーの体制を整えます。

 2 専門研修の充実

○それぞれの専門分野に従事する人に対して、研修を実施し、資質と専門性を向上させます。

 3 市町村障害者社会参加促進事業の導入

○広域的に市町村障害者社会参加促進事業を導入します。なおこの事業は、障害者(身体障害者)のニーズに応じた事業を実施することにより、障害者の自立と社会参加の促進を図ることを目的とします。
 事業内容:以下の選択事業の中から5事業以上を選択し実施
  • 点訳奉仕員等(点訳、朗読、手話、要約筆記)養成事業
  • 手話奉仕員等(手話、要約筆記)養成事業
  • 手話通訳者設置事業
  • 点字広報等(点字広報、声の広報)発行事業
  • 自動車運転免許取得助成事業・自動車改造助成事業
  • 重度身体障害者移動支援(リフト付きワゴン車)事業
  • 生活訓練事業(視覚障害者、聴覚障害者)
  • 身体障害者スポーツ振興(スポーツ教室開催等)事業
  • 福祉機器リサイクル事業
  • 地域のニーズに即した事業

 4 ボランティア活動の活性化

○ボランティア入門講座のほか、講座領域を拡大に努めます。

 5 社会福祉協議会への支援

○社会福祉協議会が、役割を十分発揮できるよう活動の活性化を図るため、支援をしていきます。
○社会福祉協議会による、ふれあいのまちづくり事業を支援します。

 6 住民参加型家事支援サービスの推進

○社会福祉協議会事業等として、会員制の有償ボランティアによる家事援助サービスの充実を進め、公的ホームヘルプサービスを補う、サービス提供のあり方等を研究していきます。

第6章 生活環境の整備

第1節 福祉環境の総合的推進
第2節 住宅・生活環境の整備
第3節 交通・移動手段の整備充実
第4節 防災体制の充実

第1節 福祉環境の総合的推進

「現状と課題」

 障害者の自立生活を確立し、社会経済活動への参加を促進していくためには、建築物や道路・公園、公共施設などにおける物理的な障害の除去や快適に利用できる諸条件の整備が必要です。
県においては、ハートビル法「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」の施行等を受けつつ、平成8年3月に「徳島県ひとにやさしいまちづくり条例」を公布し、公共施設や公的施設の環境整備基準を示しています。
本町では、障害者等が利用しやすい公益的施設や道路の改善整備等を順次進めていますが、視覚障害者用付加装置を設置した信号は2基であり、また、歩車道分離もほとんど進んでいない状況にあります。
また、障害者アンケート調査(本町分)でも、外出時に困ることとして、車などの危険性や歩道の段差、交通機関の利用しずらさ、障害者用トイレの少なさなどが指摘されるとともに、公共施設・公園・道路・民間施設等の改善整備が求められています。
今後、特に利用の多い公共施設・量販店や交通機関等の周辺を中心として、重点整備地区等を設定しつつ、放置自転車・違法駐車・看板等通行の妨げとなるものの規制等も進め、安全な環境の整備を進めることが必要です。
さらに、県条例の普及の徹底を図るとともに、民間施設も含め福祉的配慮がなされるように要請するなど、福祉のまちづくりに向けた着実な取り組みを進めることが必要です。

「基本方針」

 障害者が自由かつ容易に社会活動に参加できるよう、福祉のまちづくりを総合的に推進します。
公共性の高い建物、道路・公園などにおいて、施設のバリアフリー化や障害者等の利用に配慮した整備を進めます。

「主要施策」

 1 人にやさしい福祉のまちづくりの推進

○障害者や高齢者を含むすべての町民が、安全で快適な生活を送ることができる都市環境の基盤整備を促進するため、関連各課が連携し、総合的な福祉のまちづくりを推進します。また、「やさしいまちづくり整備モデル資金貸付」の周知を図り、利用の促進に努めます。

 2 公共施設の整備促進

○公共施設の新築又は改築する際には、県の条例に基づく整備を図ります。庁舎においては、専用駐車場等を障害者の利用に前提とし配慮するとともに障害者用トイレなど順次整備を進めます。
○また、駅など公共交通機関の改善整備について要望していきます。

 3 安全で快適な歩道の整備

○障害者・高齢者の利用に配慮した幅の広い歩道や段差の解消などの整備に努めます。
○特に利用の多い箇所は、電線類の地中化等を事業者に要望していきます。

 4 音響信号機等の設置

○利用頻度が高い箇所や人通りが少なく誘導等が困難な危険箇所などを中心に、音響信号機や誘導ブロックなどを整備し、安心して利用できるような環境整備を進めます。

 5 放置物等の是正指導

○道路に放置されている自転車や歩道乗り上げ駐車、看板等による交通障害を解消するため、是正指導を進めます。

 6 障害者等によるワークショップの開催促進

○障害者団体等の参加を得て、町内の危険箇所や不便な点等を明らかにするとともに、公共施設の整備に先立ち、より適切な設計が行われるよう検討会等の開催を促進します。

第2節 住宅・生活環境の整備

「現状と課題」

 障害者が地域の中で暮らしていくためには、障害があっても自立が促進される住宅が整備されていることが必要です。
本町では、町営住宅については現在423戸を管理していますが、多くの建物が老朽化している状況にあります。障害者については1階への入居に努めていますが、障害者や高齢者が安心して行動できるようバリアフリー化を推進するとともに、既存町営住宅では施設の整備状況や入居者のニーズを把握し、改善を推進することが必要です。
「障害者アンケート(本町分)」では、今後改造を希望する人が3割強となり、風呂・トイレ・台所などの改造を望むなど、住宅改造に対する需要は相当高いものとなっています。また、住宅についての今後の取り組みとしては、改造資金についての支援体制の充実、住みやすい公営住宅や介護付住宅の整備などへの期待がめだちます。
このため、今後の公営住宅の建て替え等に際しては、需要に配慮しながら高齢者・障害者用住宅を増やしていくこと及び一般住宅の改造支援の周知・充実等が必要となります。

「基本方針」

 公営住宅の建替えに際しては、障害者等の住宅需要を的確に把握し、構造・設備に配慮した住宅の建設を進めます。
日常生活の環境改善を図るための居室整備を支援する補助や貸付け制度の利用を促進します。

「主要施策」

 1 公営住宅の整備推進

○公営住宅については、建替えに際し、安全と利便を考慮した住宅を、障害者等の住宅需要に対応して供給するよう計画します。また建て替えによる家賃上昇等も考慮し既存住宅の改良整備を推進します。

 2 住宅資金割増融資制度の普及

○住宅金融公庫による高齢者・障害者割増融資制度の普及に努め、障害者の生活環境の改善や介護の軽減を図ります。

 3 住宅改造助成制度の普及

○日常生活がより円滑に行われるように住宅改造の助成を行う重度身体障害者住宅改造助成の普及を図ります。また、生活福祉資金の貸付の住宅改造費融資などの周知を図るとともに、リフォームヘルパー派遣制度等の利用を促進するよう努めます。

第3節 交通・移動手段の整備充実

「現状と課題」

 障害者の多くは、その障害のために外出が困難で、社会参加がしにくかったり通院等においても不便な状況におかれています。
このような中で、公共交通機関の果たす役割が重要視されるとともに、自家用車をはじめとした個別移動手段の利用の促進を図ることや、移送サービス等の充実が求められます。
現在、これらの外出支援策としては、バス路線やJR徳島本線・土讃線等公共交通機関の運行をはじめ、公共交通機関の運賃・料金の割引、自動車取得税等の減免など経済的支援、身体障害者自動車改造費や自動車訓練費の助成などが実施されています。また、在宅介護支援センターでは医療機関への移送サービスを実施しています。
なお「障害者アンケート調査(本町分)」では、主な外出手段としては、乗用車、公共交通機関、タクシー等の利用が目立っています。また、今後の外出支援策としてはタクシー券助成の促進が多くの人から期待されています。
今後、各種割引制度や助成の周知・利用の促進を公共交通事業者等も含め呼びかけていくとともに、公共交通機関の利用のしやすさの改善、個別の移動を促進する施策の展開等に努め、外出の容易さを高めていくことが必要です。

「基本方針」

 障害者の移動手段の拡充を図るため、福祉バスの貸出を促進、鉄道・バス運賃等の割引制度については周知に努めます。
身体障害者の自家用車利用については、支援制度の周知を進めます。

「主要施策」

 1 身体障害者自動車運転免許取得費助成の周知

○身体障害者が自動車免許を取得するための教習を受ける場合、県では取得費用の一部を助成しており、この制度の周知を図ります。

 2 身体障害者自動車改造費助成の周知

○重度身体障害者が就労等に伴い自動車を取得する場合、その自動車の改造に要する経費の一部を助成しており、この制度の周知を図ります。

 3 福祉バスの周知

○社会福祉協議会による福祉バスの貸出の周知を進めます。

 4 運賃、料金の割引制度の周知

鉄道・バス運賃、航空運賃、有料道路通行料金割引等制度の周知を図ります。

第4節 防災体制の充実

「現状と課題」

 障害者が地域の中で安心して生活できるよう、防災対策が適切に講じられていることが大切です。
本町では、防災上の問題としては、長期的には中央構造線による地震災害、短期的には台風等による風水害や土砂災害の発生等が懸念されます。これに対し、適切な対応が図られるよう地域防災計画等にもとづき予防対策や応急対策の実行性を高めておくことが重要です。また、高齢者や障害者などに対しては特段の配慮が求められ、特に障害者福祉施設の防火管理や避難誘導体制を整えておくことが必要です。
「障害者アンケート調査(本町分)」では、必要な防災対策として、災害時に「安全確認に来てくれる人」を約37%もの人が希望しているとともに、「避難誘導に協力してほしい」が約26%、「避難所の充実」27%程度となるなど、人的支援を中心として防災対策の充実が望まれています。
現在、本町では、独り暮らしの高齢者宅に緊急通報システムを設置するなど、緊急時の安全確保策を講じていますが、今後、障害者等も含め拡大していくことが求められます。また、プライバシー等も配慮しつつ地域における障害者等の把握に努め、近隣住民等による救助体制の確立などに努めることが必要です。

「基本方針」

 社会福祉施設における防災管理体制の充実・強化を図るとともに、災害時の受け入れ体制の確立を検討します。
防災教育や防災訓練を推進するとともに、障害者等の救出活動が実施できるよう、地域における自主防災組織の拡充を支援します。

「主要施策」

 1 施設防災体制の強化

○障害者施設等への立入検査及び防火管理指導を行い、防災管理体制の充実を図ります。また、近隣やボランティア団体等の協力を得る体制の整備を進めます。

 2 住宅防災対策の推進

○住宅火災による死傷者の発生を予防するため、防火思想の普及を図るとともに、防災機器等の設置を促進し障害者のいる家庭等の安全対策を推進します。

 3 防災教育・訓練の推進

○防災知識の向上と災害時の的確な対応を図るため、障害者の実態や地域の実情を把握し、障害者のいる家庭及び施設職員等への防災教育と防災訓練の推進を図ります。

 4 地域協力体制づくりの推進

○災害発生の緊急時には、災害弱者である障害者等についても、地域住民による自主的な救出・救護等の活動が実施できるよう、自主防災組織づくりへの支援と協力を推進します。また、ボランティアの活動を確保するため、交流会や研修会を開催するよう努めます。

 5 緊急通報システムの整備

○災害時における迅速な救助活動を行うため緊急通報システムの拡大を図ります。また聴覚障害者向けの緊急通報ファックスの導入を進めます。
○福祉事務所や保健所等との連携を強化し、プライバシーに配慮しながら町内障害者の情報の整理・保管・緊急時の活用などに向け研究します。

▲戻る


主題:
池田町障害者福祉計画  No.1
1頁~61頁

発行者:
池田町

発行年月:
平成10年3月

文献に関する問い合わせ先:
池田町