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第二次 障害福祉長期行動計画

No.1

平成6年10月

神奈川県
福祉部障害福祉課

項目 内容
立案時期 平成6年10月
計画期間 平成6年度~平成15年度(10年間)

はじめに

 国際障害者年を機に、「障害福祉長期行動計画」を策定してから早くも10年。この間、県では、福祉、保健・医療はもとより、さまざまな分野で「行動計画」に沿った総合的な取り組みをすすめてまいりました。お陰さまで、県民運動として地域福祉を推進してきた「ともしび運動」の活動ともあいまって、ノーマライゼーション思想の普及など、社会的な関心や理解も一段と深まり、障害をおもちの方々の自立と主体的な社会参加の前提となる環境の整備も大きく前進してきたところです。
 しかし、近年、障害をおもちの方々をめぐる状況は、障害の重度・重複化や高齢化などとあわせ、大きく変化してきており、新たな課題も生じてきています。そうしたなかで、障害をおもちの方々の社会参加への意識はこれまでにない高まりをみせており、環境条件のさらなる整備が強く求められております。
 そこで、こうしたニーズに応えて、「行動計画」の理念である「完全参加と平等」をさらに前進させていくために、これまでの実績を踏まえ、これからの10年間を計画期間とする「第二次障害福祉長期行動計画」を策定いたしました。
 策定にあたっては、学識経験者、障害をおもちの方々、施設や市町村の関係者で構成する検討委員会の手で、たいへん素晴らしい提言を練り上げていただきました。また、広く県民の皆さんや障害をおもちの方々の団体などから貴重なご意見や切実なご要望も頂戴いたしました。
 こうした提言やご意見を踏まえ、計画内容も、「完全参加と平等」に加え、「人権の尊重」や「生活の質の向上」等を基本に据え、障害をおもちの方々が住んでいる地域で安心して暮らしていくための多彩な施策を盛り込んでおります。この計画が、県民の皆さんとの共同作品として、確かな歩みを重ねていくことを心から期待しております。
 県としても、この計画の着実な推進に努力するとともに、障害をおもちの方々の自立と社会参加を支援してまいりますが、こうした取り組みの一つひとつが、行政の力だけでできるものではありません。生活の場である家庭や地域をはじめ、多くの皆さんのご理解、ご協力あってのことと存じます。今後とも、県民の皆さんと手を携えて、「ともに生きる福祉社会かながわ」の実現に努力してまいりたいと考えております。県民の皆さんの温かいご理解とお力添えをお願いいたします。
 終わりに、「第二次障害福祉長期行動計画」の策定にご尽力いただいた検討委員会の委員の皆さん、また、貴重なご意見をお寄せいただいた障害をおもちの方々をはじめとする県民の皆さんに、改めて厚くお礼申し上げます。

平成6年10月
神奈川県知事 長洲一二

もくじ

第1章 基本構想
第1節 基本理念
  1. 障害福祉の基調・方向
  2. 人権の尊重
  3. 生活の質の向上
  4. ノーマライゼーションとインクルージョン
第2節 基本的視点
  1. 地域福祉の推進
  2. だれもが住みよい街づくりの推進と住まいづくり
  3. 関係機関のネットワークとサービスパッケージの構築
  4. 障害の重度化・重複化・高齢化への対応
  5. 国際協力と交流
  6. 施策事業の企画・立案・進行管理
第2章 基本計画
第1節 障害福祉の基盤づくり
  1. 社会一般への啓発
  2. 権利擁護の推進
  3. 人材の養成と確保
  4. 福祉機器の研究開発及び普及
  5. アジア太平洋地域との協力・支援
  6. 国への要望
第2節 ライフステージに対応した施策の展開
  1. 乳幼児期・学齢期
  2. 青年期・成人期
  3. 高齢期
第3節 雇用・就労
  1. 雇用の推進
  2. 雇用以外の就労の促進
第4節 文化・スポーツ・レクリエーション
  1. 文化・スポーツ・レクリエーション活動の機会の保障
  2. 人間性豊かな暮らしと社会を創る文化活動
  3. 障害者のスポーツから生涯にわたるスポーツへ
第5節 都市・生活環境と住まいづくり
  1. 福祉の街づくりの総合的推進
  2. 人にやさしい都市・生活環境の整備
第3章 実施計画
体系図
第1節 障害福祉の基盤づくり
  1. 社会一般への啓発
  2. 権利擁護の推進
  3. 人材の養成と確保
  4. 福祉機器の研究開発及び普及
  5. アジア太平洋地域との連携による協力・支援
  6. 施策事業の企画・立案・進行管理
第2節 ライフステージに対応した施策の展開
  1. 乳幼児期・学齢期
  2. 青年期・成人期
  3. 高齢期
第3節 雇用・就労
  1. 雇用の推進
  2. 雇用以外の就労の促進
第4節 文化・スポーツ・レクリエーション
  1. 活動機会の保障
  2. 人間性豊かな暮らしと社会を創る文化活動
  3. 障害者のスポーツから生涯にわたるスポーツへ
第5節 都市・生活環境と住まいづくり
  1. 福祉の街づくりの総合的推進
  2. 公共的建築物の整備
  3. 住まいづくり
  4. 道路・交通システムの整備
  5. 公共的スペースの整備
  6. 情報提供・情報交換手段等の充実
  7. 非常災害時等に対する対策の推進

国への要望

第一章 基本構想

みないで

あなたもまた
驚きと好奇心をあらわに
私を見るのですか
足指にスプーンを持ち食事する私
私の耳に
あなたの感心したつぶやきが
とびこんでくる
驚き不思議がるのは当たり前のことです
でも いやなのです
 私も普通の女の子
 とても恥ずかしい
特に若い人に見つめられたら・・・・
それでも なお私は食べつづけます
生きていくために

(浦田愛子著 詩集「セピア色の風」より)

第1節 基本理念

1 障害福祉の基調・方向

(1) 障害福祉の目標
ア 国際障害者年に掲げられ、第一次障害福祉長期行動計画が目標とした障害者の社会への「完全参加と平等」の理念は、広く県民の間に定着してきています。障害者の意識や県民の理解は、10年前とは大きく変化してきており、今日では、この理念を達成するための具体的な施策が求められています。
 第二次障害福祉長期行動計画のめざす目標は、基本的には第一次計画を引き継ぎながら、まもなく迎える21世紀の社会の姿をイメージし、より豊かに生きる社会をめざしてまいります。
 
イ 第一次計画では、「すべての障害者が、保護される存在でなく主体性をもつ存在として、地域で自立するための努力を最大限に尊重し、発展を援助し、また、参加の機会を用意し拡充することである」と規定され、それを可能とする社会環境の創出・整備を図ってきました。
 21世紀には、障害者の地域社会での生活がこれまで以上に常態化され、障害者の生活が、障害をもたない人の社会的・経済的・文化的水準と同等になっていることが必要です。そこは、障害者の人間としての尊厳がいささかも損なわれることのない社会であり、自己の可能性を伸ばし、障害者が特別の存在としてではなく、すべての人々と同じように一人の人間として暮らしていく社会です。
 
ウ これからは、障害者自身が自己の生活を創りあげていくために、障害者自らが選択し決めることのできる自己決定権の保障と、参加の機会均等を保障するための条件整備をすることによって、障害者が社会の一員として平等に活動できる社会を築いていくために障害福祉を進めていきます。
(2) 障害の意味
 障害は人間社会に必然的に派生するものであり、だれもが負う可能性をもつものです。
 障害者基本法の制定もこのような考えに基づいたものであり、身体障害・精神薄弱・精神障害だけでなく、てんかんや自閉症、難病に起因する身体または精神上の障害のために、長期にわたって社会生活での不利を併せもっている状態を、障害者の範囲としたものです。さらに、国際連合が提示しているように、永続的でない社会的不利も、障害ととらえていくことが大切です。
 また、一人ひとりの人間にはそれぞれ個人差があるように、障害も社会的ハンディによる個人の差にすぎないものであって、障害は本人の人格や選択とは無関係なものです。そして、障害をもつ人ともたない人で一つの社会を構成しているのです。
(3) 主体性・自立性の確保
 第一次計画における「自立とは、障害者が自らの考えと判断により、地域社会の中で主体的に生き、自己実現を図ってゆくこと」とする考え方を、さらに具体的に進めていきます。そのためには、それぞれの能力や特性に応じて自己実現を図ることができる社会をめざし、障害者一人ひとりが主体性、自立性を確保できるような支援を基本に、障害当事者が主体的・組織的に取り組む活動も尊重し、その支援を行っていきます。

2 人権の尊重

 障害者を、一人の人間として個人の尊厳を重んじ、その尊厳にふさわしい権利を守り、生活にかかるすべての領域で参加機会の均等化を図っていきます。そのために、教育、就労、文化・スポーツ等のすべての分野で物理的環境と参加の条件(アクセシビリティ)を整備し、そのうえで、障害者が自己の能力と生活に応じた選択ができるように努めていきます。
 また、障害者が選択と自己決定権を保障されたうえで、自己の正当な権利を主張できるような機会の拡大と手段の確立を図っていきます。

3 生活の質の向上

 障害をもつ人も、すべての人々とともに、人間らしく、より豊かに生きることができる社会は、障害者も本人の希望と選択によって「自分らしい個性的なライフスタイル」をつくっていくことができる社会です。そのために、施策・制度の充足とあわせて、日常生活の中に豊かな暮しを創っていくための整備を図っていきます。
 また現代は、効率や経済を追求するあまり、ひずみやゆがみの出てしまった社会を、障害者の生活の視点から、一人ひとりの人間の持っている可能性をどこまで引き出し得ているのかが問い直されています。障害の有無を超えて、働き、学び、遊び、暮し、金銭で計れない豊かな時間を共有することで、時間・自然・労働・美といった、さまざまな「価値の交換」を行い、社会全体の「生活の質」を高めていくよう努めていきます。

4 ノーマライゼーションとインクルージョン

 障害福祉の追求に向けて、「ともに生きる社会」づくり(ノーマライゼーション)をさらに進めるとともに、障害者自身が、社会の一員として真に社会に参加している実感と誇りをもてる社会づくりを進め、「多元性・多様性の許容できる社会」をめざしていきます。それは、10年後には「障害者」という言葉を使わなくてよい社会になっていることでもあると考えられます。
 また、政策面では、障害福祉の総合化をさらに進めて、あらゆる分野において法律・制度・施策に障害者施策が包括化(インクルージョン)されることをめざしていきます。

第2節 基本的視点

1 地域福祉の推進

 障害者が地域で安心して生活できるように、生活の場で、障害者本人が必要なときに必要な支援を、自身の選択によって受けることができる在宅福祉サービスが用意されていることが必要です。在宅福祉サービスは、一次福祉圏である日常生活圏及び市町村域を基本に、これを支援する二次福祉圏である広域圏、三次福祉圏としての県域というエリア設定のもとで、それぞれの役割に基づいた条件整備を図っていくことが必要です。
 地域福祉では、市町村の役割が重要であるので、市町村の政策形成と展開を多面的に支援し、市町村相互間の有機的・広域的協力がなされるような仕組みを考えていく必要があります。そして、市町村との連携のもとに、県の役割を果たしていきます。

2 だれもが住みよい街づくりの推進と住まいづくり

 障害者が社会に参加し、地域で安心して生活するためには、建築物・道路・交通機関などを障害者が利用しやすいように整備することは欠くことのできない条件です。そこで、これらを面として整備し、連続性の確保に努めていきます。さらに、物理的環境だけではなく、情報やコミュニケーションの保障にも努めていきます。
 住まいは、すべての人の生活の本拠であり、住まいの質的・量的確保は大変重要なものです。障害者が自ら住まいを選択できるよう、良質で多様な形態の住まいを安定して供給できるようその確保に努めていきます。
 障害者がすべての人々と同様に都市・生活環境を利用できるように整備することによって、障害者の選択の機会を都市・生活環境の面から拡大するばかりでなく、都市はだれもが安心して快適に利用できるものとなります。こうした視点で社会資本を整備し、「都市の質」の向上に努めていきます。

3 関係機関のネットワークとサービスパッケージの構築

 障害者が地域において、一人ひとりの生涯にわたる各生活段階で、自立した生活を送るためには、本人の生活にあわせた個別化したサービスパッケージを構築していくことが必要です。個々の障害者が主体的にサービスを選択できるよう、サービスパッケージの構築に障害者本人が参画することと、多様なサービスと多元的な供給形態の用意に努めていきます。
 そして、このようなサービスを提供するためには、関係機関がお互いに連携を取りながら、さまざまな社会資源を有機的に活用していく必要があります。
 また、地域で実際に協働する関係職員が中心になって地域の連絡会議などの組織的な活動を推進し、その中核となりケースマネジメントを行える職員を配置するとともに、その活動が保障されるよう努めていきます。

4 障害の重度化・重複化・高齢化への対応

 障害が重かったり、重複しているなどのため、常時介助等を必要とする障害者の割合が増加する傾向にあります。こうした重度・重複障害者が豊かな生活を送ることができるよう、障害の多様化に対応したサービスの提供に努めていきます。
 また、人口構造の高齢化に伴って、障害者の高齢化が進んできており、高齢者の中にも障害のある者も多くなっています。このような状況に応えていくために、障害福祉施策と高齢者福祉施策の一体的推進を図っていきます。
 今後は、働く障害者の高齢化が見込まれるので、高齢化した障害者のニーズに応じた勤務形態や就労形態についての研究も進めていきます。
 さらに、高齢期の社会的孤立の防止、家族の死後の生活支援プログラムや施設生活への適応力等の基礎研究や「みとり」のあり方について検討を行っていきます。

5 国際協力と交流

 東西冷戦構造が終焉し、南北間等の国際的課題が表面化する中で、国レベルの外交だけでなく、自治体や市民が国際社会で果たす役割は増加しています。
 特に、アジア太平洋地域の障害者の生活状況を改善するため、人権の保障、障害当事者が取り組んでいく自助活動、開発途上国等に対する専門職の養成援助等を中心とした、協力・交流活動が求められています。その際、二国間協力から多国間協力へつながる域内協力など多彩な方法や、一方的な援助ではなく関係者が相互に学び合う対等な関係を形成できるような方法の検討を進めていきます。

6 施策事業の企画・立案・進行管理

ア 決定過程への障害者の参加
 完全参加と平等という目標を達成するためには、障害者個人に向けられた施策だけでは十分ではありません。施策事業の企画・立案・決定・実施の過程に、障害者が責任をもって参画することが重要であり、その機会の拡大に努めていきます。
イ 障害当事者の役割
 参加と平等は障害者の権利であると同時に障害者自身が社会的義務を果たすことで実現できるものです。自立への支援、地域生活の支援、機会の均等化等の諸施策の推進にあわせ、障害者及び障害者関係団体の果たす役割は重要なものであり、積極的にこれを支援していきます。
ウ 計画の進行管理及びアセスメント
 施策の整合性・効率性を確保する手段並びにニーズを取捨選択する価値基準及び優先順位の決定等について、十分な合意を得るための方法等を検討し、制度・施策の運営等に反映していきます。また、進行管理機構を設置し、広く意見をききながら計画のアセスメント(点検・評価)にも努めていきます。

第二章 基本計画

第1節 障害福祉の基盤づくり

1 社会一般への啓発

 障害者が社会の中で普通に生活できるよう、障害者への偏見をただし、人々の「心の壁」を取り除くために、障害に対する理解を進めなければなりません。このことは、地域社会や関係機関、関係団体が協力して、辛抱強くかつ幅広く、さまざまな機会を利用して行われる必要があります。県も、障害者の日やこれに続く障害者福祉週間等を活用し、効果的な啓発を行っていきます。
 とりわけ、障害に対する正しい理解は、子どもの頃から進めることが重要であり、統合・交流教育や福祉教育が、地域をはじめいろいろな場で、効果的に実施されるよう努めていきます。
 また、障害者が自らの活動をとおして、障害者の問題を社会に提起し、障害に対する理解の促進に大きな役割を果たしてきました。これからも、障害者自身のそうした活動が社会を変えていく大きな力となっていくものと考えます。

2 権利擁護の推進

 障害者が地域社会で充実した生活を送るために、社会一般への啓発や福祉サービスの充実、福祉の街づくりの推進等その生活基盤を整備するとともに、その生活の保全を図る必要があります。しかし現状では、身体的虐待や言語による暴力、年金等の財産の侵害など、障害者の生活を脅かすものがあります。特に、自己主張の困難な状態におかれやすい障害者にとって、権利擁護の確立が必要であり、権利擁護に視点をおいた特別な援護体制を整備する必要があります。
 こうした問題を解決していくために、公的施策を障害者の人権という観点から総点検し改善する活動、障害者自身や障害者団体等による権利主張と権利擁護活動、是正のための命令・勧告・監視等の法的措置をも含む公的第三者機関の活動、障害者が地域生活を維持・継続できるような成年後見人の設置等、多元的な手法の検討を行っていきます。このような活動や手法が総合的に機能するような仕組みと、県民の一人ひとりが相互に一人の人間として認め合う環境をつくりあげるよう努めていきます。

3 人材の養成と確保

 障害者の自立と主体性を重んじる施策を進めるうえで、適切な支援を行う専門職員の確保は重要な課題であり、「人」がカギを握っているといっても過言ではありません。専門性と資質及び障害に対する深い理解を備えた職員を、保健医療や教育、労働、福祉等のそれぞれの分野の機関、施設、事業所等に配置することができるよう、養成・研修の体制を確立するとともに、人材の発掘、登録、斡旋システムの充実、魅力ある職場環境づくりを促進していきます。
 さらに、組織や機関の連携の確立や地域で障害者の生活の支援にあたる職員の養成には、ジョイント・トレーニング等領域を越えて共通理解をもつような研修を実施していきます。

4 福祉機器の研究開発及び普及

 福祉機器には、自助具や補装具、機能訓練のための機器、学習・生産工程等の支援機器、移動機器・交通機関、情報機器・情報環境にいたるまで多様なものがあります。これらの福祉機器を障害者の自立と社会参加を促進したり介助者の労力を軽減する手段として、福祉、教育、雇用、都市・生活環境のあらゆる分野で有効に活用していきます。
 また、科学技術の発達によって、福祉機器は大きく発達する可能性をもっており、積極的に研究開発・普及を図っていきます。研究開発にあたっては、障害の態様に即した使いやすい機器を開発するとともに、福祉機器自体の質を高めていきます。そのために、利用者の意見を反映するモニタリングの仕組みを確立していきます。
 さらに、福祉機器は、必要な機器を、必要な人に、必要なときに届くようにすることが大切です。このような観点から、福祉機器の提供・普及体制を、利用者に身近な市町村を基本として、福祉機器に関する情報からリサイクルまで、さらに住宅や街づくりまで関連分野との連携のもとに総合的に整備していきます。

5 アジア太平洋地域との協力・支援

 国際化社会のなかで障害者の福祉を実現させるため、地域と地域、市民と市民が行う交流や相互協力の発展を促進していきます。そして、その活動には障害者自身が積極的に参画することが重要です。スポーツ・文化活動での交流や国際会議等への参加は、自治体レベルや障害者自身で積極的に行っていくことも必要です。
 また、福祉や保健医療の分野で日本が果たす役割は大きなものがあります。特に、アジア太平洋地域諸国との連携のもとに、域内協力等をも視野に入れながら、開発途上国の障害者の生活状況を改善するために、行政や民間活動の資源や経験を活かし、関係機関の職員の派遣や相手国の職員の受入れによる専門職員の養成・研修機会の提供、民間活動組織等との連携による技術援助、県民の草の根活動への支援等、さまざまな分野とレベルにおける協力・支援を促進していきます。

6 国への要望

 所得保障及び障害の範囲の拡大については、国の責務であると考えるので機会ある毎に国へ要望していきます。

(1) 所得保障
ア 年金制度の充実
 障害者が自立生活を営み社会参加するためには、経済的な安定が図られなければなりません。稼得能力が低下し、または喪失した者に対する所得保障の基本は年金制度ですが、これは保険方式が取られているため、年金だけでは保障が得られない場合があります。補完的、経過的であるはずの生活保護が障害者の所得保障の基本とされているかのような実態には問題もあり、障害基礎年金や特別障害者手当制度が創設され、所榎保障が改善されました。
 しかし、介助の費用等それらの制度だけでは不十分であるので、年金の充実について国に要望していきます。
イ 自立手当支給制度・介助手当支給制度の創設
 重度の身体障害者が地域で自立生活を営むためには、障害基礎年金のみでは不十分であり、生活保護に依存せざるを得ない状況があります。また、障害基礎年金は障害を事由とした年金制度ですが、障害者が地域で生活するうえで必要な介助等の位置付けが明確にされていません。さらに、無年金者がいるというのも事実です。
 そこで、重度の身体障害者が自らの自立への意識をもって地域で安定した生活を営めるよう、自立生活手当支給制度及び介助手当支給制度の創設を国に要望していきます。
(2) 障害者の範囲の拡大
 障害者基本法の制定にあたって、その付帯決議で難病等に起因する身体または精神上の障害によって、長期にわたり生活上の障害があるものは、障害者の範囲に含まれるものであり、これらの者に対してもきめ細かに施策を推進するように努めるものとされましたが、身体障害者福祉法に該当しない場合は、種々の援護措置が受けられず、生活の安定が脅かされている現状にあります。
 そこで、障害の内容によって生じる格差を是正するため、政令による障害者の範囲の拡大や認定の基準の改正について国に要望していきます。
  • 肝臓機能障害
  • 排尿排便機能障害
  • そしゃく機能障害 等

第2節 ライフステージに対応した施策の展開

1 乳幼児期・学齢期

 障害をもつ児童が、それぞれの個性に応じて最も適切な療育・教育が受けられるように、諸条件の整備に努めていきます。特に、本人の意思が尊重され、その家族及び福祉、医療、教育の関係者が協力して、障害をもつ児童ももたない児童もともに学びともに育つための機会の確保に努めていきます。
 また、障害をもつ児童の療育・教育の推進にあたっては、保健所、医療機関、児童相談所、福祉施設、学校等関係機関が連携した療育・教育のシステムづくりを進め、乳幼児期から学齢期までの一貫した療育を一層進めていきます。

(1) 相談体制の整備
 療育・教育を必要とする一人ひとりの児童が、地域社会で快適な生活を送るためには、その家族が子育てや療育・教育についての正しい知識をもつことが大切です。市町村に、子育てや療育・教育に関する相談窓口を設置し、子供の成長に応じて気軽に相談できる体制の整備を進めるとともに、関係機関のネットワーク化を図ります。また、家族の生活が安定していることも大切ですので、生活に対する相談にも十分に対応できるような体制づくりを進めます。そして、県は、それを支援していきます。
(2) 療育体制の整備
 障害をもつ児童の生活の安定のために在宅福祉及び施設福祉を地域福祉の視点から見直し、サービスを提供していきます。
 また、医学や療育に関する新しい研究成果や動向を踏まえて、地域の療育関係者や家族を対象とする研修を実施するなど、地域に根ざした療育体制を支援するための研修・研究の実施に努めます。
ア 障害の早期発見・早期療育
 療育は、障害の発見とともに最適、最新の専門サービスの提供を必要とします。そのために、医療機関、保健所、児童相談所、市町村等の連携のもとに障害の早期発見、早期療育に努めます。また、市町村が実施する通園施設、通園事業、地域訓練会の療育事業に専門の療育スタッフを派遣するなど支援体制の強化に努めていきます。
イ 学齢期療育
 小学校入学後も、児童の成長にとって療育は大切なものであり継続して行われることが必要です。週日の放課後や週末、夏休みなどに、児童が身近な場所でさまざまな交流や豊富な生活体験ができるよう、地域の子供会活動や行事、スポーツやその他の余暇活動の多彩な社会資源やプログラムが用意されるよう努めます。さらに、就学時健康診断・定期健康診断及び日常生活において、療育の必要のある児童が発見された場合も、十分な療育を受けられるよう体制の整備に努めていきます。
ウ 施設療育
 障害が重いなどの理由で家庭における養育の困難な児童に対しては、専門的な施設で療育を行う必要があります。施設では、児童の人権を尊重し、精神的に安定した生活ができるようにする必要があります。そのために、療育内容や、居室等の整備について十分配慮するよう努めていきます。
 なお、障害があり養護に欠ける児童の養育に当たっては、家庭と同じような生活ができるように、里親制度の一層の充実についても検討していきます。
(3) 教育体制の整備
 教育は、児童一人ひとりの持っている可能性を最大限伸ばし、人格の形成を図りながら、将来その児童が自立して生活することや、その生活を一人ひとりの価値観に基づいて、より豊かにすることを目的としています。こうした教育の原則は、障害をもつもたないにかかわらず、全ての児童に共通することであり、障害をもつ児童に対する教育も、社会や学校教育全体で受け止め、一人ひとりの教育ニーズに基づいた多様な教育を展開していきます。
 また、ともに生きる平和な社会をつくるためには、それぞれの立場と個性を尊重しながら、お互いに助け合い、啓発し合いながら生きていくことの重要性を、幼児のうちから学びあっていくことが大切です。その一つとして、障害をもつもたないにかかわらず、すべての児童がともに学びともに育つ機会を、教育の全過程を通してより一層確保するよう努めていきます。
 さらに、特に学校教育の段階にあっては、障害の多様化に対応するため、福祉や保健等の関係機関とより密接な連携を保ちながら、児童・生徒一人ひとりの個性に応じた「個別教育計画」に基づいた指導の実施に努めます。この「個別教育計画」の作成にあたっては、保護者はもとより、療育等を担当していた関係者と連携し、一人ひとりの障害の状態等を正しく把握するとともに、その児童自身の学校教育終了後の生活も見通した計画として作成するよう努めます。
ア 義務教育前段階
 障害をもつもたないにかかわらず、すべての児童が相互に理解し、協力する社会を育成するため、幼児の教育の場で交流を進めることが必要です。そのため保育所、幼稚園の条件を整備し、地域の通園施設、地域訓練会、通常学級および盲・聾・養護学校等との間で、定期的な交流の場をつくるよう努めていきます。
イ 義務教育段階
 障害をもつ児童の就学にあたっては、まず、その児童の障害等の状態について、保護者や療育等の関係機関との密接な連携を図り、教育、医療等の多角的な視点から総合的に検討し、その児童の将来を見据えた教育ニーズの把握に努める必要があります。そのうえで、従来の就学指導を就学相談として位置付け、保護者に対しその児童についての障害の状態やそれぞれの教育の場についての情報を提供し、必要な場を選択できるようにする必要があります。そのために、一人ひとりの障害の状態に応じた必要な教育を、必要な場で実施できるよう支援するとともに、就学後も障害の状態等をきめ細かく把握し、その変化に応じた教育を実施するため柔軟に対応していくよう努めます。
 障害児に対する教育は、通常学級を含めた学校教育全体で受け止めることとし、一人ひとりの教育ニーズに応じた教育を十分に行うために、盲・聾・養護学校、特殊学級、訪問指導など従来からの教育の場については、専門的な教育機関として、その教育内容や指導方法等をより一層充実させるとともに、通級による指導の充実を図るなど、多様な教育の場を用意していきます。特に、通級による指導については対象となる障害種別の拡大を図るとともに、通級による指導教室を拠点とした巡回指導の実施に努めていきます。また、通常学級等に在籍する障害児の指導を担当する教員等を支援するためのシステムづくりを進めていきます。
 特殊学級等に在籍する児童・生徒の障害の状態は、年々多様化しており、こうした児童・生徒に対する教育を充実させるため、従来に増して、一人ひとりの障害等の状態やその将来を見通した指導を展開し、障害児自身やその保護者の願いに応えられる教育を実施していきます。
 あわせて、医療的ケアの必要な児童・生徒が増加していることから、医療機関との連携をより密にするためのシステムを研究し、児童・生徒の健康や安全を確保しながら教育上の対応を積極的に図っていきます。
ウ 後期中等教育段階
 義務教育を卒業した障害児のうち、後期中等教育を希望する生徒には、その機会の保障に努めるとともに、高等学校で教育を受けることの可能な諸条件の整備に努めていきます。また、現在高等部が設置されていない病弱養護学校への高等部設置の検討を進めていきます。
 盲・聾・養護学校高等部では、一人ひとりの卒業後の進路を見通し、それぞれの障害に応じた社会的自立が図れるよう、教育、労働、福祉、衛生等の関係機関と連携し進路指導の充実に努めるとともに、特に、就労にむけた職場生活への準備を図るため、企業等での職場実習や作業学習の充実、労働関係機関との連携、進路先の開拓等に努めていきます。
エ 教育環境の整備
(ア) 教育指導、特に障害児に対する教育にあっては、指導を行う教職員一人ひとりの資質や能力に負うところが大きいことから、この教育に携わる教職員に対して、より専門的な知識・技術等を習得できるようにするための新任研修や現職研修を一層充実するよう努めていきます。そのためには、国に対し、教育に従事する教員の養成、確保の方法の抜本的改善を図るよう要望していきます。
 障害児に対する教育は、学校教育全体で受け止める必要があることから、障害をもつ子供を担当する教職員だけではなく、全ての教職員に対して、障害についての正しい認識と理解を深めるための研修を実施していきます。
 こうした研修を実施するにあたっては、今まで以上に盲・聾・養護学校の実際の指導をもとにした研修を導入するなど、単に理論や知識を習得させるだけでなく、より実践的な研修の実施に努めていきます。
 
(イ) また、一人ひとりの障害に応じた必要な教育を必要な場で実施するためには、多様な教育の場を用意するとともに、柔軟に教育の場を選択することができるようシステムの整備に努めていきます。
 
(ウ) さらに、障害児一人ひとりがより身近な場所で専門的な教育を受けることができるよう、特に、大規模化の解消や通学時間の短縮を目的とした養護学校の再編整備を図っていきます。同時に盲・聾・養護学校を、それぞれの地域の保護者や小・中・高等学校の教員等に対する相談窓口としたり、教具・教材の貸出し等、地域における障害児教育支援センターとして位置付けていくことの検討を進めていきます。
 
(エ) 障害児に対する教育をより充実させ、障害をもつ児童・生徒が他の児童・生徒と同様により安全で快適な学校生活を送るため、盲・聾・養護学校における施設設備の整備を図るとともに、小・中・高等学校等にあっても、さまざまな障害に応じた施設設備の改善を行っていきます。
オ 長期欠席児等に対する教育
 さまざまな病気や外傷等により、長期間欠席が余儀なくされている不登校児童・生徒に対する教育は、現在、病弱養護学校や病院内特殊学級等で進めていますが、こうした長期欠席を余儀なくされている児童・生徒の教育保障に向けたシステムづくりの検討を進めていきます。
 また、不登校児童・生徒のうち、特に神経症的症状を呈している児童・生徒に対しては、専門医の治療が気軽に受けられるシステムを確立するとともに、神経症的症状を呈しやすい思春期の子供たちを指導する中・高等学校の教職員に対するより専門的な研修の実施に努めていきます。
カ 大学等の高等教育段階
 大学等の高等教育機関で教育を受けることが可能な障害者に対しては、その機会を拡充するため、受験機会の確保、通学上の制約解消を図る支援方法、移動の障害解消の方法、授業参加を容易にするための教育機器の活用、手話通訳・点訳等の支援体制の確立等に向けての研究検討を進めていきます。
(4) 家族への支援
 障害をもつ児童のいる家族一人ひとりの人権が護られ、その日常生活を支援するため、ショートステイなどの実施により、市町村を中心とした身近な行政からの支援体制を進めていくことが必要です。そのために、障害児療育の技術をもっている既存の福祉施設の機能の見直しを行い、在宅支援機能の拡充や専門スタッフ等の強化を図り、必要に応じて施設設備の改善をするなど制度の充実を図るよう努めていきます。
ア 一時的養育サービス
 保護者が一時的に子供の養育ができなくなったときに、家族が安心して外出等ができるように、ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイの充実を図ります。ショートステイについては、児童が安心して施設を利用し、施設も安心して受け入れることができるようにするために、登録制度の普及を図っていきます。
イ レスパイトサービス
 子供が健やかに成長するためには、家族の生活が安定していることが大切です。障害をもつ児童のいる家族の負担は大きいと考えられるので、必要に応じてリフレッシュできるようレスパイト(休息)サービスの推進に努めていきます。

2 青年期・成人期

 県民のだれもが、お互いの個性を尊重しながら主体的に暮らせる地域社会が求められています。特に、青年期・成人期にあっては、一人の社会人として地域で自立した生活を送ることが強く求められています。そのためには、自らが必要とするサービスを、自らが選択し、決定していくことが大切です。そして、障害者の自立のために必要な生活プログラムについて、障害者自らが参画して構築していくことが大切です。そのためには、市町村が保健医療・福祉などの多様なサービスを提供できる体制を整備するとともに、県は市町村を支援していきます。
 また、障害者の地域での自立した生活を支えていくために施設の果たす役割も大きく、その整備に努めていきます。
 さらに、精神障害者の福祉施策にも積極的に取り組むこととし、社会復帰施設や生活支援拠点を設置するなどの制度・施策を体系的に整備し、これらの施策のきめ細かな運営に努めていきます。

(1) 生活の場の整備
ア 住宅対策の拡充
 地域で安定した生活を営むために、障害者向けの公的住宅の計画的整備を進めるとともに、福祉サービスとの連携による既存の公的住宅や民間住宅の活用を図るなど、一人ひとりのニーズや障害の態様に応じた多様で良質な住宅を用意していくよう努めます。また、住宅にはさまざまな建築形態や取得形態があるので、それぞれの形態にあった供給・改善・援助について検討を進めていきます。障害者の自立支援を基本として、福祉機器等科学技術の成果等を住宅施策に積極的に反映させるよう努めていきます。
 さらに、重度の障害者が地域で安定した生活を継続できるよう、あるいは自らが住まいを選択できるよう、居住に関する支援方策の検討を進めていきます。
イ 地域福祉型住宅の整備
 日常生活における介助や家事援助等を必要とする障害者が小人数で生活できるような「地域福祉型住宅」を、身近な地域の保健医療・福祉サービスと連携のとれた生活の場として、日常生活圏域への整備の促進に努めます。さらに、グループ・ホーム等から離れて、一人で生活することを選択する場合にも応えることのできる住宅確保の体制づくりや、それに伴う社会的な支援に努めていきます。
 このような多様な生活の場を整備することによって、施設の生活から在宅での生活への移行の促進に努めていきます。
(2) 活動の場の整備
 障害の軽重や種別の区別なく、生きがいや自己実現を図る活動の場は確保されなければなりません。
 障害者地域作業所・地域活動センターは、重度障害者等の地域における社会参加活動の場として重要な役割を果たしております。そこで、施設との役割分担や施設体系の中における位置付けを明確にして、一層の制度の拡充に努めていきます。
 また、精神障害者地域作業所は、障害の特性に伴うさまざまなニーズに応えて、精神障害者の地域ケアにおける多様な役割を果たしており、より確かな運営基盤の整備が必要です。今後は、増設が求められる社会復帰施設との役割分担や地域生活支援拠点(ケアセンター)などの検討をとおして、地域ケアのシステム化を図るよう努めていきます。
 さらに、重症心身障害者や最重度の障害者の活動の場には、一定以上の介助設備や体制が必要です。障害福祉施設やケアセンターに、適正配置を考慮しながら体制整備を進めていきます。
(3) 介助支援サービスの充実
 障害者が地域で生活するために、食事、入浴等の介助や家事援助は不可欠であり、ホームヘルプサービスの充実に努める必要があります。また、生活の主体者は障害者自身であり、その自立を支援するという視点が障害者のホームヘルプサービスと援助者に強く求められています。夜間や早朝、祝祭日休日などについても障害者のニーズにあわせて提供できるように制度の拡充を図るとともに、日常生活圏域における供給システムづくりと市町村への体制づくりを支援する必要があります。
 さらに、こういった観点からヘルパーの研修を、一層充実していくことも重要です。
 また、ガイドヘルプは、障害者の社会参加のために、外出の機会を保障し、活動の範囲を広げるために必要な制度ですので、全市町村に設置促進を図っていきます。
 しかし、多様化する介助サービスの増加に対応していくためには、公的制度のみでは困難となることが予想されますので、ホームヘルプサービスの供給セクターの多元化を進める必要があります。さらに、デイサービスや入浴サービス、日常生活用具の給付等の在宅福祉諸サービスの拡充を図り、ホームヘルプサービスと他のサービスとの組合せや連携による効果的な提供の仕組みづくりを進めます。
(4) 地域生活への支援
 障害者が地域で自立生活を形成していくためには、所得保障、住宅の確保、介助サービス等生活基盤の確立とともに、障害者自身の自立意識の高揚、地域での生活技術の獲得、多様で多段階の自立生活(社会参加、経済的・職業的自立等)への準備など生活のさまざまな場面での支援体制が必要です。このような多面的な支援に対応していくために、民間セクター(市場サービスを含む)、当事者セクターなどの多元的なセクターによる各種サービスの開発・提供の検討を進めていきます。
 特に、将来の障害福祉の推進には障害当事者のセクターが大きな役割を果たすものと考えます。障害者自身が主体となって、障害者の自立生活の形成を支援していくための事業体を運営することは、サービスの受給の対象から供給主体となる可能性を持ち、従来の障害福祉施策を大きく変える画期的な仕組みとなると考えられます。自立生活の支援にあたっては、生活技術プログラムの実施、自立生活への準備、多種多様な生活支援プログラムの開発、障害者自身による権利擁護活動、国際協力活動、情報収集提供等が考えられますが、その拠点は、障害者の主体的参画により運営されることが大切であり、県はその体制の確立を支援していきます。
 また、地域生活を支援するためには、公的セクターによる在宅福祉サービスを利用しやすいものにすることが重要ですので、利用手続きの簡素化を進めていきます。
 さらに、多様で多元化したサービスを一人ひとりのニーズに合わせて適切に提供するための調整等を行うケア・マネージメント方式の導入による仕組みづくりを進めるとともに、併せて、点検・評価手法の確立を図ります。
(5) リハビリテーション
 障害者の自立を支えるため、障害の早期発見・治療から社会復帰に至るまでの一貫した継続的かつ総合的なリハビリテーションシステムの確立が必要です。
 また、地域に密着した包括的なリハビリテーション・システムが、県全域において整備され、それらのサービスが利用しやすいことが求められています。これらの施策を推進していくうえで、障害者、特に中途障害者や疾病を併せ持つ障害者については、障害者の主体的な選択と決定を尊重しながら、精神的な支えと社会的な支援体制の充実を図る必要があります。さらに、成人期の施策は、高齢期の保健医療サービスと大きな関わりがありますので、一貫した施策の展開を図るよう努めていきます。
ア 保健医療とリハビリテーション医療の充実
 障害は、疾病によるものと、災害によるものを含めて、初期医療の時点において、二次的障害の予防とリハビリテーションの一貫した方向づけを決めなければならず、そのためには、初期医療の段階から、障害の軽減のためのリハビリテーション医療の考え方の下に治療を行うとともに、地域の医療機関がリハビリテーション医療との連携を図っていきます。
 また、医学の進歩、疾病構造の変化等に即応して、高度なリハビリテーションを行う専門性の高い総合的な医療機関の充実が求められています。そこで、地域におけるリハビリテーション医療の実施体制の整備を図るとともに、専門的な医療機関との連携のとれた全県的な医学的リハビリテーション体制の拡充を図るよう努めていきます。
イ 施設におけるリハビリテーション機能の充実
 初期段階でのリハビリテーションの終了後も、引き続き地域での生活に向けて継続的なリハビリテーションが必要です。また、養護学校等の卒業後も社会生活を円滑に進めるために、一定の日常生活訓練や職業訓練等を継続する必要もありますので、施設機能の果たす役割を明確にして、訓練機能などの充実を図っていきます。
 養護学校等の卒業以降は、精神的にも社会的にも不安定な青年期の時期にあり、施設の専門性を発揮するよう求められています。特に、青年期に入念な配慮が求められる強度行動障害者については、施設の整備を進めるとともに、訓練方法の研究と支援内容についての研究を行っていきます。
 さらに、精神障害者の社会復帰施設の整備の推進やそこで実施されるサービスの充実に努めていきます。
ウ 地域リハビリテーションシステムの整備
 障害者が地域で健康に生活するためには、一層の機能回復を促進したり、障害の進行の防止を図るリハビリテーションを必要とする障害者は少なくありません。そのような機能をもったリハビリテーションの場として、保健医療・福祉が連携したケアセンターの設置促進を図っていきます。
 ケアセンターでは、生活訓練や機能回復訓練、地域生活を支援するための相談を行うために、ソーシャルワーカーや療法士等の専門的知識をもったスタッフを配置し、チームによるサービスの提供を実施するなど、地域で生活する障害者のニーズに応えられる体制の整備に努めていきます。
 また、医療終了後も継続して機能訓練が必要な者に対して、老人保健事業の機能訓練の充実を図ります。
 なお、精神障害等の疾病と障害を併せもつ人々が、地域社会で生活しながら社会参加や社会復帰を果たすために、地域における保健医療・福祉サービスが一体となった生活支援のためのネットワークづくりに努めていきます。
(6) 障害福祉施設の整備
 これまでの施設は施設利用者を中心としてきましたが、施設福祉サービスと在宅福祉サービスの一体的運営を図る視点から障害福祉施設の整備を行っていきます。また、通所施設についても入所施設と同様な役割を担うよう機能の充実を図るよう努めていきます。
ア 地域生活へ向けたリハビリ機能の充実
 施設の利用に当たっては、有期・有目的利用を基本とし、障害者が地域生活を行うために必要な訓練プログラムの充実を図ります。
イ ショートステイ等の地域サービス機能の充実
 地域で生活する障害者が、安心して生活するためには、本人及び家族への支援が必要です。そのためには、施設資源を活用することが有効です。
 知的障害者については、利用登録制度の普及や、施設に地域福祉担当職員等の地域サービスを専門とする職員を配置するなど、必要な時にいつでも施設のサービスを利用できる体制づくりを進めるよう努めていきます。
 また、身体障害者が身近な施設でショートステイを利用できるよう老人福祉施設との相互利用等制度の拡充を図るよう努めていきます。
 さらに、健康的な家庭生活を送るため、家族が必要に応じて、休息を図るためのレスパイトサービスの利用の促進を図っていきます。
ウ 施設の小規模化や個室化等生活施設機能の充実
 家庭の事情により、また、障害の程度などによって家庭での介助が困難であるなど施設利用が必要な場合、家庭に代わる生活の場として、施設の運営の小規模化や個室化を進め、プライバシーの確保や人権の尊重等にも配慮され、精神的にも安定した生活ができるよう施設の機能の充実に努めます。
 また、家庭での介助が困難な交通事故等による重度意識障害者に対して、必要な医療の配慮がなされた施設の整備の検討を含め、支援方法の研究を行っていきます。
(7) 情報手段の開発と提供
ア コミュニケーション障害への支援
 聴覚障害者のコミュニケーションは、手話通訳者や要約筆記者の技術力によって大きく左右されますので、その養成の強化を図るほか、必要に応じ広域的に活用できるシステムについての検討や機器の活用等についても取り組んでいきます。
 視覚障害者に欠かせない点字や録音による情報を正確に伝えるため、点訳者等の養成の強化を図り、また機器の活用についてもその整備を進めていきます。
 さらに、音声機能や言語機能障害者の、より良いコミュニケーション手段の開発研究にも努めていきます。
イ わかりやすい情報手段の開発と情報の提供
 知的障害者が、自分が受けることのできる社会制度やサービス、あるいは自らの生活を自分で選択でき、また、文化活動等にも積極的に参加できるようにわかりやすい情報手段の研究開発を進め、情報の提供に努めていきます。
(8) 緊急時避難体制の整備
 障害者が安心して地域生活を送るためには、災害等の緊急時の避難対策が重要ですので、地域社会の各関係機関が連携して、緊急通報システムや人的援助の仕組みをつくっていくよう努めます。

3 高齢期

 人口の高齢化に伴い、障害者の高齢化、高齢になってからの障害の発生、高齢に伴う機能の低下という問題が生じています。これらの課題は、基本的には高齢者全体の問題として、高齢者保健福祉施策と連携した施策を進める必要があります。高齢期になっても、本人の意思を尊重しながら、ゆとりと生きがいをもち、住みなれた地域で生活することを基本に考えていくことが必要です。
 また、高齢期の障害者の問題は、高齢者になってから対処するのではなく、成人期から高齢期を見通しての施策や支援方策を展開することが重要であり、生活の継続性を考慮した支援体系が必要です。

(1) 生活への支援
ア 多様な形態の「すまい」の整備
 住宅はすべての人の生活の本拠であり、その家族構成やライフステージ等に応じて、良質な住宅を安定して確保できることが必要です。そして、障害者が自らが選択できるように多様な形態の「すまい」が用意されていることが必要です。
 そこで、障害者世帯向け公的住宅を計画的に整備するとともに、高齢者向け住宅の供給計画等と連携して、高齢期の障害者が住みよい住宅・設備の整備に努めていきます。
 また、住み慣れた地域で生活できるよう既在住宅の活用を図るとともに、高齢を理由に障害者が家族と離れて生活しなければならないということがないよう留意して施策を進めるよう努めていきます。
 グループホームやケア付き住宅は、高齢期の生活に対応できるよう、より居住性を高めるとともに、地域における保健医療・福祉サービスと連携した「地域福祉型住宅」として整備に努めていきます。
 障害福祉施設においても、利用者の年齢構成が高くなり、障害の重度化が進んできています。このような事態に対応できるよう、施設での生活の質の向上にも努めていきます。
 今後ますます中高齢障害者が増加することが予想されるので、施設の活用方法について検討を進めていきます。
 また、特別養護老人ホーム等においても、脊髄損傷や聴覚障害等障害の特性を考慮した介護が受けられるようケアの充実を図っていきます。
イ 日常生活の支援
 住み慣れた地域で安心して生活を送るために、在宅保健福祉サービスのメニューを充実し、その水準の向上による生活の支援に努めていきます。また、サービスの利用形態も通所、居宅訪度、ショートステイ等障害者が自ら選択し、また、組み合わせて利用できるよう「かながわ高齢者保健福祉計画」の中で用意される在宅保健福祉サービスとの連携を図っていきます。
 また、障害のためにさまざまな機能低下が早く現われるといわれているので、成人期からの健康診断を充実し、二次障害の予防・早期発見の体制を充実するとともに、機能維持や健康保持を図ることができるよう老人保健事業との連携による保健サービスの充実に努めていきます。
(2) 活動への支援
 障害者が、身体的機能を維持するための機能訓練や精神的なリフレッシュを行い、また、作業活動や文化活動を行うためのデイサービスの拠点を日常生活圏域ごとに設置していきます。
(3) 「みとり」について
 今後、高齢化が進むにつれて、単身の高齢障害者の増加が予想されます。人生の最後の場面において、本人の意志と個人の尊厳が尊重された「みとり」のあり方の検討を行っていきます。

第3節 雇用・就労

 職業は、経済生活の維持、社会との連帯感、自己実現の喜びをもたらすものであり、社会的自立においても大きな比重を占めるものです。その意味で、就労は、障害者の「完全参加と平等」を実現していくうえで大変重要です。
 これまで、障害者の雇用・就労施策は、本人の職業能力を高めて、その促進を図ることが中心となっていましたが、これからは職業能力を高めるとともに、雇用・就労の環境を一層整えていくことによって、障害者の就労を促進していく必要があります。

1 雇用の推進

 雇用労働は、最も一般的な就労形態であり、障害者の就労施策に果たす役割は大きいものがあります。県内企業における障害者の平均雇用率は、法律で定められた雇用率を上回っていますが、約3割の企業が法定雇用率を達成できず、しかも企業規模が大きくなるほど未達成企業の割合が多くなっています。
 国際障害者年を契機に障害者に対する関心も高まり、障害者の雇用の拡大は、企業の社会的な責任の一つと考えられるようになってきています。そこで、障害者が働きやすい職場環境への改善について、企業の一層の理解と協力が得られるよう働きかけていきます。
 また、通勤や住宅等の就労を側面から支える条件を整備するとともに、多様な勤務形態を取り入れた弾力的な就労条件の整備や、職務内容の見直しなどにより職域の開発と拡大を図りながら、障害者雇用の促進と安定を図るよう努めていきます。
 さらに、他の障害者と比べて制度的にも遅れている精神障害者等の雇用や就労について、一層の促進を図るよう努めていきます。

(1) 職場環境の整備
ア 施設・設備の改善
 障害者にとって働きやすい職場にするためには、点字ブロックや障害者用トイレの設置など、施設の整備を進めるとともに、障害者が容易に操作できるような機器の工夫など作業設備の改善を図るよう働きかけていきます。これらを推進するために、まず公共施設から必要な改善策を充実させ、企業に対しても一層の啓発・指導に力を入れていきます。
イ 職場指導員等の育成
 障害者の職場適応の向上と定着を促進するために、作業指導や職場生活指導を担当する企業内職場指導員が大きな役割を担っています。そこで、企業内職場指導員の確保を図るとともに、研修等により人材育成を図るよう努めていきます。
 また、障害者が職場で安心して仕事に取り組むためには、同じ職場で働く従業員の理解が欠かせません。障害に対する正しい理解を得るため、事業主だけでなく、従業員を対象とした講習会の開催など効果的な方法を検討しながら普及・啓発に努めていきます。
(2) 就労条件の改善
 重度障害者や精神障害者等の雇用を進めるためには、短時間勤務やフレックスタイム制等の弾力的な勤務形態の運用や、作業工程の分析・職務内容の再設計による職域の開発と拡大を進めることが必要です。これらを推進していくため、事業主の理解が得られるよう努めていきます。
(3) 多様な職業リハビリテーションの推進
ア 職業能力等の開発
 障害者の職業的自立を促進するために、職域の拡大と職業能力開発を進めることが大切です。そこで、神奈川県職業能力開発校等において専門的な能力開発や職場生活指導を実施していくとともに、県立高等職業技術校でも障害者を受け入れられる体制づくりを進めていきます。
 また、職業訓練だけでなく生活指導も必要としている障害者も多数いることから、授産施設等の職業リハビリテーションにおける位置づけを明確にし、職業前訓練の充実に努めていきます。
イ 職業的リハビリテーションシステムの充実
 障害の重度化・重複化及び多様化の傾向を踏まえ、専門的見地からその障害の状態を十分に考慮して、関係諸機関や企業との連携のもとに、職業相談から就労後のアフターケアまでを一貫して行う職業的リハビリテーションシステムの充実を図るよう努めていきます。
ウ 企業内訓練の実施
 企業に就労するにあたって、企業内で実習を行い、社会人として必要な能力の開発や生活習慣を身につけることも障害者の就労にとって効果的です。そのために必要な支援を福祉的就労援助との連携のもとに行っていくよう努めていきます。
エ 福祉機器の研究開発及び普及
 障害者の職業能力は訓練によって開発されるだけでなく、作業のための自助具や補装具の活用や生産設備の改善によって向上するものです。そこで、高度先端技術等の支援技術の活用による福祉機器の開発や普及の促進に努めていきます。
オ 精神保健医療との連携
 疾病と障害を併せもつ精神障害者等の雇用及び就労について、他の障害者と同じように社会一般の理解が得られるよう対策を講じるとともに、職業的リハビリテーションプログラムの開発を進めていきます。
 また、訓練技法の開発から就労後の定着までの支援のあり方等について、精神保健医療機関と連携して推進していきます。

2 雇用以外の就労の促進

 障害者の就労は、雇用労働として対処できない場合、授産施設や障害者地域作業所などの福祉的就労の場を拡充して対応していく必要があります。

(1) 福祉的就労の場の確保
 一般企業への就労が困難な重度障害者や精神障害者等に対しては、その能力やニーズ等に応じ、授産施設・地域作業所(特に企業内における作業所)・ともしびショップなど多様な選択肢を持つ福祉的就労の場を確保するよう努めていきます。こうした福祉的就労の場の整備とともに、地域作業所等の活動を支援する施策を推進していきます。
(2) 授産施設の機能の拡大
 ただちには就労が困難な障害者のために、福祉的就労への援助やその後のフォローを行う必要があります。そのため、授産施設に地域就労援助センターを付設するなどして、福祉的就労協力事業所等における就労の定着を支援し、協力企業の開拓等を図っていきます。
 また、地域作業所等の安定的な運営を支援していくために、企業や官公庁等を中心に地域資源のネットワーク化を進め、製品の販路・受注の開拓に努めていきます。

第4節 文化・スポーツ・レクリエーション

 障害者の文化・スポーツ・レクリエーション活動は、社会参加の一つとして、さらには自己実現を図る活動として、障害者の質の高い生活を形成するために、大変重要なものです。
 さらに、文化・スポーツを通じて「ともに生きる福祉社会」づくりのための啓発を進め、人間性豊かな社会を創ることが求められています。
 平成10年に予定されている全国身体障害者スポーツ大会は、そうした社会を具現化する契機としてとらえ、神奈川らしい取り組みを進めるとともに、21世紀の障害者のスポーツの振興をめざしたものとして開催します。

1 文化・スポーツ・レクリエーション活動の機会の保障

 障害者が、文化活動や、スポーツ・レクリエーション活動を行う際、その障害に起因する施設利用面での障壁や、情報面でのハンディがあります。
 そこでまず、誰もが、いつでも、どこでも、文化・スポーツ・レクリエーションを享受できるように、施設を利用する際の障壁の改善や、周辺環境の改善を促進し、情報の収集提供システムの整備や視聴覚障害者等の情報享受・発信のハンディを補う施策の促進に努めていきます。

2 人間性豊かな暮らしと社会を創る文化活動

 障害者自らが主体となった文化の創造や、障害者と健常者がともに文化活動に取り組むことを通じて、21世紀の人間性豊かな暮らしと地域社会を創っていくことが可能となるよう施策を進めていきます。

(1) 障害者による文化活動の振興
 地域で障害者が主体となったさまざまな文化活動が行われていますが、地域作業所などで行われている木工、陶芸等の創作活動など、草の根の障害者の文化活動を奨励、推進するとともに、学習・文化活動に取り組む機会を拡充し、自主的に行う文化活動を支援していくことが必要です。
 そこで、地域における障害者の学習活動、文化活動の条件整備をするほか、障害者の文化活動に関わるボランティアの支援に努めていきます。
(2) 響きあう文化
 文化活動を通じて、さまざまな人々が障害の有無を超えて交流しあい、障害を身近に共感することによって、地域社会にノーマライゼーションの理念が浸透していくものといえます。さらに、国を越えた異文化交流も踏まえて、アジア太平洋障害者の十年の中で、日本の国際的な役割もあわせて考えていく必要があります。
 そこで、障害者だけの文化活動にとどまることなく、地域社会の文化交流から、海外まで幅広くさまざまな地域と交流できるよう支援に努めていきます。

3 障害者のスポーツから生涯にわたるスポーツへ

 成績を争うスポーツから誰でも参加できる市民スポーツへ、さらには、障害者も高齢者もだれもが楽しめるスポーツが、今後の方向になりつつあります。
 障害者にとって、今まではリハビリテーションとしてのスポーツが大きな比重を占めていましたが、数少ないスポーツの機会は大きな楽しみです。これからは、障害に起因するスポーツの技術や能力にかかわらず、だれでもが日常的にスポーツに親しめる「障害者スポーツの生活化」と、市民スポーツへの潮流の中で、障害の有無や程度にかかわらず取り組める「スポーツ・インテグレーション」(交流)、障害者が、そのニーズと関心に応じ、より高いレベル、より多彩なスポーツを楽しみ、スポーツを通じた自己実現ができる「スポーツとしての享受」の3つを、新しい障害者スポーツ像として、この実現に向けて、身近で利用できる場の整備や指導者の養成や情報の提供等の基盤整備を図っていきます。

(1) スポーツ指導者の養成
 障害者スポーツの指導者は不足しており、また十分生かされていないというのが現状です。
 そこで、障害福祉の人材だけでなく、一般のスポーツ指導者も障害者や高齢者のスポーツを指導できるよう養成を図っていきます。そのうえで、ボランティアの養成と活躍の場を拡充するよう努めていきます。
 また、障害を超えてスポーツ振興の主体となる組織を拡充するとともに、競技性のアップのために一般競技団体との連携を強めることが必要です。さらに、地域に根づいたスポーツ活動の支援にも努めていきます。
(2) スポーツの場づくり
 最近のスポーツ施設は障害者への配慮がされつつあり、福祉会館などの既存施設を利用した室内ゲームも行われていますが、健常者にあわせた施設は障害者にとって使いにくいなど、障害者のスポーツ環境は決して豊かとはいえません。
 障害者の地域でのスポーツ環境として、一般スポーツ施設での障害者への配慮や障害者の利用を促進し、だれでもが身近な施設を、健常者と障害者の区別なく利用できるよう整備していきます。
 しかし、障害者スポーツ施設を有しているところは、そこを拠点としてスポーツが盛んであることも事実であり、リハビリテーションを終了した者や学校を修了した重度障害者のために、継続してスポーツを指導できる指導者を配置し、障害者のスポーツ活動を支援するセンター機能を持った拠点施設の整備についても検討を進めていきます。
 さらに、専用施設と身近なスポーツ施設をつなぐものとして、地域にモデル施設を整備していきます。
(3) 情報・研究・啓発活動の充実
 県内各地で、さまざまなレベルの障害者スポーツ大会、地域での運動会、ふれあいレクリエーション行事などが開催されています。また、地域によって特色あるスポーツやクラブ活動にも取り組んでいます。しかし、重度身体障害者や知的障害者、精神障害者がスポーツに親しむ機会は少ないといわざるを得ません。また、障害者スポーツも、一般スポーツのルールを変え、器具でカバーするものが多いといった傾向があります。
 そこで、障害にかかわらず取り組めるスポーツ、健常者とともに楽しめるスポーツの開発・普及に努めていきます。また、競技自体を一般競技と統合していくことが、スポーツとして純化していくことにもなります。さらに、障害者スポーツの総合的な情報の収集提供を行うネットワークを図る必要があり、生涯学習の情報システムと連携していくことも検討していきます。
(4) 障害者スポーツのムーブメント
 現状では、行政主導の大会や行事の開催と、地域団体を通じての行事参加が主流であり、障害者スポーツの理解はまだまだ不足しているといえます。
 そこで、平成10年の第34回全国身体障害者スポーツ大会を、新しい障害者スポーツ像を実現する契機ととらえ、かながわ・ゆめ国体と連携して成功させ、県民ぐるみのスポーツのムーブメントをおこしていきます。

第5節 都市・生活環境と住まいづくり

 地域生活の基盤としての住まい、社会参加を可能にするための道路・交通やさまざまな公共的建築物などの都市・生活環境は、すべての県民が安全に安心して利用できるように配慮されたものであることが大切です。
 本県では、障害者が住みよい社会はだれもが生活しやすいという視点から「神奈川県だれもが住み良い福祉の街づくり推進指針・推進要綱」を定め、「神奈川県建築基準条例」にも福祉的整備基準を設け、都市・生活環境の整備を進めています。
 しかし、建築物の多様化、生活様式の個性化、科学技術の進歩、あるいは地域福祉の推進、人口の高齢化など、障害者の生活環境を取り巻く状況の変化により、街づくりに関わる施策を福祉的配慮の視点からより総合的に進めることにより、「都市の質」全体を向上させることが求められています。
 そこで、都市・生活環境の整備を図るために行政や県民の責務を明確にしながら、法制度の検討を含め、福祉の街づくりの推進体制を整備する必要があります。

1 福祉の街づくりの総合的推進

(1) 整備の促進
 不特定多数の県民が利用するすべての施設や設備は、だれもが安心して快適に利用できるよう、現行推進指針・推進要綱の整備基準や対象範囲の見直しをしていきます。
 施設によって利用者や設置の目的が異なるため、整備基準には、整備すべき基準(基礎的基準)と、整備が望ましい基準(誘導基準)を定め、施設設置者や事業者の理解を得ながら進める必要があります。
 また、介助の軽減のための設備改善の促進に努めていきます。
(2) 法令等による推進
 高齢化社会等の進展から、福祉の街づくりは事業者の特別な配慮から「義務」として行われるように変化してきています。
 本県では、これまでも法令等によって障害者や高齢者に配慮した街づくりを行ってきましたが、さらに日常生活全体に福祉的配慮をする法的拘束力をもった条例の制定を進めていきます。
 なお、事業者に対する整備誘導策として、現在の各種助成制度の効果的な運用や、新しい助成制度についても合わせて検討を進めていきます。
(3) 福祉機器の開発・普及及び活用
 個人の身体機能・能力に合わせた福祉機器を効果的に活用することにより、さまざまなバリアー(障壁)を取り除くことができます。たとえば、個人の住宅に移動リフトを導入すると、段差の少ない室内であってもさらに快適な移動が保障され、介助の必要性も軽減されます。
 公共的建築物や道路、公共交通機関等の都市環境においても、身体機能や能力を補完するさまざまな福祉機器が開発され、十分に活用されることにより、自由な利用や快適な移動が実現します。
 そのため、さまざまな福祉機器の研究や開発支援に努め、障害程度に適した活用が図られるよう普及に努めていきます。
(4) 総合的整備の推進
 建築物や道路等が個々に整備されても、決して住みよい街とはなりません。住まいや近隣の道路・公園等、さらに交通機関が整備されることによって、住まいから目的地までの移動の連続性が保たれ、すべての人が社会参加をすることが可能となります。
 そのためには、各施設・設備を相互に連携させながら整備し、地域全体の建築物・道路等を総合的に改善すること(面的整備)が重要です。そこで、例えば、公共施設と住宅を合築することにより、住まいづくりと周辺環境の整備を同時に促進することができるといった検討を進めていきます。
 また、こうした面的整備を促進するために、建築物・道路・交通システム等の整備を総合的に実施するモデル地区を定め、各種基準の設定や技術の開発を実証的に研究できるような施策も進めていきます。
(5) 調査・研究の充実
 時代の進展とともに、生活を取り巻く状況もさまざまに変化しており、だれもが住みよい街づくりの促進のためには、その変化に対応した整備基準や方策が必要です。
 そこで、常に施設・設備の問題点を分析し、解決のための手段を模索し、どのように改善・発展させていくかを、行政だけでなく民間の事業者等とも協調して調査・研究する体制をつくるよう努めていきます。
(6) 推進体制の整備
 福祉的配慮をした街づくりを進めるために、県・市町村が連携し、共通の基準の上に、各地域の特性に対応した整備の促進に努めていきます。
 また、計画の策定段階から県民の意見を反映し、点検・評価が随時行われる県民参加の仕組みづくりについて研究していきます。
 さらに、行政担当者の研修や県民への啓発普及活動も必要であり、このような福祉の街づくりを総合的に推進するための県・市町村・事業者・県民を含めた推進体制を確立するよう努めていきます。

2 人にやさしい都市・生活環境の整備

 すべての人々にとって生活しやすい街であるためには、個人個人の特性に対応できることが基本です。しかし、都市・生活環境のすべてにわたって、ただちに整備改善を進めることは困難であります。そこで、まず、障害者や高齢者等に配慮した整備を進めることにより、人にやさしい都市・生活環境全体の向上を図っていきます。
 また、個々の施設・設備についての個別的整備(点)から、生活圏全体の総合的整備(面)へと整備が進められるよう努めていきます。

(1) 公共的建築物の整備
 不特定の人々が利用する公共的建築物は、すべての人が安全に利用できるように整備されなければなりません。特に公立施設は、民間施設整備のモデルケースとなるよう、先導的に整備を進める必要があります。
 また、法的拘束力のある基準を適用して、各種施設に福祉的配慮をした整備を促進させる指導や、整備に伴う事業者への各種助成制度についても検討を進めていきます。
(2) 住まいづくり
 障害者や高齢者をはじめとするすべての人々が、自らのライフスタイルや身体状況に見合った住宅で生活できることが理想です。適切に整備され、福祉機器等が導入されることにより、安全な移動が確保された住宅であれば、ケアサービスもより容易に受けることができます。
 そのためには、障害者が住みやすいように改善された公共住宅を提供できるよう努めていきます。
 さらに、質の高い公共住宅を整備することによって、民間の集合住宅等の整備内容を誘導することも期待されます。
(3) 道路・交通システムの整備
 障害者や高齢者をはじめとし、だれもが安心して社会生活を営むことができるよう、移動の自由が保障されることが大切です。
 そのため、道路環境や交通結節点(バス停・駅舎等)の整備、大量輸送手段(公共交通)や個別交通手段(タクシー等)の整備を体系的に促進し、だれもが自由に移動できるための連続した動線を確保するよう努めていきます。
 さらに多様なニーズに対応するため、施設や設備の整備・改善だけでなく、新しい交通システムの研究・開発や移動に要する経費の助成制度、交通安全対策などの検討も積極的に進め、道路・交通環境が障害者や高齢者の日常生活のあらゆる場面に対応できるよう検討を進めていきます。
(4) 公共的スペースの整備
 生活に憩いをもたらす公園、緑地、レジャー・スポーツ施設や、それらの周辺施設は、公営・民営を問わず、いつでも誰でもが利用できるものになるよう整備の促進に努めていきます。
(5) 情報提供・情報交換手段等の充実
 家庭や地域社会で、だれもが安心して生活を営むためには、都市・生活環境の面でも、障害者をはじめ全ての人々のニーズを満たす情報を十分に用意し、いつでも提供できることが大切です。必要な情報を、必要な時に、容易に入手できるような制度や体制の整備について検討を進めていきます。
 都市・建築空間においては、車椅子トイレの表示に代表されるサインシステムの統一的な整備を進め、雑多な情報を整理し、だれでもが判りやすく安全に街を移動できるよう配慮するよう努めていきます。
 また、人と人、人と社会をつなぐ、十分なコミュニケーション手段の確保についても検討を進めていきます。
 これらの情報提供や情報交換システムの整備促進のため、既存の技術の導入も含め、開発・普及についての検討も進めていきます。
(6) 非常災害時等に対する対策の推進
 火災や地震などの大規模災害や事故等に対するスムーズな対応は、障害者にとって、より難しいものとなります。
 そうした非常事態に対応するために、各種緊急設備・用具の整備や、地域における関係機関が連携した体制を整備するよう努めていきます。また、緊急時に必要不可欠な情報提供を行う体制づくりを進めるよう努めていきます。

第三章 実施計画

わるくちをいわれても
いじわるをされても
まけないで
こころをひろげていこうではないか
じがよめなくても
かんじょうができなくても
がんばって
てあしをつかっていこうではないか
やりそこなっても
へたなことをしても
なんべんも
やりなおしていこうではないか

(くるみ学園 大場君の作品から)

実施計画体系

(新)は計画期間中に新規に取り組む事業
(1994年着手事業を含む)

I 障害福祉の基盤づくり

1社会一般への啓発
(1)障害福祉の普及
  1. ともしび運動の振興
  2. 障害福祉運動の推進
  3. 福祉プラザ学習・相談機能の充実
  4. 広報・広聴活動の充実
(2)福祉教育と交流の推進
  1. 神奈川の教育を推進する県民会議への支援助成
  2. 福祉作文コンクールの実施
  3. 障害児教育理解の推進
(3)ともに生きる地域づくり
  1. かながわともしび財団ボランティア支援事業
  2. ボランティアセンター事業への支援
  3. ボランティア・コーディネーター設置費補助
  4. ボランティア事故共済事業への補助
  5. 民生委員・児童委員活動等の推進
  6. 社会福祉協議会への支援
  7. 精神障害者地域交流事業の実施
2権利擁護の推進
(1)人権意識の啓発
  1. (新)人権擁護に関する啓発・普及
  2. (新)専門従事者への意識啓発
(2)権利擁護の推進
  1. (新)セルフアドボカシー活動の促進
  2. (新)権利擁護推進基盤の整備
3人材の養成と確保
(1)専門人材の養成
  1. ホームヘルパーの養成
  2. 看護婦等の養成
  3. 介護福祉士等修学資金の貸付
  4. 理学療法士等修学資金の貸付
  5. (新)就労援助担当職員の養成
(2)専門人材の確保・定着
  1. 福祉人材センターの運営
  2. 民間社会福祉事業振興費等の充実
  3. 地域リハ人材共同確保の支援
(3)専門研修の充実
  1. 障害福祉市町村担当職員の研修の充実
  2. 福祉・保健関係人材の研修の充実
4福祉機器の研究開発
(1)研究開発の推進
  1. 民間事業者の開発・製造への支援と評価体制の整備
    高齢者・障害者へのヒューマンテクノロジー応用研究
(2)普及の推進
  1. 福祉プラザの機能の充実と市町村支援の強化
(3)総合的な仕組みづくり
  1. 福祉機器の研究開発・普及の総合的な推進
5アジア太平洋地域との連携による協力・支援
(1)交流の促進
  1. (新)国際会議等への参加促進
  2. (新)市民レベルの国際交流活動の促進
(2)専門技術協力・支援
  1. (新)アジア太平洋地域障害福祉関係職員受入れ研修等の促進
  2. (新)域内協力プロジェクトの検討
  3. (新)アジア太平洋障害者問題フォーラム等の開催
6施策事業の企画・立案・進行管理
(1)施策事業の立案・決定・
  1. 政策形成の場等への障害者の参画推進
  2. (新)障害者団体のネットワーク化の促進
(2)進行管理機構の整備・確立
  1. (新)県障害者施策推進協議会の強化
  2. (新)障害福祉施策の地域化と総合化の推進

II ライフステージに対応した施策の展開

1乳幼児期・学齢期
(1)相談体制の整備
  1. 市町村相談機能の充実
  2. 総合療育相談センター(仮称)の設置・運営
  3. 在宅心身障害児巡回等相談事業の実施
  4. 身体障害者手帳・療育手帳の交付
(2)療育体制の整備
ア 障害の早期発見
  1. 母子健康診査の充実
  2. 母子保健指導の実施
  3. 周産期救急医療対策の充実
イ 早期療育の充実
  1. 障害児早期療育事業の実施
  2. 障害児通園事業等の実施
  3. 進行性筋萎縮症児者集団検診事業等の実施
  4. 3歳児精神発達精密検診の実施
  5. 障害児者歯科診療の充実
  6. 各種障害児医療費等の援助
ウ 学齢期療育
  1. 学齢期療育の充実
エ 施設療育
  1. 施設療育の充実
(3)教育体制の整備
ア 義務教育前段階
  1. 障害児教育の推進
  2. 幼稚園教育の充実
  3. 障害児保育の推進
イ 義務教育段階
  1. 障害児就学指導(相談)の充実
  2. (新)健康・安全に配慮した障害児教育の推進
  3. (新)通級による指導の充実
  4. 私立盲・養護学校経常経費の補助
ウ 後期中等教育段階
  1. 養護学校高等部における教育の充実
  2. (新)高等学校における障害をもつ生徒に対する教育の充実
  3. 進路指導の充実
  4. 第二教育センター進路・情報機能の充実
エ 教育環境の整備
  1. 障害児教育担当教員研修の充実
  2. (新)養護学校再編整備
  3. 盲・聾・養護学校施設の整備
  4. 平塚ろう学校改築工事
  5. (新)保土ケ谷養護学校増築工事
  6. 県立高等学校の施設・設備の整備
オ 長期欠席児等に対する教育
  1. (新)長期欠席児等に対する教育の充実
カ 大学等の高等教育段階
  1. (新)大学等における教育機会の拡大の検討
(4)家族への支援
  1. 在宅精神薄弱児者施設利用普及事業の推進
  2. 障害児ショートステイ事業の推進
2青年期・成人期
(1)生活の場の整備
ア 県営住宅の整備・充実
  1. 障害者住戸の改良
  2. 身体障害者世帯向け県営住宅の建設
  3. 優先入居制度の充実
イ 民間住宅の確保・援助
  1. 住宅改造・福祉機器相談体制の整備
  2. 住宅設備改良費補助事業の充実
  3. 高齢者・障害者差額家賃助成事業費の補助
  4. (新)重度障害者の居住の場の整備支援方策の検討
ウ 福祉型住宅の設置促進
  1. 地域福祉型住宅の設置運営促進
(2)活動の場の整備
  1. ケアセンターの設置運営促進
  2. 障害者地域作業所等の充実
(3)介助支援サービスの充実
ア 介助支援
  1. ホームヘルプサービスの充実
  2. ガイドヘルプサービスの充実
  3. 在宅介護支援センターの設置促進
イ 居宅生活支援
  1. 障害者ショートステイ事業の充実
  2. 日常生活用具給付事業等の充実
  3. 重度障害者入浴サービス事業の実施
(4)地域生活への支援
ア 日常生活圏域におけるサービス供給体制の整備
  1. (新)サービスパッケージの構築とケースマネジメントシステムの確立
  2. (新)自立生活支援センターの設置・運営の支援
  3. (新)当事者活動・自助活動の支援
  4. (新)精神障害者社会参加援助事業の実施
  5. 福祉サービス協会等の運営の充実
  6. 民間団体への助成
  7. (新)新たな福祉サービス開発研究の推進
  8. 民間福祉サービスの健全育成
イ 地域保健福祉サービスシステムの整備
  1. 地域保健福祉サービス調整機構の運営の充実
ウ 経済的生活の安定
  1. 年金相談・広報の実施
  2. 各種手当等の支給
  3. 各種減免制度による援助
(5)リハビリテーション医療の充実
ア 保健医療とリハビリテーション
  1. 民間医療機関の整備
  2. 公的医療機関建設費補助事業の実施
  3. (新)心疾患・脳血管疾患救急医療対策の実施
  4. 精神科緊急・救急医療体制の充実
  5. 精神科専門病棟整備費補助事業の実施
  6. 神奈川リハビリテーション病院新棟新築工事の実施
  7. 神奈川県腎・アイバンク運営支援
  8. 難病治療研究センター運営費補助事業
  9. (新)身体障害者健康診査の実施
  10. 身体障害児者補装具交付事業の充実
  11. 各種障害者医療費の援助
イ 地域リハビリテーションの推進
  1. 精神障害者社会復帰施設の整備
  2. 精神科デイケア施設の整備
  3. 精神保健相談等の実施
  4. ライトセンター相談・訓練機能の充実
  5. ろうあセンター相談・訓練機能の充実
  6. 各種身体障害者社会参加促進事業の実施
(6)障害福祉施設の整備
  1. 障害福祉施設の整備費補助
  2. 県立障害福祉施設の整備
  3. 県立施設の専門機能強化
(7)情報手段の開発と提供
  1. コミュニケーション手段の確保支援
  2. ライトセンター情報機能の充実
  3. ろうあセンター情報機能の充実
  4. 県政情報の提供
  5. 福祉プラザ情報機能の充実
  6. (新)わかりやすい情報手段の開発
(8)緊急時避難体制の整備
  1. 地域緊急通報システムの整備促進
  2. 交番ファックス110番の実施
3 高齢期
(1)生活・活動への支援
  1. かながわ高齢者保健福祉計画との連携
  2. (新)高齢化に配慮した入所施設の検討
  3. (新)地域福祉型住宅への高齢者配慮
  4. (新)高齢期の障害者の生活のあり方に関する基礎的研究
(2)「みとり」について
  1. (新)「みとり」のあり方に関する検討

III 雇用・就労

1 雇用の推進
  1. 障害者の雇用促進の啓発・指導
  2. 障害者雇用の推進
  3. 職業的リハビリテーションシステムの推進
  4. 職業訓練指導員の研修
  5. 職場適応訓練の推進
  6. 精神薄弱者職場指導員の設置
  7. 神奈川能力開発センターへの支援
  8. 障害者の職業能力開発の実施
  9. 授産施設重度障害者等特別能力の開発
  10. 障害者の職域拡大
  11. 能力開発用教材の開発普及
  12. 精神障害者職親事業の実施
  13. 定年延長、再雇用制度の推進
  14. 身体障害者雇用納付金制度による雇用の促進
  15. (新)企業内訓練への支援検討
  16. 身体障害者の県職員採用
2 雇用以外の就労の促進
  1. 障害者地域作業等の充実(再掲)
  1. 障害者福祉的就労協力事業所奨励事業費補助
  2. ともしび生産振興協会への助成
  3. 「ともしびショップ」の設置促進
  4. 地域就労援助センター運営費補助
  5. (新)精神障害者就労援助事業
  6. (新)障害者に適した自営業の研究開発・普及

IV 文化・スポーツ・レクリエーション

1 活動機会の保障
161 福祉バス運行事業
2 人間性豊かな暮らしと社会を創る文化活動
(1)障害者による文化活動の振興
  1. (新)障害者アートバンク事業
  2. 生涯学習講座の開設
  3. (新)青年教室の開催支援
(2)響きあう文化
  1. (新)ベリー・スペシャル・アートかながわの開催
  2. (新)アジア芸術文化交流の推進
3 障害者のスポーツから生涯にわたるスポーツへ
(1)スポーツ指導者の養成
  1. ふれあいスポーツのつどい
  2. 自然に親しむ親と子のつどい
  3. 障害者スポーツリーダーの養成派遣
(2)スポーツの場づくり
  1. (新)スポーツ施設バリアフリー化の推進
  2. (新)障害者スポーツ拠点の整備
  3. 体育センター再編整備
  4. ライトセンタースポーツ施設の運営
(3)スポーツ振興のための組織・団体
  1. 障害者スポーツ協会の拡充
  2. (新)クラブチーム・インキュベート事業
(4)情報・研究・啓発活動の充実
  1. (新)障害者スポーツ情報センターの設置運営
  2. 障害者スポーツの啓発普及
(5)全国身体障害者スポーツ大会の開催
  1. 全国身体障害者スポーツ大会の開催
  2. 障害者スポーツ大会の開催
  3. (新)ボランティア活動の拡大

V 都市・生活環境と住まいづくり

1 福祉の街づくりの総合的推進
  1. (新)福祉の街づくり条例による推進
  2. (新)福祉の街づくりモデル事業の推進
  3. (新)福祉の街づくりの調査研究の推進
  4. (新)都市・生活環境の整備促進のための普及啓発
  5. (新)助成制度の検討
2 公共的建築物の整備
  1. 公共的建築物の整備促進
  2. 県有施設の整備推進
  3. 障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業費補助
3 住まいづくり
  1. (新)障害者・高齢者に配慮した住宅の設計基準の普及
4 道路・交通システムの整備
(1)道路環境の整備
  1. 歩道及び交差点の整備
(2)交通システムの整備
  1. 鉄道駅舎の整備促進
  2. (新)リフト付路線バスの整備促進
  3. (新)利用しやすい交通システムの整備
(3)移動への支援
  1. ハンディキャブの運行促進
  2. 下肢等障害者自動車運転訓練費補助事業
  3. 身体障害者用自動車改造費補助事業
  4. 駐車禁止除外指定制度の活用
  5. 運転免許取得相談等の業務の充実
(4)交通安全対策の促進
  1. 駅前広場における「グリーン・バスストップ」の設置
  2. 身体障害者の安全を確保するための交通規制
  3. 視覚障害者用交通信号機の設置促進
5 公共的スペースの整備
  1. 県立公園の整備の推進
  2. 市町村公園の整備促進
  3. (新)身体障害者用駐車スペースの確保
6 情報提供・情報交換手段等の充実
  1. 情報基盤の整備
7 非常災害時等に対する対策の推進
  1. 社会福祉施設防災資機材整備の促進
  2. 地下街等の災害情報の表示設備の整備促進

主題:
神奈川県第二次障害福祉長期行動計画 No.1 1頁~38頁

発行者:
神奈川県福祉部障害福祉課

発行年月:
1994年10月

文献に関する問い合わせ先:
〒231 横浜市中区日本大通1
電話 045(201)1111