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国際障害者年第2次京都市行動計画

ノーマライゼーションを進めるための総合的福祉施策のあり方

完全参加と平等
-No.1-

平成4年10月

京都市

項目 内容
立案時期 平成4年10月
計画期間 平成4年度~平成13年度(10年間)

ノーマライゼーション(NORMALIZATION)

 さまざまな人々の多様な価値観や生活のスタイルをお互いに認めあい,障害のある人もない人も,高齢者や若者も,女性や男性も,生活の拠点である地域や家庭,学校や職場などの場において等しく参加し,支えあって生きていくことが正常な社会であるとするものです。

はじめに

京都市長 田邊朋之

 本市における障害者福祉の推進につきましては,国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」の実現に向け,昭和58年1月に策定した「国際障害者年京都市行動計画」に基づき,総合的・年次計画的に多くの施設の整備および施策の充実に努めてまいりました。

 この行動計画の策定から10年を経過した今日,社会経済情勢の変化また障害のある市民やご家族のニーズの変化等のなかで,着実に成果を得てきたものの,障害のある市民の方々にとって「完全参加と平等」という目標の達成には,まだ残された課題も少なくありません。

 私は,残された課題の解決に向けて,引き続き積極的な障害者福祉行政を推進する必要があると考え,平成3年7月に京都市社会福祉審議会に対し,「国際障害者年京都市行動計画後の障害者福祉施策のあり方」について意見具申をお願いし,ご審議をいただきました。

 また,同年9月には,本市が独自で昭和56年から5年毎に実施しています「京都市心身障害者実態調査」を行い,障害のある市民の生活環境や要望の実態把握に努めました。
 そして,平成4年4月に,京都市社会福祉審議会から「ノーマライゼーションを進めるための総合的施策のあり方について」と題する意見具申をいただきました。

 この意見具申では,障害者問題を広く社会全体,市民全体のものとして認識し,推進するという基本的な立場でご審議をいただき,ノーマライゼーションの実現に向けて,地域福祉・在宅福祉の積極的な推進あるいは精神障害のある市民や難病のある市民に対する福祉の充実等を含めて,7つの施策目標の分野に係る貴重なご提言がございました。

 私は,平成3年11月に策定した「京都市健康都市構想」を重要な視点としつつ,この意見具申を最大限に尊重し,また先に実施した京都市心身障害者実態調査の結果及び障害のある市民や関係団体,施設等から頂いたご意見,ご要望にも十分配慮して,このたび国際障害者年第2次京都市行動計画としての「ノーマライゼーションを進めるための総合的福祉施策のあり方」を策定いたしました。

 この新しい計画の実施にあたっては,行政と市民がそれぞれの立場で二人三脚で取り組んでいかなければならないと考えております。
 こうした意味で,この計画は,ノーマライゼーションの早期の実現を目指す私からの市民の方々に対するメッセージでもあります。

 障害のある市民もない市民もすべての市民が,日々の暮らしの中でいきいきとした人生を築くことのできる健康都市・京都の実現に向けて,公私の関係機関はもとより,すべての市民の方々のご理解とご協力をお願いいたします。

平成4年10月

目次

総論

施策目標と主要課題

ノーマライゼーションを進めるための総合的福祉施策

(参考)

総論

1 計画策定の背景と経過の概要

 昭和56年(1981年)の国際障害者年に先立ち,本市においては,昭和55年に市民参加による「京都市国際障害者年推進会議」を設置し,今後の10年間を展望した障害のある市民の全生涯にわたる施策の基本的なあり方について検討を依頼し,翌年にその答申を得た。
 そして,昭和58年1月にその推進期間を10か年とし,5つの生活分野にかかる施策目標を掲げた「国際障害者年京都市行動計画」を策定し,障害のある市民の社会への「完全参加と平等」に向けて,各分野における施策の推進に努めてきた。
 計画期間中は,社会経済情勢の変化や障害のある市民のニーズの変化に対応しつつ,計画施策の遂行はもとより計画外であった施設の整備や施策の充実にも取り組んできた。
 しかしながら,障害のある市民を取り巻く社会生活環境のさらなる変化,とりわけ急速な人口構造の高齢化や経済情勢の変化,また障害のある市民自身の障害の重度化・重複化等により新たな問題が提起され,今後さらに推進すべき課題が生じてきた。
 こうした中で本市においては,平成3年11月,「健康」を尺度に,「人」を主役とする,これからの京都のまちづくりの指針となる「京都市健康都市構想」を策定し,生きていることの尊さと,人権の重さへの認識を基本とする「健康都市・京都」の実現を目指している。
 障害のある市民の福祉についても,こうした状況を踏まえ,障害のある市民のニーズを適確に把握し,なお一層の充実を図っていく必要が生じてきた。  そのため,平成3年度末をもって前行動計画の10年が経過したことに伴い,これまでの実績を踏まえながら社会の諸情勢に対応する新たな計画を策定することとしたものである。
 第2次行動計画の策定にあたっては,平成3年7月に京都市社会福祉審議会に対し,「国際障害者年京都市行動計画後の障害者福祉のあり方」について意見具申をお願いし,同審議会においては,心身障害者福祉専門分科会に「検討作業部会」を設置し,意見具申案の作成作業にあたっていただいた。
 検討作業部会でとりまとめられた意見具申案は,心身障害者福祉専門分科会での審議を経て,平成4年3月に社会福祉審議会で承認を得た後,同年4月に「ノーマライゼーションを進めるための総合的施策のあり方について」と題する意見具申書の提出を受けた。
 また,平成3年9月には,昭和56年から本市が5年ごとに独自で実施している「京都市心身障害者実態調査」を行い,障害のある市民の生活上の諸問題あるいは要望について実態を把握するとともに,ほぼ同時期に障害のある市民の団体,施設等に対し「現行の制度・施策に対する意見と今後実施してほしい制度,施策」についてアンケート調査を実施した。
 これら実態調査やアンケート調査の結果はいずれも,障害のある市民やその家族が抱える多種多様な課題とその解決に向けての願いを浮き彫りにするものであった。
 この第2次行動計画は,こうした社会福祉審議会からの意見具申や実態調査あるいは障害のある市民やその家族,団体,施設等の意見をもとに,京都市健康都市構想を重要な視点としつつ,障害のある人もない人も共に暮らせるノーマライゼーションのまち・京都を築くために「ノーマライゼーションを進めるための総合的福祉施策のあり方」として策定したものである。

2 計画の基本的な考え方

 第2次行動計画「ノーマライゼーションを進めるための総合的福祉施策のあり方」は,以下の考え方を基本として策定している。

  • (1) 前行動計画の基本理念を継承し,発展させる。
  • (2) 京都市健康都市構想及び他の行政部門の総合的な計画との関連性を図る。
  • (3) ノーマライゼーションの理念を積極的に推進すると共に同和問題を初めとして,障害のある市民・児童,外国人等に対する差別や偏見の解消をめざす。
  • (4) 市民参加型の福祉の推進及び定着を図る。
  • (5) 来るべき高齢社会への対応を考慮する。

3 計画の性格と期間

  1.  計画の性格
    1.  ノーマライゼーションの理念を実現するための推進目標を示したものである。
    2.  障害のある市民の福祉を推進するにあたり,京都市健康都市構想の内容を具体化する計画であり,市政の総合的な指針である新京都市基本計画の柱となる計画である。
    3.  行政はもとより企業・民間団体等,すべての市民がそれぞれの立場においてこれを共有の計画とし,実践することを期待するものである。
  2.  計画の期間
     平成4年度から平成13年度までの10年間とする。

4 計画の推進

  1.  計画の推進にあたっては,すべての分野からの協力が必要であり,特に国や京都府,関係機関・団体,企業,報道機関等とは十分な連携を図っていく。
  2.  計画の遂行にあたっては,行政のみでそのすべてを解決することは困難である。  公私の関係機関あるいは広範囲にわたる市民の参加と協力のもとに総合的に推進していく。
  3.  計画の推進にあたっては,本市が主体的に取り組むべきもののほか国や京都府の施策に待たなければならないものも多い。
     特に,地方行政の範囲を越えて国の制度・施策化に期待するもの,法律等の改正によらなければならないものについては,国に対し積極的に要望していく。
  4.  京都市心身障害者実態調査やアンケート調査等で寄せられた意見・要望のうち,今回計画化できなかった事項については,今後施策を推進していくなかで十分配慮する。
  5.  法律や制度の改正あるいは社会経済情勢の変動などに対応するため,必要に応じて見直していく。

施策目標と主要課題

1 保健・医療の充実

 本市においては,平成3年11月に「京都市健康都市構想」を策定し,保健・医療・福祉が充実し,その連携によって長寿時代のライフサイクルに対応したサービスが行き届くまちづくりを目指すことを明らかにした。
 今後,障害のある市民の保健・医療に関する施策を進めていくにあたって,この健康都市構想の理念を重要な視点としつつ「発生予防」から社会的自立を図るための「リハビリテーション医療」に至る一貫性のある施策を推進する。
 また,精神に障害のある市民や難病のある市民に対する保健・医療対策についても充実する。

[課題]

  • (1) 発生予防対策の充実
  • (2) 早期発見・早期療育の充実
  • (3) 保健・医療サービスの充実
  • (4) リハビリテーション医療の充実

2 教育の充実

 障害のあるすべての児童・生徒の発達保障すなわち児童・生徒一人ひとりの能力を可能な限り伸ばし,社会的自立の達成を図るためには,その障害の種別や程度あるいは能力や適性に応じた適切な教育を生涯にわたって受けられるような環境が用意される必要がある。
 また,乳幼児の段階での早期療育に続く各時期において,それぞれの時期に相応した療育・教育・生活・指導・職業訓練などが一貫したつながりの中で保障され,かつ医療・福祉・労働の分野との連携が確保される必要がある。

[課題]

  • (1) 就学前教育の充実
  • (2) 学校教育の充実
  • (3) 福祉教育の充実
  • (4) 社会教育の充実

3 雇用・就労の充実

 勤労の権利は憲法に保障された基本的人権の一つであり,「働く」ということは,障害の有無にかかわらず人間にとっての基本的な要求であり,崇高な営みである。
 働く意思と能力のあるすべての障害のある市民に対して,その適性と能力に応じて働く場が確保されなければならない。

[課題]

  • (1) 雇用・就労の機会の拡大
  • (2) 相談事業の充実
  • (3) 職業リハビリテーション体制の充実

4 所得保障の充実

 障害のある市民の所得保障については,人間としての尊厳を保ちつつ,それぞれのライフサイクルに対応し,自立した社会生活を営むのに十分な水準を確保する必要がある。

[課題]

  年金・手当の充実

5 福祉サービスの充実

 障害のある市民に対する福祉サービスは,障害のある市民の基本的人権を守り,自立と社会参加を促進するものでなければならない。

[課題]

  • (1) 在宅生活支援サービスの充実
  • (2) 社会参加の促進
  • (3) 施設サービスの充実

6 生活環境の整備

 「障害物が障害者をつくる」という言葉のとおり,社会参加を願う障害のある市民にとって,生活環境の改善は必要不可欠なものである。
 障害のある市民が地域社会の一員として,自立した生活が営める生活環境の整備を図っていかなければならない。

[課題]

  • (1) 住宅環境の整備
  • (2) 公的環境の整備
  • (3) 移動手段・交通機関の整備

7 市民行動計画

 ノーマライゼーションの理念は,子どもや高齢者,そして病気や障害のある市民が共存して福祉的な生活を営むことのできる社会の実現である。
 特に,核家族化・高齢化がますます進行していく中で,障害のある市民や高齢者の地域での生活を考えたとき,家族のみの介護では対応しきれないことが十分に予測できる。
 障害のある市民や高齢者及びその家族が抱かえる問題を,だれもが自分のこととして認識し,行動する市民となる必要がある。
 また,同和問題を初めとして,障害のある市民・児童あるいは外国人等に対する差別事象や偏見が今なお存在する。
 人権の擁護・確立に向けた積極的な取組が重要である。

[課題]

  • (1) 市民意識の涵養
  • (2) 市民活動の推進

ノーマライゼーションを進めるための総合的福祉施策

(注)
☆ 継続実施
★ 充実実施
□ 新規

保健・医療

項目 課題 事業名 事業内容 所管
発生予防 周産期における発生予防

 障害の発生原因については,現在も未解明な部分が多く,医学の研究に待つべきところが多いが,周産期に何らかの理由により,障害の発生の傾向が高いことを考えれば,妊婦に対する意識の醸成と共に母体の健康管理体制の充実は極めて重要である。
また,思春期における早い時期での学校教育・家庭教育における取組や核家族化の進行により,知識・情報が得にくい環境にある妊婦に対する啓発も併せて充実した取組を進めていかなければならない。

-平成3年調査61年調査
件数件数
出生時26547.929847.2
0歳14025.214222.5
1歳386.8528.3
(平成3年京都市心身障害者実態調査)
☆母子健康手帳副読本の交付 障害の発生を未然に防止するため副読本を作成し,交付 衛生局
☆妊婦健康診査 妊婦及び乳児の疾病予防と早期発見のため,医療機関に委託して実施 衛生局
☆妊婦健康相談 妊婦の疾病予防と早期発見のため相談事業を実施し,必要に応じて貧血検査,尿検査などを実施 衛生局
☆妊娠中毒症対策 母体及び胎児に重大な影響を及ぼす妊娠中毒症の対策のため訪問指導や入院治療費の一部を補助 衛生局
☆母親教室 妊娠中の保健指導,分娩,育児等について系統的に専門職員が指導 衛生局
☆妊婦貧血・尿・血液型判定検査
  1. 異常分娩や未熟児出産の予防,妊娠中毒症の早期発見等に対する検査・指導
  2. 血液型不適合によって生じる種々の障害の原因の早期発見・早期治療
衛生局
☆妊婦風しん血清抗体測定 妊婦に対する風しんの抗体検査を実施して,抗体未保有者の感染防止及び先天性風しん症候群患者発生防止を図る。 衛生局
☆B型肝炎母子感染防止事業 妊婦に対する検査及び出生児に対する感染防止対策 衛生局
☆乳児保健教室 育児に未経験な母親に対し,乳幼児の疾病やけがに対する知識や応急処置等を指導 衛生局
成人病疾病による障害の発生予防

 近年,特に中・高年齢者のなかで,脳血管疾患や心臓疾患等成人病の後遺症による障害の発生が増加傾向にあり,その予防対策は重要な課題である。
市民啓発の強化と併せて,市民検診・成人病検診等の検診科目の拡大と受診者に対するアフターケアが必要である。

*障害の原因

その他の疾患 24.1%
脳出血・糖尿病等 22.5%
交通事故 5.9%
出生時の損傷 5.7%
労働災害 5.3%

*障害を受けた時期

60歳以上27.1%
50歳~59歳16.3%
40歳~49歳11.1%
18歳~29歳10.0%
出生時5.7%
(平成3年京都市心身障害者実態調査)
★成人病検診
  1. 中途障害者発生予防対策としての検診制度の充実
  2. 受診後の指導・相談体制の充実
衛生局
★リハビリテーション医療 発生予防→早期発見・早期治療→リハビリテーション医療 衛生局
早期発見・早期療育 早期発見

 新生児期・乳幼児期の検診体制の整備が進み,障害の早期発見に関しては,一定の成果が認められるところである。
しかしながら,障害の重度化・重複化が進むなかで,今後さらに多くの疾病についてのマス・スクリーニング検査による診断法の開発と治療法の確立が望まれる。
同時に,保護者に対する診断内容の適切な説明・相談・事後指導体制の充実及び医療機関・保健所・児童福祉センター等関係機関のスムーズな連携体制の確立が重要である。

*身体障害児

  • 障害の発見
    病院・診療所・医院 59.5%
    肢体不自由児施設 21.6%
    児童福祉センター 12.8%
    保健所 2.5%
    その他 0.9%
    学校 0.7%

  • 診断時の悩み
  • 具体的相談相手がなかった 29.4%
    保健所等で指導してほしかった 22.0%
    制度的検診がほしかった 19.5%
    介護の手助けがほしかった 18.6%
    適切な医療機関がほしかった 16.4%

*精神薄弱児

  • 障害の発見
    児童福祉センター47.2%
    病院・診療所・医院44.0%
    保健所2.2%
    学校1.1%
    その他0.7%

  • 診断時の悩み
    具体的相談相手がなかった34.9%
    保健所等で指導してほしかった26.9%
    適切な医療機関がほしかった16.7%
    制度的検診がほしかった16.7%
    介護の手助けがほしかった14.9%
    適切な医療機関がほしかった14.2%
    (平成3年京都市心身障害者実態調査)
☆先天性代謝異常等検査 放置すると重度の精神薄弱や身体障害をきたす先天性代謝異常症・先天性甲状腺機能低下症の早期発見・早期治療 衛生局
☆神経芽細胞腫検査 小児がんの一種である神経芽細胞腫を早期に発見し,適切な治療を受けるよう指導 衛生局
☆新生児等訪問指導 必要と認められる未熟児・新生児・乳幼児に対して,保健婦等が訪問し,適切な指導を実施 衛生局
☆乳児健康診査
  1. 3~4か月の乳児を対象に,主として重度の心身障害等の早期発見に重点をおき実施
  2. 7~8か月の乳児を対象に,主として聴力・視力障害を含む中等度の心身障害等の早期発見に重点をおき実施
衛生局
☆1歳6か月児健康診査 主として,中・軽度の心身障害の早期発見に重点をおき実施 衛生局
☆1歳6か月児精密検診及び事後指導 心理医学面における精密検診の実施及び母子に対する心理学的指導の実施 衛生局
☆3歳児健康診査
  1. 行動発達・生活習慣の自立度・情緒上の問題に重点をおき診査するとともに, 今まで診断が困難であった異常についても診査
  2. 視聴覚検査及び腎炎の早期発見のための尿検査(蛋白・糖・潜血等)を実施
衛生局
☆3歳児精密健康診査及び事後指導
  1. 心理医学面における精密検査を実施
  2. 上記検診の結果,精神発達地帯又は発達上の歪みをもつ児童とその母親に対し,心理学・医学的指導を実施
衛生局
☆就学時と定期健康診断 学校保健法に基づき,就学時健康診断・定期健康診断を実施し,一般疾病・障害の早期発見に努める 教育委員会
衛生局
早期療育

 障害の重度化・重複化傾向が進行するなかで,児童の心身の健全な発達を促進するためには,早期発見から早期療育への効果的かつ迅速な連携及び処遇が図れる体制の整備が重要である。
早期療育のための現行の施設として,京都市児童福祉センター総合療育所があるが,市民のニーズの増加と変化への対応に限界を生じてきている。
現行の児童福祉センターの既存機能の充実及び療育ネットワークのキーステーションとしての体制整備と併せて,

  1. 0歳児からを対象とした超早期療育
  2. 重度重複障害児に対する療育体制
  3. 保育所・幼稚園・通園施設などの地域施設との連携及び援助
  4. 在宅重度心身障害児に対する訪問指導訓練の実施
  5. アフターケア
  6. 併行通園
等の機能を整備した児童療育センター(仮称)の整備が必要である。
なお,整備にあたっては,その対象が重度・重複の児童であること,保護者の在宅志向が高まりつつあることなどから地域性を考慮すると共に,通園に対する配慮も検討したものでなければならない。

*身体障害児

  • 障害の重複
    -平成3年61年
    重複なし67.0%70.9%
    二重障害14.8%15.6%
    三重障害9.9%7.3%
    四重障害8.3%6.2%

  • 今後の治療・訓練についての希望
    家庭で治療訓練を受けさせたい22.2%
    治療訓練施設へ通わせたい20.2%
    治療訓練病院へ通わせたい8.1%
    治療訓練施設に入所希望4.0%
    治療訓練病院に入院希望2.2%

*精神薄弱児

  • 身体障害者手帳の有無
    -
平成3年 61年
持っている 35.1% 19.0%
持っていない 49.5% 81.0%

  • 今後の治療・訓練についての希望
    治療訓練施設に通わせたい25.5%
    家庭で治療訓練させたい22.5%
    治療訓練施設に入所希望9.8%
    治療訓練病院に通わせたい2.9%
    治療訓練病院に入院希望1.1%
    (平成3年京都市心身障害者実態調査)
    ☆肢体不自由児等療育相談事業先天性股関節脱臼や斜頸等の疑いのある乳幼児及び18歳未満の児童に対し,整形外科専門医による検査・相談・指導を実施衛生局
    ☆乳幼児等心臓病検診及び療育相談心臓病の疑いのある乳幼児及び18歳未満の児童を対象に,専門医による検査・相談・指導を実施衛生局
    ☆要管理乳幼児登録・訪問指導放置すると将来,心身に障害をきたす恐れのある乳幼児について,小学校入学まで保健婦が訪問指導を実施衛生局
    ☆重症心身障害児早期療育助成事業重症心身障害児(6歳未満)の保護者に対し,早期療育の一助として助成金を給付民生局
    ★心身障害児母子通園事業
    事業名施設数定員
    精神薄弱児母子通園事業260
    自閉症児等母子通園事業120
    視覚障害児母子通園事業120
    心臓病児母子通園事業120
    児童福祉センター総合療育事業
    1. 精神発達遅滞部門
    2. 難聴部門
    3. 言語障害部門
    (1)
    (1)
    (1)

    定員は特に定めない
    (平成4年4月)
    民生局
    ★心身障害児グループ訓練事業助成地域において自主的に実施している在宅の重症心身障害児・者の訓練事業に対する助成民生局
    ★児童福祉センターの運営 重度・重複障害児の増加に対する体制整備
    1. 医療スタッフの充実
    2. 理学療法士・作業療法士・言語療法士・心理療法士の充実
    民生局
    □児童療育センター(仮称)の設置-民生局
    ★心身障害児訪問療育指導員派遣事業重度の心身障害があるため,日常生活に著しい支障がある児童を抱える家庭に対し,指導員を派遣して適切な介護・療育相談等を実施民生局
    ☆児童福祉施設への措置
    種別施設数定員
    肢体不自由児施設1100
    肢体不自由児施設通園部180
    精神薄弱児施設3170
    精神薄弱児通園施設5160
    重症心身障害児施設150
    情緒障害児短期治療施設150
    筋萎縮症児施設180
    難聴幼児通園施設130
    (平成4年4月)
    民生局
    障害のある市民の医療医療サービスの充実

    障害のある市民が,いつでも必要かつ適切な医療が受けられるよう,体制の整備共に医療費の公費負担制度の充実を図る必要がある。

     救急医療体制については,京都市休日急病診療所(初期救急医療)・病院群輪番制(第2次救急医療)や救命救急センター(第3次救急医療)の設置と救急医療情報システムの整備等により,その体制は一定確保されてはいるが,なお市内南西部地域における初期救急医療体制の充実や平日夜間等の救急医療体制の充実,救急医療に関する市民への情報提供の方策等の検討が必要である。
    障害のある市民の歯科診療については,現在市内北部と西部に2ケ所の歯科サービスセンターが設置されているが,地域性も配慮した施設の整備が必要である。

    *身体障害者

    • 過去1年間の治療日数
      -平成3年61年
      全くかからなかった9.7%13.8%
      10日以上24.2%23.0%
      約1ケ月間9.0%12.3%
      1ケ月以上47.1%43.7%

    • 慢性的な病気の状況
      -平成3年61年
      かかっている53.9%49.4%
      かかっていない36.8%42.6%

    *身体障害児

    • 過去1年間の治療日数
      -平成3年61年
      全くかからなかった12.8%12.7%
      10日以内49.7%52.5%
      約1ケ月間10.3%12.4%
      1ケ月以上22.9%18.4%

    • 慢性的な病気の状況
      -平成3年61年
      かかっている32.8%27.8%
      かかっていない60.4%65.9%

    *精神薄弱児・者

    • 過去1年間の治療日数
      -平成3年61年
      全くかからなかった20.1%20.5%
      10日以内37.8%38.4%
      約1ケ月間6.8%9.6%
      1ケ月以上17.8%20.4%

    • 慢性的な病気の状況
      -平成3年61年
      かかっている20.7%27.2%
      かかっていない61.6%55.8%
      (平成3年京都市心身障害者実態調査)
    □訪問看護制度在宅の寝たきり状態にある者等に対する訪問看護サービスの拡充衛生局
    ★救急医療体制の整備休日,平日夜間等の初期救急医療の充実及び地域性を配慮した医療機関の設置衛生局
    ★救急救護(病院前救護)体制の充実人工透析,人工弁等搬送病院が特定される傷病者に対して,当該症状に起因する発症時の早期搬送体制を確保するための搬送依頼病院名等を記入した障害者用カードを作成
    また,救急救護活動現場における聴覚・音声言語機能障害のある市民とのコミュニケーションの確保に必要な手話技術の習得,絵や文字を指示して会話を図るカードの整備充実
    消防局
    ★歯科サービスセンターの増設地域性を配慮した施設の設置衛生局
    ☆小児慢性特定疾患治療研究事業小児慢性特定疾患に関する研究を推進し,併せて患者家族の医療費の負担軽減を図るため,契約医療機関に対し,治療研究に必要な費用を交付衛生局
    ☆慢性腎炎・ネフローゼ健康相談慢性腎炎・ネフローゼの患者及びその家族について,専門医師や栄養士による日常生活の療育の指導を実施-
    ☆腎バンクの普及死後の腎臓提供を促進するための普及啓発衛生局
    ☆アイバンクの普及死後の眼球提供を促進するための普及啓発衛生局
    ☆骨髄バンクの普及骨髄バンクへの登録の普及啓発衛生局
    ☆児童福祉センター診療所の運営児童福祉センター診療科において,心身に障害のある児童に対し診察・投薬治療を実施衛生局
    民生局
    ☆養育医療の給付養育のため指定養育医療機関に入所することを必要とする未熟児に対し,必要な医療を給付衛生局
    ☆育成医療の給付身体に障害のある児童に対し,その障害を除去又は軽減し,生活能力を得るために必要な医療を給付(医療補装具の交付を含む)衛生局
    ☆療育の給付結核に罹患している児童を指定療育機関に入院させて専門的な医療の給付を行うと共に,療育生活に必要な日用品と学校教育を受けるに必要な学用品を給付衛生局
    ☆小児慢性疾患児療育施設の運営気管支喘息・腎炎・ネフローゼ等の慢性疾患にかかっている児童及び生徒に対する診療及び療育指導衛生局
    ☆更生医療の給付18歳以上の身体に障害のある市民に対し,その障害を除去又は軽減し,生活能力を得るために必要な医療を給付民生局
    ★重度心身障害者医療費支給制度心身に重度の障害のある市民が健康保険各法の規定による医療給付を受けた場合,保険給付の残りの額の自己負担分を補助民生局
    ☆進行性筋萎縮症者療養等給付進行性筋萎縮症者を医療機関に入所又は通所させ・必要な医療,訓練およびび生活指導を実施民生局
    ☆重度障害老人健康管理費支給制度重度の障害のある高齢者が,老人保健法の医療受給者証を使って医療を受けた場合,一部負担金に相当する額を支給民生局
    ☆身体障害者市民検診車いす常用者に対し,車いすに乗ったままで結核検診を実施衛生局
    □身体障害者健康診査事業脊髄損傷,脳性マヒ及び脳血管障害等を原疾患とする身体障害者は長期間にわたる車いすの常用などにより,不随意運動や筋肉の硬直っ排尿障害を起こし,これらを起因として骨変形,ぼうこう障害,じょくそう等の二次障害を誘発する場合が多いため,これらの発生予防のために健康診査を実施民生局
    リハビリテーション医療の充実

     高度な専門的機能を有する施設として,京都市立病院及び京都市身体障害者リハビリテーションセンターがあるが,とりわけ京都市身体障害者リハビリテーションセンターにおいては近年特に,成人病後遺症とりわけ脳血管障害の後遺症等による中途障害者の増加等により,十分な対応が困難な状況となっている。
    リハビリテーション医療を必要とするすべての障害のある市民が,適切なサービスが受けられるよう,京都市身体障害者リハビリテーションセンターの機能の再整備を図ると共に,初期・専門・地域リハビリテーションの供給体制を体系的に整備する必要がある。

    ★京都市身体障害者リハビリテーションセンターの機能の充実
    1. 民間医療機関の初期段階におけるリハビリテーション機能の充実と専門病床の拡大

    2. リハビリテーション専門スタッフの不足する各種施設及び対象世帯への理学療法士・作業療法士等の巡回派遣体制の整備

    3. リハビリテーションの学術的体系の確立及び人材の養成・確保のために医科系大学に専門講座あるいは学科の新設

    4. リハビリテーションに関する専門知識を有する医師(リハビリテーション専門医)の養成

    5. 肢体不自由児とりわけ脳性まひに対する早期訓練施設の充実

    6. 寝たきりの高齢者に対するリハビリテーションの充実
    民生局
    □重症心身障害児・者療育ネットワーク事業重症心身障害児・者が通所している施設に医師,理学療法士及び作業療法士を派遣し,必要な重症心身障害児・者にリハビリテーションを行うことにより肢体の変形等を予防する民生局
    精神に障害のある市民の医療の充実

     1987年に精神衛生法が精神保健法に改められ,精神に障害のある市民の人権は大幅に保障されるところとなり,また福祉面での施策の充実も図られるところとなったが,社会の偏見は未だ根強いものがある。
    医療機関の整備や精神科診療体制の充実とともに,こうした偏見を払拭するための医療専門家等による正確な啓発及び患者や家族の悩みに応える相談体制の充実が必要である。

     また,近年とくに児童期・思春期の精神科の患者が増加傾向にあるといわれており,小児患者に対する専門病院あるいはデイケア施設の整備が必要である。

     精神科医療を必要とするアルコール精神疾患患者に対しても適切な医療の確保と相談体制の充実に配慮する必要がある。

    ★精神保健思想の普及啓発精神に障害のある市民に対する偏見や差別は現在でも地域に根強く残っており,精神保健法の理念を具現化するにあたっては,精神保健思想の普及啓発活動は精神保健対策の中でも最も重要であり,積極的な取組を実施衛生局
    ★社会復帰相談指導回復途上にある精神に障害のある市民の社会的自立を促進するため,保健所における精神保健業務の一環として相談指導を実施衛生局
    ☆精神障害者家族懇談会精神に障害のある市民を抱える家族の疾病に対する知識と理解を深めることにより,精神に障害のある市民および家族の自立を図るため,保健所において家族懇談会を実施衛生局
    ★精神保健対策精神障害の早期発見・早期治療の促進及び精神に障害のある市民の家庭内適応・社会適応を援助するため,精神保健相談日を設け相談及び訪問指導を実施衛生局
    難病患者に対する医療の充実

     難病は原因が不明で治療法も確立されておらず,そのため経過も長期にわたり,患者自身また家族にとっても精神的・経済的に大きな負担となっている。
    医療体制の充実と共に福祉面での施策の充実が重要である。

     現在,国においては43班の難病調査研究班を組織し,診断技術や治療法の調査研究が進められ,また専門医療機関の増設や専門医の養成も国立療養所を中心に実施されているが,まだまだ不十分な状況にあり,医療費公費負担対象疾病の拡大と併せて,その対策の充実が必要である。

     また,常時介護を必要とする重症患者についても,家族の介護負担は,精神的・経済的な問題をも含めて過大なものがある。
    在宅ケア支援対策が必要である。

    ★難病患者等療養相談事業専門医師・看護婦・相談員等のスタッフによる療養相談事業を実施衛生局
    (注)
    ☆ 継続実施
    ★ 充実実施
    □ 新規

    教育

    項目課題事業名事業内容所管
    就学前教育  障害のある児童の就学前教育については,能力の開発や社会性の涵養及び障害のない児童との相互理解の意識の高揚等からも重要な施策の一つである。

     保育所・幼稚園等における受入れ体制の整備や指導内容・指導方法等の研究など教育・医療・福祉の各分野の連携の中で,より一層の充実を図らなければならない。

     また,早期療育の効果を高めるため,必要な児童については保育所・幼稚園に在籍しながら定期的に,専門的な訓練が受けられる施設や制度の整備が重要である。

     重度・重複の障害のある児童にとって通所療育施設のニーズは高く,地域性を考慮した施設の増設を今後とも進めていく必要がある。

    *就学前教育の状況(身体障害児)

    -平成3年61年
    通園施設41.3%35.0%
    保育所34.6%27.6%
    いずれにも通っていない14.4%11.4%
    幼稚園11.5%8.9%
    その他9.6%14.6%

    *就学前教育の状況(精神薄弱児)

    -平成3年61年
    通園施設43.2%43.5%
    保育所50.0%56.5%
    いずれにも通っていない2.3%6.5%
    幼稚園4.5%2.2%
    その他0.0%2.2%
    (平成3年京都市心身障害者実態調査)
    ★市営保育所の障害児保育
    1. 障害児保育職員加配
    2. 障害児保育巡回指導
    3. 研修講座の開催

    障害児統合保育の実施にかかる人的条件の整備
    障害児保育の実施にあたり,運営上の諸問題について,専門嘱託医・保健婦が巡回し,指導・助言を実施
    障害児統合保育推進のための人材養成を図る講座の実施

    民生局
    ★民営保育所の障害児保育
    1. 障害児統合保育研修相談事業
    2. 障害児統合保育対策費の支出
    3. 障害児保育巡回指導

    障害児統合保育の実施について,指導方法等の研修,巡回相談等を実施
    障害児統合保育実施にかかる人的条件の整備
    障害児保育の実施にあたり,運営上の諸問題について,専門嘱託医・保健 婦が巡回し,指導・助言を実施

    民生局
    ★市立幼稚園における養護育成教育充実のための教員配置養護育成教育の充実を図るため,障害の状態や指導の実態に応じて教員を配置教育委員会
    ★私立幼稚園養護育成教育振興助成障害のある児童の教育の振興を図るため,助成金を交付教育委員会
    義務教育
    (小中学校教育)
     地域性を考慮した養護学校の適正配置や指導内容・方法及び「通級」育成学級に関する課題等については,現在各分野の専門家による「検討委員会」を設置し,検討を進めているところである。
     現在,障害のある児童・生徒に対し,最も望ましい教育の場づくりを目指し,発達保障と能力開発また社会性の確保等との調整を図りながら,教育内容の充実に努めているが,さらに次のような課題について,検討あるいは充実をしていく必要がある。
    1. 就学相談・指導については,児童あるいは生徒自身及び保護者が安心し,しかも就学後も継続して相談が行える機能・体制の充実
    2. 児童・生徒の重度化・重複化傾向に対する現場支援体制の充実
    3. 常時の医学的管理が必要な児童・生徒や機能維持・改善が必要な児童・生徒のために医師及び理学療法士・作業療法士等の配置
    4. 交流教育の推進
    5. 障害のある児童・生徒の小・中学校への受入れ体制の充実
    6. 障害のある児童・生徒の放課後,長期休暇,土曜休日等の対策
    ★就学指導就学指導委員会・養護学校高等部入学指導委員会を設置し,心身に障害のある児童・生徒の実態に即した教育について総合的に判断,指導を実施なお,今後さらに,各学校における相談機能の充実及び他の相談機関との連携を強化教育委員会
    ☆訪問教育指導身体的理由等により通学が不可能なため,在宅または長期療養中の学齢児に対する,家庭・病院への訪問指導及びスクーリングの実施教育委員会
    ☆養護学校・育成学級合同行事運動会・学習発表会・作品展等の合同行事を実施し,児童生徒間の連携を深める中で,身辺自立・集団適応の促進を図ると共に,市民の理解や認識を推進教育委員会
    ★交流教育の推進養護学校・育成学級の児童・生徒と小・中学校の児童・生徒とが活動を共にする事により,相互の理解を深め社会性を培い,人間尊重の基本的な考え方を育成教育委員会
    ★養護学校・育成学級生徒の進路指導作業学習・職場実習・事業所等の見学などを通じ,障害の状況に即したきめ細かな進路指導の充実教育委員会
    ☆養護学校児童生徒送迎用スクールバスの運行東養護学校4台 西養護学校4台 呉竹養護学校6台教育委員会
    ☆生徒介護職員の配置障害の重度・重複化に伴う要介護児童・生徒の増加に対応し,通学バス内等での保護者負担の解消と学校運営の円滑を図るため,呉竹養護学校に生活介護職員5名を配置教育委員会
    後期中等教育
    (高等学校教育)
     養護学校高等部の卒業生の進路保障は重要な課題であり,生徒個別の能力や適性を生かした進路を確保する必要がある。
     そのため,現在,作業実習・職場実習等に取り組んでいるが,より効果的な方策の検討が必要である。

    *就学状況(身体障害児)

    -小学校中学校高校
    普通学級42.9%43.8%36.3%
    養護育成学級17.5%11.4%-
    養護学校31.6%35.1%45.0%
    盲学校2.8%2.7%3.3%
    ろう学校3.8%7.0%15.4%
    訪問教育1.4%0.0%-

    *就学状況(精神薄弱児)

    -小学校中学校高校
    普通学級4.2%0.0%2.1%
    養級48.4%59.6%-
    養護学校47.4%40.4%96.8%
    盲学校0.0%0.0%0.0%
    ろう学校0.0%0.0%1.1%
    訪問教育0.0%0.0%-
    (平成3年京都市心身障害者実態調査)
    ☆教育課程資料の整備等養護学校・育成学級児童・生徒の発達や障害の状況に即応した学習指導を展開していくために,各学校での指導計画の作成や具体的指導の指針となる教育課程資料の作成・配布教育委員会
    ★養護学校医療体制の整備 養護学校児童・生徒の健康管理・指導の充実を図るため,医師を配置
    1. 5師(内科・歯科・眼科・耳鼻咽喉科・薬剤)に加え精神科医・整形外科医を委嘱
    2. 近隣の総合病院との連携
    3. 常勤医師・理学療法士・作業療法士の配置の検討
    教育委員会
    ☆養護学校・育成学級運営費養護学校・育成学級での指導実態に応じた教材教具の整備教育委員会
    ☆養護学校・育成学級児童生徒校外活動費校外での体験学習を通じ,集団適応,社会性を身につけさせる。教育委員会
    ☆養護育成教育野外学習場運営東養護学校児童・生徒の野外学習の場として,また全市の交流教育推進の場として野外学習場を運営教育委員会
    ☆養護育成教育就学奨励費養護学校・育成学級児童・生徒教育委員会
    ☆学校運営費養護学校・育成学級児童・生徒の状況に即した指導の充実を図るため,教材費及び養護学校・育成学級の運営費の負担教育委員会
    ☆養護学校施設整備養護学校児童・生徒の可能性を最大限に伸ばし,社会自立の達成る図るために個々の障害の状況に応じた,適切な教育の場となるよう,学校施設を整備教育委員会
    ☆育成学級教室等の模様替工事育成学級児童・生徒の指導実態に応じ,設備を改善教育委員会
    ☆育成学級用机・椅子の整備育成学級での小集団グループ学習を効果的に実施するための机・椅子を配置教育委員会
    ★障害のある児童・生徒の教育に関する調査・研究の充実「障害児教育検討委員会」(仮称)の設置教育委員会
    社会教育  障害のある市民が社会教育活動の場として,社会教育施設をいつでも有効的に利用できるよう,整備をしていく必要がある
     併せて,関係者等に対する研修等の充実を図る必要がある。

     地域における社会活動・スポーツ・レクレーション等に,障害のある市民が積極的に参加でき,市民全体の交流が図れるよう,地域住民や事業企画者に対する啓発と受入れ体制の整備を図らねばならない。

     新聞・テレビ・社会教育の場等を通じて,積極的にノーマライゼーションの理念の周知徹底を図る必要がある。
     併せて,社会教育関係者等に対する研修の充実にも努めなければならない。

    ★社会教育施設の施設・設備・機能の充実障害のある市民が一人ででも利用でき,また利用目的が達成できるよう人的,物的整備の充実教育委員会
    ★公開講座・セミナーの実施障害のある市民に対する理解を促進するための講座等の開催民生局
    ★障害者成人講座視覚障害者用ワープロ講座・聴覚障害者国際手話講座教育委員会
    ★市民交流の充実地域で実施する各種事業に,障害のある市民の積極的な参加を呼びかけ,「ともに行動し,ともに汗をかく」なかで,相互理解の促進を図る民生局
    教育委員会
    市民局
    文化観光局
    ★ノーマライゼーションの理念の周知広報活動,社会教育活動等を通じて,ノーマライゼーションの理念の周知を積極的に推進していく。民生局
    教育委員会
    福祉教育 学校教育・社会教育の場を問わず,取り組むべき課題である。
     特に,超高齢化・核家族化の傾向が今後ますます進行していくことが予測される中で,学校教育の中での取組は重要である。
     児童・生徒に対し,障害のある児童や市民に対する理解と認識を,知識と身体で深めるようカリキュラム設定するなど,その推進を図るとともに,ボランティア活動の必要性等も含めた福祉教育の充実を図っていく必要がある。
     そのため,教職員等に対する研修も計画的に実施していかなければならない。
    ★福祉協力校の拡大障害のある児童や市民に対する理解と認識を深めるため,引き続き充実した交流を奨励していく教育委員会
    □ボランティア活動協力校の養成ノーマライゼーションの理念を広く市民の間に浸透させていくためには,学校教育の段階で,児童・生徒に対して,ボランティア活動の必要性も含めた福祉教育を徹底していく教育委員会
    (注)
    ☆ 継続実施
    ★ 充実実施
    □ 新規

    雇用・就労

    項目課題事業名事業内容所管
    雇用・就労の機会の拡大  障害のある市民の雇用・就労を拡大するためには,障害のある市民自身の就労に対する意欲とともに,養護学校高等部等における障害の種別・程度に応じた職業教育の中での能力開発や企業のニーズに即応した職業訓練科目の設定,職業リハビリテーション体制の充実が必要である。
     また,企業等に対する啓発の強化も併せて取り組んでいかなければならない。

    *就労の状況(身体障害者)

    1. 就労状況
      -平成3年61年
      就労している29.1%35.6%
      就労していない49.5%52.3%

    2. 職種
      -平成3年
      その他18.8%
      販売・サービス16.7%
      専門的・技術的職業14.2%
      製造13.3%
      事務9.2%
      管理的事務6.7%
      染織業6.4%
      授産所・共同作業所4.6%

    3. 従業員数
      -平成3年
      1人~4人26.2%
      10人~19人9.6%
      5人~9人9.4%
      50人~99人8.3%
      20人~29人7.8%
      (平成3年京都市心身障害者実態調査)

    *就労の状況(精神薄弱者)

    1. 就労状況
      -平成3年61年
      就労している57.3%32.3%
      就労していない30.0%48.1%

    2. 職種
      -平成3年
      授産所・共同作業所40.2%
      製造・加工業31.1%
      その地12.6%
      販売・サービス業4.8%
      清掃業4.3%

    3. 従業員数
      -平成3年
      30人~49人26.8%
      10人~19人19.5%
      5人~9人13.3%
      20人~29人11.7%
      50人~99人9.6%
      1人~4人7.6%
      (平成3年京都市心身障害者実態調査)
    □職業訓練科目の設定養護学校高等部卒業生の企業就労を拡大するため,企業のニーズに即した技術等の取得手段を提供教育委員会
    ★障害のある市民の雇用に関する企業啓発の強化
    1. 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく各種の助成制度や税制上の優遇措置についての周知

    2. 労働省や日本障害者雇用促進協会等による各種の援護施策についての周知

    3. 企業内研修による障害のある市民に対する理解の促進及び企業ボランティア活動の誘導

    4. 障害のある市民を雇用するための先端技術の導入や機器の改良等に要する費用の助成

    京都府
    民生局
    ★更生訓練費の支給更生援護施設入所者又は通所者に対し,更生訓練費を支給し,社会的自立の促進を図る民生局
    ☆就職支度金の支給身体障害者更生援護施設入所者が,訓練を終了し,就職等により自立するものに対し就職支度金を支給民生局
    雇用・就労に関する相談事業の充実  障害のある市民が就職あるいは再就職をしようとするとき,その多くの人々が,いろいろな意味で大きな不安を抱いている。

     障害者職業相談室や他の公共職業安定機関の窓口における相談あるいは情報提供など,親切かつ適切な対応を常に心がける必要がある。
     また,家庭・養護学校高等部・職業訓練校・職業相談室・企業等関係者の十分な連携も重要である。

     就職後の職場定着を図るため,関係機関の連携による後指導及び企業内での相談・指導体制の充実を図る必要がある。

    *就職の方法(身体障害者)

    -平成3年61年
    知人・縁故関係29.6%26.6%
    自分で探した20.6%25.2%
    その他18.3%23.1%
    公共職業安定所12.4%10.0%
    学校の紹介7.6%6.0%
    職業訓練校の紹介0.7%0.5%

    *就職の方法(精神薄弱者)

    -平成3年61年
    学校の紹介34.3%30.3%
    公共職業安定所20.1%30.4%
    その他15.3%11.4%
    知人・縁故関係13.0%18.9%
    自分で探した6.6%4.0%
    職業訓練校の紹介0.9%1.0%
    (平成3年京都市心身障害者実態調査)
    ★公共職業安定機関等の相談機能の充実相談,情報提供,職場開発,アフターケア等のスタッフ及び機能の充実
    京都府
    民生局
    視覚障害のある市民の就労 視覚に障害のある市民の就労は,依然として厳しい状況にあり,また職種も限定されがちである。
     三療施術者の職域の拡大を図る一方で,技能・知識・情報等の取得手段の確保や聴覚・触覚機能を生かした機器の改良・開発等により,職種・職域の開発に努める必要がある。
    ★視覚障害のある市民の職種・職域の拡大企業啓発の推進とともに,機器の改良・開発及びヘルスキーパーの導入等により,職種・職域の拡大を図る
    京都府
    民生局
    ☆盲人三療士技術指導自営の盲人三療士に対する経営・技術指導のための指導員派遣民生局
    ☆三療関係団体補助知識・技術向上のための研究事業に対する補助衛生局
    ☆盲人三療指導所運営補助自営または雇用されることが困難な者に対して治療所の利用を図り,併せて技術指導を行う。民生局
    聴覚・言語に障害のある市民の就労 聴覚・言語に障害のある市民の就労に関して最大の障壁は,会話によるコミニュケーションの確保に困難性があることである。
     手話通訳者の配置等コミニュケーション手段の確保を図るとともに,カウンセラーを配置するなど,聴覚・言語に障害のある市民の職場での孤立化の解消に努める必要がある。
    ★聴覚障害のある市民の職種・職域の拡大企業啓発の推進とともに,積極的なコミニュケーション手段の確保等により雇用の促進を図る
    京都府
    民生局
    発達遅滞のある市民の就労 発達遅滞のある市民の就労については,特に自立度に応じた職種・職務内容の選定とともに,雇用主や従業員の深い理解と協力が必要である。
     個々の特性・適応性を良く知る家族や養護学校と公共職業安定機関や雇用主との密接な連携は,就職後の相談・指導面においても重要である。
    ★発達遅滞のある市民の職種・職域の拡大企業啓発の推進とともに,養護学校高等部や職業訓練校における職業教育・社会適応訓練等の充実に努め,雇用の促進を図る
    京都府
    民生局
    教育委員会
    ☆精神薄弱者職親委託事業発達遅滞のある市民を一定期間職親に預け,技能習得訓練等を行う民生局
    重度障害のある市民の就労 障害の重度・重複等により,一般企業に雇用されることが困難な重度の障害のある市民の就労の場として,授産施設や共同作業所があるが,重度の障害のある市民の労働意欲を充足すると共に在宅生活を支援し,社会参加を促進する側面からも,これらの施設の新・増設が必要である。
     また,近年特に,成人病などの後遺症により,中高年齢で障害を有する市民が増加傾向にある。
     こうした市民に対しても,機能回復訓練・生きがい対策を配慮した施設を用意する必要がある。
     なお,これら重度・重複の障害のある市民の施設への通所に際しては,送迎バスの運行など十分な配慮が必要である。
    ★福祉的就労の場の充実一般企業に雇用されることが困難な重度の障害のある市民の就労・生きがい・社会参加を促進するため,引き続き福祉的就労の場を用意していく必要がある民生局
    精神障害・難病のある市民の就労  1987年に「精神衛生法」から「精神保健法」に法改正され,社会的自立に向けて回復途上にある精神障害のある市民のための精神障害者通所授産施設が法的に認められた。
     そこでの指導・訓練を希望する精神に障害のある市民が増加してきていることを考えるとき,この種の施設の早急な建設が必要である。

     現在,市内には精神障害者通所授産施設が未設置のため,これに変わる施設として共同作業所が増加してきている。
     患者家族会によるもの,病院の医師や職員・ソーシャルワーカーらが開設するものなど形態は様々であるが,その運営は,心身障害者共同作業所と同様に厳しいものがある。
     適切な援助と指導が必要である。

     難病のある市民の中でも比較的軽症な人達の間では,企業就労への意欲が高い。
     医療ケアーを受けながら安心して就労できるよう,一般企業に対し理解を呼び掛けるとともに,啓発を進めていく必要がある。
     また,福祉的就労の場の確保についても検討する必要がある。

    ★就労促進のための支援 社会的自立に向けて回復途上にあり,雇用されることが困難な精神障害のある市民であって,かつ,将来において就労を希望する者の通所を図り,就労訓練・指導を実施
    1. 共同作業所の運営指導の充実
    2. 通院患者リハビリテーション事業の充実
    3. 通所授産施設の整備について検討
    4. 企業・市民に対する啓発の推進
    衛生局
    その他
    1. 資格・採用・配置・昇任昇格などの各種の選考,評価が行われる際には,障害を理由に不当な処遇や不利な取扱いが行われないように,各方面への積極的な指導が必要である。
    ---
    1. 障害のある市民の就労に際しては,職場の理解・協力が不可欠である。
       企業に対し,その体制確立に向けた努力を求めていかなければならない。
    ---
    1. 授産施設,共同作業所など福祉的就労の場に入・通所する重度の障害のある市民の賃金は極めて低位な状況にある。  こうした実態を極力解消し,労働意欲の充足を図る必要がある。
    □授産振興センターの設立
    1. 製品の研究・開発
    2. 補助器具の研究・開発
    3. 職員の研修
    4. 製品販路の開拓
    民生局
    (注)
    ☆ 継続実施
    ★ 充実実施
    □ 新規

    所得保障

    項目課題事業名事業内容所管
    所得保障の要件  一般的に,障害のある市民は,その障害のために,就労により所得を得ることが困難であり,また就労しても総体的にその所得水準は低いことが多い。
     したがって,障害のある市民の所得保障は,こうした状況を考慮し,人間としての尊厳を保ちつつ,それぞれのライフサイクルに対応して,自立した社会生活を営むために十分なものでなければならない。

     障害のある市民は,その障害のために,通常以上の出費を余儀なくされることが少なくない。
     所得保障は,これらの出費にも対応するものでなければならない。

    ---
     現行の,障害のある市民の所得保障は,国民年金を中心とし,その他に特別の状況に対応する諸手当等によって成り立っているが,これら障害年金等の有資格者の申請漏れの防止等について広報及び相談活動を充実する必要がある。★広報・相談事業広報・相談活動の充実-
    公的年金・手当の充実  障害のある市民が,自立した生活を営むことを目的とする所得保障制度として,公的年金制度がその基本となっている。
     しかしながら,障害のある市民が,障害年金のみで安定した生活を送るには必ずしも十分な金額であるとはいえない。
     年金額の増額について,国に対し強く要望していかなければならない。
     また,障害のある市民でありながら,国民年金未加入期間中に初診日がある者など障害基礎年金が支給されない無年金者がある。
     制度的無年金者の救済についても,国に対して要望していかなければならない。

    *福祉施策に対する要望

    • 身体障害者
      -平成3年
      公的年金等所得保障の充実51.5%
      障害者医療等医療制度拡充34.6%
      医療費の軽減26.4%
      障害者に理解と関心を25.4%
      公共施設等の整備推進24.9%

    • 身体障害児
      -平成3年
      障害者に理解と関心を54.2%
      公的年金等所得保障の充実50.3%
      生活用具等の改善開発充実37.3%
      公共施設等の整備推進36.9%
      障害者医療等医療制度拡充34.8%

    • 精神薄弱児(者)
      -平成3年
      障害者に理解と関心を49.5%
      公的年金等所得保障の充実45.4%
      障害者の雇用の促進36.1%
      障害者医療等医療制度拡充28.0%
      障害状況に応じた職業訓練22.1%
      (平成3年京都市心身障害者実態調査)
    ★障害基礎年金
    ★特別児童扶養手当
    ★児童扶養手当
    ★特別障害者手当・障害児福祉手当
    ★心身障害者扶養共済制度
    国に対する積極的な要望を実施
    1. 年金及び手当額の増額
    2. 所得制限の緩和
    3. 制度的無年金者の救済

    民生局
    □重症心身障害児・者介護手当重度の障害のある市民とその家族の在宅生活を支援する施策として,国による制度化を働きかけるとともに,独自の取組を検討する必要がある
    民生局
    ☆予防接種事故救済予防接種による健康被害者に対して,医療費・医療手当及び年金等を給付衛生局
    その他の諸制度 公的年金制度や手当制度による所得の保障の他に,医療費等の公費負担制度や税制上の優遇措置,また利用施設,交通機関などの料金の割引き・無料化の制度があるが,これらは社会参加の促進など,障害のある市民のニーズに対応する要素もあるが,多くは現在の所得保障の不備を補う要素が強いものである。
     障害のある市民の必要な所得が保障されたうえ,必要な出費については,すべての市民が平等に支払うことがノーマルであり,これらの制度については,所得保障が充実された段階では見直していく必要がある。
     ただし,税制上の配慮については,現在,所得税法・地方税法・相続税法などにおいて実施されているが,これらについては「所得保障」の変形として考えるべきであり,年金・手当などの関連において,その内容の充実と適用範囲の拡大について,国に対し積極的に要望していく必要がある。
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    主題:
    「国際障害者年第2次京都市行動計画」
    ノーマライゼーションを進めるための総合的福祉施策のあり方 1頁~23頁

    発行者:
    京都市

    発行年月:
    平成4年10月

    文献に関する問い合わせ先:
    京都市役所
    京都市中京区寺町通御池上ル
    電話:075-222-3111