評価─多目的を持った命題

評価─多目的を持った命題

Evaluation : a multi-purpose proposition

Jack K. Genskow*

池田 勗**

 ひとは、仕事の世界と関連づけた自分というものをどうやって理解していくのだろうか。ひとつの大切な方法として、実際職務での評価(OJE)がある。これは、一般の競争的職務あるいは職業訓練場面の中で行われる作業評価体験である。

 評価プログラムが最も効果的になるためには、現実的な、社会的、職業的学習体験が多数包有されていなければならない。これに含まれるものとしては、心理学的検査の実施とその結果をクライエントに説明すること、作業標本検査とその解説、下請仕事での保護作業、休憩中の対人接触、職業情報伝達のプログラム、一般競争作業場面での実習などがある。評価は必然的にクライエントの学習過程でもあると考えられるのである。

 検査に関する古くからの格言は、「最良の、そして最も妥当な検査とは、それの基準に最も似かよった検査である」といっている。簡単にいえば、検査しようとするものに近ければ近いほど、その検査はよい検査である、ということである。

 職業評価において、職務そのものよりも似た場面というものはあり得ない。その意味で、上述のものは単純化した表現ではあったが、OJEが職業評価過程において重要な役割をはたすということが了解されよう。しかし、1969年の調査によると(これは、評価プログラムに関する170枚の質問紙郵送調査のうち、106が回収されたものである)、施設外で行うOJEについては21%のものしか回答されていない。

 OJEにおいては、クライエントは雇用主から新入社員のように扱われる。クライエントに対し、その場面で行われている仕事を、密接な指導のもとに手をつけてみる機会が与えられるというのが最高の場合である。最低でも、仕事をそばで見ていてできるところは手伝う、という見学者の立場になる。

 通常は、あまり訓練を必要としない低水準の仕事に実際に手をつけ、もっと高度の仕事の場合はそばで見ていることになる。クライエントが作業場面で仕事を行っているときには、雇用主か監督者が、新入社員に対するのと同じようにそれを観察し評価する。

 ほとんどの場合、OJEはその事業所での採用あるいはそこでの訓練をゴールとして行うものではない。こうすることによって、雇用主は、そのクライエントを採用することとか、訓練することとかの期待感や圧迫感を感じないで、客観的にしていられるのである。

 OJEは1日間だけというものから、1か月あるいはそれ以上のものまで範囲は広い。通常の長さは1~2週間である。また、クライエントや雇用主に対する報酬を伴うことも伴わないこともある。

 OJEは評価過程の最終段階で用いられるのが最も適切のようである。理念的には、心理検査、作業標本検査、といった評価過程を先行させ、その結果としてOJEを行うことがよい。

 OJEは、訓練や就職に先立った最終選択を行う過程として実施されるのが適当であることが多い。しかし一方、評価過程における任意の時期に用いられることが適当であることもある。例えば、非現実的な選択に固執するクライエントに対しては、評価過程の初期において、現実吟味として行うのも大変有効なものである。

 1965年以来、イリノイ州DVRの一機関であるDecatur Evaluation Centerでは、OJEをおおいに用いてきている。本稿はそれにもとづいて論じているのであるが、その経験によれば、OJEはほとんどの場合、他の評価方法が終了して後に行うのが適切であったが、それ以外のときにも用い得るということがわかった。Decatur Evaluation Centerのプログラムについては、他の文献が紹介しているのでここではくりかえさない。

指 針

 米国労働省の賃金・労働時間法規(Wage and Hour laws)は、個人が、作業の内容とそこで機能する自分の能力について学ぶという目的で、実際の仕事場面における作業を用いる場合の指針を定めている。

 ある個人が、労働基準法に規定されている職種に「従わされているか、あるいは、就くことを許されて」いる場合は、見合った賃金が支払われることが必要である。また、ある個人が州のリハビリテーション機関のクライエントであって、一般競争的生産水準に達しない場合には、特別な資格の下に、最低賃金の半額を支払われることが必要であると定められている。しかし、もしあるクライエントが行う仕事が、彼自身の利益のためであり、労働省印刷物WH-1297、「労働基準法下における雇用関係」に定める基準に見合う場合には、そのクライエントは指定された職業学校におけるのと同じように、金銭的報酬を伴わないOJEに乗せることができるのである。

 ある種の仕事場面は労働基準法の対象となっておらず、そのような場合は、企業主と交渉すればWH-1297の基準に見合っていなくてもクライエントの利益のためのプログラムを個々に設定し得る。どのような職種が労働基準法の対象になっているか、あるいはいないかは、米国Employment Serviceの地方事務所で調べることができる。

 他の評価方法と同様、OJEにも問題点と利点と両方がある。Decatur Evaluation Centerの職員は、そこでの経験に照した場合、利点が問題点をはるかにしのいでいると信じている。OJEはクライエントに対し非常に現実的な作業体験を与え、それを通して彼自身に評価させることができる。彼は人工的あるいは模擬的場面で機能するのでなく、拘束時間、同僚、関心を持つ領域の仕事課題等を伴った一般競争的作業場面で機能することになる。

 このため、いくつかのOJEを体験すると、「仕事についての知恵」を増すことができる。これには、上役や他の労働者とうまくつき合うこと、適切な服装をすること、どういう場面に話をすべきかあるいはしてはいけないのかを知ること、イニシアティブや興味を表現すること、労働者集団の中へとけこむこと等雇用主が要求する多くの絶対的な能力が含まれている。

 障害の内容が様々であることにつれて生ずる、個々のクライエントのニードの違いもOJEを通して対応することができる。行動的、情緒的、精神的、身体的ハンディキャップを持ったクライエントに対して必要とされる評価プログラムにおいて、OJEは必要なフレキシビリティを持つことができる。

 Ayersは、社会的不利益を受けているもの(disadvantaged)に対してのOJT(職業訓練)の必要性を強調し、職業能力の現実的測定において必須なものとしてOJEを用いている。通常の評価方法では大変悪い成績で終了したクライエントも、現実の世界で評価されたときには一般雇用水準で機能できるとわかったこともあるのである。

職務体験の門戸

 OJEは、クライエントに対し非常に多種の職務体験を与える門戸を開いている。当センターで用いられるリストは、その一部をとりあげるだけでも、理容、美容学校、事務学校、製図と測量、電子技術、電気屋内配線、空調・冷凍、建築描画、パン焼、家具製造、カーペットタイル張り、広告美術、食堂サービス、グラフィックアート、看護助手、グリーンハウスと養樹園、獣医手伝、溶接、木工がある。

 OJEの雇用主は、彼の専門技能における評価のエキスパートであって、それがクライエントの相談相手になるのである。評価プログラムの職員は、いかに優れた評価者であろうとも、何でも屋にはなり得ないのである。

 OJEでは、その仕事をするのに十分なそして適切な設備を持った場面が用意されている。そのため、評価プログラムとして高価な設備を購入しなくても済むのである。

 OJEを用いると評価プログラムの効率を増すことができる。評価プログラムのための作業室からクライエントを外に送り出すことによって、空いたスペースと空いた評価者が別のクライエントにサービスすることができる。例えば、Decatur Evaluation Centerでは、常にクライエントの半数は地域社会の中でOJEに乗っている。すなわち、3人のカウンセラーはそれぞれ12~15人のケースをかかえているけれども、評価室にいる3人の評価者はそれぞれ5~8人のクライエントにかかわっているのである。

 OJEは、評価プログラムと地域社会とのかかわりを増大する役割をしている。クライエントは、OJEを行う事業所に対し、またそこにいる労働者に対し、評価プログラムの代表者の立場をとる。これによって地域社会の人たちは、リハビリテーションの目標や、評価プログラムが何をしようとしているのかについてよく知るようになるし、時には、評価プログラムとそこのクライエントに対し別のサービスを申し出ることもある。リハビリテーション業務は注目を引き、特に雇用主がリハビリテーション業務についてよく知るようになるのである。

 OJEがその場所でのOJTや就労へ結びつくこともある。通常は、OJEの結果からOJTがすいせんされても、別の雇用主のところで訓練が行われる。さもないと、OJEの場面が他のクライエントに用いられなくなるからである。しかし時には、ある雇用主があるクライエントを大変気に入って、当初意図したのでなくても採用しようと決めることもある。さらに、OJEの経験がよい結果を得たことによって、はじめてリハビリテーションのクライエントを採用しようと決心することもある。

 OJEは有意義な人生経験を提供する。そして、成功体験へ導くようプログラムすることもできる。このことは、学校を出てきたばかりのクライエントとか、他の人より低レベルで機能してきた経験の持ち主に対しては特に適切である。彼らの多くは、試すこと、そして再び失敗する危険を冒すことをこわがっているのである。反対に、前にも述べた通り、OJEは非現実的な職業目標に固執しているクライエントに対して現実吟味の最後の方策として用いることもできる。例えば、心理検査、機械の作業標本実施、評価者の解釈のどれもが無理だといっていても、クライエントが自動車機械工になれると強情をはっているときには、失敗経験として機械でのOJEを用いることが最も適切となろう。失敗は最小でなければならないことは事実であるが、このケースにおいては、クライエントは挫折するのでなく、成功に導き得る現実的な別の種目の評価プログラムへもどることになろう。時には、クライエントはその仕事ができるということがわかって、評価者は天をあおいでほほえむことになるかもしれない。

金銭の問題

 OJEの実施に内在しているいくつかの問題があるが、その中の一つが金銭の問題である。OJEをやる企業主は報酬を受けるのか、クライエントはどうか、もし受けるならだれが払うのか、である。我々の経験では、クライエントは少額の日用費手当をDVRから受けていて、企業主からは受けないし期待もしていない。望ましくは、体験を通して何ものかを学びとるという期待が持て、それが彼の報酬となることである。しかし、もし評価プログラムが前述の労働基準法の指針にそぐわない場合には、クライエントに報酬を支払わなければならないことになる。主として考慮しなければならないのは倫理であり、クライエントがOJEから利益を得ているかいないか、彼のリハビリテーションに役立つかどうかである。

 雇用主が報酬を得るかどうかは状況によって異なる。我々の経験では、もし職業訓練プログラムがOJEを行う場合には、授業料またはその一部を払うことができる。この金額は週に15ドル~60ドルの間である。雇用主によっては、家具工場での材木というように評価材料を使うかもしれない。これに要する費用は一人1週5~10ドルである。企業主によっては無料でOJEをやってくれる。もしOJE場面を長期的に用いようというのならば、低額でも謝礼を払うことが雇用主の善意を維持するのに役立つ。しかし、Sturmanらは、45職種、約140か所のOJEの場所を無料で用いるプログラムについて報告している。これのクライエントは、州の労働局からの資格のもとで、1時間10セントを支払われる。Beardは、クライエントが一般職場で働き、企業主から一般の給与をもらい、プログラムからは何も補助しない、という通過的雇用プログラムについて報告している。

場所の選定

 OJEは時間がかかり職員の努力を必要とする。OJEが成功するかどうかは、プログラムとOJE場面との密接な調整が決定因となることが多い。場所にもよるが、普通は職員のひとりが雇用主と密接な連絡を維持するのが最良のようである。この職員は、OJEが実施される場所の全ぼうを知っていて、問題発生のおそれのある面に注意を払っておかなければならない。理想的には、現場の指導者が非協力的であるといったような問題が発生したとき、企業主と一緒に行動できることが必要である。しかし、それができない場合は、問題の周辺を扱うことになる。その職員は、個々のクライエントに関して雇用主の相談相手として機能する。この関係が維持できないと、クライエントが何かよくないことをしたとか、そのほか何らかの出来事によってそのOJEの場所を失うことになる。

 雇用主によっては、特に大企業の場合には、OJEの場所を提供することに消極的である。小企業が最良の機会を提供してくれることが多い。運営管理上の、あるいは組合からの質疑は取り扱いやすく、1事例を実施することによってすべての調整上の問題を片づけることができる。大きな企業の場合はもっと多くの評価の場所を提供し得るが、連携するまでの時間がかかり高度の手法を要する。我々のOJEの場所は、ほとんど全部が小企業や職業学校である。災害時の補償給付に関する疑問は定期的に出てくるものである。この場合、賃金を支給されないクライエントは労働者災害保険にはカバーされないので、OJEの雇用主に彼が加入している保険がカバーしてくれるかどうかを調べてもらうことをすすめる。通常は、その種の場合に適用される責任保険がこの場合にも適用されるであろう。しかし、それぞれの雇用主の保険の適用範囲をチェックしておく必要がある。

雇用主の啓蒙

 最初は、ほとんどの雇用主が障害者に対してはナイーブであり、彼らを普通と違って扱おうとする。このことは調整のための職員が取り扱うべき問題で、障害者も他の新入社員と同じように扱われるように働きかける必要がある。時には、ある障害者が「くびにされる」ことさえある。これはその後の学習体験プログラムの対象となるのである。クライエントによっては、雇用場面なるものが初めての経験ということもあろう。こんなときは、評価プログラムというものは、指導に当たる人とクライエントと、両方に接触を保つことが必要である。

 雇用主は、そこの被用者の有効度というものをそれぞれ別の基準で評定しているものである。従って、クライエントがどのように評定されているかを知るのが評価職員の仕事となる。もしクライエントが、性格が合わないために低く評定されたり、雇用主の個人的性癖の故に低く評定されている場合は、クライエントの公正のために注釈がつけられなければならない。

 雇用主が何人かのクライエントに接した後は、彼らの関心は当初のものから変化してくるであろう。ある場合には、金銭の方向に向かうし、ある場合には人間中心という方向に向かう。調整のための職員は、この問題にも対処するものであって、この関心の変化というものをリハビリテーションゴールの方向に向けるようにするのである。雇用主によっては、クライエントがやれる仕事は何かということに多分に意識を向け、クライエントの益というものにあまり意を払わないという傾向を持つことがある。例えば、自動車の車体修理でのOJEという場合に、不景気の時期にはみんなが建築物の塗装に従事することがあるので、OJEのクライエントが建築物の塗装をやるというのも妥当かもしれない。しかし、車に乗る仕事をするとなると、クライエントは塗装から離れなければならず、これはもはや彼の益にはならない。調整の職員は、雇用主の態度が変わったことに気づかなければならない。

 OJEは時間がかかるものである。通常は1週間はかかり、時には2~4週間かかる。最初の1~2日間は、仕事場面、同僚、工場の物理条件、最初の仕事内容に対して反応することでせいいっぱいであろう。クライエントが初日の午前中だけ、あるいは1日だけでやめたいといい出し、その種の仕事は好まないといい出すのはそうまれなことではない。彼が場面そのものとか、彼をその気にさせた仕事内容のうちのほんの一部分に反感を持ったためということもある。クライエントがOJEを行うと決心したときには、明確な実施期間を彼にいわせることが重要であり、望ましくは1週間と決め、必要な場合はもっと長くすると決めさせることである。

 OJE過程における課題は、それが有益に働くということに重点が置かれなければならない。我我のプログラムにおいて、OJEは大変望ましいものであることを発見している。そこでの課題は、いかに効率的にしそれを持続させるかに中心が置かれているのである。

OJEの活用

 OJEを用いようと決めたとき、どのようにして場所を見つけるのであろうか。そこには決まった手順というものはない。Decatur Evaluation Centerでは、ほとんどの場所は特定のクライエントを想定して探し出したものである。あるクライエントにやってみたいひとつの職務領域を決めると、職員は、だれかがその領域での雇用主を知っていないかと協議する。クライエントによっては自分自身でその糸口を持っていることがある。電話帳もまた情報源となる。カウンセラー、あるいはその他のものでも、考えられる場所を知っている人は雇用主に電話をするか訪問して、評価プログラムの内容やゴールについて説明する。

 大きな企業において経営者と個人的関係がない場合は、人事部門が最初に接触する部署となる。会社側と接触した後で組合と相談するのが普通である。しかし、場合によっては順番は逆になる。最初の1対1面談の折に、いくつかの点について強調しておかなければならない。

 最初の自己紹介として、評価職員は、評価プログラムにおける自分の関与とか、プログラムの内容と目標について概略の説明をしなければならない。つぎに、そのプログラムの中でのOJEの役割を説明し、この会社がOJEの場所としてふさわしいと考えたので、その可能性があるかどうかを依頼するのが今日訪問した目的である、ということを伝える。もしある特定のクライエントがいて、その人にとってのこの種の仕事を行うニード、彼の潜在能力が指摘されていることを説明できるとわかりやすい。このクライエントを援助する場合に、このOJEが持つ目的を明らかに述べる必要がある。小さな企業においては、クライエントの仕事の潜在能力が強調される。大きな企業においては、地域へのサービスを強調するのが適当である。これは面談の過程で行われる。

 労働基準法がカバーしている職種においては、クライエントの利益のためになされるものであること、クライエントは通常の労働者を押しのけることはできないこと、クライエントの労働従事から企業利潤を期待してはならないこと、この過程の後にその企業での雇用を期待しているのではないこと、を強調することが必要である。クライエントも、これらの基本的なことがらを理解している必要がある。そして、この間は金銭報酬は支払われないことを明確に理解している必要がある。更に、雇用主には、彼が加入している保険が賠償責任を負ってくれることを確認してもらっておくことが必要である。実習中の事故が起こった場合に、保険でカバーされるかどうかは個々のプログラムごとに決められるのである。

 はじめてOJEを行うクライエントの場合は、職員が同行することが、クライエントにとっても雇用主にとっても役に立つ。しかし普通は、OJEでの力点は実際にやるということであるから、クライエントに必要な情報を与えてひとりで行かせる方が妥当である。評価機関の側で用意した交通機関を用いるとしても、クライエントが自分だけで行けるかどうかということは評価に大変関連深いのである。

 ひとたびクライエントがOJEに置かれたときは、雇用主の方は、そこで起こることに対して持つ評価機関側の関心を保証しなければならない。しかし、職員の側は、「雇用主に南京虫のようにとりつい」たり、その事業の邪魔をしたりしないようにしなければならない。1週に1回の訪問あるいは現場指導者への電話と、援助が必要なとき直ちに応じられる体制があれば普通は十分である。しかし、職員が雇用主の人柄とそのやり方を知っていることは重要なことである。あるひとつのOJEが何回も用いられるとひとつの型ができあがるものである。雇用主によっては、ひんぱんに注意を向けられることが最良であることもあるし、また別の雇用主によっては、放っておかれるのが一番よいこともある。

 OJEが終了すると、クライエントに関する詳細について打ち合わせが行われるが、これは面談形式か電話形式かいずれででもできる。雇用主が行う評価が、事実とか情緒とかの何に基づいているかをよく知ることは必須なことである。そのためにも、職員の側が雇用主をよく知っておく必要がある。簡単な評定尺度を使うこともできるが、しかし、雇用主に対する印象というものは話し合ってみて一番よくわかるのである。雇用主のことばによる、雇用主からクライエントに寄せられるフィードバックというものが、クライエントにとって意味のあるOJEの終結となるのである。

(Journal of Rehabilitation, May-June 1973)

<訳者註>

 障害者の職業更生を考える上で、我が国においても、職場実習というものは有効と考えられながら、その実施にはいろいろの問題がからんでいる。ここに訳出したものは、職場実習の形式をとった評価に関するものであるが、制度との関係という面と、実践経験という面との両面に触れたものである。アメリカにおいても、職場実習の場を得るという点に関しては必ずしもうまくいっているわけではない、ということも耳にするが、我々が評価を目的にするのか訓練を目的にするのか、いずれにしても職場実習というものを考える際にひとつの参考にできる文献と思われる。

参考文献 略

*Dr. Genskowは、イリノイ大学から、リハビリテーション心理学及びカウンセリング心理学の分野でM.A.とPh. D.を受け、1965年以後Decatur Evaluation Centerの所長をしている。

**東京都心身障害者福祉センター職能科主任


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1976年4月(第21号)20頁~26頁

menu