特集/リハビリテーションにおける国際技術協力 全国社会福祉協議会・国際社会福祉協議会

特集/リハビリテーションにおける国際技術協力

事例紹介

全国社会福祉協議会・国際社会福祉協議会

全国社会福祉協議会国際部

 全国社会福祉協議会では、1993年3月から「アジア社会福祉支援拠金運動」をスタートさせている。これは、全社協をはじめとして、民生委員児童委員・社会福祉施設・社会福祉協議会・老人クラブ等により構成される関係21団体が提唱団体となり推進している運動で、1991年度から全社協が毎年1億円ずつ積み立てていく5億円と、1995年3月までの運動期間に寄せていただく拠金を併せて、目標総額10億円の「国際社会福祉基金」を造成し、アジアの社会福祉の発展に資せん、というものである。

 全社協では、1979年の国際児童年の際にも拠金運動を実施、約1億8,000万円が寄せられた。支援活動は当時組織された国際児童年実行委員会を運動主体として「アジア難民児童救援対策」「アジア児童福祉援助対策」の2点を柱に実施された。

 「アジア難民児童救援対策」では、タイ国・サケオのカンボジア難民キャンプヘ8度にわたり救援医療チームを派遣。これは、日本が組織的に海外医療援助を行ったはじめてのものであった。同時に日本国内においては、国内外における難民救援の推進、関係機関との連携、及び情報交換を目的に、インドシナ難民救援活動を行う民間のグループ・団体を構成員とした「インドシナ難民救援連絡会」(のち「難民救援連絡会」と改称)を設置した。

 「アジア児童福祉援助対策」では、国際社会福祉協議会(ICSW)を通じ、アジア・西太平洋地域の加盟国7ヵ国に対して、各国の現地プロジェクトを援助したほか、海外に人を派遣して現地プロジェクト援助を行っている日本国内の民間団体に対しても助成を行った。現地プロジェクトへの援助は総額3,500万円、支援団体援助は総額4,000万円に達する。

 国際児童年を契機に実施された事業のうち最も息の長いものは「アジア社会福祉従事者研修」である。これは、アジア・西太平洋地域で民間社会福祉事業に従事している者を対象に1年間日本に招き、社会福祉施設等で実習研修を行うもので来日当初から3ヵ月に及ぶ日本語集中教育(基礎・実践)、短期施設研修、長期専門研修、修学旅行、といった1年間のプログラムはすべて日本語により行われる。今年で10年目を迎え、研修生の数もすでに49名に達している。

 国際社会福祉協議会日本国委員会が実施している「アジアソーシャルワーカー日本研修プログラム」は今年で17回目を数える事業である。こちらは6週間の短期研修である。アジア太平洋地域の社会福祉向上に資するため、加盟各国委員会全体の事業として、地域内諸国の結束強化にもつながっている。研修生は今年度までに16ヵ国、108名にのぼる。

 8月に開催された「第2回アジア社会福祉セミナー」には「アジア社会福祉従事者研修」研修生44名が参加した。研修生たちが、国や期を越えて相互交流・協力のネットワーク構築の第一歩を踏み出したことは、国際社会福祉基金の造成と併せて、今後の全社協の国際協力活動に新しい局面を導くことになり、全社協は次の展開にむけての方向を模索しているところである。


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1993年12月(第78号)12頁

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