特集/リハビリテーションにおける国際技術協力 旭川荘

特集/リハビリテーションにおける国際技術協力

事例紹介

旭川荘

吉田三郎

 社会福祉法人旭川荘は、1959年4月に創設され、現在では、身体障害、知的障害および乳児、高齢者、重症心身障害児の施設ならびに職員養成施設、職員研修センター等の30施設を運営している総合医療・福祉施設である。

 旭川荘は、創設以来常に先駆的、創造的な社会の要請への対応を基本方針として運営されている。

 海外諸国との交流も運営の基本方針として積極的に進めている。

 1979年度には、旭川荘研修センターが開設され海外研修生の受け入れが本格的に実施されるようになり、同年9月に日本精神薄弱者福祉連盟からの国際協力事業団海外研修生(6ヵ国8名)を受け入れた。

 1985年5月には上海市医療衛生福利代表団から旭川荘視察の際に研修生の派遣を要請され、旭川荘としても日中の友好親善と学術文化の交流を図るため、1986年5月から中華人民共和国上海市民政局、衛生局、紅十字会等からの研修生を受け入れ現在に至っている。

 旭川荘が本格的に海外研修生を受け入れた1979年から現在までに東南アジアを中心に30ヵ国、231名の海外研修生を受け入れている。受け入れた主な国名および研修生数は次のとおりである。

①大韓民国:61人 ②中華人民共和国:23人 ③タイ:34人 ④フィリピン:18人 ⑤香港:14人 ⑥その他東南アジア、アフリカ、南米諸国等から75人、計29ヵ国、225人である。

 これら海外研修生の招聘機関は社会福祉法人旭川荘が独自での招聘の他、全国社会福祉協議会、国際協力事業団等からの依頼によるものである。また岡山市内の実業界、宗教団体等からの援助をいただいている。

 研修内容については、①医療福祉に関すること、②療育内容および方法に関すること、③高齢者に関すること、④地域福祉に関すること、⑤福祉の制度に関するもの等広い分野にわたっている。

 また、研修生の職種も、医師、看護婦、教師、ソーシャルワーカー等多様であり、研修期間も1ヵ月未満から6ヵ月間である。

 受け入れにあたっては、研修内容等について事前に十分な協議を行い、双方で理解し合い、研修目的が達成されるよう研修プログラムの作成等受入体制の整備、その他研修生活に要する経費の負担区分等についての事前の協議等双方の合意が必要である。また、研修期間中は、荘内職員、入所者等関係者との交流を深める場の設定等友好・親善の輪を広げるよう努力をしている。

 1991年度には、上海市へ初の「福祉の翼訪中団、(社会福祉法人旭川荘江草理事長以下荘内外関係者135人)を派遣し、上海市民政局、衛生局関係の視察および障害者との交流を行い、相互の連携を一層深めた。この「福祉の翼訪中団」の派遣は以後毎年実施している。また同年には、デンマークからの職員の招聘およびセミナーの開催ならびに旭川荘職員のデンマークへの派遣を行った。

 旭川荘は、今後も海外研修生の受け入れ等海外諸国との交流を深め、相互に社会福祉の向上に努力を続けたいと考えている。

社会福祉法人旭川荘 旭川荘研修センター


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1993年12月(第78号)14頁

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