特集/リハビリテーションにおける国際技術協力 日本障害者リハビリテーション協会

特集/リハビリテーションにおける国際技術協力

事例紹介

日本障害者リハビリテーション協会

上野悦子

 日本障害者リハビリテーション協会は、国際リハビリテーション協会(RI)に加盟する財団法人である。RIは1922年に設立されたリハビリテーションの推進を図る専門家と、障害のある当事者とによる国際民間団体で、国連の障害分野における諮問団体のひとつである。

 当協会では、1964年の設立以来、RIを通した種々の国際協力を実施してきたが、1988年の東京での第16回RI世界会議を主催した成果を踏まえて、アジア地域における協会独自の活動を拡大している。

 これまでの主な活動は、インドネシアにおけるCBR活動への協力として、ソ口で1991年から毎年開催されているCBRワークショップの開催費の一部負担および講師の派遣。タイのグッドウイルインダストリーで障害者の職業訓練センターの設立にあたり、訓練用コンピュータ機器の寄贈、フィリピンの障害者団体連合会(KAMPI)が全国規模での自助団体設立計画に対する協力としてコンピュータ機器の寄贈。フィリピンネグロス島における福祉機器の製作事業に対する財政支援などである。

 また、1983年以来国際協力事業団(JICA)の委託を受け、リハビリテーション指導者研修を毎年実施してきた。研修は専門家コースと、障害のある当事者で障害者運動のリーダーのためのコースと2つである。各コース7週間で、10名ずつ受け入れており、1993年現在参加者数はアジア・太平洋地域を中心に、30ヵ国から175名に達している。その研修生を約20名招待し香港でリユニオンミーティングを1991年に開催し、交流を深め今後の協力などについて討議した。その結果、アジアのリハビリテーションワーカーと障害をもつ当事者の連携を強めるための組織Rehabilitation Action Network for Asia and the Pacific(リハビリテーション従事者行動ネットワーク、略してRANAP)が設立された。既存の国際的ネットワークと協調しつつ、活発に情報交換と協力活動を行っていこうというものである。以後、RANAPの活動への支援は、当協会の国際協力事業の柱のひとつになっている。発足以来RANAPは現地の団体や既存の国際組織と協力し、シンポジウムおよび役員会を1991年12月にフイリピン・ケソンシティー、1992年12月に東京、1993年10月にソウルでそれぞれ開いてきた。1995年にはインドネシアでRANAPの総会を予定している。また、ジャーナルを2回、ニュースレターを1回すでに発行するなど、短期間に活発な事業を展開し、アジア各地の熱意ある仲間のネットワーク作りが進んでいる。

 また、1993年9月日本国内の障害分野も含めた国際協力を実施しているNGO間の連携を深め、情報交換を行うための組織、「障害分野NGO連絡会」(略称は英語名の頭文字を取ってJANNET)が発足し、当協会が事務局を担当することになった。

 日本障害者リハビリテーション協会は、RI地域委員会、RANAPや国内の障害者団体と協調して、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の「アジア太平洋障害者の10年(1993―2002)」の決議の実現に努力したが、スタートの年に当たり当協会も共催団体のひとつとして事務局を担当して沖縄で、アジア太平洋障害者の10年推進第一回国際NGO会議を開催し1,300名(内アジア太平洋から77名)の参加を得た。同会議では地域におけるNGO推進会議の設置と毎年アジア各地でNGO会議を開くことが決議されたが、協会はこの10年推進のための活動をさらに促進してゆくことを理事会で決定をしている。

財団法人日本障害者リハビリテーション協会業務課長


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1993年12月(第78号)20頁

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