用語の解説 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律 アジア太平洋障害者の十年

用語の解説

福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律

 厚生省と通産省が共同で提案した「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」が、1993年4月26日に成立し、5月6日に公布された。

 その概要は、次の通りである。

  • 1.目的
  •  老人及び心身障害者の自立促進及び介護者の負担軽減を図るため、福祉用具の研究開発及び普及を推進するとともに、産業技術の向上に資する。
  • 2.定義
  •  福祉用具とは、心身の機能が低下し日常生活に支障のある老人、心身障害者の日常生活の便宜を図るための用具、機能回復訓練のための用具及び補装具をいう。
  • 3.基本方針等
  • (1)厚生大臣・通産大臣は、福祉用具の研究開発及び普及を促進するための基本方針を定める。
  • (2)国は、財政や金融上の措置を講ずることとし、地方公共団体は、普及のための措置を講ずる。
  • (3)事業者は、品質向上、適切な苦情処理、相談等に努める。また社会福祉施設は、福祉用具の導入に努める。
  • 4.指定法人
  •  厚生大臣は、福祉用具の研究開発及び普及を総合的に実施する団体として、民法法人の一つを指定することができる。
  • 5.新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務
  •  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、福祉用具の技術向上に資する研究開発への助成、福祉用具に関する産業技術の情報収集及び提供を行う。
  • (片石修三/厚生省社会・援護局更生課)
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アジア太平洋障害者の十年

 障害をもつ人々の「完全参加と平等」の実現をめざした、「国連・障害者の十年」は昨年終了した。この「十年」が「障害」および「障害者」に対する社会的な認識を高めたという成果は認めつつも、世界で最大の人口を抱え、社会・経済的な変化の速度が急であるアジア太平洋地域においては新たな「十年」を設定し、引き続き障害者の社会参加を推進することが必要との認識を各国政府及び障害団体が共有していた。

 そして、昨年4月北京で開催された、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の第48回総会において、1993年から2002年までを「アジア太平洋障害者の十年(Asian and Pacific Decade of Disabled Persons, 1993―2002)」とすることが決議された。この決議は、日本を含む33ヵ国により共同提案され満場一致で採択された。

 この決議に基づき昨年12月同じく北京で開催された「アジア太平洋障害者の十年」スタートの会議では、改めて「完全参加と平等」の実現の必要性が宣言された。また、(1)国内障害者問題調整委員会の設置および強化、(2)法律の制定、(3)情報の提供、(4)国民の認識等12の分野での「行動課題(Agenda for Action)」を設け、この具体的な実施と、達成度の定期的な評価・報告がESCAP加盟58の国や地域に要請された。

 域内の開発途上国や後発開発途上国においては障害者に関する施策やサービスに大きな格差があり、各国が協力して格差の是正や問題の解決を図るための連携を強化することが必要である。

 とくに、新「十年」の提案に中心的な役割を果たした日本には、これまでの障害問題に関する経験や技術をべースに、域内の国々の問題解決のために積極的な人的、財政的な協力が求められている。

(上野博/アジア太平洋障害者の十年キャンペーン'93 沖縄会議事務局)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1993年12月(第78号)43頁

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