用語の解説 保護雇用 ポーテージプログラム

用語の解説

保護雇用

 保護雇用は実態としては以前から存在していたが、国際的には国際労働機構(ILO)が1955年に採択した第99号勧告によって定義づけられた。それによれば、保護雇用とは「障害のために、通常の一般雇用の条件のもとでは雇用されない人々のために、特別な条件のもとで提供される雇用形態」とされている。

 保護雇用の在り方は国によって様々であるが、共通していることは、保護雇用はあくまでも一般雇用の一形態とされているということである。その具体的な形態としては、保護工場(sheltered workshop)、在宅雇用、戸外作業、文書管理業務、協同組合方式などがある。

 わが国において保護雇用が存在するか否かについては議論のわかれるところである。たとえば、授産施設の中で措置費制度によらず労働三法の適用を受ける福祉工場については、これを日本型保護雇用とみなす者もいる。しかし、法律的な位置付けが曖昧なことや、最低賃金適用除外がなされることなどから、日本には保護雇用はないとする意見の方が一般的である。

 わが国の関係者の多くは保護雇用制度の確立を要求している。しかし、労働省は保護雇用をシェルタード・ワークショップのみに限定して理解し、一貫して「保護雇用はノーマライゼーションの概念に反するから」という理由で取り上げようとしていない。

 かつては庇護雇用などとも訳されていた。

(久保耕造/有限会社スペース96/エンパワーメント研究所ディレクター)

 

ポーテージプログラム

 ポーテージプログラムは、1973年アメリカ合衆国ウイスコンシン州ポーテージ市の教育サービス機関CESA(Cooperative Educational Service Agency)5に連邦政府の研究助成金で設けられたポーテージプロジェクトによって開発された0歳からの障害乳幼児のための早期療育プログラムである。現在34カ国語に翻訳され、多くの途上国を含む世界の77カ国で使用されている。

 わが国でも1980年から3年間厚生省の研究助成金を得て「発達遅滞乳幼児の療育目標と効果に関する研究」(分担研究者・山口薫)の中で、このプログラムの日本での適用について研究が行われ、1983年「ポーテージ乳幼児教育プログラム」として日本版が出版された。

 このプログラムの特徴は、子どもが一人ひとりのアセスメントに基づく発達的アプローチをすること、親が指導の中心的役割を担い、日常生活の中で指導すること、指導技法に応用行動分析の原理を用いること、指導の目標や結果を正確に記録すること等があげられる。

 プログラムの内容は、チェックリストを使ったアセスメントに基づき、カリキュラムを作成して指導すると同時に、獲得した技能の一般化、維持や、親の抱えている問題などの相談も行うものである。対象年齢は0歳から発達年齢で6歳までで、障害の種類は問わない。1985年日本ポーテージ協会が設立され、全国に30支部が置かれ、活動している。

 日本ポーテージ協会が加盟している国際ポーテージ協会では隔年にポーテージ国際会議を開催している。

(土橋とも子/日本ポーテージ協会)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1994年9月(第81号)45頁

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