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国連世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)

WSISフェーズ1の成果:行動計画(仮訳)

項目 内容
発表年月 2003年12月12日
備考 文書WSIS-03/GENEVA/DOC/5-E 英語原文

A. 序文

  1. この行動計画では、宣言の共通理念と指針がICTに基づく製品、ネットワーク、サービス、アプリケーションの利用を促進することによってミレニアム宣言、モンテレー合意、ヨハネスブルグ宣言および実施計画の目標などの国際的に合意された開発目標の成果を発展させ、各国が情報格差を克服できるようにするための具体的な行動の基本方針に置き換えられて説明されている。原則宣言に描かれている情報社会は、政府とその他全ての関係者の協力と団結によって実現されるだろう。
  2. 情報社会は進化している概念であり、世界中の進化の段階は様々で、到達したレベルも異なっている。技術およびその他の変化は、発展する情報社会の環境を急速に変化させている。従って、本行動計画は、国家、地域、国際レベルで情報社会を推進するための進化する基盤である。国連世界情報社会サミット(WSIS)は独特の二段階構造で、この進化を配慮できる機会を提供している。
  3. 全ての関係者には、特にパートナーシップを通して情報社会で果たす重要な役割がある。
    1. 各国政府には、包括的、進歩的、持続的な国家e戦略の開発および実施を行う指導的な役割がある。民間部門と市民社会には、政府から諮問を受ける国家e戦略を計画する上で重要な役割がある。
    2. インフラ、コンテンツ、アプリケーション向けの情報通信技術(ICT)を開発し、普及させる上で民間部門の熱心な取り組みが重要である。民間部門は市場で活躍するだけでなく、より広範囲の持続可能な開発の状況の中でも役割を果たしている。
    3. 平等な情報社会を作り、開発に向けたICT関連の措置を実施する上で、市民社会の熱心な取り組みと参加も同じくらい重要である。
    4. 国際金融機関を含む国際および地域機関には、ICTの利用を開発過程に組み込み、情報社会の構築と進歩状況の評価に必要な財源を入手できるようにする重要な役割がある。

    B. 目標、目的、到達目標

  4. 行動計画の目標は、インクルーシブな情報社会を構築し、知識とICTの可能性を開発し、国際的に合意された開発目標の達成に向けて情報および知識の利用を促進し(ミレニアム宣言に含まれるものを含む)、国家、地域、国際レベルにおける情報社会の新たな課題に対処することである。WSISの第二段階で情報格差を埋める作業の進捗状況を評価および査定する機会を持たなければならない。
  5. 情報社会に関する明確な到達目標は、各国の異なる事情を考慮して、国家e戦略の枠組み内で国家の開発政策に従って国家レベルで適宜設定される。到達目標は、情報社会の全体的な目標の達成に向けた行動および進捗状況の評価のための有益な基準にすることができる。
  6. ミレニアム宣言など国際協力を前提とした国際的に合意された開発目標に基づき、指示的な到達目標は、2015年の達成を目指す行動計画の目標を進める上で、ICTの利用の接続性およびアクセスを改善するための世界的な基準となるかもしれない。国家の到達目標を設定するときに、各国の様々な事情を考えて、以下について考慮できるだろう。
    1. 村々をICTで接続して地域のアクセスポイントを設置する。
    2. 大学、単科大学、中学校、小学校をICTで接続する。
    3. 科学および研究センターをICTで接続する。
    4. 公立図書館、文化施設、博物館、郵便局、資料館をICTで接続する。
    5. 医療施設と病院をICTで接続する。
    6. 全ての地方自治体および中央政府の部局を接続し、ウェッブサイトを開設し、eメールアドレスを設定する。
    7. 各国の事情を考慮して、全ての小中学校のカリキュラムを情報社会の要求に合わせたものにする。
    8. 世界中の全ての人が、必ずテレビやラジオのサービスを利用できるようにする。
    9. インターネット上で全世界の言語の表示および利用ができるようにするために、コンテンツの開発を奨励し、技術的条件を整える。
    10. 世界の人口の半分以上がICTにアクセスできることを保証する。
  7. これらの目標、目的および到達目標を実施する上で、開発途上国、特に原則宣言の11-16項に記載された国、民族、グループの要求に特別に配慮する。

    C. 行動の基本方針

    C1.開発に向けたICT促進における各国政府および全関係者の役割

  8. 各国政府および全関係者が効果的に参加することが、これらの全ての協力とパートナーシップを必要とする情報社会の開発には不可欠である。
    1. 各国の事情の違いを考慮して、全ての国に対して2005年までに必要な人的能力の育成を含む国家e戦略を開発するよう奨励しなければならない。
    2. 情報社会および最優良事例の交換のためのe戦略を作成する上で、全関係者が参加する(官民パートナーシップを通したものを含む)体系的な対話を国家レベルで開始する。
    3. 国家e戦略の開発および実施を行う上で、関係者は地方、地域、国家の要求および関心事を考慮しなければならない。実施されている構想から最大の利益を得るために、これには、持続可能性の概念も含めなければならない。民間部門は、地方、地域、国家のレベルで情報社会の開発を行う具体的なプロジェクトに携わらなければならない。
    4. 各国は、将来の行動モデルとして、機能する官民パートナーシップ(PPP)または複数部門パートナーシップ(MSP)を2005年までに少なくとも1つ設立しなければならない。
    5. 情報社会の関係者のパートナーシップを開始および実施するために、国家、地域、国際レベルにおける仕組みを明らかにする。
    6. 先住民族のために複数関係者のポータルを国家レベルで設立する可能性を調査する。
    7. 関係国際機関および金融機関は、持続可能な生産および消費パターンなど持続可能な開発にICTを利用する、また国連ミレニアム宣言に示された目的の達成を助ける効果的な道具としての独自の戦略を2005年までに開発しなければならない。
    8. 国際機関は、ウェブサイトを含む自らの権限の範囲において、ICTの主流への組み込みの成功例について関係者が提供した信頼できる情報を発表しなければならない。
    9. 特に次のような一連の関連措置を奨励する。インキュベータ計画、ベンチャーキャピタル投資(国内および国際の)、政府投資ファンド(中小・極小企業(SMME)向け小規模金融を含む)、投資振興戦略、ソフトの輸出支援活動(貿易相談)、研究開発のネットワークおよびソフトウエア工業団地に対する支援。

    C2. 情報および通信のインフラ:情報社会に欠くことのできない基礎

  9. 人里はなれ、社会の進歩から取り残された地域に持続的な接続とアクセスを国家および地域レベルで提供するために、開発途上国および経済の移行期にある国々で既に行われている関連した解決方法を考慮して、いつでもどこでも誰でも持続的に低価格でICTへのアクセスができるようなデジタル・インクルージョン(包含)という目的を達成するにはインフラが最も重要である。
    1. 各国政府は国家の開発政策の枠組み内でICTのインフラへの必要な投資および新しいサービス開発を可能にする競争的な環境を支援する措置をとらなければならない。
    2. 国家e戦略の状況の中で、指示的な到達目標に沿って、適切なユニバーサルアクセス政策および戦略、ならびにその実施方法を作成し、ICT接続性指標を開発する。
    3. 国家e戦略の状況の中で、指示的な到達目標に沿って、全ての学校、大学、医療施設、図書館、郵便局、コミュニティ・センター、博物館および一般人が利用できるその他の機関向けのICTの接続を提供および改善する。
    4. 国やその国民の必要に見合った容量を提供するのを助け、ICTに基づいた新たなサービスを届けるために、衛星およびその他のシステムによる送信を含む国家、地域および国際的なブロードバンド網のインフラを開発および強化する。以下の目的で、国際電気通信連合(ITU)および、必要な場合はその他の関連した国際機関による技術、規制および運用に関する研究を支援する。
      1. 軌道上の資源へのアクセスの拡大、世界の周波数の統一化および世界のシステムの標準化。
      2. 官民のパートナーシップの奨励。
      3. 遠隔地や人口のまばらな地域などサービスが十分に行き届いていない地域に向けた世界的な高速衛星サービスの提供の推進
      4. 高速接続を提供できる他のサービスの調査
    5. 国家e戦略の状況の中で、高齢者、障害者、子ども、特に、社会の進歩から取り残された子ども、その他の恵まれない弱い立場の人々の特別な要求に対処する。適切な教育的な行政および法的措置によって、これらの人々が確実に情報社会に完全に包含されるようにすることも含む。
    6. 高齢者、障害者、子ども、特に、社会の進歩から取り残された子ども、その他の恵まれない弱い立場の人々を含む誰もが簡単に手ごろな値段で利用できるようICT設備およびサービスの設計および生産を奨励し、彼らの必要に合った、ユニバーサルデザイン原則に沿った、補助的技術でさらに高められた技術、アプリケーション、コンテンツの開発を促進する。
    7. 非識字問題を軽減するために、低価格の技術と文字情報に基づかないコンピュータ・インターフェースを開発して人々のICTの利用を促進する。
    8. 適切で低価格のICT装置をエンドユーザーが入手できることを目指した国際的な研究開発活動に着手する。
    9. 遠隔地、特に開発途上国および経済の移行期にある国にアクセスを提供するため、開発途上国に低価格の接続を提供するために、先進国および、特に開発途上国における衛星を含む未使用の無線容量の利用を促進する。通信インフラを構築しようとしている後発開発途上国には特別の配慮をしなければならない。
    10. 相互連絡の費用を削減し、ネットワークのアクセスを広げるために、地域のICT のバックボーンおよびインターネットの交換ポイントの構築および開発を促進することによって主要な情報網の接続を最適化する。
    11. 手頃な価格で世界の接続性を高め、それによってアクセスの向上を促進するための戦略を開発する。商業的なインターネット伝送および相互接続費用は、このテーマについての進行中の作業を考慮して、客観性、透明性、非差別化というパラメータに合わせて交渉しなければならない。
    12. 従来のメディアと新しい技術を合わせた利用を奨励および促進する。

    C3. 情報と知識へのアクセス

  10. ICTは、世界のどこにいても、ほぼ瞬間的に情報と知識へのアクセスを全ての人に与えてくれる。個人、組織および地域は、知識と情報へのアクセスもたらす利益が得られなければならない。
    1. 一般の情報へのアクセスを促進する重要な国際的な手段として、パブリックドメインの情報の開発および促進のための政策の指針を作成する。
    2. 各国政府には、様々な通信資源、特にインターネットを通じて、公共の情報への十分なアクセスを提供することを奨励する。情報へのアクセスおよび、特に新しい技術分野の公的データの保存に関する法律の制定を奨励する。
    3. 恵まれない、社会の進歩から取り残された、弱い立場の人々を含む全ての人にとってICTへのアクセスを容易にするための研究開発を促進する。
    4. 各国政府およびその他の関係者は、持続可能で多目的の地域の公共アクセスポイントを設立して、国民に対し手頃な価格または無料で様々な通信資源、特にインターネットへのアクセスを提供しなければならない。これらのアクセスポイントは図書館、教育機関、行政機関、郵便局またはその他の公共の場所に設置し、農村部およびサービスの行き届いていない地域に特別に重点を置いて、可能な範囲でユーザーへの支援を提供する十分な能力を持たせ、一方で、知的所有権(IPR)を尊重し、情報の利用と知識の共有を奨励しなければならない。
    5. 競争、選択の自由および適切な価格での提供を促進するため、および、どの解決策が自分たちの要求に最も合っているかを全ての関係者が評価できるようにするために、全ての関係者に対し、プロプラエタリソフト、オープンソースのソフト、無料のソフトなど様々なソフトのモデルが提供する可能性およびそれを作る方法についての調査を奨励し、認識を高める。
    6. 各国政府は、国民および地方自治体の基本的な作業道具としてICTの利用を積極的に奨励しなければならない。この点で、国際社会およびその他の関係者は、地方統治を向上させる方法として、ICTの利用を広範囲に普及させる地方自治体の能力の構築を支援しなければならない。
    7. 全ての人、特に恵まれない人々のためのICTのアクセスを容易にする革新的な形のネットワークの設立、ICTインフラの適応、道具とアプリケーションなど、情報社会についての調査を奨励する。
    8. 情報社会に適応したデジタル公立図書館および資料サービスの設立と開発を支援する。これには、国の図書戦略および法律を見直すこと、「ハイブリッド図書館」の必要に対する世界的な理解を得ること、図書館の間の世界的な協力を育成することが含まれる。
    9. アクセスを容易にするための構想を促進する。これには、オープンアクセスの雑誌および本、科学情報のオープンアーカイブに無料および手頃な価格でアクセスすることが含まれる。
    10. 異なるソフトモデルおよびライセンスについて認識を高め、査定、評価を促し、地元の条件の中で開発目的の達成に最も貢献する最適なソフトを確実に選択できるようにするために、全ての関係者にとって有益な手段の設計を研究および開発する支援を行う。

    C4. 能力の育成

  11. 全ての人間は、十分に情報社会の恩恵を受けるために必要な技能を持たなければならない。従って、能力育成およびICTの活用能力は最も重要である。ICTは、教師の教育および訓練の提供を通して世界中で万人に対する教育を実現し、正式な教育プロセスから外れている人々を含め、専門的な技能を向上することによって生涯教育の状況を改善することに貢献できる。
    1. ICTが全てのレベルで、カリキュラムの作成、教師の訓練、組織の運営および管理などの教育および訓練に完全に統合されるよう保証するために、生涯教育の概念を支持した国内政策を作成する。
    2. 国家、地域および国際レベルでICTを利用して、非識字撲滅のための計画を策定および促進する。
    3. 例えば、図書館、地域の多目的センター、公共のアクセスポイントなどの既存施設を利用した行政向けコースを立案および提供することによって、および、全ての関係者の協力を得て地元のICT訓練センターを設立することによって、全ての人のe操作能力を育成する。恵まれない人々および弱い立場の人々には特別の配慮をしなければならない。
    4. 国家の教育政策の状況の中で、そして、大人の非識字を撲滅する必要を考慮して、創造的および革新的な方法で情報を分析および処理し、経験を共有し、情報社会に十分に参加する能力などのICTを利用するための知識と技能を若者が確実に身につけられるようにする。
    5. 各国政府はその他の関係者と協力して、資格のある熟練したICTのプロおよび専門家を必要な人数育成することに重点を置き、能力構築の計画を作成しなければならない。
    6. 特に、基礎的な識字の到達目標を含む全ての人を対象とした教育を達成するために、ICTに基づく代わりの教育配信システムの影響を実証する試験計画を策定する。
    7. ICT 教育および訓練に対する性別による壁を取り去り、女性および女児のICT関連分野における平等な訓練機会を増やすよう取り組む。ICTの職業に就く女性の数を増やすために、科学および技術における初期の介入プログラムは女児を対象としたものでなければならない。ICT教育における差別廃止に関する最優良事例の交換を推進する。
    8. 地域社会、特に農村部およびサービスが行き届いていない地域にICTを利用する能力を与え、全ての人の利益となる有益で社会的に意味のある内容の生産を推進する。
    9. 可能な場合は、伝統的な遊牧民および先住民の情報網を利用して、教育および訓練プログラムを開始し、情報社会に十分に参加する機会を与える。
    10. 教育活動の全ての範囲にICTを効果的に利用するために、特に開発途上国および後発開発途上国(LDC)の指導者および業務を行うスタッフの能力向上に向けた地域および国際協力活動を立案および実施する。これには、職場および家庭など、教育体系外に教育を授けることも含めなければならない。
    11. 資料の保管係、図書館員、博物館員、科学者、教師、記者、郵便局員、その他の関連した職業の人々など、情報の専門家の教育的な必要を満たすために、ICT利用の具体的な訓練プログラムを立案する。情報の専門家の訓練は、情報および通信サービスの開発および提供のための新しい方法および技術だけでなく、技術の最適な利用を保証する関連した管理技能にも焦点を当てなければならない。教師の訓練は、ICTの技術面、コンテンツの開発、ICTの可能性および課題について焦点を当てて行わなければならない。
    12. 能力構築プログラムの一部として、通信教育、訓練、並びにその他の形式の教育および訓練を開発する。人材開発のレベルが異なる開発途上国および特にLDCに対して特別に配慮する。
    13. 国連および国連の専門機関が開発した国家プログラムなど、能力構築の分野で国際および地域の協力を推進する。
    14. 先進国および開発途上国ならびに経済が移行期にある諸国の間で、教育、訓練および研究機関をつなぐICTに基づいたネットワーク作りの新たな形を設計する試験プロジェクトを開始する。
    15. ボランティアは、国家の政策および地元の文化に調和して実施された場合、ICT の道具を生産的に利用し、よりインクルーシブな情報社会を構築するための人間の能力を高めるための貴重な資産となる可能性がある。特に 開発途上国で、開発に向けたICT能力を構築するボランティア・プログラムを活動させる。
    16. 自己学習および自己開発の能力を開発するようユーザーを訓練するプログラムを設計する。

    C5. ICTの利用における信頼と安全の構築

  12. 信頼および安全は情報社会の主要な柱の1つである。
    1. 国連における政府間の協力およびその他の適切な討論の場における全ての関係者の協力を促進して、ユーザーの信頼を高め、信用を築き、データおよびネットワークの健全性の両方を守る。ICTに対する現存の脅威および潜在的な脅威について考慮する。その他の情報の安全およびネットワークの安全の問題に対処する。
    2. 各国政府は民間部門と協力して、インターネット犯罪およびICTの誤用について防止、発見および対処しなければならない。その方法は次のとおり。これらの分野で進行中の活動を考慮して、指針を開発する。誤用に関する効果的な捜査および起訴ができる法律を検討する。効果的な相互支援活動を促進する。そのような事件の防止、発見、復旧のために、国際レベルの機関の支援を強化する。教育を奨励し、意識を高める。
    3. 各国政府およびその他の関係者は、ネット上のプライバシーおよびプライバシーの保護方法に関して積極的にユーザーを教育し、自覚を高めさせなければならない。
    4. スパムに対して国家および国際レベルで適切な措置を行う。
    5. 電子認証を含む、電子文書および電子処理の効果的利用に対する障害の克服を目的として、国内法を国内で評価するよう奨励する。
    6. プライバシー、データ、消費者保護の権利に関する措置または指針によって、ICT利用の安全を補完的および相互的に補強することで、信用および安全の枠組みをさらに強化する。
    7. 情報の安全およびネットワークの安全の分野で優良事例を共有し、全ての関係者がそれを利用するよう奨励する。
    8. リアルタイムで事件の処理および対応を行うための中心点を設置し、事件の処理に関する情報および技術を共有するための、これらの中心点を結ぶ協力網を開発するよう関係国に促す。
    9. オンライン取引を促進するために、安全で信頼できるアプリケーションをさらに開発するよう奨励する。
    10. ICTの利用に関する信頼および安全を構築するために、進行中の国連の活動に積極的に貢献するよう関係国に対して奨励する。

    C6. 使用を可能にする環境

  13. 情報社会の社会的、経済的および環境的な利益を最大にするために、各国政府は、信用できる、透明性のある、非差別的な法的、規制的および政策的環境を構築する必要がある。措置には以下のものが含まれる。
    1. 各国政府は、情報社会における投資および地域開発に適切な刺激を与える、協力的で、透明性があり、競争を推進し、予想できる政策、法律、規制の枠組みを育成しなければならない。
    2. 2005年までにインターネット統治に関して調査を行い、適宜、行動案を作成するために、開発途上国および先進国の各国政府、民間部門および市民社会の完全で積極的な参加の仕組みを保証する、開放的でインクルーシブな過程を持つ、関連した政府間および国際機関およびフォーラムが参加するインターネット統治に関する作業部会の設置を我々は国連事務総長に対して求めている。作業部会は、特に、以下を行わなければならない。
      1. インターネット統治の実用的な定義を作成する。
      2. インターネット統治に関連した公共政策の問題を明らかにする。
      3. 開発途上国および先進国の民間部門および市民社会に加えて、各国政府、既存の政府間組織および国際機関ならびにその他のフォーラムのそれぞれの役割および責任について共通の認識を作る。
      4. 2005年のWSIS第二段階のチュニス会合に提出して検討および適切な行動をとるために、この活動の結果の報告を作成する。
    3. 各国政府に対して以下を求める。
      1. 国家および地域のインターネット交換センターの設置を促進する。
      2. 適宜、それぞれの国に割り当てられたトップレベルドメイン名(ccTLD)を管理または監督する。
      3. インターネットに対する認識を高める。
    4. アクセスに対する障害を克服するために、関係者と協力して地域のルートサーバーおよび国際的なドメイン名の利用を促進する。
    5. 情報社会の新たな要求に対応するために、各国政府は国内の消費者保護法を継続的に改正しなければならない。
    6. 開発途上国および経済が移行期にある諸国の国際的なICTフォーラムへの効果的な参加を促進し、経験を交換する機会を作る。
    7. 行政の透明性、効率性、民主性を高めるために、各国政府はe政府戦略などの国家戦略を策定する必要がある。
    8. 文書およびその他の電子情報の安全な保管および長期保存のための枠組みを開発する。
    9. 各国政府および関係者はオンラインのプライバシーおよびプライバシーの保護方法について積極的にユーザーを教育し、意識を高めなければならない。
    10. 電子商取引を促進させるためのやり方に関しては、消費者が電子通信を利用するかどうか必ず選択できるようにするように関係者に勧める。
    11. 紛争の解決を促進する効果的な紛争解決システム、特に裁判外紛争処理(ADR)の分野の進行中の作業を奨励する。
    12. 各国政府には関係者と協力して、ICT企業家精神、革新および投資を育む、特に女性の参加の促進の助けになるICT政策を定めように勧める。
    13. 中小企業(SME)にとってのICTの経済的可能性を認識し、行政手続きを簡素化し、資本へのアクセスを容易にし、ICT関連のプロジェクトへの参加能力を高めることによって、SMEの競争力を高める支援をしなければならない。
    14. 各国政府はそれぞれの社会経済開発のレベルに沿って、電子商取引のユーザーの手本および初期に採用したユーザーとして行動しなければならない。
    15. 各国政府はその他の関係者と協力して、世界の電子商取引の国際間相互運用基準の重要性に対する認識を高めなければならない。
    16. 各国政府はその他の関係者と協力して、開放的で、相互運用性のある、非差別的な、需要主導の基準の開発および使用を促進しなければならない。
    17. 国際電気通信連合(ITU)はその条約に従い、手頃な価格でどこからでもアクセスできる環境を促進する目的で周波数の調整および割当を行う。
    18. 関連した国際合意に基づき、全ての国による無線周波数スペクトルの合理的、効率的および経済的利用と公平なアクセスを保証するために、ITUおよびその他の地域機関で追加の措置をとらなければならない。

    C7. ICT の応用: 全ての生活面における利益

  14. ICT の応用により、国家e戦略の枠組み内で行政、ビジネス、教育および訓練、衛生、雇用、環境、農業、科学の分野で持続可能な開発を支援することができる。これには、以下の部門の活動が含まれる。
  15. E-政府
    1. 行政および民主的過程を一新し、透明性を取り入れ、効率性を高め、国民との関係を強化することを目的とした応用に焦点を当てたe政府戦略を実施する。
    2. 資源と公共財をより効率的に配分するために、国民およびビジネスの要求に適合させた、全てのレベルにおける国家のe政府構想およびサービスを開発する。
    3. 政府の全てのレベルにおける透明性、説明義務、効率を高めるために、e政府の分野で国際協力構想を支援する。
  16. E-ビジネス
    1. 各国政府、国際機関および民間部門には、国際貿易の利益およびeビジネスの利用の促進と、開発途上国および経済が移行期にある諸国におけるeビジネス・モデルの利用の促進を奨励する。
    2. 利用可能な環境の選定を通して、広く利用できるインターネット・アクセスに基づき、各国政府は民間部門の投資を刺激し、新しい応用、コンテンツの開発および官民パートナーシップを促進に務めなければならない。
    3. 富の創造を通した貧困削減戦略の要素として経済成長および雇用創出を刺激するために、政府の政策は、SMMEのeビジネスへの参加に加えて、ICT産業におけるSMMEへの支援およびSMMEの成長を支持しなければならない。
  17. E-学習 (C4節参照)
  18. E-保健
    1. 国民のプライバシーの権利を尊重および保護する一方で、信頼できる、時宜を得た、品質の高い、価格が手頃な医療および健康情報システムを創設し、ICTの利用を通した継続的な医療訓練、教育および調査を進めるために、国際機関の参加に加えて、各国政府、立案者、保健の専門家、その他の機関の協力を促進する。
    2. 公衆衛生の研究および予防プログラムを強化し、性と生殖に関する健康および性感染症に関するコンテンツなどの女性および男性の健康を増進する世界の医療知識および地元に関連したコンテンツ、ならびにHIV/AIDS、マラリアおよび結核を含む世界の注目を集めている疾病に関する世界の医療知識および地元に関連したコンテンツへのアクセスを容易にする。
    3. 共通情報システムの改善を通して、伝染病の拡大に対し警戒、監視、管理を行う。
    4. プライバシーの問題を十分に考慮して、健康データの交換の国際基準作りを進める。
    5. 家庭および地域の健康を預かる女性の役割を認識して、医療および衛生情報システムを改善し、人里離れたサービスを受けられない地域および弱い立場のグループにまでサービスを届けるためにICTの採用を奨励する。
    6. 災害および緊急事態で医療および人道支援を提供するためのICTに基づいた措置を強化および拡大する。
  19. E-雇用
    1. 全ての関連した国際基準を尊重して、公正および男女平等の原則に基づいて国家レベルで構築された電子業務に携わる作業員および従業員の最優良事例の作成を奨励する。
    2. ICTおよび人材への投資を通して生産性、成長、快適性を向上させることを目指した仕事と事業をまとめる新しい方法を促進する。
    3. 特に開発途上国、LDCおよび小さい国では、国民が自分の社会に住みながら他の場所で働けるようにするため、また、女性の雇用機会および障害者の雇用機会を増やすために在宅勤務を推進する。在宅勤務を推進する上で、雇用の創出および熟練労働者の維持を強化する戦略に特別の注意を払わなければならない。
    4. ICT の仕事に就く女性の数を増やすため、女児を対象にした科学および技術の分野の初期教育プログラムを推進する。
  20. E-環境
    1. 各国政府には、その他の関係者と協力して、環境保護および天然資源の持続可能な利用の手段としてICTの利用および推進を勧めている。
    2. 政府、市民社会および民間部門には、持続可能な生産および消費、ならびに、ICTで使用した廃棄済みハードおよび部品ならびに環境的に安全な廃棄処分および再利用に向けて、行動を開始し、計画およびプログラムを実施することを勧めている。
    3. ICTを利用した監視システムを確立し、特に開発途上国、LDCおよび小さい国における天災と人災の影響を予測および監視する。
  21. E-農業
    1. 特に農村部で、包括的で最新の詳しい知識および情報への簡単なアクセスを提供するために、ICTを利用した農業、畜産、水産業、林業、食品に関する情報の体系的な普及を保証する。
    2. 官民パートナーシップは、(量および質において)生産を向上する手段として、ICTの利用を最大にする努力をしなければならない。
  22. E-科学
    1. 全ての大学および研究機関に対し、これらの機関の情報および知識の構築、教育および訓練における重要な役割を支え、パートナーシップ、協力、ネットワークの構築を支援するために、手頃な費用で信頼できるインターネットの高速接続の提供を促進する。
    2. 全ての国で、科学情報を公平な基準で手頃な価格で入手できるようにするため、電子出版、価格差別化、オープンアクセスの構想を推進する。
    3. 著作が支払に対する権利を放棄した科学知識ならびに予定稿および再版を共有するためにピア・ツー・ピア技術の利用を促進する。
    4. 基本的な科学的デジタルデータ(例えば、全ての国の人口および気象データ)の長期的、系統的、効果的な収集、配布および保存を促進する。
    5. 協力を推進し、適宜、収集した科学情報およびデータの効果的な使用を促進して科学研究を行うために、原則およびメタデータの基準を整える。

    C8. 文化の多様性および独自性、言語の多様性および地元のコンテンツ

  23. 文化および言語の多様性は、文化の独自性、伝統、宗教に対する尊敬の念を刺激する一方で、文化ならびに地域的および国際的協力における対話に基づいた情報社会の開発には欠くことが出来ない。これは 持続可能な開発にとって重要な要素である。
    1. 文化の多様性に関するユネスコ世界宣言など関連した国連の合意文書に示されているように、情報社会の中での文化的および言語的多様性ならびに文化的遺産の尊重、保存、振興および強化を支える政策を作成する。これには、文化的、教育的および科学的コンテンツの作成およびユーザーの言語的および文化的背景に合った地元の文化的産業の開発を進める文化的政策の策定を各国政府に対して奨励することも含まれる。
    2. 図書館、資料館、博物館およびその他の文化的な機関が、特に、記録された情報への継続的なアクセスを提供することによって、情報社会におけるコンテンツ(従来の知識も含む)の提供者としての役割を十分に果たせるよう保証する国家の政策および法律を作成する。
    3. 自然および文化遺産を現在の文化の生きている部分としてアクセスできるようにしておき、その保全のためにICTを開発および利用する活動を支援する。これには人類の記憶として、デジタル書庫に保管されたデジタル情報およびマルチメディア・コンテンツならびに補助資料、文化的収集物および図書への継続的なアクセスを保証するシステムを開発することも含まれる。
    4. 様々な情報コンテンツの創造と教育、科学、文化的遺産のデジタル化を含む様々な方法の利用を通した、文化的表現の多様性ならびに、その土地に固有の知識および伝統を保存、主張、尊重および促進する政策を開発および実施する。
    5. 地元当局による地元のコンテンツの開発、翻訳および脚色、デジタル資料、多様な形のデジタルメディアおよび従来のメディア作りを支援する。これらの活動はまた、地元および先住民社会を強化することができる。
    6. 従来のメディアおよびデジタルメディアのサービスを通して、情報社会における個人の文化および言語に関連したコンテンツを提供する。
    7. 官民パートナーシップを通して、ユーザーの言語で入手できるものを含む様々な地元および国のコンテンツを育成し、芸術分野におけるICTに基づいた仕事に対する認識および支援を提供する。
    8. 全ての人のための公式および非公式な教育において性別に敏感なカリキュラムに焦点を当てたプログラムを強化し、女児および女性がICTのコンテンツを理解および開発する能力を構築することを目指して、女性の通信およびメディアの使用能力を高める。
    9. 特に、開発途上国および経済が移行期にある諸国の非識字者、障害者、恵まれない人々や弱い立場の人々を含む様々なグループに関連したコンテンツに加えて、地元の言語のソフトを作成および配布する地元の能力を育成する。
    10. 地元の言語の利用を促進し、風景および生物学的多様性などの地元の遺産を文書化および保存するため、そして、農村部や隔絶された地域および遊牧民族の地域にまで伝える方法として、従来のメディアおよび新しい技術の利用を組み合わせて地域社会に基づいたメディアに支援を提供し、プロジェクトを支援する。
    11. 先住民が自分たちの言語でコンテンツを開発する能力を高める。
    12. 先住民および伝統的な地域社会と協力して、情報社会において彼らが自分たちの伝統的な知識をさらに効果的に利用し、そこから利益が得られるようにする。
    13. 地域および小地域のレベルで文化的および言語的多様性を高めるように作られた政策および道具に関する知識、経験、最優良事例を交換する。統合活動の奨励を目的とした本行動計画の特定の問題に関して地域および小地域の作業部会を設定することによって、これは達成できる。
    14. ICTが文化の交換および交流にもたらした影響を地域レベルで評価し、この評価の結果に基づいて関連したプログラムを策定する。
    15. 各国政府は官民パートナーシップを通して、翻訳、イコノグラフィー、音声支援サービスならびに必要なハードおよび様々なソフトのモデル(プロプラエタリソフト、オープンソースソフトおよびフリーソフトが含まれる)の開発分野で技術および研究開発プログラムを促進しなければならない。ソフトのモデルには、一般のソフトおよびアプリケーションソフトに加えて、標準文字セット、言語コード、電子辞書

    C9. メディア

  24. 能動者としてのメディア(形態が様々で、所有者も多様)は、情報社会の開発で極めて重要な役割を担い、表現の自由および情報の複数性に重要な貢献をしていると認識されている。
    1. メディア(新しいメディアに加えて、活字および放送)に対して、引き続き情報社会で重要な役割を果たすよう奨励する。
    2. メディアの独立性および複数性を保証する国内法の策定を奨励する。
    3. メディアの内容に含まれる違法および有害なコンテンツと戦うために適切な措置(表現の自由と矛盾しないもの)を取る。
    4. 先進国のメディアの専門家に対して、特に訓練分野で、開発途上国のメディアの専門家とのパートナーシップおよびネットワークを構築するよう奨励する。
    5. メディアに対し、様々な女性および男性をバランス良く描写するよう促進させる。
    6. ICTの道具の長所を十分に利用して、特にインフラ、技術資源および人的な技術の開発に関してメディアに影響を与える国際的な不平等を減らす。
    7. 従来のメディアに対して、特に農村部で、知識の格差を縮め、文化的なコンテンツの流れを促進するように奨励する。

    C10. 情報社会の倫理面

  25. 情報社会は一般な価値観に従い、共通の利益を高め、ICTの乱用を防止しなければならない。
    1. 平和を重んずる心を奨励し、自由、平等、団結、寛容、共同責任、自然を大切にする気持ちという基本的な価値を守るための措置を行う。
    2. 全ての関係者は、ICTの使用の倫理面に対する認識を高めなければならない。
    3. 情報社会における全ての関係者は、共通の利益を高め、プライバシーおよび個人データを保護し、人種主義、人種差別、外国人恐怖症および関連した不寛容を動機とする違法行為およびその他の行為、憎しみ、暴力、小児愛および児童ポルノを含む全ての形態の児童虐待、人身売買および搾取などのICTの乱用に対して法律で定められた適切な措置および予防措置を行わなければならない。
    4. 関係者、特に学界の専門家にICTの倫理面に関する研究を続けるよう要求する。

    C11. 国際および地域協力

  26. 全ての関係者の国際協力は本行動計画を実施する上で極めて重要であり、ユニバーサルアクセスの推進および情報格差の縮小を目指して、特に実施する方法を提供することによって、強化する必要がある。
    1. 開発途上国の政府は、先進国および国際金融機関のインフラ開発プロジェクトへの国際協力および支援を必要とするICTプロジェクトの相対的な優先順位を上げなければならない。
    2. 国連のグローバル・コンパクト<訳注: グローバリゼーションに起因する様々な課題に対処するための初めての世界的意見交換と実践の場。>を背景として、国連ミレニアム宣言に基づき、ICTの利用に焦点を当てて、官民パートナーシップを土台として開発を加速していく。
    3. 国際および地域の機関に対して、地域の構想の重要性を考慮して、ICTを作業プログラムの主流に組み込ませ、原則宣言および本行動計画に示された目的の達成を支援する国家の行動計画の作成および実施に関わる全てのレベルの開発途上国を支援するよう求める。

    D. デジタル・ソリダリティ<訳注: 情報格差を埋める>の課題

  27. デジタル・ソリダリティの課題は、成長している情報社会に全ての男性および女性を包含するために人的、財政的、技術的資源を結集する条件を整えることを目的としている。この課題を実施する上で、全関係者の緊密な国家的、地域的、国際的な協力が極めて重要である。情報社会への参加に欠くことのできないインフラの開発、装置、能力構築およびコンテンツに対して資金を提供するために、既存の方法および仕組みをさらに効果的に利用し、新しい方法および仕組みを十分に探って情報格差を克服する必要がある。

    D1. 優先事項および戦略

    1. 国家e戦略は、貧困削減戦略を含む国家の開発計画に絶対必要な一部として作成しなければならない。
    2. より効果的な支援国の情報共有および調整を通し、開発のためのICTプログラムの経験から学んだ最優良事例および教訓の分析および共有を通して、政府開発援助(ODA)戦略の主流にICTを十分に組み込まなければならない。

    D2. 資源の結集

    1. 全ての国および国際機関は、モンテレー合意に詳しく述べられている開発のための資金源を利用しやすくし、より効果的に結集できるような条件を作るために行動しなければならない。
    2. 先進国は、モンテレー合意などの開発資金の拠出に関する国際的な約束を果たすために具体的な努力を行わなければならない。モンテレー合意では、具体的な努力をまだ行っていない先進国に対し、国民総生産(GNP)の0.7%を開発途上国向けのODAとして充て、先進国のGNPの0.15-0.20% を後発開発途上国へのODAに充てる目標に向けて努力するよう強く求めている。
    3. 多額の債務を抱えた開発途上国のための未払い債務を削減するために行われている構想を歓迎し、さらに債務の帳消しおよびその他の取決めなど、適宜、国内および国際的措置をとることを勧める。重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの強化に特に注目しなければならない。これらの措置によって、開発プロジェクトのためのICTに資金を提供する資源がさらに開放されるかもしれない。
    4. 開発のためのICTの可能性を認識して、さらに以下について主張する。
      1. 開発途上国は、透明性のある、安定した、予想可能な、有効な投資環境の創造を通して、ICTへの主要な民間投資を国の内外から集めるために一層の努力をする。
      2. 先進国および国際金融機関は、開発のためのICTの優先課題および戦略に敏感に反応し、ICTをその作業プログラムの主流に組み込み、開発途上国および経済が移行期にある諸国が国家e戦略を準備および実施するのを助ける。国家の開発計画の優先課題および上記の約束の履行に基づき、先進国は、開発にICTを利用するための財源を開発途上国に提供する努力を強化しなければならない。
      3. 民間部門はデジタル・ソリダリティの課題の実施に貢献する。
    5. 情報格差を埋める努力として、開発協力の中で、国家および地域の能力構築、相互に合意した条件での技術移転、研究開発プログラムの協力、ノウハウの交換に向けた技術および財政支援を進めなければならない。
    6. 全ての既存の財政の仕組みを十分に利用する一方で、開発に向けたICTの課題の達成に関し、その妥当性の徹底的な見直しを2004年12月末までに終了しなければならない。この見直しは国連事務総長の後援で専門作業部会が行い、検討のために本サミットの第二段階に提出されなければならない。検討結果に基づき、原則宣言に述べられている有効性、実行可能性および任意のデジタル・ソリダリティ基金など、資金調達の仕組みの改善および刷新が検討される。
    7. 各国は情報格差を埋めるために、サービスが行き届いていない農村部および都市部の両方で普遍的なアクセスを実現する国家の仕組みの設立について検討しなければならない。

    E. フォローアップおよび評価

  28. 行動計画の目標、目的および到達目標の実施のフォローアップをするために、様々な国の事情を考慮して、比較できる統計指標および調査結果を通した現実的な国際的パフォーマンス評価およびベンチマーキング(質的および量的な)を開発しなければならない。
    1. 関係各国と協力して、ICT開発(デジタル・オポチュニティ)総合指数を開発し、利用を開始しなければならない。この指数はICT開発報告書の中で毎年または隔年に発表することができる。指標には統計が示されるが、報告書には性別による分析など、各国の事情に基づいて政策およびその実施に関する分析が示される。
    2. ミレニアム宣言の目的など国際的に合意された開発目標を達成するために、地域のつながりを示す指標などの指標およびベンチマークは、国内および国際的な情報格差の大きさを明確にし、定期的にこれを評価し、世界におけるICT利用の進捗状況を常に監視するものでなければならない。
    3. 開発途上国のICT部門を成長させるために平等な機会を作ることを目指して、国際および地域の機関は各国における全ての人のICTへのアクセスし易さを定期的に評価し、報告しなければならない。
    4. 資金を提供した ICT プロジェクトが女性および女児の生活に与える影響を評価するために、男女別のICT利用および必要に関する指標を開発し、測定可能な成果の指標を明らかにしなければならない。
    5. 全ての関係者からの寄稿を編集し、最優良事例および成功事例に関するウェブサイトを作り、開設する。ウェブサイトは簡潔な、利用しやすい、関心をひく形式で、ウェブのアクセスの国際基準に従ったものとする。定期的に更新して、恒久的な経験の共有の場とすることができるかもしれない。
    6. 全ての国および地域は情報社会に関する統計的情報を提供できるよう、重要な面の基本的指標および分析を加えた道具を開発しなければならない。開発水準の違いを考慮して、首尾一貫した国際的に比較できる指標システムを作ることを優先しなければならない。

    F. WSIS第二段階(チュニス)に向けて

  29. 総会決議56/183を思い起こし、WSISジュネーブ会議の結果を考慮して、WSISチュニス会合で焦点となる情報社会の問題を再検討するために、そして、第二段階に向けた準備過程の構成について合意するために2004年の前半に準備会議を開催する。チュニス会合に関する本サミットの決定に沿って、WSISの第二段階では特に以下について検討しなければならない。
    1. 世界的な情報社会の構築過程の統合、情報格差の縮小、情報格差の機会への転換を目指して、WSISのジュネーブ会合の結果に基づいた適切な最終文書を入念に作成すること。
    2. 全ての関係者の参加を呼びかけた統合および調整された取り組みの一部として、国連のシステムを含む国家、地域および国際レベルでのジュネーブ行動計画の事後処理と実施。これは、特に関係者のパートナーシップを通して行わなければならない。