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国連世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)

第3回WSIS準備委員会会合報告(障害者コーカスの活動に焦点をあてて)

野村美佐子
(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター次長

項目 内容
発表年月 2005年9月30日

オープニングセレモニーの様子
11月にチュニスで開催されるWSIS(世界情報サミット)に向けて第3回準備会議が9月16日から30日にかけてジュネーブの国連本部において開催された。「最後の準備会議とする」というサミットの議長であるラトビア大使、Janis Karklins氏の開会式の楽観的な見通しを持って始まったが、以下障害コーカスの活動に主に焦点をあてながら報告する。

1.参加者
最終的なWSIS事務局の報告によれば2週間で1,925名の参加があり、そのうち、1,047名は125カ国の政府とEUからの代表団で、635名は200のNGOあるいは市民社会機関からの参加者、635名は54の国際的な組織からの参加者、73名は36の企業からの参加者、18名は国連総会により継続的な参加を請われている6つの組織の参加であった。

2.チュニスサミットで発表される公式文書
チュニスサミットの成果として発表される文書を決定する折衝を行う場として準備会議が始まった。主な議題項目はICT開発に関わるファイナンシャルメカニズムとWSIS行動計画の実行メカニズムそしてインターネットガバナンスであった。文書の合意を得るために政府による毎日遅くまで話し合いが続けられ、その合間に市民社会からの発言が許された。
市民社会からの発言
しかし最終的にはインターネットガバナンスにおいてはアメリカと開発途上国との利害の衝突があり、EUが仲裁をする案をだしたがテキストの合意が得られなかった。また開発途上国でのインフラ構築に財政的な支援をするための財源(Digital Solidarity Fund)をというアフリカの提案で始まったファイナンシャルメカニズムの討議の多くは、各政府が妥協案をだしていた半年前に終了していたが、その章の全体の合意は見られなかった。というのはブラジルとアメリカが開発のためにフリーでオープンソースの使用について合意が見られなかったからである。こうして30日の夜の9時に一応幕を閉じたが、一時中断という形式をとることとなった。今後、10月24日~28日にかけて行われるインターセッショナルの折衝会議が2回に分けて開催される。その会議においては、1章(実施について)、2章(ファイナンシャルメカニズム)と4章(フォローアップ)、および政策的な部分の最終稿作成のための討議が始る。3章のインターネットのガバナンスに関しては、チュニスサミットが行われる直前の11月13日から15日にかけて第3回WSISの準備会議が再開する予定である。

3.障害者コーカスの活動
インターネットガバナンスに関する発言を行い、2回フォーラムを開催した。第一回は、9月22日の災害時に障害者の安全を確保する上でのICTの役割についてのパネルフォーラムを行い、第2回は先住民コーカスと障害者コーカスが共同でフォーラムを開催した。この共同フォーラムは先住民にも多くの障害者がいるため、共通の問題も多く、ICT、保健、教育、知的所有権などについて意見交換を行った。ここでのフォーラムをきっかけとして、障害者コーカス主催のチュニスでの障害者フォーラムに、先住民コーカスからもICTの活用事例についての発表が決定された。
障害コーカスの様子また障害コーカスとして障害者ための交通手段やアクセシブルな宿泊施設などの確保について話し合うコーカスの会合に参加し、障害者のリフトバスなど物理的なアクセシビリティを確認した。この3回開催された障害コーカスの会合では、チュニスサミットにおけるスピーカーとしてタイの視覚障害者協会のモンティエン・ブンタンをWSIS事務局にコーカスとして推薦した。(後日、彼がサミットの討論会(round table)のスピーカーとなることが決定した。)障害者フォーラムのプログラムについても会合の重要な議題であったが、最終的に15日と18日の開催が決定し、スピーカーについても本人の参加を確認中である。

4.障害者フォーラムと障害者の権利条約
WSISでの障害者フォーラムへの参加者がニューヨークで開催されている障害者の権利条約の特別委員会に参加しているので、このフォーラムの中でも「権利条約と地域のイニシアチブ」というテーマの中で権利条約のなかで議論されている情報についての発表がある予定。