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国連世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)

WSISフェーズ2の成果:情報社会に関するチュニスアジェンダ(仮訳)

項目 内容
発表年月 2005年11月18日
備考 文書 WSIS-05/TUNIS/DOC/6(Rev.1)-E 英語原文

序文

  1.  ジュネーブ行動計画を実施する上で既に行われている作業を考慮し、進捗がなされた分野、現在なされている分野及び進捗の見られない分野を特定したところ、我々は今や理念から行動に移る時期に来ていることを認識する。
  2.  我々はジュネーブにおけるコミットメントを再確認し、チュニスにおいてはこれらのコミットメントに基づいて、デジタル・ディバイド解消のための資金メカニズム、インターネットガバナンスと関連課題、及びジュネーブとチュニスにおける決定の実施及びフォローアップに焦点を当てる。

    開発のためのICTの課題を解決する資金メカニズム

  3. 我々は、資金メカニズムタスクフォース(TFFM)の設置における国連事務総長の尽力に感謝し、メンバーの報告書を評価する。
  4.  我々は、TFFMの任務が、開発のためのICTの課題に対応する上での既存の資金メカニズムの妥当性を徹底検証することであったことを想起する。
  5.  TFFM報告書によって、発展途上国におけるICTへの資金提供を行う、民間及び公共の既存資金メカニズムが持つ複雑性が明らかとなった。これにより、改善し得る分野、さらに途上国及び開発パートナーによりICTの優先順位を高め得る分野が特定される。
  6.  我々は、当該報告書の検討結果に基づき、ジュネーブ基本宣言において言及された自発的なデジタル連帯基金の創設を含む、資金メカニズムの改善及び改革を検討した。
  7.  我々は、デジタル・ディバイドの存在、及びこれが原因となり、限られた資金の中で、開発計画及び開発基金に対する需要に関し、多くの競合する対象から選択を余儀なくされる多くの国々に生じる課題を認識する。
  8.  我々は、今後何年にもわたり、ICTインフラとサービスへの十分で持続的な投資、能力開発、及び技術移転が必要となるデジタル・ディバイド解消の問題の規模を認識する。
  9.  我々は、とりわけ、デジタル・ディバイド及び開発格差の解消の取り組みにおける技術協力及び科学・技術能力開発を通して開発の追求における技術利用において途上国を支援するという観点から、政策及びプログラムを適合させるため、ICTを含む相互に合意された形式での技術移転を推進することを国際社会に求める。
  10.  我々は、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標は必須のものであると認識する。開発の資金に関するモンテレー合意は、ジュネーブ行動計画のデジタル連帯綱領に従い、開発のためのICTを促進する十分かつ適切な資金メカニズムの追求の基盤となるものである。
  11.  我々は、ジュネーブ基本宣言第16項*において言及されているように、ICT分野で様々な課題に直面している途上国における特別かつ特定の資金の必要性及びミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標を達成するための特別な資金のニーズに焦点を当てる強い必要性を認識し、認める。
  12.  我々は、コミュニケーション手段としてだけではなく、開発を可能にする手段、及びミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標を達成するための手段としてのICTの役割が重要性を増しつつある中で、開発のためのICTへの資金の必要性に合意する。
  13.  過去、ほとんどの途上国におけるICTインフラへの資金援助は、公共投資に基づくものであった。近年、健全な規制枠組みに基づく民間セクターの参加が推奨されている場合、及びデジタル・ディバイドの解消を目指す公共政策が実施されている場合に、大幅な投資の流入が起こっている。
  14.  我々は、通信技術、及び高速データネットワークにおける進歩により、発展途上国及び移行経済国が、比較優位に基づいて、ICTにより実現されるサービスの世界的市場に参加する可能性が増加し続けているという事実を、力強く受けとめている。こうして生じた機会により、これらの国におけるICTインフラ投資への力強い商業的基盤が提供されることとなる。したがって、政府は国家開発政策の枠組みにおいて、ICTインフラにおける必要な投資及び新たなサービスの開発を可能にし、競争的環境を支援するための行動をとるべきである。同時に国家は、ICTにより可能となるサービスの世界的市場へのこれらの国々の継続的な参加に反対、妨げ、あるいは阻止しない政策及び対策を追究するべきである。
  15.  我々は、途上国においてアクセス可能で有益な情報コンテンツの範囲を拡大するにあたり多くの課題が存在すること、とりわけ、ICTインフラに焦点を当てることにより、多くの場合見落とされている、様々な形式のコンテンツ及びアプリケーションのための資金の問題については新たな配慮を要することに留意する。
  16.  我々は、ICTへの魅力ある投資は、全てのレベルにおける良好なガバナンス(グッドガバナンス)、国家の実態を反映し、協力的で透明かつ競争促進的な政策及び規制枠組みを含む環境整備に大きな影響を受けるものであるということを認識する。 -------------------------------------------------------------------------------- * 参考のため、ジュネーブ基本宣言第16段落を下に記載する。 我々は、開発途上国、移行経済国、後発開発途上国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国、占領下にある国及び領域、および紛争または自然災害からの復興途中にある国などの人々の特別なニーズに特に注意を払う。
  17. 我々は、多国籍企業の社会的な責任及び良好な企業ガバナンスに関する事項と、デジタル・ディバイド解消の取り組みにおける途上国の経済的・社会的発展に対する貢献について、積極的な対話に参加するよう努める。
  18.  我々は、市場原理のみでは、ICTにより可能となるサービスの世界市場への途上国の完全な参加が保証できない点を強調する。したがって、我々は、国内及び国際レベルにおいて実行可能で競争的なICTインフラ、及びICTにより可能となるサービスを開発するため、とりわけジュネーブ基本宣言第16項において言及された全ての国々に向けた国際協力及び連帯の強化を推奨する。
  19.  我々は、公共部門に加え、民間セクターによるICTインフラの資金提供が、多くの国々において重要な役割を果たしつつあること、また、国内資金調達が南北間の資金の流れ及び南南協力により増加しつつあることを認識する。
  20.  我々は、民間セクターによるインフラへの持続可能な投資の影響が増している結果として、多国間、二国間の公的ドナーが、貧困削減戦略プログラム、政策改革及びICT並びに能力開発の導入を含む、他の開発目標へと公的資金を向け直していることを認識する。我々は、全ての政府に対し、国家開発戦略において、ラジオ及びテレビ放送といった伝統的なICTを含むICTに適切な優先順位を与えるよう推奨する。さらに我々は、二国間公的ドナー及び多国間機関に対し、地域並びに大規模な国家ICTインフラプロジェクト及び関連する能力開発に対するさらなる経済支援を検討するよう推奨する。彼らは、貧困削減戦略を含む国家開発戦略において、途上国及び移行経済国により定められた優先順位と、自己の援助及びパートナーシップ戦略を結びつけることを検討すべきである。
  21.  我々は、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国を含む、農村地域及び不利な条件におかれた人々に対しICTアクセス及びサービスを提供する際に、公的資金援助が重要な役割を果たすことを認識する。
  22.  我々は、開発のためのICTを支援する多数かつ多様な資金メカニズムが存在するにもかかわらず、ICTに関連する能力開発の必要性が、全ての途上国において高い優先順位を有していること、また、現在の財政レベルがこの必要性を満たすには不十分であることに留意する。
  23.  我々は、さらに財政資源が必要であり、開発のためのICTの財源確保のための現在のアプローチにおいて今日まで十分な注目を受けていなかった分野が数多く存在することを認識する。このような分野には次のものが含まれる。
    • a) ICT能力開発プログラム、材料、ツール、教育資金調達、及び特に規制当局及び他の公共部門の職員及び組織のために特化された訓練の取り組み。
    • b) 独特の技術・市場課題を抱えた、遠隔地、農村地域、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国及び他の地域におけるICTサービス及びアプリケーションのための通信アクセス及び接続性。
    • c) 法、規制、財政の枠組みを含む連携された政策や、元手となる資金の調達を必要とし、経験及び成功事例の共有から利益を得る可能性のある国境を越えたネットワークの接続や、経済的に不利な地域における地域バックボーンインフラ、地域ネットワーク、ネットワークアクセスポイント及び関連地域プロジェクト。
    • d) より幅広いサービス及びアプリケーションの提供を促進し、投資を推進し、既存・新規利用者のどちらにも手ごろな料金でインターネットへのアクセスを提供するためのブロードバンド通信能力。
    • e) ジュネーブ基本宣言の第16項に示されたような国、特に後発発展途上国及び小島嶼開発途上国に対する、国際援助の提供を伴った効率性の向上と取引費用の低減のための、必要に応じた連携支援。
    • f) 貧困削減戦略と、特に保健、教育、農業、環境といった分野別プログラムの実施にICTを統合することを目指す、ICTアプリケーション及びコンテンツ。 さらに、開発のためのICTに関連する、十分に注意を払われていない以下の他の課題も検討する必要がある。
    • g) ICTインフラの維持等の情報社会関連プロジェクトの持続可能性。
    • h) 資金調達のニーズ等の中小・極小企業(SMME)の特別なニーズ。
    • i) 途上国によるICTアプリケーション及び技術の現地での開発と製造。
    • j) ICT関連の制度改革活動と法規制枠組みの能力強化。
    • k) ICTプロジェクト及びICTの要素の大きいその他のプロジェクトの影響と効率性の最適化を目指す、組織体制の改善とビジネスプロセスの変更。
    • l) 教育、保健、生活支援などの分野でコミュニティにICTサービスを提供する地方自治体と、現地コミュニティに根ざした取り組み。
  24.  公的資金プログラム及び公的ICT開発イニシアチブの調整に関する主要な責任が政府にあることを認識した上で、我々は、国家の枠組みの中で、ドナー及び受け手に対する、部門を越え、機関を越えたより一層の調整が行われることを推奨する。
  25.  多国間開発銀行及び機関は、ICT開発の国家的及び地域的需要を満たすために既存メカニズムを適合し、必要に応じて、新メカニズムの構築を検討するべきである。
  26.  我々は、資金メカニズムの平等かつユニバーサルな利用可能性、及びこのより良い活用のために以下の必要条件を認識する。
    • a) ユニバーサルなアクセス及び民間セクターの投資を呼び込むことを目標とした政策及び規制インセンティブの創造。
    • b) 必要に応じた、e-戦略と一体となった国家開発戦略及びその策定におけるICTの主要な役割の特定及び認識。
    • c) 国家ユニバーサルサービス/アクセスファンドの利用、これらのメカニズム及び国内資源の動員を目標とするメカニズムの一層の研究を支援するための、制度及び実施能力の開発。
    • d) 途上国及び移行経済国に恩恵をもたらすであろう、地域関連情報、アプリケーション、サービスの開発の奨励。
    • e) ICTを基礎とし、成功した実験的プログラムの拡大支援。
    • f) ICTに基づく開発調停に関する優先及び主要対象分野としての、政府におけるICT利用の支援。
    • g) 特に公的部門において、情報社会の目的を達成するための、全てのレベルにおける人的資源及び制度的能力(知識)の開発。
    • h) 創造的な事業、文化的コンテンツ及びアプリケーションの地域制作者、及び小企業を支援することによる、民間セクターに対する、ICTサービスへのより大きな需要を喚起する支援の奨励。
    • i) 保証された資金の潜在力を増加させる能力の強化及びこれらの効果的な活用。
  27.  我々は、以下の各点を含む既存の資金メカニズムにおける改善及び改革を推奨する。
    • a) 金融資源を、最適化し、予測可能性を高め、できる限り付帯条件がなく、持続的なものにするための資金メカニズムの改善。
    • b) 特に地域バックボーンインフラを構築するためのインセンティブを与えることによる、地域協力の強化及び多数の関係者間のパートナーシップの創設。
    • c) 以下の方法によるICTへの手ごろなアクセスの提供。:
      • i.バックボーンプロバイダーにより課金されている国際インターネット費用の削減。接続費用を削減し、ネットワークアクセスを拡大させるための、とりわけ、地域ICTバックボーン及びインターネット交換ポイントの創設及び開発の支援。
      • ii.適切な勧告を行うための緊急課題としての、国際インターネット接続性(IIC)の問題に対する継続的な検討のITUへの奨励。
    • d) 魅力的でない、農村及び低所得市場に参入する事業者にとっての投資リスク及び取引費用を軽減するための、政府及び主要な金融事業者間におけるプログラムの調整。
    • e) 地域の小規模金融手段、ICTビジネス・インキュベーター、公的信用供与手段、リバース・オークション・メカニズム、地域コミュニティに根ざしたネットワーキングの取り組み、デジタル連帯及びその他の新たな方法を支援することを含む、国内の金融手段の開発の加速的支援。
    • f) 南北・南南協力及び、南北間の資金の流通の促進を含む、ICTインフラ及びサービスの資金調達速度を速める観点での、融資機構へのアクセス能力の改善
    • g) 多国間、地域、二国間開発組織は、全ての関係者が有望なプロジェクト候補、資金調達源、制度的な資金メカニズムに関する情報共有のための、仮想的なフォーラムの創設を検討すべきである。
    • h) 途上国がICTのための一層の資金調達ができるようにし、それぞれの経済に応じたトラストファンドやシードキャピタルなどの金融手段を開発できるようにする。
    • i) 全ての国々に対する、モンテレー合意の下でのコミットメントを達成するための具体的な取り組みに対する支援。
    • j) 多国間、地域、二国間開発組織は、ICT政策について支援を求める途上国の支援を念頭に、迅速に対応する能力を強化するために協力することを検討すべきである。
    • k) さらなる自発的貢献の奨励。
    • l) 特に貧困削減戦略の枠組み内のプロジェクト等の、開発のためのICT計画への資金援助のために使用されうる債務免除及び債務スワッピングを含む、必要に応じた、ジュネーブ行動計画に示された債務削減メカニズムの効果的な利用。
  28.  我々は、ジュネーブにおいて創設された、関心を有する関係者に開かれ、地域レベルでの特定かつ緊急のニーズに主な焦点をあて、「連帯」資金の新たな自発的な資金源を求めることにより、開発世界においてデジタル・ディバイドをデジタルオポチュニティーに変革することを目的とした、自発的な性格を有する革新的な資金メカニズムとしてのデジタル連帯基金(DSF)を歓迎する。DSFは、新たなICTインフラ及びサービスの成長に対する資金援助を行うために十分に利用され続けるべきである、情報社会の資金を調達する既存メカニズムを補完するものである。
  29.  我々は、2003年12月のWSISジュネーブフェーズにおいて宣言された原則を改めて確認する。この宣言とは、インターネットは今や一般の人々が利用できる世界的な機能に発展しており、そのガバナンスについて、情報社会計画の中核的な問題として取り扱わなければならいというものである。インターネットの国際管理は、多国間が参加する透明で民主的なものとし、政府や民間セクター、市民社会、国際機関が完全にこれに関与する必要がある。また、インターネットの管理は、資源を公正に分配し、すべての人によるアクセスを推進するとともに、多言語が使用されていることを考慮した上でインターネットの安定かつ安全な機能を確保できるものでなければならない。
  30.  我々は、情報社会のインフラの中心的な要素であるインターネットが、研究や学術のための機能から、今や一般の人々が利用できるグローバルな機能に発展したことを認める。
  31.  我々は、人間を中心とした、包括的で開発志向型の非差別的な情報社会を構築するためには、ジュネーブ原則に従ったインターネットガバナンスを実行していくことが極めて重要な要素であると認識する。また、我々は、グローバルな機能としてのインターネットの安定性と安全性を実現し、先進国と途上国の両方におけるすべての関係者がそれぞれの役割と責任の範囲内で完全に関与することを前提とした上で、インターネットガバナンスに求められる合法性を確保していくよう取り組むものである。
  32.  我々は、「インターネットガバナンス・ワーキンググループ(WGIG)」が設立されたことに対し、国連事務総長に感謝する。我々は、議長や委員、事務局による取り組みと報告を高く評価する。
  33.  我々は、インターネットガバナンスの作業上の定義の構築に取り組んでいるというWGIGの報告に留意する。このような取り組みにより、インターネットガバナンスに関わる公共政策上の問題がいくつか特定されている。また、この報告によって、政府や政府間組織、国際機関並びにその他の会議、さらに先進国と途上国の両方における民間セクターや市民社会の果たすべき役割と責任について、我々の理解が向上した。
  34.  インターネットガバナンスの作業場の定義の一つは、インターネットの展開と利用を形作る、共有化された原則、標準、規則、意思決定手続き、プログラムを、政府、民間部門、市民社会がそれぞれの役割において、開発し適用することである。
  35.  我々は、インターネットの管理には技術と公共政策の両方の問題が付随するため、すべての関係者と、関連する政府間機関並びに国際機関が関与しなければならないことを再確認する。この点に関し、次のような点が認識されている。
    • a) インターネットに関わる公共政策問題を取り扱う政策権限は、国家の主権であり、国家は、国際的なインターネット関連の公共政策問題に関する権利と責任を持つ。
    • b) 民間セクターはこれまで、技術と経済の両方の分野において、インターネットの発展に重要な役割を果たしており、今後も引き続き、このような役割を果たしていかなければならない。
    • c) 市民社会はこれまで、特に地域社会のレベルでインターネット問題に重要な役割を果たしており、今後も引き続き、このような役割を果たしていかなければならない。
    • d) 政府間機関はこれまで、インターネット関連の公共政策問題の調整を実現する役割を果たしており、今後も引き続き、このような役割を果たしていかなければならない。
    • e) 国際機関はこれまで、インターネットに関わる技術規格や関連政策などの構築に重要な役割を果たしており、今後も引き続き、このような役割を果たしていかなければならない。
  36.  我々は、学術研究並びに技術領域が、第35段落で言及した関係グループの関わる範囲内において、インターネットの発展と機能、開発に貴重な貢献を行なったことを認識している。
  37.  我々は、インターネットガバナンスに関係する国際機関や政府間機関並びにその他の団体の活動の調整や情報交換を改善するよう取組む。すべてのレベルにおいて、できる限り、マルチステークホルダーによるアプローチを採用していかなければならない。
  38.  我々は、地域ごとに特化したインターネット資源の管理組織を強化することにより、それぞれの地域の独自のインターネット資源を管理できる国家の関心を保証すると同時に、この領域における国際レベルの調整活動を維持するよう求める。
  39.  我々は、信頼できる枠組を強化することにより、ICTの利用における信頼性と安全性の構築に取組む。我々は、すべての関係者と協力し、UNGA決議の57/239や関連するその他の地域の枠組などに概略が述べられている世界レベルのサイバーセキュリティ文化を一層推進、開発し、実施していく必要性を再確認する。このような文化の実現には、国家活動や国際協力の連携によってセキュリティを強化していくとともに、個人情報やプライバシー、データなどの保護機能を高めていく必要がある。サイバーセキュリティ文化の継続的な開発は、アクセスや貿易を向上させるとともに、各国の社会経済的開発のレベルを考慮し、情報社会の開発志向的な要素を損なわないものでなければならない。
  40.  我々は、ある司法管轄区で行なわれ、他の管轄区にも影響を及ぼすようなものを含め、サイバー犯罪を訴追していく重要性を改めて強調する。さらに我々は、国家及び国際的なレベルにおいて、特にサイバー犯罪に関する法執行機関の間の国際協力を推進することを目的とし、有効かつ効率的なツールやメカニズムを開発していく必要性を強調する。我々は、他の関係者と協力の上、例えば「情報技術の犯罪的誤用の根絶」に関わるUNGA決議55/63及び56/121や、欧州評議会による「サイバー犯罪条約」など、既存の枠組に着目しながら、サイバー犯罪の捜査と訴追に必要な法規制を構築していくよう、各国政府に対し求める。
  41.  我々は、増え続けるスパムによる重要な問題に効果的に取り組んでいくことを決意する。我々は、APECのアンチスパム戦略やロンドン行動計画、ソウル-メルボルン・アンチスパム理解のための覚書、並びにOECDやITUのスパム関連活動など、現在行なわれている地域協力、国際協力のための多数の関係機関による多国間枠組に留意する。我々は、すべての関係者に対し、多面的なアプローチを採択することにより、スパムに対抗するよう求める。この場合のアプローチとは、特に、消費者や事業者の教育、適切な法規制、法執行機関やツールの確保、技術による規制や自己規制による手段の継続的な構築、ベストプラクティスの構築、国際協力などを要素とするものである。
  42.  我々は、特に、知識の創造や蓄積、普及を目的として、情報を求め、入手し、伝達し、活用する自由を確立するという公約を再確認する。また、我々は、インターネットの安定性と安全性を確保し、サイバー犯罪と戦うとともにスパムを阻止するための手段は、世界人権宣言並びにWSISの原則宣言の関連部分に述べられているプライバシー及び表現の自由のための規定を遵守し、尊重するものでなければならないことを確認する。
  43.  我々は、インターネットやその他のICTの積極的な利用を促進するとともに、ジュネーブ原則宣言の情報社会の倫理的側面並びに行動計画に述べられているICTの不正な利用を防止するため、法律の定めに従って、適切な対処策や予防的手段を講じるよう取り組むことを再確認する。
  44.  また、我々は、あらゆる形態や表現のインターネット上のテロリズムに対抗していくとともに、2005年世界サミットの成果文書の第85条項を基準として、人権を尊重し、UNGAのA/60/L.1*に述べられている、国際法規によって定められたその他の義務を遵守していくことが重要であることを強調する。
  45.  我々は、インターネットの安全性、継続性、安定性の確保の重要性と、インターネット並びにその他のICTネットワークを脅威や脆弱化から保護していく必要性を強調する。我々は、インターネットの安全性に関わる問題について共通の理解を確立し、安全に関わる情報の周知と収集、普及、並びに、国及び国際的なレベルで安全への脅威と戦っていく手段について、すべての関係者による情報交換を実現していくことを目的とし、一層の協力を推進する必要があることを確認する。
  46.  我々は、法規制の採択や協力のための枠組の実施、ベストプラクティスの実践、事業体やユーザーによる自己規制的手段または技術的手段など、いずれの方法でも、プライバシーを尊重し、個人情報やデータを保護していくよう、すべての関係者に求める。すべての関係者、特に政府に対し、ジュネーブ原則宣言や、その他の関連のある国際的な相互合意協定文書などに従って、情報にアクセスする個人の権利を再確認するとともに、必要に応じて国際的に協力していくよう奨励していく。
  47.  我々は、国内で、あるいは国境を越えて、あらゆる電子ビジネスの規模と価値が高まっていることを認識する。我々は、国家において消費者保護のための法律や慣習を構築し、必要に応じて執行のためのメカニズムを確立するよう求める。これらの措置は、オンラインで商品やサービスを購入する消費者の権利を保護するとともに、該当する国家法規の保護下において、非差別的な方法で電子事業の一層の拡大を消費者の信頼を得ながら実現するための国際協力を推進していくことを目的とする。
  48.  我々は、市民に資することを目的とした政府によるICTの利用が増加していることに満足し、注目する。また、まだ電子政府のための国家的なプログラムや戦略を構築していない国々に対し、これらに取り組むよう働きかけるものである。
  49.  我々は、デジタルデバイドをデジタルオポチュニティに変換していくという公約を改めて確認し、協調的で、すべての人に公正な開発を実現していくよう取り組む。また、広範囲にわたるインターネットガバナンス制度において、開発すべき領域に関する指針の作成を促し、これを提供していくとともに、特に、国際的な相互接続に関わるコストやキャパシティの構築、技術やノウハウの移転などの問題をこの指針の内容に含めていく努力を行なう。さらに、インターネットの開発環境において多言語の使用実現を奨励し、容易にローカライゼーションできるソフトウェアの開発を支援していくとともに、ユーザーが、オープンソースやフリー、プロプリエタリなど、多様なソフトウェアのモデルから適宜なソリューションを選択できるよう図っていく。
  50.  我々は、特に途上国において、国際的なインターネット接続のための料金を均衡のとれたものにすることにより、アクセスを向上させていくべきではないかという考えをあることを承知している。従って、我々は、安価な世界レベルでの接続性を向上させていくための戦略を構築していくことにより、すべての人々にとって公平なアクセスを改善していくよう求める。具体的な手段は、次のようなものである。
    • a) 競争的な環境において商業的に交渉が可能なインターネットトランジットや相互接続を推進する。ただし、これらは、この主題に関わって進行中の作業を考慮し、客観的で透明、かつ非差別的なパラメータを志向するものでなければならない。
    • b) 高速インターネットのための地域的なバックボーンネットワークを設置し、国や亜地域、地域のレベルでインターネット相互接続ポイント(IXP)を設定する。
    • c) ドナープログラムや開発のための資金供給メカニズムに対し、途上国における接続性やIXP、ローカルコンテンツなどを進捗させることのできる構想への資金供給の必要性を考慮するよう助言する。
    • d) 緊急性のある問題として「国際的なインターネット接続性(IIC)」問題を引き続き研究し、検討と実施可能性の模索を目的として、成果を定期的に提供するよう、ITUに働きかける。また、他の関連機関にも、この問題に取り組むよう働きかけを行なう。
    • e) 特に途上国での使用を目的とし、個人使用や共用のためのユーザー装置など、低コストのターミナル機器の開発と成長を推進する。
    • f) インターネットサービスプロバイダー(ISP)などの団体による商業交渉を奨励していくことにより、公正で均衡のとれた相互接続コスト実現のための慣習を採択する。
    • g) ジュネーブ原則宣言に述べられている後発開発途上国(LDC)などの国々の相互接続コストを下げることを目的とし、商業的な交渉を行なうよう、関連団体を奨励する。ただし、この場合、LDCにおける特殊な制約条件を考慮する。
  51.  我々は、各国政府やその他の関係機関に対して、必要に応じてパートナーシップを構築し、教育や労働人口の開発にICTを取り込んでいくための国家戦略を確立するとともに、適当な資源をこれに充当していくことにより、途上国におけるICT教育や訓練を推進していくよう奨励する。また、インターネットガバナンスに関わる領域のキャパシティ構築に向け、自由意志ベースで国際的な協力関係が拡大されていくものと思われる。これには、特に、ノウハウの移転やベストプラクティスの交換を実現するための専門機関やその他の組織の拠点を構築し、途上国並びにすべての関係者によるインターネットガバナンスメカニズムへの参加を向上させるという要素が含まれるものと考えられる。
  52.  世界的なレベルでのインターネットガバナンスへの効果的な参加の確保を目的とし、我々は、国際機関、並びに関連がある場合には政府間機関まで含めて、特に途上国のすべての関係者がインターネットガバナンスに関わる政策意思の決定に参画する機会を確保するとともに、このような関与を推進し、簡易化していくよう促す。
  53.  我々は、透明かつ民主的な多国間プロセスの一環として、政府やすべての関係者をそれぞれの役割において関与させながら、インターネットの多言語化に向けて真剣に取り組む。これに関し、我々は、ローカルコンテンツの開発、翻訳、調節、並びにデジタルアーカイブ、多様な形態のデジタルや伝統的なメディアなどを支援するとともに、これらの活動も地域社会や民族社会を強化していくことができることを認識している。従って我々は、次に挙げる項目の実現の必要性を強調する。
    • a) ドメイン名や電子メールアドレス、キーワード検索など、いくつかの領域において多言語使用を導入していくためのプロセスの進捗を図る。
    • b) 言語上のデジタルデバイドに対抗し、台頭しつつある新たな社会にすべての人が参加できるようにするため、インターネット上の多言語によるドメイン名とコンテンツの存在や、様々なソフトウェアモデルの使用に対応できるプログラムを実現する。
    • c) 技術規格をさらに開発していくための関連団体の協力を強化し、これらの規格のグローバルな展開を推進する。
  54.  我々は、インターネットの発展と普及、並びにその最善の活用など、情報社会の発展のためには、海外の直接投資を支援していくことのできる、国及び世界レベルの実現環境や技術移転、国際協力などが不可欠であることを認識する。特に、インターネットの開発における技術革新や民間投資を駆動していく存在としての、民間セクターや市民社会の役割が極めて重要である。国内及び国際的な政策環境により、投資や技術革新が奨励されていけば、先進国と途上国の両方におけるネットワークの境界で価値が付与されることになるのである。
  55.  我々は、インターネットガバナンスの既存の取組は、日々の運営を先導する民間セクターと、革新と価値の創造とともにインターネットを今日のように高度に強靱で、ダイナミックで、地理的に多様な媒体とするために有効に機能してきたと認識する。
  56.  インターネットは非常にダイナミックな媒体であり、それゆえにインターネットガバナンスを取扱うことを目的としたフレームワーク及びメカニズムは、多角的アプリケーションの発展のための共通プラットフォームとして、包括的で、インターネットの指数増加及び早急な進化に答えるものであるべきである。
  57.  インターネットの安全性及び安定性は維持されるべきである。
  58.  我々は、インターネットガバナンスがインターネット上の名前やアドレス以上のものを含有していると認識する。それは、特に重要インターネット資源、インターネットの安全性・安定性及びインターネットの利用に付随する開発途中の側面と課題のような、その他の重要な公共政策課題を含むものである。
  59.  我々は、インターネットガバナンスは、入手可能性、信頼性並びにサービス品質を含む、社会的経済的及び技術的な課題を含むものと認識する。
  60.  さらに我々は、現在のメカニズムによっては適切に取り扱われていない、配慮を要する多数の国際的公共政策課題が存在することを認識する。
  61.  我々は、政府、民間部門、市民社会及び国際機関がそれぞれの役割において参加する、透明、民主的、多国間のプロセスを必要に応じて開始し強化する必要があると確信した。このプロセスは、現在の取り決めが活発に進化しつづけていることを促進し、この努力に対しシナジー効果をもたらすため、妥当な範囲において、適切な枠組みや仕組みの創設を視野に入れたものである。
  62.  我々は、どのインターネットガバナンスのアプローチも、包括的で迅速なもので、革新、競争及び投資の環境整備を促進し続けるものでなければならないと強調する。
  63.  各国は、他の国の国別ドメイン名(ccTLD)に関する意思決定に関与してはならない。各国により様々な方法で表明され定義された正当な権益は、柔軟で改善された枠組みや仕組みを通じて、尊重され、確認され、取り扱われるべきである。
  64.  我々は、汎用トップレベルドメイン名(gTLD)に関する公共政策の開発と、関係者の更なる協力の強化の必要性を認識する。
  65.  我々は、インターネットガバナンスに関する意思決定への発展途上国の参加を最大化する必要があることを強調する。ここでは、発展途上国の権益、開発、人材開発の観点を反映すべきである。
  66.  インターネットに関する進行中の国際化と普遍性の原則を視野に入れ、我々は、インターネットガバナンスに関するジュネーブ原則の実施に合意する。
  67.  我々は、マルチステークホルダーの政策対話のための新しいフォーラムの開催を国連事務総長に対し招請することに、特に合意する。
  68.  我々は、全ての政府が国際的なインターネットガバナンスと、インターネットの安定、セキュリティ、および継続性の確保のために同等の役割と責任を担うべきであると認識する。我々は、また、政府による公共政策の策定にあたっては、全てのステークホルダーに対し意見を求める必要を認識する。
  69.  我々は、インターネットに関する国際的な公共政策課題に関して、各政府が同等の立場でそれぞれの役割や責任を果たすことを可能にするため、将来、拡張した協力の必要が生じることを認識する。しかし、これには国際的な公共政策課題に影響を与えない日常の技術的や運用的な事項は含まない。
  70.  この拡張した協力は、関連する国際組織を利用した上で、必要不可欠なインターネット資源の調整や管理に関連した公共政策課題について世界的に適用可能な原則の策定を含むべきである。この意味で、我々は、インターネットに関連した必要不可欠な任務を負った組織に対し、公共政策原則の策定を容易にする環境の創造に貢献することを求める。
  71.  国連事務総長により開始される、この拡張した協力にむけたプロセスは、全ての関連する組織を含み、2006年の第一四半期までに開始され、全ての関係者をその役割の範囲において含み、法的プロセスに沿い可能な限り迅速に進み、革新に迅速に反応するものである。関連の組織は、拡張した協力に向け、可能な限り早急に、革新に迅速に対応する形で、全ての関係者を含め、作業を開始すべきである。
  72.  我々は、国連事務総長に対し、開かれた包括的なプロセスにより、2006年第二四半期までに、マルチステークホルダーの政策対話のための新しいフォーラムの会合を開催することを求める。これをインターネットガバナンスフォーラム(IGF)と呼ぶ。このフォーラムの使命は以下のものである。
    • a) インターネットの持続可能性、強靭性、セキュリティ、安定性及び発展を促進するため、インターネットガバナンスの鍵となる要素に関連した公共政策課題について議論する。
    • b) インターネットに関する異なった横断的な公共政策を扱う組織間の乖離を調整し、既存のどの組織の活動範囲にも属さない課題について議論する。
    • c) 適切な政府間機関やその他の組織に対しそれぞれの権限に属する問題について橋渡しを行う。
    • d) 情報やベスト・プラクティスの交換を促進し、その意味で、学術的、科学的及び技術的コミュニティーの能力を存分に活用する。
    • e) 発展途上国における、安価で豊富なインターネット利用を促進する方法や手段を全ての関係者に助言する。
    • f) 特に発展途上国における、既存、及び/又は、将来のインターネットガバナンスの構造における関係者の取組みを強化し拡張する。
    • g) 発生した課題を認識し、関連機関や一般大衆の注意を喚起し、適切な場合、勧告を行う。
    • h) 地域の知識や経験を存分に活用する形で、発展途上国におけるインターネットガバナンスのための人材開発に貢献する。
    • i) インターネットガバナンスのプロセスにおけるWSIS原則の具体化について、継続的に、促進し評価する。
    • j) 特に、必要不可欠なインターネット資源に関連する課題について議論する。
    • k) 日常のユーザーの特定の関心事について、インターネットの利用や誤利用から生じる課題についての解決策を見出す手助けを行う。
    • l) 議事録を公開する。
  73.  インターネットガバナンスフォーラムは、その作業と機能において、多国間、マルチステークホルダー、民主的、及び透明であるべきである。そのため、提案されたIGFは、
    • a) インターネットガバナンスの既存の構造に基づく。ここでは、政府、ビジネス部門、市民社会、及び政府間機関といった、プロセスに含まれる全ての関係者相互の補完を特に強調する。
    • b) 軽量で分散した構造をもち、定期的に評価を受ける。
    • c) 必要に応じ定期的に会合を開催する。IGF会合は原則として、特に事務的サポートを得るため、関連する主要な国連の会合と並行して開催される。
  74.  我々は、インターネットガバナンスにおける全ての関係者の証明された能力とそれぞれの完全な参加の確保の必要性を考慮に入れた上で、国連事務総長に対しフォーラム開催のための選択肢を検討することを促す。
  75.  国連事務総長は、国連のメンバー国に対し、定期的にフォーラムの運営について報告する。
  76.  我々は、国連事務総長に対し、フォーラムの参加者に対する公式の諮問の形で創設のときから5年以内にフォーラムの継続の希望を調査し、この観点で国連加盟国に対し勧告を行うことを求める。
  77.  IGFは監督権限を持たず、既存の取極め、仕組み、機関や組織を置き換えることは行わない。しかし、それぞれを包括し、その能力を活用するものである。IGFは中立で、重複することなく、拘束力のないプロセスに基づいて進められる。ここにはインターネットの日常的又は技術的運営は含まれない。
  78.  国連事務総長は、全ての関係者に対し、地理的バランスを考慮した上で、IGFの立ち上げ会合への招待を行わなければならない。また、国連事務総長は、
    • a) WSISプロセスの間に示されたITUの立証済みの能力を含め、全ての関心を有する関係者の適切な協力を求める。
    • b) IGFをサポートするための有能でコスト上効率的な事務局を、マルチステークホルダーの参加を確保する形で、設ける。
  79. インターネットガバナンスに関連する様々な問題は、他の関連の場においても継続的に議論される。
  80.  我々は、ミレニアム開発計画を含め、国際的に合意された開発計画や目標を達成するための開発努力を支えるための手段としてのインターネットの拡張や浸透に対し、議論し協力するための、国内、地域、及び国際レベルでのマルチステークホルダーのプロセスの進展を促進する。
  81.  我々は、ジュネーブ原則の完全な実施に対する我々の決意を再確認する。
  82.  我々は、2006年により前にIGF第一回会合のアテネでの開催を誘致するというギリシャ政府の寛大な申出を歓迎し、国連事務総長に対し、IGFの開始会合への全ての関係者の参加を招待することを求める。
  83.  包括的で開発志向の包含的な情報社会の構築には、多数の関係者の絶え間ない努力が必要である。このため、我々はWSISのプロセスとサミットのジュネーブフェーズ及びチュニスフェーズにおける成果とコミットメントの持続可能な実施とフォローアップを確実に行うため、国家、地域、国際レベルにおいて、今後も全面的に従事していくことに全力を傾ける。情報社会構築の多面的な性質を考慮すると、政府、民間セクター、市民社会、及び国連その他の国際機関が様々な役割と責任に従って有効な協力関係を築き、専門知識を活用することが不可欠である。
  84.  政府及びその他の関係者は、さらなる取り組み及び資源が必要な分野を特定し、ICTへのアクセス及び活用について取り残された人々・集団に特別な注意を払いつつ、国際・地域・国家・地方レベルでのWSISの成果の実施戦略、メカニズム及びプロセスを協力して特定し、必要に応じて策定すべきである。
  85.  我々は、国家レベルでのジュネーブ行動計画を含むWSISの成果の実施において政府が他の関係者と提携しながら果たす主導的な役割を考慮し、必要に応じたICT戦略や分野ごとのe戦略 を含む、包括的な、前向きで持続的な国家レベルのe戦略を国家開発計画及び貧困削減戦略の不可欠な一部として2010年までのできるだけ早期に策定することを、まだこれを策定していない政府に対して奨励する。
  86.  我々は、人間中心の、包括的な開発志向の情報社会の構築に向けた地域的・国際的取組みの統合を支持し、地域内及び地域間の強力な連携が知識共有の支援には不可欠であることを改めて表明する。地域的な協力は、国家レベルでの能力開発及び地域の実施戦略の向上に貢献するべきである。 -------------------------------------------------------------------------------- 1. この文書を通じて、「e戦略」とさらに言及されるものは、それが適切な場合には、ICT戦略および分野別のe戦略もまた含むと解釈される。
  87.  我々はWSISの成果を地域レベル及び国際レベルで実施するにあたり、意見交換と効果的事例及び資源の共有が不可欠であることを確認する。このため、すべての関係者の間で、e戦略及び政策の立案、実施、監視及び評価についての知識とノウハウを必要に応じて提供、共有する取り組みがなされるべきである。我々は、貧困削減、国家的な能力開発の強化及び国内技術開発の推進を、途上国において持続的にデジタル・ディバイドを解消するための基本的な要素として認識する。
  88.  我々は、政府の国際協力及びすべての関係者の提携により、開発のツールとしてのICTの可能性を最大限引き出すという挑戦に成功すること、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標の達成における情報と知識の利用を推進すること、国家及び地方の開発優先事項に取り組むことにより、人類すべての社会経済的発展をさらに増進することができると改めて確認する。
  89.  我々は、すべての関係者の国際的な連携強化を通して技術交換・技術移転及び人材開発・訓練を推進することで、国際・地域・国家レベルでのICTへの接続状況と、手ごろな料金でのアクセスを向上する決意である。これにより、途上国は革新を進め、情報社会に完全なかたちで参加し貢献する能力を向上させることができる。
  90.  我々は、ICTが経済成長及び開発に果たす役割を認識した上で、すべての人々に対して情報及び知識への平等なアクセスを提供するというコミットメントを改めて確認する。我々は、接続性を向上し、ICTへのユニバーサルで、ユビキタスな、平等、非差別的かつ手ごろな料金でのアクセスと利用を推進していくためのグローバルな指標であり、各国の事情を踏まえ、2015年までの達成を目指すジュネーブ行動計画に示された目標を達成すること、及びミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標を達成するツールとしてICTを利用することに全力を傾ける。具体的には次の取り組みを行う。
    • a) 地方・国家・地域行動計画全般にわたって、地方及び国家の開発優先度に従い、必要に応じ、期限を定めた措置を組み込んだ国家e戦略を導入し、提携する。
    • b) 国家の現実を反映し、関連市場及び文化的文脈を考慮しつつ、特に中小企業(SMME)の起業家精神を促進・助成するために、協力的な国際環境、海外直接投資、及び国内資源の動員を推進する実行政策を策定し、実施する。これらの政策は、これらの目的を支援し、経済成長を強化する競争的な環境を創出するために、透明で公平な規制枠組みに反映されるべきである。
    • c) 生涯教育と通信教育を含む、関連の教育及び訓練のプログラムや制度の改善と提供を通じて、若者、高齢者、女性、先住民族、障害者、遠隔・農村地域の住民を含む全ての人のICT能力を開発し、全ての人のICTの利用における信頼性を向上させる。
    • d) 特にICTに関する科学技術における、少女及び女性が情報社会構築の意思決定プロセスに参加し、積極的に関与することを促し、推進するために効果的な訓練と教育を実施する。
    • e) 障害者を含めたすべての人々のアクセスを推進するためのユニバーサルデザインの概念の形成と支援技術の利用に特別な注意を払う。
    • f) ますます融合が進む技術環境、能力開発及びローカルコンテンツを通じた、地域社会レベルを含むすべてのレベルにおける、ハードウェアと、ソフトウェア及び接続性への手ごろな価格でのアクセスを提供することを目指す公共政策を推進する。
    • g) 特に、緊急時対応における国際協力や、生活の質及び環境状態の改善の支援のための医療専門家へのアクセス及びその間のネットワーク構築などの分野における世界の保健知識及び遠隔治療サービスへのアクセスを改善する。
    • h) 郵便網及び郵便サービスへのアクセスと利用を向上させるため、ICTに関する能力開発を図る。
    • i) ICTを利用して農業の知識へのアクセスを向上し、貧困を撲滅し、地方の農業関連コンテンツの制作とコンテンツへのアクセスを支援する。
    • j) オープンスタンダードに基づき、すべてのレベルにおいて電子政府システムの成長と相互運用性を強化する電子政府アプリケーションを開発、導入し、政府の情報とサービスへのアクセスを促進し、いつでも、どこでも、誰でも、何でも利用可能なICTネットワークの構築及びサービスの向上に貢献する。
    • k) 私的・公共教育、研究、革新を支援するために、デジタル形式のものも含め、多種多様なコンテンツを開発し、平等で、オープンで、手ごろな料金でのアクセスを提供し、及び保存するという役割における図書館、公文書保管所、博物館を含む教育、科学、及び文化施設を支援する。特に、情報への自由で平等なアクセスを提供し、ICTリテラシー及び、とりわけ他のサービスを十分に受けることのできない地域をはじめとするコミュニティにおいて接続性を高めるという図書館の公的サービスとしての役割に対する支援を行う。
    • l) すべての地域において、地方言語や先住民族の言語でコンテンツを制作するコミュニティの能力を強化する。
    • m) 国、地域、国際レベルにおける高品質のeコンテンツの作成を強化する。
    • n) 情報、文化及び知識に対するユニバーサルアクセスを助成するため、伝統的な及び新たなメディアの利用を推進し、特に、弱い立場にある人々及び途上国の人々に対するアクセスを助成する。とりわけ、教育・学習ツールとして、ラジオとテレビを活用する。
    • o) メディアの独立性、多元性及び多様性及び情報の自由を、必要に応じて国内法の整備を通じ、再確認する。メディアによる、倫理・職業上の最も高い基準に基づいた、情報の責任ある使用及び取り扱いを改めて要求する。特にインフラ、技術資源及び人々の能力の向上に関する、メディアに影響を及ぼす国際的な不均衡の是正の必要性を再確認する。これらの再確認は、ジュネーブ基本宣言の第55項から59項に参照される。
    • p) ICT企業及び起業家に対し、ICTの使用と製造、及びICTの廃棄物の処理が人々と環境に与える悪影響を最小限に抑えるために、環境に配慮した生産プロセスを開発し採用することを強く奨励する。この際、途上国の固有のニーズに特に注意を払うことが重要である。
    • q) ICTを利用した虐待と搾取から子供や若者を保護するための規制、自主規制、及びその他の有効な政策と枠組みを国家行動計画及びe戦略に組み込む。
    • r) 科学、技術及び高等教育における連携を向上させるため、国・地域・国際的なレベルにおける先進的な研究ネットワークの開発を推進する。
    • s) 地域社会レベルにおいて、ICTの開発面での影響を最大化するためボランティア活動を推進する。
    • t) 在宅勤務を含め、生産性の向上と、雇用創出につながる柔軟な労働体制を増進するためのICTの利用を推進する。
  91.  我々は、防災、持続可能な開発、及び貧困削減との間に本質的に存在する関係と、災害が非常に短期間のうちに投資に深刻な打撃を与え、持続的な開発と貧困撲滅に対する大きな障害となっていることを認識する。我々は、国・地域・国際的なレベルにおけるICTの以下のような重要な役割を明確に認識する。
    • a) 危険にさらされている人々に理解可能な警告を広く知らせるなど、災害の早期警報・管理・緊急通信におけるICTツールの利活用について技術協力を推進し、国の能力、特に途上国の能力を増進する。
    • b) 災害管理のための情報への容易なアクセス及び共有について地域的・国際的協力を推進し、途上国が参加しやすい方法を探究する。
    • c) 標準に基づいた監視と、国・地域のネットワークにリンクした世界規模の早期警報システムの確立に向けて迅速に取り組み、世界中での緊急災害時対応を、特にリスクの高い地域について、促進する。
  92.  我々は各国及び他の全ての関心ある主体が適当な資源を動員する必要性を考慮しつつ、子供のためのヘルプラインの用意するよう奨励する。この目的に従い、すべての電話から無料でかけられる簡単に覚えられる番号を用意すべきである。
  93.  我々は、将来の世代の利益のために、歴史的なデータや文化遺産のデジタル化を追求する。我々は、情報の長期保存と継続的なアクセスを保証する手段としての、標準に基づいたデジタルアーカイブ作成と、技術の老朽化・陳腐化に対処するための革新的な解決策の使用を含む、公共部門及び民間セクターにおける効果的な情報管理方針を奨励する。
  94.  我々は、すべての人々が情報社会のもたらす可能性の利益を享受すべきであると認知する。このため、我々は政府に対し、国際法及び国連憲章に沿わず、対象国の国民による経済・社会的発展の完全な達成を妨害し、国民の幸福を妨げるような一方的措置の影響を受けている国を任意に支援することを勧める。
  95.  我々は国際組織及び政府間組織に対し、たとえば企業の競争力の向上などを通して、経済成長及び貧困緩和につながる、ICT関連の事項・政策・活動の実践的で反復可能な経験に基づき、承認された資源の範囲内で、政策分析及び能力開発プログラムを開発することを呼びかける。
  96.  我々は、信頼できる、透明で、非差別的な法律・規制・政策環境を構築する重要性を想起する。この目的に従い、我々はITU及び他の地域的組織が、関連する国際合意に基づき、すべての国による無線周波数帯の合理的・効率的・経済的な利用、及び無線周波数帯への公平なアクセスを保証するために必要な措置をとるべきことを改めて表明する。
  97.  我々は、多数の関係者の参加が、人間中心の、包括的で開発志向の情報社会の構築の成功に不可欠であり、政府がこの過程で重要な役割を果たす可能性があることを認知する。我々はすべての関係者が、WSISの成果の実施に参加すること、及び国・地域・国際的なレベルで、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標を各国において達成できるように支援するという全般的な目的の下、それらのフォローアップに参加することが成功の重要な鍵となることを強調する。
  98.  ジュネーブ及びチュニスの成果が効果的に実施されるように、たとえば官民パートナーシップ(PPP)を含む国・地域・国際的な多数の関係者の連携の推進や、各国・地域の多数の関係者のテーマ別基盤の推進を通して、途上国、後発開発途上国、開発パートナー、及びICT分野の関係者との共同の取り組み及び対話により、我々は関係者間の協力の強化と継続を奨励する。この観点から、我々はITU主導の取り組みである「Connect the World」などのパートナーシップを歓迎する。
  99.  我々はWSISのチュニスフェーズ閉幕後もWSISの目標に向けた進捗の持続を保証することに合意し、このため、国・地域・国際的レベルにおける実施とフォローアップのメカニズムを確立することを決定する。
  100.  国家レベルでは、WSISの成果に基づき、政府に対し、すべての関係者の参加により、環境整備の重要性を念頭に置きながら、次の国家実施メカニズムを構築することを奨励する。
    • a) 国家e戦略は、必要に応じ、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標の達成への貢献を目指した、貧困削減戦略を含む国家開発計画の不可欠な一部であるべきである。
    • b) ICTは、より効果的な情報共有と開発パートナー間の調整を通して、また、開発のためのICTのプログラムにおける経験から得た成功事例と教訓の分析を通して、政府開発援助(ODA)の戦略の主流に完全に導入されるべきである。
    • c) 政府の国内レベルでの実施取り組みの支援には、必要に応じて、国連開発援助枠組みの下にあるものも含めた、既存の二国間及び多国間技術支援プログラムを利用するべきである。
    • d) 共同国別評価の報告書には、開発のためのICTに関する要素を含めるべきである。
  101.  地域レベルでは:
    • a) 政府からの要請に従い、地域の政府間組織は他の関係者と連携し、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標の達成に焦点を当てながら、地域レベルでの情報及び成功事例の交換、開発におけるICT利用に関する政策議論の促進など、WSISの実施活動を行うべきである。
    • b) 国連地域委員会は、加盟国の要請に基づき、承認された予算資源内で、地域及び準地域機関と連携して地域的なWSISフォローアップ活動を適切な頻度で組織できる。また、加盟国に対し、地域戦略の策定と地域会議の成果の実施のための技術情報及び関連情報について支援を行うこともできる。
    • c) 我々は、多数の関係者のアプローチ、及び地域のWSIS実施活動における民間セクター、市民社会、国連、その他国際機関の参加を不可欠であると考える。
  102.  国際レベルでは、環境整備の重要性を念頭に置きながら:
    • a) サミットのジュネーブフェーズ及びチュニスフェーズの成果の実施とフォローアップにおいては、サミット文書の主な主題や行動方針を考慮に入れるべきである。
    • b) 各国連機関はそれぞれの権能及び能力に従って、また、それぞれの管理機関の決定に従って、既存の承認された資源の範囲内で活動すべきである。
    • c) 実施とフォローアップでは、政府間及び多数の関係者の要素も含めるべきである。
  103.  我々は、国連総会決議57/270Bに沿って、国連機関及び他の政府間組織に対し、市民社会及び民間セクターを含む様々な関係者間の活動を促進し、各国政府の実施努力を助けることを勧める。我々は国連事務総長に対し、国連システム調整委員会(CEB)の構成員と諮問の上、CEB内に、国連の関連機関及び組織から構成され、WSISの成果の実施の促進を使命とする情報社会に関する国連グループを設置すること及び、CEBに対し、このグループの指導機関の検討にあたり、ITU、UNESCO及びUNDPがWSISプロセスの中で行ってきた経験及び活動を考慮に入れるよう勧めることを要請する。
  104.  我々はさらに、国連事務総長に対し、2006年6月までに、フォローアップの過程についての勧告を含めたWSISの成果の実施における機関間の調整の様式について、ECOSOCを通じて国連総会に報告を行うことを要請する。
  105.  我々はECOSOCがWSISジュネーブフェーズ及びチュニスフェーズの成果の広範囲な制度的フォローアップを監督するよう要請する。このため、我々はECOSOCに対し、2006年の通常総会において、多数の関係者の手法を考慮しつつ、その強化の検討も含め、開発科学技術委員会(CSTD)の権能、議事及び構成を再検討することを求める。
  106.  WSISの実施とフォローアップは、主要国連会議における国連の統合されたフォローアップの不可欠な一部を成し、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標の達成に貢献すべきである。新規運営機関の設立は必要とすべきではない。
  107.  国際組織及び地域組織は、途上国のICT部門の成長について公平な機会を作り出す目的をもって、各国のICTへのユニバーサルアクセスを定期的に評価し報告すべきである。
  108.  我々は国際的なレベルにおける、行動計画の主題及び行動方針を考慮して組織され、必要に応じて国連機関により調整あるいは促進される多数の関係者による実施を非常に重大視している。この文書の別添に、ジュネーブ行動計画の行動方針における調整機関/促進機関の指示的及び非限定的なリストが示されている。
  109.  WSISプロセスにおける国連機関の経験及び活動、特にITU、UNESCO及びUNDPによるものは、引き続き最大限活用されるべきである。これらの3つの機関は、行動計画の実施において、先導して促進的な役割を果たし、別添に示すように、行動方針の調整機関/促進期間の会議を組織すべきである。
  110.  多数の関係者による実施活動の調整を行うことにより、活動の重複を避けることができる。これは特に、情報交換、知識の創造、成功事例の共有、多数の関係者と公共/民間のパートナーシップの構築の支援を含むべきである。
  111.  我々は、国連総会(UNGA)に対し、2015年までにWSISの成果実施の全般的な見直しを行うことを決定する。
  112. 我々は第113項から120項に示したような、合意された手法を使用して定期的な評価を行うことを呼びかける。
  113.  地域社会の接続状況を示す指標など、適切な指標とベンチマーキングによって、国内外におけるデジタル・ディバイドの規模を明らかにし、定期的に評価を行い、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標の達成のためのICTの利用における進捗をグローバルに把握しなければならない。
  114.  ICT指標の設定は、デジタル・ディバイドの測定に重要である。我々は、2004年6月に「Partnership on Measuring ICT for Development(開発のためのICT測定に関するパートナーシップ)」とその取り組みが次のように開始されたことを指摘する。
    • a) 共通の中核的なICT指標群を設定する。国連統計委員会による策定、さらなる検討及び決定のための相互に合意された枠組みを設定するとともに、国際比較が可能なICT関連の統計の利用を増やす。
    •  b) 途上国において情報社会を観測するための能力開発を推進する。
    •  c) 開発、貧困削減に対するICTの現在の影響及び影響の可能性を評価する。
    •  d) デジタル・ディバイドを様々な次元で測定するため、特定のジェンダー別指標を設定する。
  115.  我々はまた、「Partnership on Measuring ICT for Development(開発のためのICT測定に関するパートナーシップ)」内で定義された、核となる一連のICT共通指標に基づく「ICT Opportunity Index(ICT機会指数)」及び「Digital Opportunity Index(デジタル機会指数)」の発足を指摘する。
  116.  我々は、すべての指数と指標が、開発の段階と各国の事情の違いを考慮に入れなければならないことを強調する。
  117.  これらの指標の今後の発展に関する作業は、連携して、費用対効果が高く、重複しない方法で進めるべきである。
  118.  我々は国際社会に対し、国及び地域レベルで適切な支援を行うことにより、途上国の統計能力を強化することを勧める。
  119.  我々は、各国間の開発段階の違いを考慮しつつ、情報社会構築に向けた取り組みと国際協力の効果を評価し、取り組みにおける欠落や不足を発見し、対応のための戦略を練り、ミレニアム開発目標をはじめとする国際的に合意された開発目標を達成することを目指して、デジタル・ディバイドの解消に関する進捗を見直し、フォローアップを行うことを約束する。
  120.  WSISの成果の実施に関連する情報の共有は、評価における重要な要素である。我々は、チュニスフェーズの間に発足した取組をまとめた「ゴールデン・ブック」とともに、サミットのチュニスフェーズの開幕以降も、フォローアップを支援するための貴重なツールのひとつとなる、WSIS関連活動の蓄積に関する報告書を、謝意をもって指摘する。我々はWSISの関係者に対し、それぞれの活動に関する情報を、ITUが維持する公共のWSISストックテーキングデータベースに今後も提供していくことを奨励する。この観点から、すべての国に対し、全ての関係者の関与により国家レベルで情報収集を行い、ストックテーキングに貢献することを勧める。
  121.  インターネットを一般市民が真に利用できるグローバルな設備とするため、その認識を高める必要がある。我々は国連総会に対し、毎年5月17日をWorld Information Society Day(世界情報社会デー)と宣言し、このグローバルな設備の重要性、サミットで扱われた諸課題、特にICTの利用が社会や経済にもたらす可能性、デジタル・ディバイドを解消する方法について認識を高めることを支援するよう要請する。
  122.  我々はサミット事務局長に対し、国連総会決議59/220で求められているように、サミットの成果を国連総会に報告することを要請する。

別添

行動方針 調整機関/促進機関の候補
C1. 開発のためのICT利活用における公的政府当局及び全ての関係者の役割 ECOSOC/国連地域委員会/ITU
C2. 情報通信インフラ ITU
C3. 情報・知識へのアクセス ITU/UNESCO
C4. 人材開発 UNDP/UNESCO/ITU/UNCTAD
C5. ICTの利用における信頼性とセキュリティの確立 ITU
C6. 環境整備 ITU/UNDP/国連地域委員会/ UNCTAD
C7. ICTアプリケーション  
  ・ 電子政府 UNDP/ITU
  ・ eビジネス WTO/UNCTAD/ITU/UPU
  ・ eラーニング UNESCO/ITU/UNIDO
  ・ eヘルス WHO/ITU
  ・ e雇用 ILO/ITU
  ・ e環境 WHO/WMO/UNEP/UN-Habitat/ITU/ICAO
  ・ e農業 FAO/ITU
  ・ eサイエンス UNESCO/ITU
C8. 文化的多様性と独自性(アイデンティティ)、言語の多様性、ローカルコンテンツ UNESCO
C9. メディア UNESCO
C10. 情報社会の倫理的側面 UNESCO/ECOSOC
C11. 国際的及び地域的協力 国連地域委員会/UNDP/ITU/UNESCO/ECOSOC