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国連世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)

東京ユビキタス会議:2005年5月16日の会議の様子

飯田紀子
(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター

モンティエン氏の写真
”私たちはユビキタスネットワークから(私たちが)提案するユニバーサルデザインの概念と支援技術の使用を省くことは出来ないと信じています。”

2005年5月16日に東京・京王プラザで開催された東京ユビキタス会議第1日目のオープニング・ステートメントにおいて、市民社会代表及び障害者団体代表としてタイ視覚障害者協会会長、モンティエン・ブンタン氏はこのように述べた。

ユビキタス社会は、技術中心の社会と捉われがちである。
しかし、真のユビキタス社会とは、人間中心の情報社会でなくてはならない。

ブンタン氏は、今後、情報社会が飢饉や貧因の撤廃、世界中の全ての人々に対して基本的な教育を受ける手助け、子供の死亡率を減らし、HIV、マラリア、その他の病気に対する取り組み等を改良するに役立てなければならないと話した。

また、ユビキタスネット社会の実現にあたっては、オープンで誰もが参加可能にしなければならず、その為にユニバーサルデザインと支援技術の必要性を強く語った。

同会議は、ユビキタスネット社会に関するWSISのテーマ別会合を開催し、その実現に向けた具体的方策や想定される課題への取組みについて提言をまとめることが目的として開催された。同会議(16日・17日)は各国政府、国際機関、市民社会等より85カ国・約600名の参加があり、それぞれの立場からの意見を寄せた。

一日目は、TRONの坂村健東大教授、マサチューセッツ工科大学(MIT)教授・メディアラボ所長のニコラス・ネグロポンテ教授の基調講演があった。

坂村教授は、コンピューターを様々なモノに組み込むことにより、身障者用のナビゲーションシステムが可能になったり、薬や食べ物の安全性を得ることが出来ることを実際の実験結果と共に述べた。また、ユビキタス社会が進展するに従って、対応した社会の仕組みが必要不可欠であると述べた。

ネグロポンテ教授は、(様々な問題を解決する為に)教育が最も大切なことであり、発展途上国を中心に同教授が取り組んでいる子ども1人につき1台のノートPCを学校が提供出来るようにするプロジェクトについて発表し、PCが教科書の代わりになる可能性を示唆した。

テーマ別会合ではセッション2「人材育成(知識共有)の拡充」において教育という視点の中で途上国の問題などが積極的に話し合われた。

アフリカ バーチャル大学学長 クズビネスタ・ピーター・ズボンビ氏はアフリカの通信及びPC環境は欧米に比べかなり遅れがあり、通信を通じての知識共有は現在、困難があるとの問題点を述べた。

本セッションを通じて、

  • ブロードバンドのような帯域幅
  • コンテンツの開発、共有及び発信に関連し、柔軟性、適応性の促進
  • ユビキタスに関連した鍵となる領域において人材育成を支援

を通じてユビキタス社会の実現に向けてのサポートが必要であるとの結論に達した。