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「共生のまち」ガイド

現地調査に関するマニュアル

現地調査と調書の作成方法(建物関係)

1.調査対象
    公共的建築物・公共交通機関(駅舎・バスターミナル・港湾旅客施設)、路外駐車場

2.調査時の注意事項

  • 調書第1頁の項目については、施設抽出時に作成したリストから事前に判る項目について記入しておき、不明な箇所は管理者へのヒアリングにより確認する。
  • 事前の資料等で不明な箇所と立ち入りが困難な部分(女子トイレ等)については、ヒアリングにより確認する。
  • 用途及び規模等により、県条例に基づく施設整備マニュアル50~53頁の整備基準適応表に照らして要望偏箇所のチェックリストの空欄部を埋める。
  • 調査時に対象となる施設の棟が複数となる場合には、それぞれ個別に調書を作成する。
  • (ただし、1棟が条例による適用範囲に満たないものは除く)
  • 事前に各施設の配置図・設計図等の入手は行わないので、別紙の方眼紙に「敷地内通路」、「外部出入口」、「駐車場」、その他の主要な箇所について状況をスケッチする。
  • 条例に照らし不適格な箇所については適宜写真を撮り(必ず管理者の了解を得る)、整備の可能性を調査する視点に立って、状況をスケッチ・メモ等により記述しておく。

3.各項目の記入方法

 (1)調書ヘッダー部分

   イ.調査年月日
      現地調査を行った日付
       例:H6・9・1
   ロ.建築物の名称
       例:県立○○病院
   ハ.建築物の管理者
      該当する区分に○印
   ニ.ホ.建築物の規模
        地上階数及び地下階数……ニ
        延べ面積        ………ホ
         例: 地上5階・地下1階・延べ面積 5,000㎡
   ヘ.所在地
       建築物の住所
各項目の記入方法
   ト.建築物の主用途
       下表参照(省略記号で可)

省略記号 用途区分 省略記号 用途区分 省略記号 用途区分
老人福祉施設等 公共の交通機関の施設 遊技場
社会福祉施設等 金融機関の営業所等 複合用途の共用部分
医療施設 理容所及び美容所 地下街等
官公庁施設 公衆浴場 路外駐車場等
学校等 郵便局等 共同住宅
図書館等 劇場、映画館、演芸場及び観覧場 寄宿舎
体育館等 公会堂及び集会場 事務所及び工場
物品販売を営む店舗 ホテル及び旅館  
飲食店 展示場

チ.外来者の利用に供する部分の概要
      例:(用途)受け付け、診療室等:1,500㎡(階)   1F
         (用途)病室等        :3,500㎡(階)2F~5F
各項目の記入方法

 (2)整備箇所のチエックリスト

  施設の用途及び面積から要整備となる項目の欄に○印を付け、調査の必要な箇所を明確にする。

  ※県条例に基づく施設整備マニュアル50~53頁の整備基準適応表参照。

  前頁の医療施設で駐車場に30台以上の区画がある場合については、右表の内容となる。
条件による該当施設の整備基準適用表
条件による該当施設の整備基準適用表の図

4.調査箇所例

敷地内通路
  ※ 道路から外部出入口(玄関)に至る主要なルートについて調査する。

 イ.主要な通路に接する道路と建築物の外部出入口との高低差
    主要なルートに生じている高低差を概略値で記入
 ロ.~チ.主要な通路の傾斜路
   ・段差がある場合、車いすでの通行ができるように傾斜路が設置されいるかを調査………ロ
     (段差が無い場合は、以降不要ハ~チ)
     全部…段差すべてを解消するように設置されているとき
     一部…一部分しか設置されていないとき
   ・設置されいる傾斜路の有効幅員を計測……ハ
     (90㎝以上あれば適)
   ・設置されいる傾斜路のこう配を計測………ニ
     (高低差10㎝以上…5度、8%、1/12以下が適)
     (高低差10㎝未満…8度、13%、1/8以下が適)
   ・側面が壁でない場合に脱輪防止用の立ち上がり措置がなされているかを調査
   ・手すりの設置状況と高さを計測…………………………ホ
     (高さは75cm~80cmが適)
   ・傾斜路の通路面の仕上げについて調査…………………ト
     (滑りにくい仕上げとなっているものが適)
   ・傾斜路が無く段差が残っている箇所の状況をメモ……チ
 リ.主要な通路の有効幅員
    主要なルートの有効幅員を計測(90㎝以上あれば適)
      十分広ければ概略値で記入(3m以上)
 ヌ.~ヲ.主要な通路を横切る排水溝
   ・主要なルートを横断する排水溝が設置されているかを調査……………ヌ
   ・滑りにくい表面のふたが設置されているかを調査………………………ル
   ・車いすのキャスターが落ち込まないふたが設置されているかを調査…ヲ
 ワ.自動軍用通路との分離
    主要なルートが自動車の通行部分と分離されているかを調査
 カ.高低差が生じる箇所への視覚障害者誘導用ブロックの設置
   ・階段の起終点箇所などへ警告ブロックが敷設されているかを調査
   ・敷地が広く玄関口まで誘導するためのプロックが敷設されている場合は備考欄に記入
   ・敷設箇所を道路の誘導用プロック記入方法を用いてスケッチする
傾斜路の例
傾斜路の例の図

 外部出入口

  ※ 前項の敷地内通路から屋内に入るための外部出入口(玄関)について調査する。

 イ.外部出入口の有効幅員
    戸の部分の有効幅員を計測(80㎝以上あれば適)
 ロ.外部出入口の形式
    戸の形式を調査
     (引き戸式、手動の開き戸、押しボタンスイッチ式以外の自動ドア等が適)
 ハ.透明な戸に衝突を防止する設置
    全面がガラスのとき視覚障害者に配慮した衝突防止のための標示がなされているかを調査
 ニ.開閉に必要なスペース
    車いす使用者のために戸を開閉するためのスぺースが確保されているかを調査
 ホ.前後に視覚障害者誘導用ブロックの設置
   ・出入口の前後に注意を喚起するための警告ブロックが敷設されているかを調査
   ・玄関口から内部の受け付け等へ誘導するためのブロックが敷設されている場合は備考欄に記入
   ・敷設箇所を通路の誘導用ブロック記入方法を用いてスケッチする
外部出入口の図
 廊下等

  ※ 建物の出入口から利用に供する各部屋までの廊下及び旅客用通路について調査する。
    (玄関ホールやロビー等の移動経路も含める)

 イ.有効幅員
    廊下の有効幅員を計測
    (手すりの設置等を考慮するとき建築基準法に定める有効幅員を確保しなければならないので注意を要する)
 ロ.床面の高低差
    廊下の移動経路に生じている高低差を概略値で記入
 ハ.~チ.廊下の傾斜路
    敷地内通路のロ.~チ.の項目参照
 リ.柱及び曲がり角の出隅の隅切り又は面取りの借置
    曲がり角に隅切り又は面取り措置がなされているかを調査
 ヌ.車いす転回所
    延長が25mを超え、かつ避難階又は居室の床面積の合計が20㎡を超える階にある廊下等にあっては、幅及び奥行きがそれぞれ140㎝以上の部分が、廊下等の末端からそれぞれ10m以内の位置及び当該部分の中心間の延長50m以内ごとに確保されているかを調査
 ル.手すり
    手すりの設置状況と高さを計測
      (高さは75㎝~80㎝が適)
 ヲ.滑りにくい仕上げの配慮
    通路面の仕上げについて調査
      (滑りにくい仕上げとなっているものが適)
廊下等の図
 案内

  ※ 設置されている案内等について調査する。

 イ.外部出入口付近への案内板の設置
 ロ.案内板の高さ及び文字の大きさ
    設置されている案内板の高さ、照明及び文字の大きさ等、高齢者が見やすいものであるか調査する
 ハ.点字による表示
    床置き式のものなど点字による表示の配慮がなされているかを調査
 ニ.車いすで利用できる便所がある場合の位置表示
    車いす使用者が利用可能な便所が設置されているとき、その位置を示す表示があるか調査
案内、触知図案内板の設置例の図
 記載用カウンター

  ※ 外来者が利用する記載用のカウンターがある場合について調査する。

 イ.記載用カウンターの設置
 ロ.記載用カウンターの高さ
    カウンターの高さを計測
     (75㎝程度あれば適)
 ハ.記載用カウンターの下部スペース
    カウンター下部の高さと奥行きを計測
     (高さ65㎝以上、奥行45㎝以上あれば適)
記載用カウンターの図
 駐車場

  ※ 外来者が通常利用する駐車場がある場合について調査する。

 イ.駐車場の設置
 ロ.駐車場の外部出入口までの通路の床面の高低差
    駐車場から建物の外部出入口までの通路に生じている高低差を概略値で記入
 ハ~リ.通路の傾斜路
    敷地内通路のロ.~チ.の項目参照
 ヌ.車いすで利用できる区画の設置
    車いす使用者が乗降できる区画があるか調査
 ル.区画の幅
    車いす使用者が乗降できるる区画の幅を計測
     (310㎝以上が適)
 ヲ.駐車場の外部出入口付近への設置
    車いす使用者が乗降できる区画が外部出入口の近くに設置されているかを調査
 ワ.国際シンボルマーク、その他の表示
    障害者のための国際シンボルマークその他の標示があるか調査
 カ.出入口付近への標示・案内の設置
    路外駐箪場等については、出入口付近に車いす使用者が乗降できる区画が設置してある旨の標示・案内があるかを調査
駐車場の設置、表示板の図
出典 東部計画株式会社

現地調査(点検)の流れと留意点

点検メンバーの集合 ・点検資料・用具の確認
・メンバーの確認
訪問    ↓
あいさつ、点検内容等の説明 ・あいさつ、グループの趣旨、点検活動の趣旨の説明
・点検内容、お願いすること、所要時間の説明
       ↓
点検・実測
(調査用紙記入)
・できれば点検先の人たちに一緒に車いすを押してもらったりして、点検してもらうとよい。
・改善すべき点についても、一緒に考えながら、点検していくとよい。
       ↓
調査用紙記入確認 ・記入漏れがないかチェックする。
       ↓
点検先との話し合い ・点検後の感想を話したり、質問をする。
・点検先の考え方や取り組みを聞く。
・改善点などについて意見交換をする。
・アンケート調査をする。
終了    ↓
退出のあいさつ ・事後のお礼、調査報告も忘れずに。

出典 全国社会福祉協議会
地図