平成18年より、障害者自立支援法が施行されました。障害者が地域において自立した生活を豊かにおくることを支援するために、相談支援事業が市町村の責務として位置づけられ、そのコーディネート機能を担うため、相談支援専門員が配置されています。個々の障害者のニーズを丁寧に聞きとり、そのニーズを充足していくためには、「相談支援専門員」の役割が非常に重要となります。
相談支援専門員は、現在、各都道府県で実施される「相談支援従事者初任者研修」(5日間)を受講し、「相談支援従事者現任研修」(3日間・相談支援従事者初任者研修受講後5年以内)を受講する事により、相談支援専門員としてその業務に従事することになります。適切なケアマネジメントを実施し、相談支援事業を展開するためには、個々の相談支援専門員の力量(知識・技術・倫理など)とそれを支える自立支援協議会などの機能が必要となります。
現在、多くの相談支援専門員がさまざまな地域で活躍し、今後ますますその役割が重視される中、一方では、多くの課題や不安に直面し日常業務に追われながらも頑張っています。そうした相談支援専門員を支えると同時に、さらなる相談の質の向上と担保、地域間格差の低減に向け、継続的な人材養成やフォローアップの仕組みが必要となります。
ここでは、障害者相談支援専門員の継続研修の必要性とプログラム構築に関わる研究として、相談支援に携わる相談支援専門員が現状の中で直面している課題を明らかにするとともに、各都道府県担当者や相談支援従事者初任者研修受講者、現任研修受講者、そして実際の現場の相談支援専門員や養成に携わる講師の方々に対して、アンケートやヒアリングを実施し、人材養成の現状や課題、研修等内容について調査・分析をし、今後のあり方や必要な部分の見直しを提案するものです。
今回の研究成果が、少しでもわたしたち相談支援に携わるものの質の向上につながり、多くの障害者の想いを受け止め、ニーズの充足が図られることに寄与できる事を期待します。
なお、本研究は平成20年度厚生労働省障害者保健推進事業における障害者自立支援調査研究プロジェクトの国庫補助を受けて実施しています。
平成21年3月
社団法人 日本社会福祉士会
障害者相談支援専門員の継続研修の必要性とプログラム構築に関する研究事業プログラム検討委員会