4.結果

4-1.事業所等に関する調査

34 事業所等から調査票が返送され、28 事業所等から事業所に関する調査票が回収された。そのうち記入漏れなどのない回答が24 事業所等から得られた(有効回答率78.6%)。集計した結果を、表4.に示す。

 

(1)利用者数の増加と退院率の低下および支援員数との関連

 平成20 年度の受託事業所数は28 ヵ所、平成15 年度は7ヵ所であり、4倍に増加していた。利用者数はそれぞれ、403 人と112 人で、約3.6 倍に増加した。年々、受託事業所が増え、利用者数も増加していることが分かった。
 一方、事業所の平均利用者数は、平成17 年度が18.0 人であったのに対し、平成18 年度は10.1 人と、半減していた。平成20 年度には若干増加しているものの、平成18 年度以降、すなわち精神障害者退院促進支援モデル事業(以下、モデル事業)の終了後、各事業所で受け入れる利用者数が少なくなっていた。全国的にこの事業が広がり受託事業所数は増えたが、一ヵ所あたりの利用者数は減少したことが分かった。
 全体で利用者が増加したのに対し退院者はあまり増えておらず、退院率はモデル事業終了後の平成18 年度以降、かなり低下していた。平成20 年度には退院率が最も低くなり21.6%、次いで平成18 年度には30.5%であった。平成18年度以降は、退院者数0人の事業所数の割合が高くなっていた。
 また、利用者と支援員の人数の割合を算出したところ、平成18 年度が1.2人と、最も低かった。平成18 年度は一人の支援員が担当している利用者の人数が最も少ないのにもかかわらず、退院率が低いという結果であった。

 

(2)補助金

1)事業所等当たりの補助金額
 事業所の平均補助金額は、平成18 年度が最も低く約755 万円、平成20 年度が最も高く約926 万円であった。モデル事業の終了後低くなったが、平成20年度に精神障害者地域移行支援特別対策事業(以下、地域移行事業)となって、高くなったことが分かった。ただし、平成20 年度は、1事業所あたりの補助金額が1,200 万円から1,300 万円の都道府県が増えたことによって平均値が上がっているが、その他の事業所については、平成19 年度と同等であった。

2)支援員あたりの補助金額
補助金額と支援員数ともに回答のあった事業所のみについて、補助金額合計を支援員数合計で除し、支援員一人あたりの補助金額の平均を算出した。なお、支援員数は、常勤と非常勤を合わせた人数であり、各支援員の勤務時間等を変数として投入していない。
 その結果、平成19 年度が最も高く約159 万円、平成16 年度が最も低く約78万円であった。年度や事業所によって非常にばらつきが大きく、最も高い値は約740 万円、最も低い値は約2万5千円であった。最も低かったところでは、全支援員が非常勤であった。

3)利用者あたりの補助金額
補助金額と利用者数ともに回答のあった事業所のみについて、補助金額合計を利用者数合計で除し、利用者一人あたりの補助金額を算出した。その結果、平成19 年度が最も高く約77 万円、平成16 年度が最も低く約50 万円であった。
 支援員と同様に、年度や事業所によって非常にばらつきが大きく、最も高い値は約1,207 万円、最も低い値は約2万5千円であった。

4)退院者あたりの補助金額
補助金額と退院者数ともに回答のあった事業所のみについて、補助金額合計を退院者数合計で除し、退院者一人あたりの補助金額を算出した。その結果、平成20 年度が最も高く約261 万円、平成17 年度が最も低く約94 万円であった。
 この値も、年度や事業所によって非常にばらつきが大きく、最も高い値は約1,704 万円、最も低い値は約5万円であった。


表4.事業の実施状況等

  平成
15
年度
平成
16
年度
平成
17
年度
平成
18
年度
平成
19
年度
平成
20
年度
受託事業所数(28 ヵ所中) 7 8 8 14 24 28
常勤支援員平均(人/事業所等) 0.7 0.9 0.9 1.5 1.4 1.2
非常勤支援員平均(人/事業所等) 6.8 10.3 10.0 6.8 4.0 4.5
利用者/支援員(人) 2.0 1.6 1.7 1.2 2.0 2.5
利用者数合計(人) 112 160 162 151 260 403
     平均(人) 16.0 17.8 18.0 10.1 10.4 14.4
利用者0人の事業所数 1 1 1 1 1 0
退院者数合計(人) 46 60 78 46 101 87
    平均(人) 6.6 6.7 8.7 3.1 4.0 3.1
退院者0人の事業所数 1 1 1 6 8 10
中断者数合計(人) 11 13 11 10 30 47
    平均(人) 1.6 1.4 1.2 0.7 1.2 1.7
退院率(上欄より算出) 41.1% 37.5% 48.1% 30.5% 38.8% 21.6%
補助金額平均(千円/事業所等) 8570 8695 9000 7547 9067 9263
補助金額/支援員(千円) 1143 782 828 900 1587 1509
    最大値 4404 4404 4324 5681 7400 7120
    最小値 214 25 50 63 474 28
補助金額/利用者員(千円) 559 497 500 672 772 575
    最大値** 465 436 590 6700 11496 12067
    最小値** 200 25 50 269 221 47
補助金額/退院者(千円) 1169 1265 935 2213 1848 2606
    最大値*** 2000 1459 2500 17042 12873 12445
    最小値*** 287 50 67 385 390 267

 

*委託を受けずに実施していた事業所等の数値を含む
**利用者が1名以上であった事業所等のうち最大値と最小値を示した
***退院者が1名以上であった事業所等のうち最大値と最小値を示した

 

4-2.利用者の属性等

(1)利用者の属性

 調査対象となった利用者は123 名で、そのうち記入漏れなどのない122 名の平均年齢は49.9(±12.0)歳であった。男性が83 名、女性が39 名と男性が女性の2倍であり、平均年齢は男性が50.1 歳、女性が49.4 歳であった(表5.参照)。

 

(2)診断名

 有効回答122 名のうち115 名(94.3%)が統合失調症であり、診断名で最も多かった。診断名の内訳を表6.に示す。
 その他の診断名では、15 名のうち精神発達遅滞が11 名(73.3%)と最も多く、次いで人格障害が4名(26.7%)、アルコール依存症が3名(20.0%)であった。 その他の内訳を表7.に示す。
 また、31 名(25.4%)が身体合併症を有していた。身体合併症を有する者のうち8名(25.8%)が糖尿病で、最も多かった。身体合併症の内訳を表8.に示す。

 

(3)手帳の有無

 精神障害者保健福祉手帳の有無について回答のあった122 名のうち52 名(42.6%)が精神障害者保健福祉手帳2級を持っていた。集計した結果を表9.に示す。

 

(4)経済状況

 有効回答122 名のうち42 名(34.4%)が生活保護を受給しており、82 名(67.2%)が障害年金を受給していた。14 名(11.5%)は、生活保護と障害年金を受給していた。


表5.利用者の属性

性別 人数 平均年齢(歳)
男性 83 ( 68.0 ) 50.1
女性 39 ( 32.0 ) 49.4
全体 122 49.9

*( )内は%


表6.診断名

診断名 人数**
統合失調症 115 ( 94.3 )
気分障害 2 ( 1.6 )
不安障害 0 ( 0.0 )
発達障害 4 ( 3.3 )
その他 15 ( 12.3 )
身体合併症あり 31 ( 25.4 )

 

*複数回答
**( )内は%


表7.その他の診断名

診断名 人数**
精神発達遅滞 11 ( 73.3 )
人格障害 4 ( 26.7 )
アルコール依存症 3 ( 20.0 )
認知症 1 ( 6.7 )
統合失調感情障害 1 ( 6.7 )
てんかん 1 ( 6.7 )

*複数回答
**( )内は15 名中の%


表8.合併症

疾患名 人数**
糖尿病 8 ( 25.8 )
肝障害(慢性肝炎・胆石症・慢性C 型肝炎・脂肪肝) 4 ( 12.9 )
肩痛・指の可動制限・歩行困難・下肢3級 4 ( 12.9 )
脳血管障害・脳梗塞・脳出血 4 ( 12.9 )
高血圧 3 ( 9.7 )
高脂血症 3 ( 9.7 )
膝痛 3 ( 9.7 )
腸閉塞・大腸過多・横行結腸ポリープ 3 ( 9.7 )
狭心症・心疾患 2 ( 6.4 )
胃潰瘍 1 ( 3.2 )
泌尿器 1 ( 3.2 )
鉄欠乏性貧血 1 ( 3.2 )
アトピー性皮膚炎 1 ( 3.2 )
全盲 1 ( 3.2 )

*複数回答
**( )内は、身体合併症のある31 名中の%


表9.手帳の有無

診断名 人数**
精神障害者保健福祉手帳  
1級 10 ( 8.2)
2級 52 (42.6)
3級 6 ( 4.9)
なし・申請中・申請予定 51 (41.8)
身体障害者手帳  
2級 1 ( 0.8)
3級 1 ( 0.8)
療育手帳 1 ( 0.8)

*122 名中、( )内は%

 

(5)入院期間等

 入院回数の平均は4.7 回であり、入退院を繰り返している利用者が多かった。
通算入院期間は164.8 ヵ月、直近の入院期間は91.2 ヵ月であった。年数に換算すると、それぞれ13.7 年、7.6 年であり、長期入院の利用者が多くを占めていることが分かった(表10.参照)。

 

(6)退院訓練先

 退院訓練期間中の訓練先について回答を求めた。その結果、地域活動支援センター(地域生活支援センター)の利用と、グループホームでの宿泊訓練が多かった(表11.参照)。また、その他に記載された項目では、病院内での作業療法(OT)と、退院先や施設での宿泊訓練が多かった(表12.参照)。

 

(7)支援期間等

 事業利用者が、退院までのどの段階にあるか、および支援を受けている期間について、回答を求めた。退院の見通しがたっていない利用者は78 名、退院先が決まっている利用者は22 名であり、合わせて入院中の利用者が100 名であった。退院後も継続して支援を受けている利用者は21 名であった(表13.参照)。
 支援開始から調査期間1日目までの期間は、267.9 日(8.9 ヵ月)であった。
 退院までの段階別では、「退院未定」が247.2 日(8.2 ヵ月)、「退院先が決まっている」が274.2 日(9.1 ヵ月)、「退院した」が340.2 日(11.3 ヵ月)であった。また、支援開始から退院までの平均期間は259.4 日(8.6 ヵ月)、退院後支援期間は77.5 日(2.6 ヵ月)であった(表14.参照)。


表10.入院期間等

  平均
入院回数 4.7 回
通算入院期間 163.4 ヵ月( 13.6 年)
直近入院期間  92.2 ヵ月( 7.7 年)
初診年齢 24.4 歳

表11.訓練先

訓練先 人数**
日中活動の場(授産施設・作業所 等) 23 ( 18.9 )
地域活動支援センター(地域生活支援センター) 29 ( 23.8 )
グループホーム 25 ( 20.5 )
援護寮 16 ( 13.1 )
デイケア 21 ( 17.2 )
その他 31 ( 25.4 )

*複数回答
**( )内は%

 

表12.その他の訓練先

 訓練先 人数**
退院先(アパート・マンション) 4 ( 12.9 )
自宅 2 ( 6.5 )
宿泊訓練施設(含むホステル) 4 ( 12.9 )
福祉ホーム 2 ( 6.5 )
院内支援 3 ( 9.7 )
院内OT 5 ( 16.1 )
院内SST 4 ( 12.9 )
院内で支援員が面接 1 ( 3.2 )
退院意欲を高める支援を院内で実施 1 ( 3.2 )
高齢者デイサービス 1 ( 3.2 )
外出 4 ( 12.9 )

*複数回答
**( )内は、31 名中の%

 

表13.退院の予定

 状況  人数**
未定 78 ( 63.9 )
退院先が決まっている 22 ( 18.0 )
退院日が決まっている(退院した) 21 ( 17.2 )
中断 1 ( 0.8 )

*( )内は%

 

表14.支援期間

   期間
支援開始から調査期間1日目まで 267.9 日( 8.9 ヵ月 )
  退院未定 247.2 日 ( 8.2 ヵ月 )
退院先が決まっている 274.2 日 ( 9.1 ヵ月 )
退院日が決まっている(退院した) 340.0 日 ( 11.3 ヵ月 )
支援開始から退院まで** 259.4 日 ( 8.6 ヵ月 )
退院後支援の期間** 77.5 日 ( 2.6 ヵ月 )

*退院後支援を含む
**退院後支援をしている利用者のみについての数値

 

4-3.支援員の有する資格、勤務体系等

(1)支援員の有する資格

 調査対象となった支援員は84 名で、そのうちの42 名(50.0%)が精神保健福祉士であり、半数を占めた(表15.参照)。次いで、社会福祉士、当事者、 看護師が、それぞれ15 名、9名、7名であった。その他の資格では、保健師が最も多く、5名であった(表16.参照)。

 

(2)支援員の勤務体系

 支援員の勤務体系は、常勤が48 名(57.1%)、非常勤が36 名(42.9%)であった。常勤のうち、精神障害者退院促進支援(地域移行支援)専従が14 名(16.7%)、 兼務が34 名(40.5%)であり、非常勤では専従が19 名(22.6%)、兼務が17 名(20.2%)であった(表17.参照)。
 勤務日数については、週に5日であっても非常勤であったり、週に4日であっても常勤であったり、事業所の雇用体系によって異なるようであった。そこで、勤務日数ごとの専従、兼務の人数内訳もクロス集計した。その結果を表18.に示す。

 

(3)退院促進支援(地域移行支援)に費やす時間

 フェイスシートにて、1週間のうち地域移行支援に費やす時間はどの程度であるかについて、回答を求めた。常勤、非常勤と専従、兼務とのクロス集計結果を表19.に示す。
 上述の通り、雇用体系が常勤か非常勤かであるよりも、勤務日数によって異なると思われたので、勤務日数ごとの専従と兼務の支援員それぞれが、地域移行推進員(自立支援員、コーディネーター等)として支援に費やす時間を、クロス集計した。専従の支援員で週5日勤務の場合は、1週間に平均35.7 時間を地域移行支援に費やしており、1日約7時間の勤務時間に相当していた(表20. 参照)。

表15.支援員の有する資格

 資格 人数**
精神保健福祉士 42 ( 50.0 )
社会福祉士 15 ( 17.9 )
作業療法士  1 ( 1.2 )
看護師  7 ( 8.3 )
臨床心理士  1 ( 1.2 )
当事者  9 ( 10.7 )
医師  0 ( 0.0 )
その他 17 ( 20.2 )
不明  1 ( 1.2 )

 

表16.その他の資格

 資格 人数**
保健師 5 ( 29.4 )
介護福祉士 3 ( 17.6 )
介護支援専門員 2 ( 11.8 )
ホームヘルパー1級 2 ( 11.8 )
ホームヘルパー2級 1 ( 5.9 )
ヘルパー(精神障害者対応) 1 ( 5.9 )
ガイドヘルパー 1 ( 5.9 )
社会福祉士主事任用資格 1 ( 5.9 )
栄養士 1 ( 5.9 )
教員 1 ( 5.9 )

*複数回答
**( )内は、17 名中の%

 

表17.雇用体系による支援員の人数内訳

  常勤 非常勤
専従 14 ( 16.7 ) 19 ( 22.6 ) 33 ( 39.3 )
兼務 34 ( 40.5 ) 17 ( 20.2 ) 51 ( 60.7 )
48 ( 57.1 ) 36 ( 42.9 ) 84 ( 100 )

*( )内は%

 

表18.勤務日数による支援員の人数内訳

  週1日 週2日 週3日 週4日 週5日 随時
専従 4( 4.8) 1( 1.2) 2( 2.4) 3( 3.6) 15( 17.9) 8( 9.5) 33( 39.3)
兼務 6( 7.1) 1( 1.2) 0( 0.0) 3( 3.6) 36( 42.9) 5( 6.0) 51( 60.7)
10( 11.9) 2( 2.4) 2( 2.4) 6( 7.1) 51( 60.7) 13( 15.5) 84( 100)

*( )内は%

 

表19.フェイスシートに記載された1週間に退院支援に費やす平均時間-①

雇用体系別 常勤 非常勤
専従 35.1 11.2 21.3
兼務  8.3  3.8  6.4
18.4 7.7 13.2

 

表20.フェイスシートに記載された1週間に退院支援に費やす平均時間-②

勤務日数別 週1日 週2日 週3日 週4日 週5日 随時
専従 2.8 16.0 23.0 19.3 35.7 4.7 21.3
兼務 2.3 1.0 - 6.0 8.6 1.6 6.4
2.5 8.5 23.0 12.7 18.8 3.5 13.2

 

4-4.利用者の受けた支援

 調査期間中の各日について、利用者が調査票の各項目の支援を受けたか受けなかったかの回答を求め、2週間で各項目の支援を複数の支援員から受けた日数を把握した。なお、「10.その他」に記載された事項には、同行支援が多く含まれていた。その為、「10.その他」に含まれた同行支援は、「2.院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行)」の支援に相当すると判断し、集計を行った。

 

(1)利用者が受けた支援

 調査期間に支援項目のいずれかの支援を受けていた日数の平均は3.9 日、どの支援も受けていない日数の平均は10.1 日であった。1週間に約2日の支援を受けていることが分かった。
 項目別にみると、利用者が支援を受けた日数の最も多かった支援は、「7.病院との電話連絡・会議」であり、2週間で平均1.5 日であった。次いで「10.その他」が1.2 日、「3.退院に向けた相談・助言」が0.9 日であった。また、支援を受けた日数が最も少なかった支援は「5.住まい探しの援助」であり、 2週間で平均0.3 日であった。次いで「6.家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言)」が0.4 日、「1.個別支援計画作成(ケア会議など)」が0.5 日であった(表21.参照)。

 

(2)利用者の状況による違い

 

 利用者の退院の予定が、「未定」、「退院先が決まっている」、「退院日が決まっている(退院した)」の段階別に、支援を受けた日数を集計した。その結果、「未定」あるいは「退院先が決まっている」、つまり入院中の利用者は、「7.病院との電話連絡・会議」の支援を受けた日数が最も多かった。「退院日が決まっている(退院した)」利用者は「10.その他」の支援を受けた日数が最も多く、次いで「9.通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議」が多かった(表22.参照)。

 

表21.2週間で1人が受けた支援

No. 支援内容 日数
1 個別支援計画作成(ケア会議など) 0.5
2 院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行) 0.7
3 退院に向けた相談・助言 0.9
4 地域生活移行に関する情報提供および相談・助言 0.7
5 住まい探しの援助 0.3
6 家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言) 0.4
7 病院との電話連絡・会議 1.5
8 役所等との電話連絡・会議 0.7
9 通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議 0.8
10 その他 1.2
  7.8

 

表22.2週間で1人が受けた支援の退院までの段階による比較

    未定 退院先が
決まっている
退院日が決まって
いる(退院した)
1 個別支援計画作成(ケア会議など) 0.6 0.6 0.4
2 院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行) 0.7 1.0 0.6
3 退院に向けた相談・助言 1.0 1.0 0.3
4 地域生活移行に関する情報提供および相談・助言 0.6 0.9 1.0
5 住まい探しの援助 0.3 0.4 0.0
6 家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言) 0.4 0.6 0.4
7 病院との電話連絡・会議 1.5 2.0 1.2
8 役所等との電話連絡・会議 0.5 1.0 0.9
9 通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議 0.7 0.6 1.9
10 その他 0.8 1.0 2.6
  7.1 9.0 9.4

 

4-5.支援員の行った支援

 調査期間中の各日について、支援員が調査票の各項目の支援を何回行ったか、およびそれに要した時間の回答を求め、複数の利用者に対しての合計で、2週間で各支援を行った回数と費やした時間を把握した。
 なお、利用者に関する調査と同様に、「10.その他」に記載された事項には、同行支援が多く含まれていた。その為、「10.その他」に含まれた同行支援は、「2.院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行)」の支援に相当すると判断し、集計を行った。
 また、「10.その他」に記載された事項で、「事業以外の業務」とされていたものについては、回数と費やした時間から除外して集計した。

 

(1)支援員の行った支援回数

 調査期間に支援項目のいずれかの支援を行っていた日数の平均は5.0 日、どの支援も行っていない日数の平均は9.0 日であった。平均では、1週間に2日から3日の支援を行っていることが分かった。勤務日数と雇用体系別にみると、週2日勤務と週3日勤務の専従の支援員は、2週間でそれぞれ9.0 日、9.5 日であった。本来の勤務日以外にも、支援を進めていることが分かった(表23.参照)。
 項目別にみると、支援員が支援を行った回数の最も多かった支援は、「10.その他」であり、2週間で平均4.2 回であった。次いで、「7.病院との電話連絡・会議」が3.3 回、「8.役所等との電話連絡・会議」が2.0 回、「3.退院に向けた相談・助言」と「9.通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議」が1.8 回であった。また、支援を行った回数が最も少なかった支援は「5.住まい探しの援助」であり、2週間で平均0.4 回であった。次いで、「6.家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言)」が0.6 回、「1.個別支援計画作成(ケア会議など)」が1.0 回、「2.院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行)」が1.2 回であった。10項目の合計は、2週間で平均17.8 回であった(表24.参照)。
 これらの回数は、全支援員の平均であり、実際には勤務体系によって異なるものである。常勤と非常勤の比較では、10 項目の合計回数はそれぞれ26.4 回、12.2 回であり、常勤が非常勤の約2倍であった。項目ごとにみると、「4.地域生活移行に関する情報提供および相談・助言」と「6.家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言)」の支援で、その回数に顕著な差異が認められた。「4.地域生活移行に関する情報提供および相談・助言」は、常勤が2週間で2.8 回、非常勤が0.7 回であり、「6.家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言)」は、常勤が2週間で1.1 回、非常勤が0.3 回であった(表25.参照)。どちらも常勤の支援員が、より頻繁に行っていることが分かった。
 勤務日数の比較では、週3日勤務の支援員が、支援を行った回数が最も多く、10 項目の合計回数は2週間で平均52.0 回であった(表26.参照)。次いで、週5日勤務が22.8 回、週4日勤務が16.8 回であった。項目ごとにみると、「2.院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行)」は随時勤務の支援員が多く、「3.退院に向けた相談・助言」は週1日と週4日勤務の支援員が、「4.地域生活移行に関する情報提供および相談・助言」は週1日勤務の支援員が、「5.病院との電話連絡・会議」は週2日勤務の支援員が、「6.家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言)」は週3日勤務の支援員が多く行っていた。


表23.2週間で1人が行った支援日数

  週1日 週2日 週3日 週4日 週5日 随時
専従 1.8 9.0 9.5 5.7 9.7 2.5 5.7
兼務 2.5 4.0 - 3.7 4.7 1.6 3.7
2.2 4.5 9.5 4.7 6.1 2.2 4.7

 

表24.2週間で1人が行った支援回数

No. 支援内容 回数
1 個別支援計画作成(ケア会議など) 1.0
2 院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行) 1.2
3 退院に向けた相談・助言 1.8
4 地域生活移行に関する情報提供および相談・助言 1.5
5 住まい探しの援助 0.4
6 家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言) 0.6
7 病院との電話連絡・会議 3.3
8 役所等との電話連絡・会議 2.0
9 通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議 1.8
10 その他 4.2
  17.8

 

表25.2週間で1人が行った支援回数(雇用体系ごとの集計)

No. 支援内容 常勤 非常勤
1 個別支援計画作成(ケア会議など) 1.2 0.9
2 院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行) 2.0 0.7
3 退院に向けた相談・助言 2.2 1.5
4 地域生活移行に関する情報提供および相談・助言 2.8 0.7
5 住まい探しの援助 0.7 0.2
6 家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言) 1.1 0.3
7 病院との電話連絡・会議 4.1 2.7
8 役所等との電話連絡・会議 3.1 1.4
9 通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議 2.4 1.5
10 その他 6.8 2.4
  26.4 12.2

 

表26.2週間で1人が行った支援回数(勤務日数ごとの集計)

No. 支援内容 週1日 週2日 週3日 週4日 週5日 随時
1 個別支援計画作成(ケア会議など) 0.3
(5.5)
0.5
(5.9)
2.5
(4.8)
0.0
(0.0)
1.4
(6.3)
0.3
(7.1)
2 院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行) 0.7
(12.7)
1.0
(11.8)
1.0
(1.9)
1.3
(7.9)
1.5
(6.5)
0.7
(16.1)
3 退院に向けた相談・助言 1.3
(23.6)
1.5
(17.6)
2.5
(4.8)
4.2
(24.8)
1.9
(8.3)
0.8
(19.6)
4 地域生活移行に関する情報提供および相談・助言 0.8
(14.5)
0.5
(5.9)
5.0
(9.6)
1.5
(8.9)
1.9
(8.4)
0.2
(3.6)
5 住まい探しの援助 0.0
(0.0)
0.5
(5.9)
0.0
(0.0)
0.0
(0.0)
0.6
(2.5)
0.1
(1.8)
6 家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言) 0.3
(5.5)
0.0
(0.0
2.5
(4.8)
0.5
(3.0)
0.7
(3.2)
0.0
(0.0)
7 病院との電話連絡・会議 0.3
(5.5)
1.0
(11.8)
10.5
(20.2)
2.3
(13.9)
4.4
(19.4)
0.6
(14.3)
8 役所等との電話連絡・会議 0.1
(1.8)
1.0
(11.8)
4.5
(8.7)
0.8
(5.0)
3.0
(13.0)
0.2
(5.4)
9 通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議 0.2
(3.6)
0.0
(0.0)
6.5
(12.5)
1.3
(7.9)
2.5
(10.8)
0.4
(8.9)
10 その他 1.5
(27.3)
2.5
(29.4)
17.0
(32.7)
4.8
(28.7)
5.0
(21.8)
1.0
(23.2)
  5.5
(100)
8.5
(100)
52.0
(100)
16.8
(100)
22.8
(100)
4.3
(100)

*( )内は10 項目の合計回数に占める割合(%)

 

(2)支援員が支援に費やした時間

 支援員が費やした時間の最も長かった支援は「10.その他」であり、2週間で平均372.6 分(6.2 時間)であった。次いで、「2.院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行)」が167.1 分(2.8時間)、「1.個別支援計画作成(ケア会議など)」が85.7 分(1.4 時間)、「3.退院に向けた相談・助言」が80.5 分(1.3 時間)であった。また、費やした時間が最も短かった支援は「5.住まい探しの援助」であり、2週間で平均19.6分であった。次いで、「6.家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言)」が20.4 分、「9.通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議」が35.6 分であった。10 項目の合計では、2週間で平均939.8 分(15.7 時間)であった。各項目について集計した結果を表27.に示す。
 これらの時間は、回数と同様に全支援員の平均であり、実際には勤務体系によって異なるものである。項目別ではなく、2週間の合計時間のみについて、雇用体系および、勤務日数ごとに集計した結果を、それぞれ表28.および表29.に示す。
 週5日勤務で専従の支援員が退院支援に費やした時間は、2週間で平均38.5時間であり、フェイスシートの設問に対する回答の1週間で35.7 時間という値の約2分の1であった。

 

表26.2週間で1人が行った支援回数(勤務日数ごとの集計)

No. 支援内容 時間(分)
1 個別支援計画作成(ケア会議など) 85.7
2 院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行) 167.1
3 退院に向けた相談・助言 80.5
4 地域生活移行に関する情報提供および相談・助言 62.0
5 住まい探しの援助 19.6
6 家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言) 20.4
7 病院との電話連絡・会議 54.5
8 役所等との電話連絡・会議 37.3
9 通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議 35.6
10 その他 372.6
  939.8

 

表28.2週間で1人が支援に費やした時間(雇用体系ごとの集計)

雇用体系別 常勤 非常勤
専従 2398.4
( 40.0 )
832.6
( 13.9 )
1496.9
( 24.9 )
兼務 650.2
( 10.8 )
437.8
( 7.3 )
579.4
( 9.7 )
1160.1
( 19.3 )
646.2
( 10.8 )
939.8
( 15.7 )

*単位 :分、( )内は時間

 

表29.2週間で1人が支援に費やした時間(勤務日数ごとの集計)

勤務
日数別
週1日 週2日 週3日 週4日 週5日 随時
専従 290.0
( 4.8)
925.0
( 15.4)
2239.5
( 37.3)
1526.7
( 25.4)
2310.1
( 38.5)
450.1
( 7.5)
1496.9
( 24.9)
兼務 433.3
( 7.2)
0.0
( 0.0)
-
( -)
396.3
( 6.6)
694.5
( 11.6)
151.0
( 2.5)
579.4
( 9.7)
376.3
( 6.3)
462.5
( 7.7)
2239.5
( 37.3)
961.5
( 16.0)
1169.7
( 19.5)
335.1
( 5.6)
939.8
( 15.7)

*単位:分、( )内は時間

 

(3)各支援に要する時間

 各項目の支援を行うのに要する平均時間を算出した。最も時間を要する支援は「2.院外活動にかかわる同行支援(福祉サービスの体験利用、散歩・買い物・役所への同行)」であり、平均で18.6 分(約2時間半)を要していた(表30.参照)。次いで、「1.個別支援計画作成(ケア会議など)」が88.5 分(約1時間半)、「5.住まい探しの援助」が68.4 分(約1時間)であった。
 要する時間の最も短かった支援は、「7.病院との電話連絡・会議」であり、平均で18.6 分であった。次いで、「9.通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議」が20.2 分、「8.役所等との電話連絡・会議」が27.6 分であった。

 

 表30.各項目の支援を1回行うのに要する時間(分)

No. 支援内容 時間(分)
1 個別支援計画作成(ケア会議など) 88.5
2 院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行) 139.7
3 退院に向けた相談・助言 48.6
4 地域生活移行に関する情報提供および相談・助言 42.6
5 住まい探しの援助 68.4
6 家族支援(電話・面接による情報提供および相談・助言) 41.4
7 病院との電話連絡・会議 18.6
8 役所等との電話連絡・会議 27.6
9 通所機関・宿泊訓練先・その他との電話連絡・会議 20.2
10 その他 90.6

 

4-6.「10.その他」に記載された支援

(1)同行支援

 「10.その他」に記載された事項には、同行支援が多く含まれていた。その為、「10.その他」に含まれた同行支援は、「2.院外活動にかかわる同行支援(福祉サービス体験利用、散歩・買い物・役所への同行)」の支援に相当すると判断し、前項(4-4.利用者の受けた支援、および4-5.支援員の行った支援)で集計を行った。
 同行支援に含めた記載事項を以下に示す。

●同行受診
●区役所同行
●知的障害者更生施設見学
●退院後の通所機関の同行支援
●通所施設体験同行
●地域生活支援センターへ同行
●グループホーム見学同伴
●外出支援(昼食)
●喫茶店でコーヒーを飲む練習
●作業療法参加の中での買い物同行支援
●外出同行で利用者が借りてきたDVDを病棟にて鑑賞
●温泉行き同行

 

(2)調査票の支援項目に該当する項目のない支援

 「10.その他」に記載された事項には、会議や研修、事務処理業務が多く、またそれらには長時間を費やしていた。個人記録の記入などは、休日に行われていることも多かった。事項によっては調査票の9項目に分類できるものも含まれていたが、同行支援以外は、回答の通りに「10.その他」として、前項(「4-4.利用者の受けた支援」、および「4-5.支援員の行った支援」)で集計を行った。
 支援内容は、「3.退院に向けた相談・助言」や「6.家族支援」という分類のように、その内容による分類よりも、面接、訪問、事務作業、会議等、その実施方法に共通点を見出しやすいものが多かった。そこで、実施方法ごとに分類した。支援内容による分類の方が分かりやすいものについては、「直接支援」、「退院後支援」、「連絡調整」、「精神障害者地域移行支援特別対策事業以外の業務」の3つに分類した。
 加えて、地域移行事業実施要綱のどの項目に該当するか検討した。その結果を、実施方法による分類は表31.~34.に、支援内容による分類は表34.~35.に示す。なお、事業所によって呼称が異なるものの、同質の内容と思われるものが含まれていたが、概ね回答されていたままに列挙した。

 

表31.「10.その他」に記載された項目の実施方法による分類
および実施要綱の該当項目-①

実施
方法
記載事項 1回に
要する時間
実施要綱項目*
面接 予定利用者と病院で面接 56.0
Max90
Min20
       
インテーク        
体験先を訪問しての面接        
利用者と面接し外出についての打ち合わせ        
院内での面接        
本人と面接      
ピアサポーターとの面談        
自立支援員との顔合わせに同席        
自立支援員と面接        
院内で病院PSWと面接・相談        
担当看護師と面接・相談        

*●:該当する項目、▲:概ね該当する項目、-:該当する項目がない

 

表32.「10.その他」に記載された項目の実施方法による分類および実施要綱の該当項目-②

実施
方法
記載事項 1回に
要する時間
実施要綱項目*
相談
助言
本人から電話があり対応 11.7
Max30
Min 2
       
本人から電話があり、傾聴(不安の軽減)        
病院の周りを散歩して話を聞く        
家族に関して相談・助言        
主治医と処方についての相談      
訪問 デイケアにて利用者と会い、訪問日時の確認 82.6
Max300
Min 3
       
退院後のアパート・グループホームへの訪問        
宿泊中の様子確認        
事業所訪問        
事務
作業
面談の為の資料作成、情報収集 50.7        
記録作成        
訓練実施報告書の作成 135.0        
障害程度区分認定調査票のチェック 30.0      
自立支援員への支援依頼書の作成 15.0        
退院支援連絡会資料作成 112.9        
運営委員会準備事務        
事務処理業務 306.4 - - - - -
報告書の作成 135.0 - - - - -
退院促進支援事業事務 120.0 - - - - -
報告書作成打ち合わせ 180.0 - - - - -
打ち
合わ
せ・
ミー
ティ
ング
職員打ち合わせ 65.0      
ピアミーティング 90.0      
地域移行推進員同士の打ち合わせ 118.1      
チームミーティング 130.0      
支援センタースタッフ会 5.0      
支援センターとの事業評価打ち合わせ 118.1        
他支援員と打ち合わせ        
自立支援員との打ち合わせ        

*●:該当する項目、▲:概ね該当する項目、-:該当する項目がない

 

 表33.「10.その他」に記載された項目の実施方法による分類および実施要綱の該当項目-③

実施
方法
記載事項 1回に
要する時間
実施要綱項目*
カンファレンス 病院CWとカンファレンス 36.2      
団体内部の退院促進支援推進会議カンファ      
当事者スタッフ会議にてカンファレンス 70.0      
ケースカンファレンス 180.0      
ケアカンファレンス・退院支援ケア会議      
会議 宅建協会との連携体制に向けての意見交換会 150.0        
連絡会        
各機関の支援員による全体会議        
圏域連絡調整会議        
自立支援促進会議        
区退院促進等連絡会        
地域ケア会議 67.5        
県のアドバイザー事業に関する会議研修 300.0        
部内会議 118.1        
事業所全体会議 130.0        
精神保健福祉関係者連絡会 90.0        
地域自立支援協議会 120.8        
地域移行部会        
圏域の部会        
退院促進支援コーディネーター会議 180.0        
全国団体理事会 420.0        
圏域の退院促進支援協議会        
退院促進支援部会        
会議
準備
連絡会打ち合わせ 80.0        
会議準備        
圏域連絡調整会議打ち合わせ        
生活保護課との部会打ち合わせ        
地域自立支援協議会地域移行部会事務局会議 60.0        
準備(連絡等)        

*●:該当する項目、▲:概ね該当する項目、-:該当する項目がない

 

表34.「10.その他」に記載された項目の実施方法による分類および実施要綱の該当項目-④

実施
方法
記載事項 1回に
要する時間
実施要綱項目*
研修 部外講義支援研修参加 90.0 - - - - -
研修講師 202.5 - - - - -
事業所職員向け研修講師 - - - - -
看護職を対象とした研修講師 - - - - -
県外からの研修者と面接 120.0 - - - - -
フォーラム参加 270.7 - - - - -
自立支援法説明会 - - - - -
院内研修 - - - - -
看護師の退院支援に関する研修 - - - - -
ピアサポーター研修 120.0 - - - - -
利用者支援に関するピアサポーター研修 - - - - -
グループホーム勉強会 165.0 - - - - -
退院支援調査研究会 - - - - -
全国団体研修会 420.0 - - - - -
研修
準備
研修打ち合わせ 30.0 - - - - -
研修会準備 120.0 - - - - -
勉強会準備 32.5 - - - - -
連絡会家族支援ワーキンググループ課題 60.0 - - - - -
ポスター作成 - - - - -
調査
協力
アンケート調査 78.0 - - - - -
退院促進連絡会アンケート - - - - -
退院促進支援事業アンケート - - - - -
調査票記入 - - - - -
移動 (病院への)移動時間 105.9 - - - - -

*●:該当する項目、▲:概ね該当する項目、-:該当する項目がない

 

表35.「10.その他」に記載された項目の支援内容による分類および実施要綱の該当項目-①

実施
方法
記載事項 1回に
要する時間
実施要綱項目*
直接
支援
宿泊訓練先での個別支援 60.0        
宿泊訓練(調理・洗濯)        
グループホームでの宿泊体験支援        
ウィークリーマンションでの宿泊体験支援        
調理実習 105.0        
食事の支援 30.0        
院内作業療法参加 128.3        
院内SST参加        
院内作業に参加        
宿泊体験中止になり病院へ送迎 110.8        
タクシー券申請代行 81.7      
再入院の手伝い      
退院時の引っ越し手伝い 150.0      
退院後支援 買い物同行 240.0        
金銭管理        
洗濯・掃除等のアドバイス        
諸手続代行 81.7      
家賃銀行振込み代行      
生活面のフォロー 96.7        
退院後のモニタリング        
地域定着に向けた相談・助言        
隣家でトラブル発生し様子確認 142.1        
通院日以外に通院した為、病院PSWと対応        

*●:該当する項目、▲:概ね該当する項目、-:該当する項目がない

 

表36.「10.その他」に記載された項目の支援内容による分類および実施要綱の該当項目-②

実施
方法
記載事項 1回に
要する時間
実施要綱項目*
連絡
調整
病院へメールで連絡 40.6
Max 1
Min60
       
病院へ電話        
病院から電話        
入居施設との電話連絡        
体験先との電話連絡        
自立支援員へ電話連絡・調整        
相談支援事業所との電話連絡        
他区障害者生活支援センターとの電話連絡        
配食サービス事業所との電話連絡        
ヘルパー事業所との電話連絡        
訪問看護ステーションとの電話連絡        
グループホーム職員との電話連絡        
区の担当者への電話連絡        
センター連絡会への電話連絡        
保健所への電話連絡        
断酒会会員との電話連絡        
断酒会会員と病院訪問について話し合い        
地域移行
事業以外
の業務
センター利用者の面談 102.7 - - - - -
センター利用者との電話による相談 - - - - -
センター利用者の事業所との連絡 - - - - -
センター利用者病院との連絡 - - - - -
センター発達のつどい担当業務 - - - - -
高校養護教諭との打ち合わせ - - - - -

*●:該当する項目、▲:概ね該当する項目、-:該当する項目がない

 

4-7.調査協力者からの意見

 調査票の意見欄に、調査協力者から多くの意見が寄せられた。内容によって、分類したものを以下に示す。なお、一部文言を変更したものがあるが、概ね回答されていたままに記載した。

(1)現状の問題点について

・社会資源が少ない。
・交通の便が悪い。
・支援員の経験が少ない。
・市町村への事業の浸透もまだまだである。
・毎日の業務に追われ、地域移行の研修があっても参加できない。
・退院支援活動以外の他事業、法人業務、全国団体関連業務もあり、兼務である状態で、時間配分が極めて困難である。
・担当の圏域が広範であり、首都圏と異なり、移動時間がかなりかかる。
・圏域が広く、また複数の圏域を担当しているので、個々のケースを支援するという点では非常に不十分です。
・病院までの移動時間は50 分です。遠い病院だと2時間ほど移動時間にとられてしまいます。
・受け入れる所が現在いっぱいの状態で、退院されても受け入れてくれる所を選べない状態ではないでしょうか。国の目標値は5年間で7万2,000 人の退院ですが、受け入れについては、国・県・市町村でどのように考えているのでしょうか。机上の計算のようにうまくいくものではないと思います。本人がもう一寸という時、家族の方の後押しがあれば助かるのですが。
・本人としては、どうすれば良いか決めかねているのでは。

 

(2)工夫している点

・ネットワークを拡げる為の自立支援協議会、退院支援部会などの開催。

 

(3)必要とされているもの

・地域に力の底上げが必要。
・ネットワークが当たり前にある状態が必要。

 

(4)今後の展望

・ケースの積み重ねによる、地域支援ネットワークの構築を続けていきたい。
・他事業の事業費拡充による、マンパワー確保で、退院促進支援に入れ込みたい。

 

(5)支援内容について

・退院したい人もしたくない人も、「支援センタースタッフと話をする」という会で、じっくり面談を重ねています。
・グループホームの体験外泊の際には、夕方まで3~4時間、一緒に過ごしています。
・調査期間が年明けだったのと、ご本人達の流れの関係で、著しく同行支援が少ない時期(退院へ向けての住居探しの前段階での院内準備)だった。

 

(6)利用者について

利用者について詳細の記載があった。退院に至るまでの問題点や、課題、工夫した点などが記載されていた。支援開始後、利用者が調子を崩し、地域移行が進まない状況について述べられているものもあった。地域移行支援の実情を示唆するものと考える。一部文言を変更したが、概ね回答されていたままに、以下に記す。

 

●調査期間中は当事者との面会が1回です。予定としては、1週間に1回くらいの割合ですが、体調不良とのことで面会できていません。病院内での同室の他患者、看護師との関わりが難しいようで、不安とストレスが大きくなって、支援員が面会してもしんどいとの訴え、ひとりで静かに過ごしたいとの訴えあり。

 

●33 年の入院の方。病院前にあるアパートへ退院しました。退院に至るまでは、①公営住宅の申し込みを断られるなど、困難な状況にありましたが、偶然病院の前にある民間アパートを借りることが出来ました。②本人は「テレビを自由に観たい」という要求もあり、アパートで一人暮らしをすることに、期待すること大でした。③長期にわたる入院の為、年金収入だけですが貯金が沢山ありました。④年齢的に介護保険を利用しました(ヘルパー週3 回、食事作り他)。その後、1ヵ月の生活の後「休息の為」という医師判断で再入院しました。休息の為なので、長期ではなく帰宅できる予定ですが、本人は1ヵ月の間少しうつ的な傾向になってはいましたが、再入院となる前日は「先生が入院しろ、って言う」と泣いていたそうです(ヘルパー談)。

●利用者について①入院前に、2回の服役生活あり。2回目の刑務所生活の中で、「統合失調症」としての治療が開始されていました。②XX 年XX か月前に措置入院となり、刑務所から移動。③当地に暮らした経験はありませんが、生活保護を受給しています。④医師は住む所があれば退院可能。その時点で措置解除という話でした。⑤退院支援としては、家探し、退院後の生活支援に重点を置いた支援をしました。課題としては、①賃貸住宅の保証人が決まらない。②日中は病院のデイケアに通うということになっているが休みがちである。③AA17)に行き始めてはいるが飲酒が始まっている。

●病院から、依頼があったケース①医師からは「退院して自宅で暮らすように」と言われた。②地域の保健師、行政の障害福祉担当者からは、「今度退院する時は施設に」、「自宅での一人暮らしは不可能」と言われた。「やっと入院してもらったのに、退院なんて無理だ」との意見であった。③本人は「家に帰りたい」と言っている。という状況であった。利用者は、高校生の頃から引きこもり傾向ではあったが、父母の保護のもと、精神科を受診することはなかった。同時期に、父親が死亡し母親が入院したことで、初めて治療が始まった。長期間の未治療により、こだわりの強い陰性症状が強い。現在は、自宅に帰ることを目標にした外出、自宅の掃除を行う等の支援を行っている。

●対人面で外出する機会が持てる(社会経験)が、実際に出かける事で疲れて、その日の感想等は聞ける状態ではなかったです。次回の面会等でゆっくり話せて、支援センター利用で対話・面会の機会を持ちました。社会資源を利用、必要性多大の中、支援員同行する。集団生活が苦手。支援センター利用では各個人別指導ではなく、グループ別での利用で支援センターは全体の流れの指導で。個別に関わらなければならないケースでは、担当支援員であるからこそ、内容別であり良く分かる範囲等しっかり判断出来ました。個別指導は、そのようなケースには欠かせない、と思った。

17) AA:Alcoholics Anonymous;名前を名乗らないアルコール依存症者の集まり(匿名の自助グループ)

 

(7)本調査の記入についての意見

・個人記録は、個別支援計画作成に含まれるのかどうか。
・業務日誌の記録等は、どこに含まれるのか。
・別々の項目に分類されている「退院に向けた相談・助言」、「地域生活移行に関する情報提供および相談助言」、「住まい探しの援助」を、病院を訪問しての面談で合わせて行っている。
・「通算入院期間」と「直近入院期間」等は、記入の仕方に行政からのガイドラインが示されていない為、各病院、各病棟、各スタッフによって、記入の仕方がまちまちです。行政にも伝えましたが、統計処理上のデータとしては、無意味なものとなると考えています。
・個人別記録から地域移行推進員の記録に転記する様式が別々で書きにくかったです。同じ様式を工夫すると手間がないと思います。
・事務時間は算出していません。
・「移動時間」は、項目になかったので、記載する必要はなかったと思いますが、広域支援の中で、見えづらく、かつ一番効率が悪い部分だとの思いで、記載しました。現状では、移動時間は評価の対象外ですが、事業所にとって職員が居なくなる時間は、病院での活動時間に加えて、移動時間でもあることから、兼任で支援員を出している事業所が、どのような意見を記載しているかを、是非知りたいと思いました。
・一般相談事業との棲み分けは難しく、併せて担わざるを得ない。当事者サポーターの養成や講演会の実施など、雑多な業務がある。記載した内容は、業務のほんの一部である。

 

(8)本調査についての意見

・報告や調査の為の調査に終わるなら非常に残念である。そういった現場の負担を増やす調査やアンケートが多い為、ぜひ有効に活用して頂きたい。とくに助成金がある場合には、当事者への支援に直結する調査を期待したい。
・集計等大変と思いますが、自立支援員や地域移行推進員の活動は、精神科領域では長期入院者への支援のみならず、精神障害者支援の方策が十分関係部署に理解されず、行政内においても分離された機関での支援にある現状では、長期的に必要なものと思います。地域移行の事業のみでない仕組みとして、今後も必要なものとして位置づけられることを願っています。
・二週間だけの調査で十分な把握が出来るのでしょうか。

 

menu